さようならクリッパーズ’23

◎ダブルチーム大作戦

プレーオフの話をすると、クリッパーズはデュラントへのダブルチームを仕掛け、そこから展開されてイージーに攻略されました。そもそもダブルチームが失敗(タイミングが早い)ってのはあるのですが、ここについては結果論な部分もあるし、自分たちから仕掛けてサンズがやりたいことをやらせない目的もあるし、まぁいいとしましょう。

問題はディフェンスのチームであるはずのクリッパーズが何を選択したのかという、プレーオフのシリーズを切り取ったものではなく、全体的なスタンスにあります。ティロン・ルーが「仕掛けたがり」な面があることは差し引く必要がありますが、なんだかいろいろと不思議だったんだよね。

〇オープン3P
ブッカー  4.4本 50%
デュラント 2.0本 40%

まずデュラントはともかくブッカーにオープン3Pを打たれすぎたことがあります。

ダブルチームを仕掛けたクリッパーズは、ローテーションしていくことになりましたが、次々と自分のマークを捨ててスイッチしていくのは、全員にチェイスする意識があり、上手く連動もしていました。怪しい選手はいたけどね。チームとしてのローテはしっかりとやっていたし、ハードワークしていた。

ところがローテした挙句に空けてしまうのがブッカーでした。これがよくわからない。

エースが怖いからダブルチームを仕掛け、最後にエースが空いてしまっては意味がありません。だから「ブッカーを止めたい」よりも「自分たちから仕掛けたい」という戦略的な問題に見えました。その一方で一番しっかりとローテしてくれるバトゥームのプレータイムを減らしていくなど、アンバランスにもみえています。

結局ブッカーには37.2点、FG60%という5試合平均とは思えないスタッツを残されましたが「あれだけ空けたら当然だろう」と感じさせる内容でした。警戒しているはずなのに空けているという奇妙な図式と、このスタッツに反してクリッパーズの選手たちは必死に追いかけまわしていたのがアンバランスにみえるシリーズでした。

また、トレードデッドラインでは「ディフェンス力のあるゴードン」と紹介されていましたが、何をどう見たらそう見えるのか理解不能でした。で、まぁ、これは置いといて、クリッパーズはパウエルやモリスのような対人ディフェンスは頑張れるけど、チームディフェンスが出来ない選手が多くいます。ゴードンも大別すればこの部類に入る気がしないでもないので、獲得する選手の好みとしては1on1で戦える選手でした。

でも、ダブルチームを仕掛けるのが基本ラインでした。なので、シリーズとしては「エースがいないから仕掛けてみた」でいいのですが、このチームのコンセプトって何だっけ、という疑問が湧いてきました。

この点は「エースが欠場していても強さを発揮するけど、全員が揃ったからといってすごく強くはならない」というクリッパーズやシクサーズの特徴も関係してきます。それぞれが個の戦いで頑張れるんだけど、チームに相乗効果を与える選手が少ない。クリッパーズだとバトゥームとテレンス・マンくらいかな。

ダブルチームからローテーションとカバーリングの連続で封じ込める。という守り方をするには1on1担当が多すぎたってことであり、サンズに連動されるよりは1on1で守っていた方がリスクを下げることが出来たと思うんだよね。だって、そういうチームじゃん。

この点は冒頭の「主役とわき役」の話にも繋がってきます。どうも主役系キャラを欲しがるクセが強く、そして主役の仕事ができないと失格にされてしまいます。

ポール・ジョージとレナードが常に試合に出ていれば、わき役の重要性を感じたかもしれませんが、いないことでチームとしては現状が正解になっています。ある意味では両エース不在ながら立派に頑張ったプレーオフであり、足し算のチーム構成の限界も示してしまいました。

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