八村のプレータイムって短いの？

◎シックスマンの理由

ここに挙げた１１人以外に、ジョーダン・プール、セクストン、サディック・ベイがベンチからの得点力で八村よりも上にいます。大雑把に言えばウィザーズよりも優れたスコアリング担当のシックスマンを、リーグの半分のチームが擁していることになります。

３０分を超えるのはボグダノビッチのみ。２８分はウエストブルック。そんな事情を考えると、八村に与えられている２４．１分というプレータイムは決して短くありません。むしろクズマとポルジンギスがいるチームにもかかわらず、しっかりとプレータイムを与えられている方です。

「八村のプレータイムが短すぎる」というのは、ＮＢＡ全体からすると「？」って感じです。

ところで、八村に限らず得点力はありながらも、シックスマンになっている選手はどんな特徴があるのか。今回上げた中でウエストブルックとブログドンは特殊な例なのでムシしますが、概ね次のような事情があります。

①ディフェンス力が足りない
②判断力を求めてはいけないタイプ
③同じポジションに主力がいる

いってしまえば「欠点がある」なのですが、①と②については「スターターに混ぜるとチームとしての機能性が下がる」タイプです。個人でやりすぎてしまったり、穴になってしまったりとバランスが悪いので、ベンチからの起用によってガンガン仕掛けてもＯＫな構成にしたり、あるいは相手もセカンドユニットの方が点が取れるってことです。

最近は③は１つのトレンドになっていて、チームのエースと同じポジションにシックスマンのスコアラーを置くことで、ケガの時の対策にもなれば、エースを休ませる時間にチーム力を下げずに済みます。同じポジションにエースを揃え、交代で休ませることで試合トータルで機能させるのが一般化されてきており、特に有名なのはハーデン＋クリス・ポールでしたが、そこには３人目のゴードンがベンチにいました。

多くの選手が個人能力としての課題を抱えているわけではなく、スターターとしてはチームメイトとの絡み方に課題があり、同時にエースと同じポジションとして代役が仕事というケースが多くなっています。特にスコアリング仕事のシックスマンだと、なおさらね。

点取っているハイライトだけ見て「もっと起用しろ」といってるに過ぎないケースが多いよね。チーム事情だったり、チーム戦術だったりを無視した意見だな。実際にこうして挙げた選手は八村よりも得点を取っているけど、これ以上のプレータイムが必要かっていうと、そんなことないもんね。

また、ウッドがＦＡになったときに、大きなサラリーを提示されなかったように、シックスマンじゃないと輝きそうにない選手は、こういう使い方になります。八村の場合は後からクズマとポルジンギスが加わったことで弾き出されたわけですが、それだけチームからの信頼も薄くなっていたってことだよね。

同じポジションにクズマとポルジンギスがいる

③に挙げたものが八村にも当てはまるわけですが、この状況を考えると２０分以上プレーしているのだから、アンセルドのプレータイム配分は上手いと思います。勝ってないのにうまいといえるのかは微妙だけど、しっかりと八村の得点力を使っているのだから、否定される部分は何もありません。

そして「八村がもっと得点を取ったらプレータイムが増えるのか」ということもありません。このミニッツが限度です。もちろん、１試合であれば伸ばすこともあるでしょうが、２５分というのが適正なミニッツであり、この時間の中で質を上げることの方が大事です。

なんせ、八村よりも短い時間の中で、八村よりも点を取っている選手が他のチームにいるのだからさ。

じゃあクズマとポルジンギスからスターターの座を奪えばいいかっていうと、その通りであり、同時に難題にもみえてきます。次にウィザーズの事情を２人の立場から考えてみましょう。

スターターだったころの八村　⇒