破竹の11連勝したジャズ。その影に隠れるように9勝2敗で一気に順位を上げているバックス。しかし中身をみると弱い相手が多く、ヒートとウルブズには負けています。相手に恵まれたという事はそれまで苦しい相手が多かったという事。アンラッキーなキッド。
同じく8勝3敗のナゲッツ。こっちはウォーリアーズなんかにも勝っています。苦しい相手が多くてもホームの利を得てジャズに追いつかれまいと戦えています。
好調かどうか怪しい同士の一戦
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◉ハイスコアゲーム
ソン・メーカーがスターターですが、オフボールであっさりとヨキッチを見失ってゴール下を決められてスタートします。アンテトクンポの3Pが決まりますが、バートン、ハリス、バートンと3Pを連続して決めてナゲッツが先行します。
インサイドがヨキッチしかいないナゲッツ。でもそれはむしろディフェンスでアウトサイドに引き出されずに済んでいる印象です。しかし、動けるはずの選手達が簡単にドライブを許すし、簡単に3Pも決められます。
自分達は得点するけど、バックスにも簡単に決められるナゲッツ。らしいナゲッツ。
ナゲッツが22点までいってタイムアウトになりますが、そこまでナゲッツはヨキッチ、ハリス、バートンしかシュートを打っていません。ヨキッチは4アシスト。
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ジャバリ・パーカーが出てくるとミドルトンと2人でポストアップからのフェイダウェイを決めていきます。それまではポストのアンテトクンポからパスアウトが多かったのでリズムが変わります。個人で押し出せないナゲッツには止められないタイプのプレー。
パーカーはスクリーンからポップしての3Pも決めて周囲を使いながら得点するので流れを良くしてくれます。味方の速攻のミスショットもしっかり追いかけて拾ってくれる珍しいエースプレーヤー。
一方でソン・メーカーが全くヨキッチを止められないので新加入のゼラーが出てきます。これまでのバックスにはいない身体を張って止めるタイプ。でもヨキッチも休憩に。
お互いに主力が減ってくると苦しくなります。特にインサイド不足のナゲッツはヨキッチがいないとバートンとゲーリー・ハリスのドライブ頼みに。それでも決めて行く2人。
◯ニコラ・ヨキッチ
6点 6アシスト 6リバウンド
まぁ間違いなくトリプルダブルするね、というヨキッチです。ゲーリー・ハリスとバートンで27点取ってナゲッツが7点リードの1Qです。
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◉マイク・マローンは何を優先したのか?
2Qはチャンドラーの3Pでナゲッツの得点から始まりますが、個人で得点しそうなのがライルズしかいないベンチメンバーばかりのユニットにしています。しかし、そのライルズが決まらない。
アンテトクンポもパーカーもいるバックスが当然のように点差を詰めていきます。もうHCの惨敗。一方的なマイク・マローンのミスです。マレー、ゲーリー・ハリス、バートンと3人いるのだからローテーションなんて幾らでもやりようがあったはず。
バックスの方はテリー、ブラウン、ゼラーという少し怪しい部分にエース2人だから、狙いが分かりやすい。
タイムアウトはとるけどメンバーを変えないナゲッツがアンテトクンポにやられて1点差になってマレーだけ戻します。
でも引き続きデバン・ハリスはよくわからない3Pを打つし、アンテトクンポに向かってダンクしてミスするしで、バックスが逆転します。ミスマッチ作って簡単にライルズに渡すマレーと差があるよ。
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他のスターターも戻ってくると、ヨキッチのパスからマレーが3Pで簡単に再逆転し、更にヨキッチはゼラーをブロック、自ら3Pを決めます。明らかにボールムーブが良くなるナゲッツ。ヨキッチ関係なくセカンドユニットが悪いのですが。
止まらないナゲッツはゲーリー・ハリスの3P、マレーのドライブ、ヨキッチのローポストで得点を積み重ねていきます。セカンドユニットは時間を潰してくれれば十分、とでも言うようなオフェンス。あっという間に11点リードにします。
ブレッドソーがスティールから速攻を生み出しますが、ヨキッチが簡単に&ワンで返します。ちなみにスティールというかタックルなんですが。なんでノーファールなの?
