◎シェングンのいるチーム
「ガード中心のオフェンス」が難しそうに見えるロケッツですが、実際にガード中心にしなくてもシェングンがいるので問題ありません。ヨキッチに代表されるポイントセンターですが、ヨキッチほどではないものの、ガード陣の突破力と融合させれば良さそうにみえます。
しかし、シェングンからの展開に対して、全くついていけないのもグリーンです。つまり、オフボールが足りない。
ブッカーに続くモデルケースになるのが、ジャマール・マレーです。アシストしないPGという変な存在だったマレーの2年目は3.4アシストだけでしたが、ヨキッチとのコンビとして開花し始めたシーズンでした。3年目~5年目までも4.8アシストとPGとしては失格ですが、強豪チームで20点をとるエースPGでもあります。
全ては偉大なるヨキッチによって成立しているとはいえ、マレーの能力はヨキッチにピッタリでした。オフボールに優れ、シュート能力が高いマレーは、ギブ&ゴーやオフボールスクリーン、緩急やパスフェイクからの正確なミドルレンジ、そしてサーカスショットで得点を奪っていきます。グリーンもサーカスショット以外は学ぶところの多いスタイルです。まぁスピードよりも駆け引きでプレーしているスタイルを突如マネするのはムリだけどね。
では、実際にグリーンはどれくらいシェングン利用のプレーをしているのか。直接シェングンかはわかりませんがハンドオフプレーのデータを見てみましょう。
〇グリーンのハンドオフプレー
1.8回
2.0点
EFG54.8%
ハンドオフは3Pも多いのでEFGにしましたが、ドライブに比べると確率が良いことがわかります。繰り返せばよさそうじゃん。グリーンの効率と比較するため、他のエース系選手の数字をみてみましょう。ちなみに今シーズンはハンドオフのトップにハーターがいます。サボニスの相棒だ。
〇ハンドオフ
マレー EFG 55.6%
カリー EFG 61.1%
ヒーローEFG 54.2%
異次元シューターのカリーは別格としても、ヨキッチのマレー、アデバヨのヒーローなどエース系のキャラでもハンドオフ利用から得点を奪っており、確率でいえばグリーンも負けていません。シンプルにシェングンとのハンドオフの回数を増やせば、グリーンの得点は増えるはずです。
〇グリーンのオフボールスクリーン
0.8回
0.8点
EFG46.3%
ハンドオフは多いのに、何故かオフボールスクリーンが異様に少なくなります。これはロケッツというチームとしての課題と共に、グリーンがスクリーンを使うのが下手ってのが関係しています。スクリーン利用は単純にスクリナーがディフェンスを止めるだけでなく、タイミングや逆を取る動き、スピードの緩急など複数の要素が絡みますが、グリーンは何も考えずに動いている。
オフボールスクリーンのトップは5.1点を奪うクレイ・トンプソンですが、その他上位陣のEFGを見てみましょう。
〇オフボールスクリーンEFG%
クレイ 46.1%
ボグダノビッチ 56.4%
ビーズリー 57.3%
マルカネン 51.8%
テイタム 50.0%
ブラウン 46.7%
クレイのらしくない感が半端ないですが、今シーズンからオフボールスクリーンが増えたセルティックスの2人も確率が悪いです。マルカネンはそもそもスクリーナー側のはずがさ。
そう考えるとグリーンの成功率そのものは悲観するほど酷くはありません。だから、もっとやるべき。何度も繰り返すべきです。
幸いにしてシェングンというポイントセンタータイプがいるので、ハンドオフやオフボールスクリーンなどを活用した得点パターンを作りやすい環境です。スピードあふれる選手なだけに、オフボールを警戒されても止められないプレーを作れるし、オフボールでギャップを作ってパスを受ければ、簡単にドライブ出来るはず。
ってことで、グリーンのハンドラー化の話は「その前にやるべきこと(身に着けるスキル)があるだろ」という感想なわけです。では、実際にハンドラーとしてどうなっているのかを見ていきましょう。