さようならブーデンフォルツァー’23

さようならバックス

ヒートのフリースロー
⇒リバウンドシチュエーションでガード陣を投入
⇒ノータイムアウトでラストオフェンス

最後に謎のチョイスをしたブーデンはバックスから離れることになりました。試合中は頭に血が上っているような采配を繰り返してしまうクセは今に始まったことではなく、かわりに試合と試合の間には修正をしてくるので、そこまで批判する必要はないし、さすがにヒートの3P45%はブーデンを責めても意味がない気もします。

思えば、このあたりの采配の悪さを克服してきた5年間であり、「3Pが決まっているから戦術変更」というのはブーデンらしさではありません。同時にバックスらしさでもありません。そんな戦術変更できるタイプの選手達じゃないもんね。まずはブーデン効果とブーデンの成長について振り返ってみましょう。

若きヤニスに様々なポジション・スキルを身に着けさせたのが前任のジェイソン・キッドならば、ブーデンはヤニスの弱点をチーム戦術で解決しに行き、バックスというチームを強豪に仕立て上げました。

「MVPのヤニスがいるんだから最高勝率だって当然だ」と思うかもしれませんが、むしろそれは逆だとしか思えません。

ブーデンがチーム戦術を整えたことで、ヤニスはMVPになれた

こっちが正解。ヤニスという弱点も多いプレイヤーがMVPへと進化したのは、弱点よりも長所が遥かに目立つからです。でもこれをヤニスで例えると反論されそうなので、ちょっと違う目線で見てみると

ブレッドソー
グレイソン・アレン
ポーティス
タナシス
ジャボン・カーター

問題児3人と問題児じゃないけど使い方が難しい2人。この他にもいろんな選手がバックスではそれなりのプレーを見せ、出ていった先ではイマイチになったりします。明確な例外はウッドくらいじゃん。

ヤニスはレベルの違う選手だし、毎年ハードにトレーニングしてレベルアップするし、彼らと同じに扱ってはいけないけれど、プレーなり、メンタルなり、何かしら問題のある選手をきれいに戦術の一部にしてしまう能力はNBA随一のブーデンです。

〇ブーデン1年目のヤニス
3P30.7% ⇒ 25.6%
FT76.0% ⇒ 72.9%
TS59.8% ⇒ 64.4%

就任1年目、つまりヤニスがMVPをとった最初のシーズンに起きたのは、3Pもフリースローも確率を落としたヤニスのTSが5%も向上したことです。これぞまさにブーデンマジックで、ヤニスの問題点をチーム戦術で解決したし、ヤニスの強みをチーム戦術で輝かせました。

〇3Pアテンプト
17-18シーズン 24.7本(25位)
ーーーブーデン就任ーーー
18-19シーズン 38.2本(2位)
19-20シーズン 38.9本(4位)
20-21シーズン 37.1本(8位)
21-22シーズン 38.4本(5位)
22-23シーズン 40.3本(4位)

最大の変化は3P増にありました。今聞けば当然のように思えますが、当時はまだロケッツが成功したばかりなので、ここまで急激に戦術変化したのは珍しい部類です。そして以降はアテンプトは変わらないのに他のチームが増やしてきたので順位は下がっています。

ブーデンがすごかったのは、これだけの変化がありながら、選手としてはブルック・ロペスが加わったくらいでロスターに大きな変化はなかったこと。まぁブルックが加わればそりゃあアテンプトは増えるけどさ。ということで、何がすごいかというと

劇的な戦術変化を実行させた『徹底ぶり』

ここに尽きます。ワガママ突貫野郎のブレッドソーを別人にしてしまったブーデンの選手掌握術と戦術の落とし込みは凄まじく、当時は練習場に4点プレーエリアを作るなど、とにかく自分たちの戦術の作りこみを徹底していました。

最終的に徹底ぶりがストロングスタイルを生み出すんだけどね・・・

〇就任によるヤニスのダンク数
171 ⇒ 307

3Pオフェンスによるスペーシングの徹底はヤニスのダンク数を倍近くまで増やしました。3Pとヤニス。個人では相反する武器ですが、チームとして3Pを徹底し、ゴール下のヤニスの脅威が増す。非常にわかりやすい構図でバックスは止められないチームへと進化したのです。

3Pオフェンスって普通に思えるけれど、多くのチームは「エースが3Pを打つ」からアテンプト増になるわけで、バックスだけは逆なんだよね。ブーデンじゃなければ、ここまで徹底した戦術変化を起こすことは出来ず、ブーデンじゃなければヤニスのMVPもなかったはずです。

ブーデンの戦術構成力、ヤニスの生かし方、問題児・一芸キャラの活用は秀逸でした。正直、ブーデンがいなくなったら同じくらい勝てるのか、安定して勝てるのかは大いに疑問があります。インテリジェンスが足りなくても、チームは一丸だったぜ。

さようならブーデンフォルツァー’23” への4件のフィードバック

  1. ウォラとか、マムケラシュビリとか、ディフェンスが出来ない割に辛抱強く育ててた若手を一斉に放出してしまったのは、今後にとってどうなんでしょうね。ミドルトンで指名権1枚+トレードアップ狙いたいですが、今のミドルトンにそこまで値打ちがあるのかも疑問です。

    1. 彼らが大成したとは思えませんが、かといって急に整理したの不思議ですよね。
      ブーデンは割と色んな選手使いますけど、主力にまでなれる選手少ないんですよね

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