U18アジアカップをみている今日この頃。マルチネスらしく試合を重ねると内容が改善していき、得意のダブルポストからオフボールスクリーンを利用したカッティングやスリッププレーでの裏パス狙い、そしてコーナーへの展開と先日のインターハイではまるっきりお目にかからなかったプレーが連発されていきました。
迎えた3試合目の中国戦は内容も充実した前半に常にリードを得て戦い、そして3QにPG瀬川がドライブアタックで切り裂いて二桁リードを得ていきました。この時点で瀬川の評価は爆上がりしていて、それはパスで崩すチームオフェンスの中に、個人アタックが加わったことで中国ディフェンスが混乱したからでした。
しかし、瀬川はオーバーヒートしていたので疲労が見え始めた上に、中国ディフェンスが瀬川に対してハードマークを徹底してフィジカル勝負に持ち込みました。ここから複数の問題が発生し、日本のオフェンスは停滞。警戒されているのに無謀にアタックした瀬川が潰されていき、最後には瀬川がオーバーヘルプしたことでキックアウトパスから逆転3Pを決められもしました。では、どんな問題があったのか。
①瀬川からパスを貰ったチームメイトが3Pを打ち切らない&自分で仕掛けない
②瀬川はボールを持つとヘッドダウンして目の前のマークマンしか見ていない
&ハードマークされているのにスクリナーを使ってディフェンスを剥がしに行かない
③瀬川がドライブ優先の姿勢なので、ポストに預けてのチームオフェンスがセットされない
最大の問題は①であり、敗戦の責任を瀬川に負わせるのは酷です。ただ③は見逃せない要素で、瀬川がプレーメイクできなかったことが①を引き起こした一面もあります。その要因はハードに守られていることなわけですが、NBAでハンドラーがエースキラーにプレッシャーをかけられたら、とりあえずスクリナー使って剥がすシーンを日常的に見ていると???という感じになります。
さて、今回は瀬川をディスるような内容になりますが、断っておくと「瀬川」ではなくて「日本のガード」、特に高校生世代で頻繁に起きている現象について考えるのがテーマです。
同時に瀬川という選手は素晴らしいポテンシャルを持っており、懐の深いハンドリングはプレッシャーをかけられても安心して任せられるし、スピードを活かした突破も出来ます。また、パスもゴール下への縦パスから逆サイドへのワイドな展開も見せてくれました。瀬川と他のガードには大きな差があり、欠かすことのできない、マネすることが出来ないプレーをする選手でした。
ただし、これらのプレーは「得点に直結する」面での良さとなっており、③のように「組み立てる」ことに関してはいまいちです。さらに言えば得点に直結するパスはいいけれど、自分が出したいところに出すことが優先事項に見えるので「ディフェンスを見て判断」「ディフェンスのタイミングを外す」という点においてはグッドプレイヤーとは言い難いものがありました。
これらのことは大体のPGに言える話だし、日本では「スピードのある選手」が好まれるポジションなので、サイズとスピードがあり、パスでの展開もある瀬川タイプが最高峰なんだろうなーとも思います。この前提で考えてみたいことがあるのです。
日本バスケ(バスケだけに限りません)がストロングスタイルしかできないのは、育成年代で上の世代と対戦する機会が少ないってのが大きいのではないかと思っています。
ヨーロッパのクラブだと優れたタレントは10台前半のころから上世代のチームに混じってプレイするのは普通ですからね。
ルビオやドンチッチクラスになると15前後でトップチーム昇格して20代30代の選手と戦っています。
若い頃から単純なフィジカルとスピードで圧倒できない上の世代相手に戦っていれば自然とそれ以外の方法で攻略する術が身についてきます。
アメリカもストリートの文化が残っている地域なら年齢関係無くプレイするのは普通ですし。