チャンドラーが1対1でシェイクして3Pやダブルクラッチ気味に3Pなんてウソみたいなシュートも決まるくらい好調なナゲッツに対し、やけにレフリーにリスペクトされるブレッドソーで対抗していくバックスという構図に。
この辺はナゲッツの強みで、レフリーに悩まされてもオフェンスで取り返します。厳しいのでブレッドソーには絡まない事にすると、今度はミドルトンとアンテトクンポにファールして&ワンにしてしまいました。
ファールするならちゃんと止めろ!
それでもナゲッツを全く守れないバックス。あっちを止めればこっちにやられる状態で、ヨキッチにトラップすれば簡単にマジカルパスを通されて74-62なんてハイスコアで前半が終わります。
ナゲッツらしい展開はナゲッツペースなのですが、だからと言ってそれがナゲッツに有難いわけでもなかったり。
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◉バックスのディフェンス
1Qにナゲッツはキックアウトパスをスティールされるのが目立ちました。その理由はバックスが以前みたいにヘルプ重視のポジションを取らなくなったことにあります。
それは間違いなくキッドが批判された部分を修正したわけなので、弱い相手にしっかり勝てた要因です。でもナゲッツのスターターはそんなミスはあるけど、1人ひとりが物ともしないわけで、個人で守る限界を突かれています。
特に目立つのはイージーにアウトサイドから決めていくゲーリー・ハリス。それは簡単なシュートではないけど、プレッシャーも弱い。マークマンはヘルプが期待出来ないから前にプレッシャーをかけきれていません。
スタッツからすると「ヨキッチが止められない」と言われそうだけど、バートンもマレーもチャンドラーさえも全く止められないからこそヨキッチが自由だったりします。
◯FG
ハリス 7/9
バートン 4/8
ヨキッチ 7/9
チャンドラー 4/5
マレー 3/3
要はキッド時代と異なり全体を止めに行って、結論は全体がやられている状態。3P68%は決まり過ぎですが、ディフェンスが悪すぎて大きく失速するようにも思えません。
◯ニコラ・ヨキッチ
16点 11リバウンド 12アシスト
アシストが多いのは3P決めまくってくれた味方のおかげです。だからリバウンドの方が大切。前半で二桁は多いよ。
バックスのオフェンスは悪くないよ。だからハーフタイムに何を考えるかは大切なのさ。
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◉プレッシャー強化で対抗するバックス
ナゲッツの3Pが外れるスタートです。ドフリーを連続ミスなので嫌な雰囲気のナゲッツ。しかもテンディングも腕を叩かれてもノーコール。途端にトラブルになるナゲッツ。
オフェンスではこの試合で初めてソン・メーカーがヨキッチをスピードで置いていける形になります。ミスも多いですがナゲッツが得点出来ないので助かり、速攻で点差を詰めます。
バックスの改善事項はもちろんアウトサイドまで守る事です。ヨキッチからバートンへののハンドオフさえ許さないプレッシャーをかけるミドルトン。でもマレーを見失うブレッドソー。
外まで広がったのでナゲッツは取り敢えずヨキッチのローポストを使います。するとすぐにゼラーが出てきます。
ディフェンスのリスクを減らして、少しずつ点差を詰めていくのは、最近はディフェンスで勝っているバックスペースです。アンテトクンポとゼラーがゴール下を決めていき3Q半分で5点差まで近づきます。
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タイムアウト明けをマレーの3Pで成功するナゲッツですが、アンテトクンポからゼラーのゴール下をイージーにやられます。それでも今度はマレーのドライブでヘルプを引き出してフリーのヨキッチ3P。対してアンテトクンポがゴール下と分かりやすい両チームの狙い。
先に動いたのはバックス。アンテトクンポPGでパーカーを使います。1Qとは違うローテーション。パーカーのドライブは決まりますが、アンテトクンポはボールを持つ位置がリングから遠くなりミスになります。
ナゲッツもゲーリー・ハリスのタッチが悪くなりますが、マレーが難しい左に流れながらの3Pを決めて再び二桁点差に戻します。
難しい3Pを連発したものだから、もっと難しい後ろに流れながらの3Pを諦めきれずに追いかけたテリーがファールしてしまいます。
