20180301 スパーズ vs ペリカンズ

不思議な強さを誇る両チーム。

カズンズ離脱で沈むと思ったら上がってきたペリカンズ
どうみても苦しいのにしぶとく勝ち続けるスパーズ

オフェンスリバウンドで触れたように、オルドリッジはチームの主役でありながら縁の下でも頑張るタイプです。そんなオルドリッジの進化系みたいなアンソニー・デイビス。

オールラウンドなモンスターのカズンズ
フィニッシュモンスターのアンソニー・デイビス




 

 

◉エメカ・オカフォー

まさかのエメカ・オカフォーが活躍しているペリカンズ。オフェンスの役割はたまにスクリーンをかけて、後はボールの逆サイドのエンドライン際で待つ事。つまりは何もしないのが役割。

それはリバウンドに備えると共にディフェンスをエンドライン際まで広げて、アンソニー・デイビスのためのスペースを広くする事。ディフェンスが緩ければそこにパスを出せるロンドもいるし。

50点20リバウンドを普通に記録するアンソニー・デイビスのためにチームを調整しているのがわかると共に、それがエメカ・オカフォーって!

インサイドの身体を張るディフェンスも担当しています。こちらでも楽にする。

 

ミロティッチもオールスターみたいなプレーをするけど、オールスターの実力はないタイプなのでオカフォーがいる理由は大きいようです。



◉ダブルPGのスパーズ

マレーとミルズのダブルPGにするスパーズ。しかし、ほぼマレーがPGです。だからミルズはシューターの扱い。ただ、グリーンよりも決まりそうというだけでなく、パッシングの判断が早いミルズです。

おそらくマレーにはもう少しドライブさせたくて、それをミルズが支えるイメージと思われます。グリーンが出てくるとコーナーでの3Pのようなシューター仕事しかしないので、マレーのドライブとチームのパッシングを同時に機能させたいポポビッチ。

 

そんな狙いが機能しマレーが決めれば、ベンチから出てきたパーカーとジノビリもドライブを決めてスパーズがリードして1Qが終わります。

それはスパーズとしては珍しい完全なスモールラインナップ。ミドルを打つオルドリッジしかいなかったり、インサイドでは無力のラバーンしか使わなかったり。



◉スパーズのトラブル

無力と称したラバーンですが、オフェンスリバウンドからダンクを決めれば、ミロティッチをブロックします。それはペリカンズもインサイドが弱いからです。1番大きいのがミロティッチというセカンドユニット。

内容的にはスパーズが上回っていきますが、ちょくちょくアーリーオフェンスからゴール下フリーになるダニーロで点差は少ししか離れません。2Q残り7分半でアンソニー・デイビスが戻りますが、それはしっかり休めたという事。

しかし、戻ってきてからミルズの3Pで初めてスパーズが二桁リードになります。



1Qで足首を捻ったオルドリッジが戻りますが、ミドルが全く決まらずデイビスにもついていけず、ロッカールームに下がります。
再び出てくるラバーンですが、今度は相手がアンソニー・デイビスだからな。

直接やられるケースは少ないのですが、ディフェンスリバウンドを確保するようになり、アーリーオフェンスが増えていくペリカンズ。

 

今季のスパーズはトランジションディフェンスがイマイチという事もあり、展開が早くなり、60-51とスパーズ9点リードの前半になりました。

 

◉前半のスタッツ

◯マヌ・ジノビリ
13点 FG6/7

点差と違い終盤は苦しかったスパーズを救ったのはジノビリおじさん。

『ウイングのドライブ&フィニッシュ』

それが何かを示すようなジノビリ。ラマスに頼み込んでジノビリ講座を開いて貰いたくなる見事なフィニッシュでした。

 

◯デジョンテ・マレー
11点 FG5/8

ドライブで稼いだマレー。それはスパーズのダブルPGの狙いが機能している印象を受けました。シューター&パッシングのミルズ、コントロール&ドライブのマレーというユニットの強みで勝負していました。

 

◯ペイント内得点
ペリカンズ 30
スパーズ 32

しかし、お互いに多すぎるペイント内得点。リーグ2位のペリカンズは狙い通りであり、19位のスパーズはドライブが決まった結果です。

アンソニー・デイビスのプレータイムは17分と少なめに出来ていて、インサイドを固める選択肢は残っています。



◉スパーズのトラブルその2

オルドリッジは戻らない事になり、何度もオフェンスリバウンドを拾って最後はムーアが押し込んだペリカンズ。それに対し途中でアウトオブバウンズがあったとキレまくり、後半開始1分でポポビッチが退場します。

エースがケガしてインサイドが全く足りなくなった上に、選手起用するHCまでいなくなったスパーズ

 

ペリカンズがミロティッチをスタートに使ってきたので、それに合わせてバータンズを交代させようとしたのに戻したので、混乱している感じがありました。



逆転するのは時間の問題に思えた展開なのですが、そんなチームを今度は怪我明けのルディ・ゲイが救います。

 

