ユタ・ジャズが突然やってきた!

 

昨季は51勝したものの、ヘイワードとヒルが抜けて再建モードになったジャズ。そこで得たのは驚異のドノバン・ミッチェル。一気にエースに駆け上がったとはいえ、チームとしてはミッチェルを育てるためのシーズンになりそうでした。

 

1/22の時点では19勝28敗。ジャズが争っていたのは17勝のレイカーズ、グリズリーズ、サンズでした。プレーオフなんて夢の話さ!

ところがそこから連勝街道に突入します。。あっという間に9連勝で5割到達。突如として最も勢いのあるチームになって来ました。

 



今年もウエストの激戦は続きます。今季の特徴は上位チームが抜け出せない事。ウォーリアーズとロケッツは順調に勝利しているものの、取りこぼすというよりは力負けする試合もあります。

そして両チームから離された3位以下はどんな形で変動してもおかしくない順位争いに。
1月にはクリッパーズの参入、カズンズの離脱で5割を超える激しいデットヒートは最後まで続きそうです。

しかし、ここに来てのジャズの参入は非常に怖いものがあります。トレードデッドラインで選手を放出し、来季以降に備える動きを見せておきながら着実に勝利していくジャズ。

一体、何があったのか?



◉レーティング比較

まずは最近の強さを数字でみてみます。

◯レーティング(〜1/22)
オフェンス 104.4(17)
ディフェンス 105.5(14)

普通の数字ですがジャズらしくない数字でもあります。ディフェンス型のチームというのが特徴でしたが、今季は攻守バランス型になっています。
単にディフェンス力が落ちたとも言います。この2年は102前後だったので今年も同じ水準ならば開幕から勝率5割を超えていたはずです。その意味ではメンバーは変わりながらもオフェンス力は何とかしていてディフェンス力低下に悩んでいたと言えます。

 

◯レーティング(1/23〜)
オフェンス 113.5(5)
ディフェンス 97.1(2)

最近9試合はオフェンスが非常に好調でここで圧倒できるのが目立ちます。ルーキーがエースのチームでありながらスーパーオフェンスチームの数字です。しかし期間を区切ったとはいえこの上に4チームもあるのか。

一方でディフェンス面の改善の方がジャズらしい気がします。オフェンスが爆発して勝つだけならば連勝街道にはならなかった気がしていて、ピストンズ、ラプターズ、グリズリーズとの対戦では100点以下の試合となりディフェンス力で勝ったといえます。



◉リバウンドがもたらす大きな変化

 

◯リバウンド率 48.9%→54.3%(1)

攻守に高いリバウンド率を誇りトータルで高くなっています。それまでは50%を割り23位と弱点だった部分が突然リーグ最高になりました。
攻守に、というのもポイントで片方ならば戦術的な特徴が出てきそうですが、両方なので純粋に確保しているだけです。

 

◯リバウンド
ゴベール 9.7 → 10.2
フェイバーズ 7.0 → 8.7
イングルス 4.3 → 2.8
ルビオ 4.0 → 5.4
オニール 2.6→ 5.0

全体的に向上していますが、単に相手のシュートが落ちているから増えた事情もあります。その点も含めて考えると特徴的なのは3点。

 

・フェイバーズのリバウンド向上
・イングルスからルビオへリバウンド役交代
・オニールの起用増加

 

フェイバーズの増加ですが、ここに関連するのがウドーのプレータイムが7.5分と減った事です。スターターのフェイバーズですがゴベールと同時起用よりも片方をセンターとして残す形が試合を通して行われるので、結果的にディフェンスリバウンドが増えました。

ゴベールが頻繁にケガしていたため定まらなかったローテーションが固まってきたといえます。

 

似たような事がオニールにも言えます。セフォローシャの離脱が大きかったジャズですが、プレータイムを増やしたオニールが期待を上回る大活躍中です。

素晴らしいディフェンスにFG50%と堅実なオフェンスで、ウイングとして台頭してきたのは大きな要因です。ジャズらしい地味な感じですが良い選手で、ディフェンスは一見の価値があります。

 