しかしナゲッツもパーカーを止められずヨキッチがファールして4つ目となりベンチに下がります。インサイド不足で苦しくなるナゲッツですが、前半に1人だけ決まらなかったライルズが3P連発でオフェンスで救います。さらにテリーとミドルトンをブロック。
後半開始から確率の落ちたナゲッツの3Pですが、3Q後半になってマレーとライルズが連発した事により結局は67%に戻しました。
ちなみにマレーはフリースローを3/5と2本外しましたが、シーズン92%なので激レアです。
107-88と19点差に戻したナゲッツ。結局守れなかったバックス。
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◉反撃を許す若いナゲッツ
どんなユニットにするかと思ったらバートンとゲーリー・ハリスを出しているナゲッツ。前半は失敗の判断ね。
アンテトクンポの見事なスピンで得点していくバックス。止められない圧倒的な破壊力です。PGは失敗の判断ね。
しかし、ゲーリー・ハリスが3P、そして速攻をダブルクラッチで決めてオフェンスで対抗します。逆に点差は開いて23点差となる立ち上がり。
ロケッツならこういう時にオフェンスで時間を使います。ショットクロックなくても得点する自信があるし、外しても守れるし。
でもそれが出来ないナゲッツ。デバン・ハリスがコントロールしますが、リズムを崩して決まらなくなったり、結局早く打って外したり。
一方で余裕があるからディフェンスが緩くなり、抜かれるのは仕方ないけど追いかけなくなったりして、捨て身のスターターできているバックスは反撃できます。イージーなゴール下連発であっという間に14点差に戻します。
19点差→23点差→14点差を5分でやってしまうナゲッツの若さと甘さ。
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アンテトクンポがスクリーンでヨキッチを掴みオフェンスファールをとられ怒ります。いや掴んでるよね。
7分14点差なので、分かりやすく普通に攻めて普通に守る事になったナゲッツは、ヨキッチのポストアップ、ゲーリー・ハリスのドライブ、マレーのドライブからヨキッチの3P、マレーのドライブと快調に決めて行きます。なんて分かりやすいチームなんだ。デバン・ハリスは一体どうすれば良いのか?
そしてやっぱりアンテトクンポを止められません。ドライブを連発されゴール下で決められます。複数で止めに行くとキックアウト3Pを決められたので、それもまた難しい。
点差が変化しない中でヨキッチが足を出して5つ目のファールをとられます。でもバックスが足を出したらコールされないよ。怒るマイク・マローン。
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当たり前ですがチャンスを掴めそうなバックスのディフェンスは激しくなります。それは結果的にナゲッツのオフェンスが時間を使う事になります。まだ13点のリードがあるナゲッツには悪い事ばかりではありません。
しかもバックスは自分達のディフェンスが効いて時間を使われると、最後のシュートを止めたくてファールしてしまいます。外れそうな場面でも追いかけすぎてファールしてしまい、逆にバートンが4点プレーを決めます。
3P攻勢をかけようとするアンテトクンポ。スネルは決めますが、自分はエアボール。それはどうなのか。むしろドライブで決めるブレッドソーで点差を縮まります。
残り1分半で12点差。
時間を使えば良いはずなのにバックドアカットにパスしてターンオーバーにするヨキッチ。早打ちするゲーリー・ハリス。
それでもブレッドソー以外が外してくれたので事なきを得たナゲッツでした。ムダに苦戦した若さ溢れるナゲッツでした。
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◉ナゲッツの凄さを堪能する試合
ナゲッツ企画の後で初めてのゲームレポートですが、完璧なまでにナゲッツを堪能する試合でした。オフェンスの核と紹介した5人が持ち味を発揮しただけでなく、序盤にバートン、中盤にライルズ、終盤にマレーと代わる代わるエースが登場する厄介さがありました。
それでいてユニットを間違えると急降下します。
ディフェンスは悪いのですがインサイドを蹂躙された事はケガ人問題もあるので一概には言えません。プラムリー、ファリード、ミルサップの誰かしら戻ってくるだけでかなり違うはず、ファリードってケガだよね?