◯3Qのルディ・ゲイ
7分 11点 FG5/6

試合としては両者にイージーシュートが生まれ、早い展開のスコアリング勝負になったので、どうみてもペリカンズの流れでした。それは95-87というスコアも示しています。

しかし、ルディ・ゲイが高確率で対抗した事でリードを守ったスパーズでした。



◉スーパースモールラインナップ

それは4Qになっても継続します。今度はトニー・パーカー。

 

◯4Qのトニー・パーカー
4分 8点 FG4/6

しかし恐ろしいのはペリカンズはチームでそんなパフォーマンスをします。

 

◯4Qのペリカンズ
FG14/23 61%

5割を下回ったのは1/3のアンソニー・デイビスだけ。全く爆発はしないのだけど、徐々に点差を詰めていくペリカンズ。残り6分で106-106の同点になります。



スパーズの採用した作戦は、1番大きいのがルディ・ゲイというスーパースモールラインナップ。これが当たります。

ディフェンスの良いゲイはアンソニー・デイビスを個人で抑えます。ミロティッチはベンチに座っています。だからペリカンズオフェンスに全体としては押されるものの、肝心要のエースだけにはやらせないので、一気に得点されませんでした。

オフェンスではアンソニー・デイビスに対してはアウトサイドから、他の選手になったらポストアップで起点となります。

ゲイを中心としたオフェンスにより、残り3分には再び113-108とリードを奪うスパーズでした。



◉信じられないような

残り3分からペリカンズが逆転します。しかし、その内容はなんとも言えないものでした。

 

・スパーズのターンオーバー 3

スパーズらしくないターンオーバーを3分で3つ犯しました。1つのきっかけは散々インサイドを空けていたペリカンズがこの時間になってインサイドを固めました。勝負どころになって突然守り始めるのはペリカンズではよくある話です。それにハマったスパーズ。

 

・マレーの若さ

そんなターンオーバー2つに絡んだマレーは、ディフェンスで簡単にホリデーに抜かれていきます。よそ見したりポジションミスしたり。大事な時間になって致命的なミスが重なります。

 

・スパーズのFG1/6

まぁこればかりは仕方ない。入る日もあれば入らない日もあります。唯一決めたのが想定外のマレーの3Pというのも皮肉でした。ミルズ、ゲイ、ジノビリが外したので何とも言えない。

 

・2本のフリースローを外すホリデーとリバウンドを取られたスパーズ

ホリデーが1本外せば2点差マイボールという事で勝機が広がった狙いを2本とも落としてくれたホリデー。しかし、ラバーンを入れたのにボックスアウト出来ませんでした。それをアンソニー・デイビスに2本とも決められました。ムダに時間を消費してしまったスパーズ

どれか1つでもなければ勝っていた可能性が高かったスパーズ。ある意味これまでの逆でらしくない不思議な負け方でした。



・残り1分でタイムアウトが4つ残っていたペリカンズ

ある意味1番恐ろしかったのがこれ。スパーズのプレッシャーディフェンスにさらされた際にタイムアウトで逃れたペリカンズですが、何でそんなに残っていたのか。

この試合は開始からずっとスパーズがリードしていました。にも関わらずタイムアウトを消費していなかったペリカンズ。

つまり負けているし、インサイド自由にするしで良い傾向とは思えなかったのに、それは何の問題もないとアルビン・ジェントリーは考えていたわけです。

 

ペリカンズの何が恐ろしいかといえば、最終的にオフェンスで上回れると信じて戦っている事です。カズンズはいなくなったけど、チームとして成熟している雰囲気を出しています。

◯アンソニー・デイビス
26点 15リバウンド
FG9/19

活躍したとは言え、アンストッパブルというわけではなかったデイビス。しかし、オカフォー以外のスターターとミロティッチ、クラーク、ミラーが二桁得点と完全にチームで淡々と得点を重ねました。
なお、オルドリッジがいなくなったのでスタート以来オカフォーの出番はありませんでした。

 

◯ジュルー・ホリデー
25点 FG11/16

爆発した感じがあったのは最後にマレーを相手にしなかったホリデーくらいです。それで逆転したわけですから、見事としか言いようのないペリカンズ



ここにきてまさかの上昇曲線のペリカンズ。オルドリッジは長引かないでしょうが、ケガに悩まされるスパーズ。プレーオフ1回戦で当たる可能性もありますが、立場が逆で当たる可能性もあります。ゲーム差は0.5。

混戦すぎるウエストは3位から9位まで何が起こるかわかりません。そして10位のジャズは再加速出来るのかどうか?

 

スパーズの3月はレイカーズ、グリズリーズ、マジックの3戦以外は11試合が5割以上のチームとの対戦です。苦しい時に組み合わせに恵まれてきたスパーズですが、結局苦しいときがシーズン通して続いています。

 

ペリカンズは5割以上が9試合。標準的ですがどうなるのか?

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