さようならブーデンフォルツァー’23

◎進化したブーデン

プレーオフに弱いことで細かい対策が下手と思われがちなブーデンですが、それは間違っていて、基本ラインとしての戦術を徹底しながらも、個別の対策も取り込んできます。もっとも衝撃的だったのはハーデン対策ですが、ディフェンスのセオリーを全て無視した守り方を導入できるHCを「無策」と呼ぶのはムチャです。

プレーオフでも試合と試合の間では修正を多く実行してきます。ただし、試合中はムリです。それがブーデン・クオリティですが、試合中のジャッジで正解を導けることなんて珍しいし、修正するHCも「一か八か」みたいな時も多いからね。我を忘れてしまうような采配さえなければ、ブーデンの問題は小さかったです。

まぁ戦術がワンパターンってことが問題だから、プレーオフになって変化をつけるのも、小さい変化に留まるんだけどね。

しかし、バックスは優勝しています。3年目のシーズンはファイナルへ進めなければクビになるのが濃厚でしたが、見事に優勝しました。そこにはブーデンの進化があるのですが、この進化は以降に足かせにもなっています。すごく難しい進化だった。

まずファーストラウンドではヒート対策というか、アデバヨ対策を実行し、明らかに戸惑ったアデバヨと、マジでシュートが決まらなかったアデバヨでイージーに終わりました。もう1つのポイントであった「ヤニスのプレーを読まれている」ことについても、ヤニスが個人技アタックを制限することで解決。

ゲーム3のヤニスは17点のみ。ゲーム4に至っては20点で15アシストしています。まぁヤニスのこのプレーを定着させることが出来ずに永遠と困っているんだけどさ。

セカンドラウンドではネッツとの白熱したシリーズを、ネッツのケガで制しました。ヤニスを止めるのが得意なブレイク・グリフィンという奇策にも困りましたが、このシリーズ最大のポイントはPJタッカーがデュラントを抑えたことです。・・・・が、これは実は嘘です。だってデュラントが30点とれなかったのはゲーム4だけだし、ゲーム5が49点、ゲーム7は48点だもん。

ただ、ケガ人続出のネッツ相手なので全員でデュラントを見ていればよかったし、そのデュラントは酷使に酷使を重ねられたので、タッカーの執拗なマークで疲れました。そのうえでゲーム7が48点だからねぇ。タッカーのマンマークは大して通用していないんだけど、タッカーのしつこさは通用したって感じです。

ホークスとのシリーズではヤニスが2試合抜けていても勝ったので、まぁ、ね。もうホークスは疲れていたし、カンファレンスファイナルまできて満足していた。以上。

そして迎えたファイナルで最大の勝因は、2連敗したものの、以降はクリス・ポールのツーメンゲームに対してブルックが駆け引きで勝ったことでした。エイトンへのパスか、ミドルかの判断が難しい中で、ミドルを選択させつつシュートミスを誘えるくらいのプレッシャーをかけることに成功しました。

同時にヤニスがゴール下ではなく、ショートレンジを決めまくりました。サンズからすると「そこは決まらないはずでは」というシュートが決まりまくった。進化していく怪物ヤニスでした。これをまとめた記事を書いたはずだけど、みつけられなかった。自分で書いたのに。

いずれにしても、この優勝したシーズンは腹を括ったようなブーデンは「選手を信じる」ような対策ばかりをしてきました。「オレ達は強い」「お前が決めることを(止めることを)信じる」かのような対策を重ねていき、実際、ネッツにもサンズにも連敗スタートから、似たような内容ながら結果は改善して逆転勝利しています。

特に決まらないはずのヤニスのショートレンジが決まりまくるとか、信じられないけど、それこそがバックスのストロングスタイルの正解なんだろうね。細かいことする方が間違っているわけだよ。信じろ、信じろ、信じるんだ。

実際、優勝してからのブーデンはより個人を信じるようになりました。稀代の戦術家が個人を信じるようになり、バックスはちょっとバランスが悪くなったんだ。でも、ちょっと悪いくらいの方が相手は読みにくいっていうメリットもあるので、強さ的には大して変わらない。レーティングは落ちるけど、勝率は大差ない。

相手のミスを信じるのは間違いだけど、自分たちの進化を信じるのは間違いではない

優勝してからの方がオフェンスは1on1が増えた気がしています。ヤニスが、ミドルトンが、ホリデーが、エースたちがどうにかしてくれることに解決策を求めていました。あれだけ戦術徹底していたバックスなのに、ボール回しての3Pよりもミドルトンのタフなフェイダウェイを選んでいるんだもん。

選手が課題を克服することで優勝した21年。その後のバックスはちょっと変だった。でもそれこそがブーデンの進化って感じでした。だから仕方ないよね。成功体験に習うのが間違いなんてことはないわけだ。

さようならブーデンフォルツァー’23” への4件のフィードバック

  1. ウォラとか、マムケラシュビリとか、ディフェンスが出来ない割に辛抱強く育ててた若手を一斉に放出してしまったのは、今後にとってどうなんでしょうね。ミドルトンで指名権1枚+トレードアップ狙いたいですが、今のミドルトンにそこまで値打ちがあるのかも疑問です。

    1. 彼らが大成したとは思えませんが、かといって急に整理したの不思議ですよね。
      ブーデンは割と色んな選手使いますけど、主力にまでなれる選手少ないんですよね

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