さようならサンズ’24

◎PGとビッグ3

サンズはピュアPGがいないことでターンオーバーが多く、展開力不足という点が指摘されています。これはその通りである反面、PGを連れてきてボールを持たせてしまったら、ビッグ3がボールを持つ時間がさらに減ってしまい、意味があるのかないのかわからなくなります。

ヒートはPG抜きでも構築するし、セルツにもピュアPGはいません。ナゲッツはPGが誰なのかわからないし、ウルブズはPG中心のオフェンスではない。シクサーズもピュアPGは後から補強のラウリーだしさ。それでも本当にピュアPGがいなければダメなのでしょうか。ホリデーがPGというかエースキラー兼PGやっていれば勝てるんじゃないかってね。

だから「PG不在」は言い訳にしかならず、サンズの戦術熟成不足と単なるミスの多さが問題でした。また、ミスが多いからといって「雑だけどエネルギーで取り返す」ようなこともありません。オフェンスリバウンドも少ないしさ。どっちかでもあれば違ったし、だからこそハードワーカーが欲しくなります。

一方で「ビッグ3ならではのプレーシェア」もありませんでした。基本はビールがPG役をやっていますが、そもそもPG不在なら誰かが「PG役」なんて固定することがナンセンス。ウルブズとのファーストラウンドで言えばボール運びでのミスが気になるならば、タウンズにマークされているデュラントが実行すればOKでした。それが一番楽じゃん。

この翻訳ポストから抜粋してみましょう。

ビールはシーズンはじめにケガをして、53試合しか出場しなかった。そして継続的にポイントガードをすることはなかった。そのためブッカーがオフェンスをランしていた。結果ふたりとも余裕をもってポイントガードをしているようには見えなかった。特に相手がフルコートでプレッシャーをかけてきたり、スタミナを奪おうとした時だ。ターンオーバーも大きな問題だった。1試合平均14.9はリーグ25位だ。

いや、53試合出ていたら十分だろ。そして余裕がないなら余裕がある選手がボールを運べばよかっただけだよ。このボール運びやターンオーバーの部分以上に次の点は大きな問題でした。

プレーオフではマクダニエルズがブッカーやビールについて、サンズのオフェンスのフローを混乱させていた。シーズン通して、サンズのオフェンス責任者のヤングは大量のブッカーとビールのPnRをやった。しかし、選手たちはコーチングスタッフのオフェンス構成をつくる能力と、ゲームのベストスコアラーの3人がいるラインアップを最大限に活かせる能力に疑問を感じていた。

ビッグ3だというのにマクダニエルズの存在1つで「オフェンスのフローが混乱」とは随分と単調すぎないか。
「大量のブッカーとビールのPnR」がエースキラーによって阻害されているならば他のパターンにすればよかったし、タウンズにマッチアップされたデュラントが楽なのにPnRに拘る必要もない。

スイッチ誘導で楽なマッチアップを作る意識が低い
プレーメイクのスタートが相手に応じた対処をしてない

結局のところ、他のPGがきてもPnRスタートばかりでは同じ結果が待っている。何よりせっかくのビッグ3なのにマッチアップの優位性を活かす気持ちが低すぎました。みんなでゴベアをいじめるのがプレーオフの恒例行事なのに、誰かゴベアをいじめたのか?
ゲーム4の終盤はスモールにしているサンズに対して、ウルブズはタウンズとゴベアのツインタワーを継続して問題なく守れてしまったぞ。そこに論理性があったとは言わせない。

総じてサンズのゲームメイクはドヘタでした。それはウルブズのウィークポイントを有効活用したり、自分たちが優位になるマッチアップに誘導したりというプレーオフの初歩が出来ていなかった。とはいえ、ヴォーゲルは普通にやっていた内容なので、全てHCが悪いってのも違うしさ。

結局のところ、ブッカーもデュラントも(特にブッカーは)日常的に誰が相手でも勝てると踏んでプレーしすぎていたのかもしれません。日常で弱い相手ばかりを狙っているドンチッチとの差は、1on1やフィニッシュ力ではなくてインテリジェンスって感じがするもんね。

ビールが長々とボールをもって何かをしようとしても「決められた形」以外では判断が遅くてパスになりませんでした。そりゃあウルブズは「フローを混乱」させたいに決まっているんだからさ。この役割をやらせたいならピュアPGが欲しいし、ピュアPGを連れてきたらエースは2人で十分だからビールは要らない。

NBA史上最高スコアラーのひとりであるデュラントは、使われ方にいつもハッピーではなかった。ソースによると、デュラントはブッカーとビールとのオフェンスの役割に決して納得していなかったそうだ。それらのソースによれば、ディラントはオフェンスに問題に感じ、PnR中心にしたオフェンスでコーナーに追いやられ過ぎていて、自分の強みを適切に活かしたオフェンス・デザインがなかったと感じていたそうだ。

「自分の強みを適切に活かしたオフェンス・デザインがなかった」かどうかは知らないし、ビッグ3なんだから自己犠牲は必要だろ。ウォリアーズで何を学んできたんだ?

でも、「ディラントはオフェンスに問題に感じ、PnR中心にしたオフェンスは(ビッグ3を)適切に活かしたオフェンス・デザインではなかった」のは事実です。正しくはPnRも選択肢の1つであり、そこに拘ることはスコアラータイプのビッグ3を並べる意味を薄くしてしまいます。

ちなみにクリッパーズのビッグ3は、ハーデンがPGタイプなのでPnRするのは正しいし、そこにレナードのポストアップを混ぜる。ポール・ジョージは自分のリズムで1on1している。3人が上手く絡んでいるとは全く思わないけど、3人が違うことをしているし、形も様々だ。ウエストブルックはもっと様々だ。

サンズのオフェンスはスペーシングを徹底し、エースのアタックからワイドオープン3Pに繋げるようなシステムが作れていました。しかし、起点部分のプレーチョイスは「相手を見ていた」とは思えないし、「ビッグ3ならではの良さ」が乏しいものでした。

こうだと思うんだよね。少なくともゲーム1の時点でデュラントは楽だった。タウンズにマークされていたんだからさ。あるいはブッカーは楽な相手になるようにスイッチ誘導しまくるべきだった。ということで最後にブッカーのマッチアップデータを載せましょう。

マクダニエルズ+NAWで201回のマッチアップをして43点
コンリー+ゴベア+タウンズでは68回のマッチアップで40点

マクダニエルズとNAWのディフェンス力がうみだしたスイープでしたが、マクダニエルズとNAWのディフェンス力を目立たせたのはサンズのオフェンスチョイスでした。

さようならサンズ’24” への4件のフィードバック

  1. グリズリーズなんて、ガードが誰も安定して運べないから、JJJがフロントコートに運んでたのに。ロディは、全部を解決するようなすごい選手じゃないけど、少なくともディフェンスでは便利な使い方できるのに、試してもくれないのか。と思いながら観てました。
    来シーズンはまずHCどうなるのかなー。最善がなにかもわからない!!

    1. 各選手の良さを使い切るのがヴォーゲルだという認識だったのに、使わない選手が増えたのも奇妙でした。
      グリズリーズもノーPGな側面もあるので、真似すればいいのになーって思いますね

    1. 来年もこんな感じだったらワガママ族が発動しますよ。

      上手くいくなら2年といわず5年っていいだすけど

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