さようならキングス’23

◎戦いは継続すべき

殆どの選手が近年のプレーオフに出場していなかった中でも、キングスは立派にプレーオフを戦えました。メンタリティで負けなかったことは称賛に値するし、追い込まれたゲーム6でも自分たちの戦いが出来た。ここでアッサリと負けなかったことで、シーズンの価値が少し上がったよね。

ウォリアーズは複数の対策でキングスの弱点を突いてきたし、スティーブ・カーはマイク・ブラウンよりも上手でした。ただ、だからといって「封じ込まれた」わけでもなければ、「間違ったことばかりをした」わけでもありません。時にはやられることもあるけれど、やり返すことだってあるし、自分たちを見失わないのが大事さ。

時に望外な結果を残したことで、夢を見たくなることがありますが、フォックス、サボニス、キーガン・マレーと軸になる選手が揃っている中で安易な大型補強に進み、チームを作り直すのは得策ではありません。大型補強して去年と同じ結果になったチームもあれば、プレーオフに出れなかったチームもあるでしょ。

戦術サボニスやスモールでの戦い方の精度を向上させ
戦い方に幅を持たせ、勝ちパターンを増やし
ディフェンスシステムの向上とオプション増加 など

やれることは一杯あるし、ハーター&モンクが活躍するシチュエーションなどを考えたら、補強の余地は小さいです。サラリーが安いけど、オプションとして使える選手を集めることと、万能ウイング(できればディフェンス型)を調達するくらいで十分です。それがハリソン・バーンズなのか、それとも大きな補強を狙うのかは大事なポイントですが。

キーガン・マレーの4年目までが大きなチャンスなので、あと3年あります。ここでサラリーバランスを崩す勝負に出る必要はなく、選手の組み合わせで多様性が生まれるチームを目指しましょう。

◎眠っていた男

ディアーロン・フォックスは(サラリーは高いけど)過小評価されていた選手の代表格というか、その成長力を知られていなかった選手です。「止められないスピード」という絶対的な武器を持ちながらも、ゲームメイクを学び、合わせのプレーを学び、ミドルのジャンプシュートを向上させ、ショートレンジのフローターとフェイダウェイが得意技となり、そして今シーズンはディフェンス力が大きく改善しました。

今では「止められないスピード」はフォックスの特徴の一部分でしかなく、総合的な能力の高さでアンストッパブルな選手へと進化しました。勝てるチームで調子に乗ることは出来ず、勝てないチームでもがき苦しみながらも、これだけ多くの改善をしてきた選手はなかなかみません。そして今シーズンは最強のクラッチプレイヤーという称号を手に入れました。

勝てないチームでもがいていた男が「チームを勝たせる男」として認められた

ひょっとしたらチームが勝てるようになって「急に」と捉えられているかもしれないけど、っていうかオールスターにストレートで選ばれなかったように確実に信用されていなかったんだけど、徐々に進化を重ねて確固たる評価を手に入れたのです。急じゃないんだ、少しずつ確実に成長してきたんだ。

個人的には2年前に今の評価を手に入れてもおかしくないところまで来ていたと考えていますが、当時はディフェンス力がなく、今シーズンのように試合終盤にチームを勝たせるディフェンスはしなかったよね。あそこから更に進化しているんだから素晴らしいよ。

25歳のスーパースターは実は多彩であり、キングスの快進撃は個人レベルでの多彩さから生み出されました。やっと辿り着いたプレーオフの舞台でも臆することなく、ケガを抱えながらもスペシャルなプレーをみせてくれました。フランチャイズプレイヤーとしてフォックス中心のチームつくりをしていれば、浮き沈みがあったとしても芯の通ったチームになっていくはず。

勝てないチームに文句を言うこともなく、よくわからないHC達に振り回されても着実に成長し、チームを勝たせる選手になったフォックス。キングスの快進撃は、フォックスがスーパースターだからこそ達成されたのでした。

さようならキングス’23” への4件のフィードバック

  1. 大躍進のSAC、急ではない成長を見せつけたフォックス
    フロントが焦って変な方向に舵を切らないことを祈るばかり

  2. 最後のフォックスについて書かれた文章、ドラフトからフォックスを見ていた私の気持ちを代弁するようでとても沁みました!

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