アクシデントを含めてローテーションとしてディフェンスが固まってきたのが好調の背景にありそうです。それは簡単には崩れないものと言えます。怖いのはケガとクラウダー合流での予定外が起こる事だけ。まぁフッドよりは守るはずです。



イングルスからルビオというのは面白い変化です。

基本的にイングルスの方がエースのディフェンス担当なのでリバウンドの負荷を変えた形です。PGがリバウンドを取る形はここ数年の流行系です。

言うまでもなく代表格はウエストブルック。自ら取る事でトランジションを早くし、コーストtoコーストを連発するリーグ最強の速攻マシーンです。アンテトクンポも同様です。

 

ジャズもまたルビオのリバウンド増加で明確な変化があります。

◯速攻での得点 8.9 → 11.3
イングルス 0.8 → 2.7
ミッチェル 2.0 → 2.1
ルビオ 0.9 → 2.0

分かりやすく数字を上げたのがイングルスとルビオ。かと言ってミッチェルを減らしてもいません。
つまりこれまでディフェンスリバウンド要員だったイングルスは前を走り、ルビオのリバウンドからチャンスを作っていることになります。本人が取らなくても近くにいれば当然早くなる事に。

1試合全体では些細な変化ですが、連勝期間を並べると大きな要因となっています。



これらの変化に伴い試合のペースも少し上がっています。それでもポゼッション100を下回るので、早い展開で勝機を見出しているわけではありません。

そしてリバウンド強化で良いことばかりではありません。ペースが上がるのも良いかどうか。

◯セカンドチャンス 10.6→11.3
◯速攻での失点 9.1→11.3

オフェンスリバウンドが増えたのでセカンドチャンスでの得点も増えましたが、トランジションディフェンスは悪くなっている傾向です。

 

この辺りはゴベールの弊害も大きく、フェイバーズの時間よりも速攻での失点が大きくなります。一方でちょっと面白いデータもあります。

◯ゴベール出場時の速攻での失点 5.4→8.2

オフェンスリバウンドはゴベール任せにして他の選手は戻るのが基本なので少なかった失点ですが、逆に増えています。ターンオーバーは11.1→9.9と減っているので、好調さがもたらす見えない問題の気がします。

その点ではオフェンスリバウンドが好調というのには落とし穴も潜んでいそうです。戻るのが遅いセンターは時代遅れです。他に大きく貢献しなければ単なる穴です。



◉フェイバーズ&ゴベール

 

とはいえ好調なチームの中で重要なのはインサイドコンビです。2人で出ている時間はさらに圧倒的。レーティングで比較します。

◯フェイバーズ&ゴベール
オフェンス 119.8
ディフェンス 90.2

両者が出ている時間=スターター同士の時間なのでお互いのチームが強いユニットの時間に圧倒している事になります。なお、同時起用は17分くらいです。

 

◯フェイバーズ
オフェンス 114.8
ディフェンス 92.9

◯ゴベール
オフェンス 115.1
ディフェンス 97.5

2人を分けるとフェイバーズの重要性が更に際立ちます。特にセカンドユニットに混じる事が多いのに高水準なのは高く評価出来ます。

 

ただし、2人が良いという事は他のスターターも高水準です。特にディフェンス面は単に2人が何かをもたらしたというのは少し違います。前述のオニールのようなディフェンダーが出てきた事に加えて、試合の印象として連携強化がディフェンス向上に繋がったと感じています。



イングルスは特徴的なディフェンスをします。大きくディレクションさせるような偏った守り方です。読みが鋭くプレッシャーが上手いイングルスですが、アジリティもフィジカルも劣るので身体能力では守れません。

しかし、ジャズにはフェイバーズ&ゴベールがいます。シュートを止めつつインサイドに誘導すれば簡単には打てません。

「イングルスがドライブの方向を絞り、インサイドがヘルプで潰す」

このディフェンスの連携はジャズの生命線です。

 

今季はヒルとヘイワードというディフェンダーが移籍し、ルビオとミッチェルが加わりました。それは個人のディフェンス力の低下に繋がりました。ルビオは当初からジャズディフェンスを理解していましたが、完全に抜かれてしまう機会も多く、ミッチェルについては普通の守り方になっていました。