またデバン・ハリスの獲得でムディエイよりも安定したゲームメイクを期待したはずですが、それはむしろリズムを乱す要因になりそうです。
若さが溢れすぎていて勝てる試合を苦しくするナゲッツ。良くも悪くもナゲッツ満載になっていました。
◯ニコラ・ヨキッチ
30点 17アシスト 15リバウンド
8ターンオーバー
どこのウエストブルックだよ。ファンにセルフィー撮ってあげる良い奴。
◯ゲーリー・ハリス
28点 FG10/18
エースね。エース。
◯3P 60%
ハリス 5/7
マレー 5/7
ヨキッチ 3/3
ライルズ 2/4
バートン 4/7
チャンドラー 3/5
2Pは51%しか決まらなかったよ。
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◉バックスのディフェンスが良くなったのは幻想か?
普通は前半に決まり過ぎると後半は失速するもの。でも、ナゲッツの3Pは後半に落ちる気がしなかったのはバックスが徹底して守ろうとしなかったから。後半開始直後はしっかりとプレッシャーをかけて外させたので、やっぱりディフェンスの問題が大きかったです。
それが出来なくなったのはヨキッチ、マレー、ゲーリー・ハリスにドライブされるようになったからです。キッドのやり方は極端だったかもしれませんが、優勝を目指すにあたっては強い相手に対してチームとしてどう守るかを知っていたからこそのチャレンジだった気もします。
連勝中はジャズを上回るディフェンスレーティングだったバックスですが、この試合を見る限りは足りない要素が多いです。
◯FG 53.3%
アンテトクンポ 14/21
ブレッドソー 9/14
パーカー 5/8
ゼラー 7/9
オフェンスはしっかりとインサイドを攻め切りました。文句をつけられないオフェンス力を示したので、そこを否定する事は出来ません。
ディフェンス面は通用しなかったわけですが、指摘しているのはあくまでもキッドが良かったのか悪かったのかの話だけです。結論も良かったのか悪かったのかは考え方次第という事。
そして、このやり方で戦う中ではプレッシャーを強めて流れを変えに行くチャレンジもしています。それでも大差になったのは、さすがに幾ら何でもナゲッツの3Pは決まり過ぎでお手上げ状態だっただけです。
バックスは弱かったのか?そんな事はなくて十分に強かったです。
しかし、ナゲッツは強すぎた。そこに抗う術は何も持っていなかった。
そんなバックスでした。評価は落ちないけど、上がりもしなかったです。
後半この2チームは更に加速しそうですね。ナゲッツの今のバックコートの破壊力はかなり脅威ですね。
バックスもまだ安定感無いですけどかみ合い出してケガさえなければなかなかの爆発力ありますよね。
今年のプレーオフはなんかアップセットとかがありそうな予感があるんで、タレントがいるこの2チームはかなり楽しみです。
後、だいぶ前から気になってたんですがナゲッツのファリード全然出てないですよねー。笑
単純にフロントコートの層が厚いだけで出れないのですかねー。
トレードとかできてたらほしいチームありそうだったのにと思ったり。
ファリードのスタッツを見る限り、ケガ人が多い中で起用しない理由はないと思うのですが、どうなのでしょうか。
今季は特にウエストはヤバイですね。今のところサンダー、ブレイザーズ、ナゲッツ、ペリカンズなのでどれもクセがありすぎます。そこにジャズが加わると更にメンドくさい事に。
順位と組み合わせで大きく結果が変わってきそうな雰囲気です。
はじめまして。
いつも丁寧な記事楽しく読ませていただいております。
ミルサップはPO前に復帰の可能性があるとの記事が出たようですが、whynotさんはミルサップをどのようにOFに組み合わせるべきだと思いますか。
私はヨキッチよりプラムリーとの方が相性が良いように感じています。
ありがとうございます。
ミルサップ難しいですね。離脱直前は素晴らしかったり酷過ぎたりでした。まぁケガ明けと考えたらセカンドユニットをライルズと2人で引っ張るんでしょうね。頻繁にファールするヨキッチの代役が必要ですし。
ご指摘の通りプラムリーと組めば堅実なので、ディフェンスを何とかしたい時にも使えます。今が良すぎるので無理に融合しなくて良いかと考えています。