さようならニック・ナース

◎『天才』

天才という言葉は称賛の言葉ではあるけれど安っぽくも使われてしまいます。「よいHCだから天才」というわけでもなく、ナースには天才の称したくなる特別な理由があります。

5人のプレーメイカーにしろ、テレパシーディフェンスにしろ、ビッグラインナップにしろ、戦術的な側面で革新的なものを作り上げたナース。しかしナースを「天才」と呼びたくなるのは全く別の理由です。

意味の分からない手段を講じるのに成功する

論理的な策ならば成功するのもわかりますが、ナースは本当に意味の分からない策をうち、その多くが成功してしまうので全く持って理解が追いつきません。だからこそ「天才」なのです。理論家ではなくて天才。

この特徴の困ったところは、いざ、こうして実例を挙げたくても挙げられないこと。だって、そもそも意味が分からない現象を起こして改善してしまうって、実際に何をしたかったのかわからないので。。。

苦し紛れにいうと「相手エースにアヌノビーをマッチアップさせない」なんてパターンがあります。だからエースにボカスカやられていく・・・と思ったら、いつの間にか連携が分断されてヘルプディフェンスが効くとかね。うーん、例示がよくわからん。

いずれにしても試合中の変幻自在っぷりは、時に「意味が分からん」ってことがあります。ナースについて気を付けるべきは『天才』と評したくなるけど、それは凡人な私たちには理解できないってことです。それが成功するからこその天才であり、それが成功しないことが多かった今シーズンです。天才が天才っぷりを発揮できなかったのは何故なのか。

理論的で革新的な戦術
柔軟で変幻自在な戦略
意味の分からない采配

ナースは何でも持っています。しかし、気が付いたら育成の良さがどこかに消えているし、ビッグラインナップは弱点の方が強くなってしまったし、意味の分からない采配の成功率が落ちました。そういうこともあると理解しなければナースを理解したことにはならないのかもしれません。

何でも持っているからといって、すべてが成功するわけではない

◎インテリジェンス

ナースはアヌノビーのような特殊能力を活用するのが上手いHCです。しかし、特殊な選手にはバランサーが必要だし、そもそも試合中の変幻自在っぷりが最大の特徴ならば、インテリジェンスをもった選手こそがナースの戦術にハマります。結局のところ、この2年間は多くの失敗がバンブリードとバーンズに見えてしまうのは、ラウリーとの差異&ポジショニングの悪さが響いていたからです。

トラップディフェンスや激しいローテ、カウンターアタックとプレーメイク。いろんなことができる選手を活用するのもナースであり、いろんなことが出来る選手ってほとんどがインテリジェンスタイプ。そういう選手はナースで戦うのは楽しいでしょうし、オレ様キャラだといろんなことをやらされるのに不満を持つかもしれません。

正直、インテリジェンスの足りないチームに行ってもナースはそれなりにやれるでしょうが、3年前のラプターズを再現したいならば選手を選ぶことになります。だからロケッツとかやめておけ。路線として間違っているぞ。でも、育成手腕と考えたらロケッツでもいいのか。オールマイティだけど、オールマイティだからこそ一番良いチームに行ってほしいような。

ナースは新たなラウリー&アヌノビーと出会うことが出来るのか。それが次の就職先で重要なことになりそうです。

さようならニック・ナース” への5件のフィードバック

  1. おもしろい考察ありがとうございました。
    最後の二年間は尋常ならざる酷使に加えて、ハマらない上に凡人には理解できない采配が多くて、フラストレーションが溜まってましたが、今回の記事を見て「そもそも意味不明な采配をバシバシ通すHCだったな」ということを思い出しました。

    この記事でもおっしゃる通り、2019-20シーズンのテレパシーディフェンス時代は素晴らしかったですが、最後の最後にプレーオフでバンブリが不要なエゴを見せ始めてBOSに敗れた記憶があります。
    優れた戦術家といえど、選手をその方向で何年もマネジメントし続けるのは難しかったのかもしれませんね。

  2. そういえばファイナルでカリーにボックスワンで守って「中学バスケ」って言われてましたね

  3. ピストンズとかマジックとかに行ったら(特殊)能力をどう生かしたらよいか迷ってる若手を使って躍進しそう

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