シーズンも後半に入り、この2人がイングルスのような守り方を理解してきた事で、プレッシャーをかけられるようになってきたと考えられます。

ディフェンス面の連携強化が好調の要因です。

 

◯被3P 38.5% → 30.5%
◯ペイント内失点 41.8 → 44.0

それはデータとして3Pを防ぐ代わりにペイント内失点を増やす事で見て取れます。アウトサイドシュートにはよりプレッシャーを強める代わりにドライブを許す事になり、それでいてフェイバーズ&ゴベールがいるとディフェンスレーティングが高くなります。

 

アウトサイドは戦略的にやらせず、インサイドアタックは戦略的に許すけど、フェイバーズ&ゴベールという優位性で対抗する。

チームの中で強みを活かすディフェンス戦略が取れていると考えられます。



◉3Pの脅威

ディフェンス面の強化については紐解けてきた気がします。となれば同じく好調のオフェンスはどうなのか。

113というレーティングは素晴らしいのですが、そんな高水準をシーズン通してキープしているのがロケッツとウォーリアーズです。

両チームは3Pが特徴というのが一般論ですが、管理人が両チームのシステムに共通する発想と捉えているのは「2Pを如何に効率よく決めるのか」という点です。

◯2PFG
ロケッツ 62.5%
ウォーリアーズ 61.1%

リーグで60%を超えるのは両チームだけです。3Pという武器を活かして堅実なシュートを決めています。

 

それでは連勝中のジャズはどうでしょうか?

◯2PFG 54.4%→58.8%

確率は大きく上がっていますが、レーティングを考えるとここが要因とは捉え難い数字です。

 

◯3PFG 36.6%→44.8%

やはり単純に3Pが脅威的に決まっている事に要因がありそうです。ちなみにロケッツとウォーリアーズはどうかというと

◯3PFG
ロケッツ 37.1%
ウォーリアーズ 39.5%

トップチームでもこれくらいという事です。45%超える選手が1人いるだけでもだけでも脅威なのに、チームでその確率は恐ろしきユタ・ジャズ



◯3P
イングルス 56.7%
ミッチェル 42.6%
フッド 45.5%
ルビオ 54.2%
オニール 38.1%

成功数順に並べています。見事に全員好調ですが、元々上手いイングルスに下手なルビオが異常な数字です。

 

◯ワイドオープン3P
7.1/18.6 38.4%
→ 8.3/16.5 50.0%

しかし、数字を追っても試合の印象でも特別な理由はないと感じています。

これまで通りパスを回し、
これまで通りスクリーンをかけ、
これまで通りフリーを作り、
これまで以上に決めています。

 

3Pが高確率で決まるからインサイドも空きやすい。相手が警戒してアテンプトが減っているように相乗効果は生み出していますが、単なる好調というのが見解です。
イングルスはともかくルビオがいつまでも続くとは思えません。フッドも移籍したし、ミッチェルはまだわかりません。

 

ここ9試合中5試合で50%を超えているジャズ。40%に届かなかった試合はディフェンスで制しています。大差をもたらすのに役立っている3Pですが、それだけで好調さを語るのは難しいです。



◉オフェンスの中心をもう一度確認

◯得点
ミッチェル 20.5
ルビオ 18.9
フッド 17.7
イングルス 15.8

ルビオとイングルスがあれだけ好調な事を考慮すると、それでもミッチェルが1番多いのでオフェンスが明確に変化したとは捉え難いです。

 

そして後半に絞ると印象はまた変わります。

◯後半の得点
ミッチェル 12.0
ルビオ 6.5
フッド 9.3
イングルス 6.1

後半になると主役はミッチェルになります。もっとも、大勝しているのでルビオとイングルスのプレータイムは短いため得点が減っています。

 

ディフェンスで勝利しているジャズですが、エースはあくまでもドノバン・ミッチェル。しかし、接戦の勝負においてミッチェルで勝ちきれるかは難しい部分です。少なくとも9連勝というのは現実的ではありません。

高い3PFGによって先にリードを得る事で後半の展開を楽にし、接戦にならないことはやっぱり連勝するには大切な事だと思います。



◉好調さは続くのか?

