◎戦術なんてほどではない
白谷は10点、11ターンオーバーに終わったアメリカ戦から中1日のフランス戦で33点を奪いましたが、面白いことに1on1においてはフランス戦が最も困っています。だからこそオフボールで動いてシューター的な仕事になっていくのですが、「戦術よりも個人技」という意見を自分たちから崩していったわけです。
さて、今回の代表に対して「戦術がない」とバッサリ表現してしまいますが、これは正しい表現ではありません。「戦術とは何だろうか」で書いてみようかな。
スーパー白谷アタックにおいても各選手のポジショニングは定義されているし、特にドライブからコーナーへ展開するのはチームの約束事になっています。ただ約束事の割にはパスがズレることが多いし、コーナー3Pが決まりませんでした。それはプレー精度の問題とも言えます。
戦術がないのではなく正しく言えば「起点は1on1で作る戦術」になります。イメージとしてはジェイレン・ブラウンが1on1をするセルティックスです。チームとしてスペーシングが徹底され、それぞれの仕事が明確に定義されているセルツですが、仕掛ける起点は1on1ムーブが多いです。テイタムだとツーメンゲームも使うのですが、ブラウンはツーメンゲームは上手くないしね。
この1on1起点のオフェンスは大きく2つの問題があります。
・ワンパターンで失速しがち
・一般的に効率が悪い
日本は1Qはそれなりに点を取れるけど、以降は相手が慣れるし、1on1のアイデアなんてパターンは少ないのできれいに難しくなっていきました。それ以上に1on1で仕掛けるのは、オフェンス効率が悪い選択です。今回の問題は「戦術がない」ではなく「現代セオリーに反した戦術」ってことです。
イタリア戦はこれが明確でした。試合序盤は白谷のドライブが自由に決まっていき、そこでイタリアがマークを変更し、カバーリングを強めたことで外から打つ形が増えていきました。また、白谷以外も序盤はドライブしていましたが、これも止められていきます。アイソが効率が良い戦術ならば、どこの国だってアイソばかりしているはずです。
セルツでいえばアイソそのものは効率は悪いのですが、徹底したスペーシングで1on1で勝ちやすくした上で、精度の高い3Pによってオフェンスを成立させています。でも、やっぱりワンパターンであることに違いはありません。
また、アイソオフェンスであっても少なくとも「スイッチさせてディフェンス力の低い相手を狙え」がセオリーです。イタリアがマッチアップを調整してきたのに、日本は馬鹿正直にナチュラルマッチアップで勝負して玉砕しています。神風玉砕アタックは日本人の魂みたいになっているし、冒頭のように気合と根性オフェンスになっていきます。
もっと適切なマッチアップで攻めるために、アイソ前に準備しなければいけないわけです。そうなってくるとスイッチを生み出すためには白谷はツーメンゲームを身に着けなればいけないし、ガード陣であってもスクリナーとしてロールマンプレーをしなければいけない。
こうして1on1ベースの戦術であっても、その準備を繰り返していくから観戦している身としては「こういう戦術をしているんだな」となるわけです。でも、準備をしないで無謀に1on1ばかりしているのだから「戦術がない」と言いたくなります。それは小難しいことをやるのではなく、ベーシックな準備でしかありません。
サンダーはSGAが1on1無双するからアイソでいいんだけど、JDubがいると事前準備のミスマッチ誘導をしてくれます。相手がスイッチに手間取るとJDubが自分でアタックする判断もあるしね。JDubが離脱して苦しかったのは、馬鹿正直なSGAアタックになってしまうことでした。
言い換えれば単なる準備といえども、それを正しくセットするのは簡単な話ではないってことです。これもまた繰り返し経験していくことで学ぶべきオフェンスクリエイトの1つ。だからこそ、アンダー世代のワールドカップで戦術をしないことは悪いことなのでした。
ベッカム君と17歳時のドンチッチだとフレームの差が大きいですが、どんな違いがありますか?
ドンチッチは意外とアスレチックなプレーをしていたんですよね。スピードにキレもあったし。
ベッカムはもっと達観している感じで、常に周りを見ることを大事にしているので、スピードを上げすぎないし、オンボールのフェイクも少ないかな。
とはいえ総合的にはフロアビジョンに優れている点なんかはドンチッチっぽいです。ドンチッチもアメリカにいたら、もっとプレーメイクよりだったかもしれないし。
個人的には白谷がNCAAに行くためのショーケースなのかなと思うくらいの試合構成で、ガーベッジみたいな時間でしか使われない選手もおり、U17なんだけどなーとも思う試合ばかりで。
「部活」な感じが全面に出ちゃうのは佐古と同じですね。
確かに「部活」ですね。すごく「部活」です。
優秀な選手が沢山いて、そのなかで競争が行われている感じもなかったりして。
ハイレベルな環境で化ける選手がでてもおかしくないのに、可能性を閉じているようでした。