ここまでの連勝は
ピストンズ
ラプターズ
ウォーリアーズ
サンズ
スパーズ
ペリカンズ
グリズリーズ
ホーネッツ
ブレイザーズ

強豪も混じる中での9連勝は見事です。今最も勢いのあるチームがジャズです。オールスター挟むのが勿体無いくらい。

その要因はこんな感じです。

 

・フェイバーズ&ゴベールを活かしたディフェンス連携の強化
・フェイバーズやオニールによるリバウンド増加
・ルビオのリバウンドから速攻増加
・イングルスとルビオが好調な高確率の3P
・後半のミッチェルパターンの確立

 

この内容で信頼できないのは3Pです。しかし、それ以外はジャズの底力が上がってきた印象を受けます。9連勝は3Pがもたらした出来すぎの結果ではありますが、偶然というには理由が多すぎます。

 

次戦は再びスパーズです。実はこの連勝中に唯一ディフェンスを粉砕された相手です。それをルビオの好調さで制しました。

ある意味真価を問われる試合になりそうです。そして結果によってはクリッパーズに並ぶ事になります。

混沌としてきたウエストのプレーオフ争いに突如参戦してきたジャズ。10連勝をかけた戦いです。

ユタ・ジャズが突然やってきた!” への7件のフィードバック

  1. 初めてコメントさせていただきます。。
    いつも、興味深く、楽しく拝読させていただいてみます。

    ジャズのコーナー3Pはリーグ上位の高確率のイメージです(´・ω・`)
    アテンプト数もロケッツ・ウォリアーズより多いイメージです。

    今月末のHOU戦で、どれだけやれるかたのしみです。
    今季3戦ともボコボコにされてるんで!!

    1. ありがとうございます。すみません。コメントは承認制になっていました。

      コーナー3Pのイメージはあって特にフェイバーズとジェレブコがポジションの取り方が上手くて決めていると思ったのですが、フェイバーズの確率は低かったです。

      ジャズの場合はパスの逃げ場としてコーナーを活用していますね。スペーシング目的のロケッツとは違うので見事に決まる印象も強い気がします。

  2. 初めてコメントさせていただきます。
    いつも、興味深く楽しく拝読させいていただいてます。

    とうとう9連勝、強豪含めた連勝は価値がありますね。
    自分の注目は月末のHOU戦で、どれだけやれるか見てみたいです。
    今季3戦はボコボコでしたから。

  3. ジャズはオフェンスの確変かと思ったらディフェンスも良くなってたんですね。

    イングルスって3Pのセレクション良くて高確率で決めますしディフェンスも身体能力ないなりのクレバーなディフェンスしますしバスケットボールIQが高いな〜と思います。

    フェイバースはそこまでうまいって思いませんが堅実なプレイで昔ながらのパワーフォワードってかんじですかね。
    昔でいうホーレスグラントみたいな。
    今のジャズは開幕当初の何してもうまくいくマジックと似てるんで確率が落ちた時でも勝ちきれるなら本物ですね。

    1. ご指摘の通り開幕後のマジック状態です。しかし違ったのはディフェンスの改善でした。調べて初めて分かったので、興味深かったですね。

      フェイバーズのイメージはオールドスクールかもしれませんが、そう見えてポジショニングが上手くて3Pとインサイドを使い分けますし、スピードあるセンター役もするので現代的だったりします。
      自分のプレーを上手くアジャストしています。見えないけど重要なプレーをしていますね。

  4. フェイバースの使い方が凄く難しいですね。
    CだとサイズがなくPFだとスピードがなく。。
    6thマンのフッドがいなくなっちゃったんでその分の得点源も課題になりそうな。
    10連勝してるチームですが、個人的には諦めて上位ドラフト狙って来期勝負してほしいなと思うんですけど。

    1. ジャズはそんな事しないですよ。それに時間かけて育ててもヘイワードみたいになるからペイサーズやジャズは違う路線に進みそうです。
      実際、ロケッツだって育てて作ったチームではないですし。

      フェイバーズはセンターとしても、PFとしてもどちらでもプレー出来るギリギリのラインを突き進んでいるので、実際はかなり使える選手だと思います。スパーズ戦もゴベールでなくてフェイバーズを選んだスナイダーでした。

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