◎ステイ・ホーム
プレーオフでのワンシーンですが、ブッカーに対してはフィニースミスとパウエルの2人でアグレッシブにプレッシャーをかけ、その他については「ステイ・ホーム」と連呼するキッドの様子が見て取れます。
ボールサイドに強く出るキッド式ですが、それがローテーションミスを引き起こしていたのが5年前。マブスではボックス&ワンに近い守り方を積極的に取り入れており、「ステイ・ホーム」とはペイントのボックスにポジショニングさせ、ドライブを複数で対応するような守り方でした。
〇ブロックショット 4.0(28位)
〇スティール 6.7(29位)
ディフェンスが改善したマブスですが、リムプロテクトもスティール力もリーグ最低レベルです。これでリーグ7位のディフェンスレーティングを記録しているのだから恐ろしい話だ。
〇被FGアテンプト 85.4本(3位)
〇被FTアテンプト 20.6本(8位)
試合のペースそのものが遅いという点はあるものの、マブスのディフェンスはしつこいカバーリングとローテの繰り返しで、ひたすら相手のオフェンスに時間をかけさせます。「かけさせる」っていうか、イージーなシーンを削る能力に長けているわけです。
ブロックやスティールで明確に止めるわけではないけれど、粘り強く、献身的に、少しずつ相手を削っていくディフェンスが機能しています。サボらないマブス。
ちょうど、女子のワールドカップで日本のディフェンスは運動量の豊富さを逆手に取られて、ボールを動かされ、追いかけた挙句、ショットクロックがなくなった頃に「追いかけきれず」に決められました。
マブスの場合はサボらないけれど、運動量でチェイスしまくるわけでもありません。ハンドラーに対しては厳しく、その他はペイントの四隅にポジショニングして、ドライブに対するカバーを手厚くすると共に、どこにパスが出ても追いかけやすいようにしています。というか「わかりやすい配置でローテを楽にしている」のが特徴かもしれません。
ステイ・ホームがわかりやすいので、スイッチミスやローテミスが発生しにくく、兎にも角にもイージーシュートを減らしまくりました。
このボックスシステムは、ドンチッチのサボりに対するカバーも楽にしました。サボりはするけど読みの鋭いドンチッチってこともあって
自分のマークを捨ててもドンチッチのカバー
⇒ドンチッチは空いてしまったボックスへローテ
こんなイメージのシーンもありました。従来ならばチームメイトがカバーに動いた時点で「ノーマークの選手が生まれる」ので、スイッチミスは発生しやすかったですが、ややゾーン気味になったことで全体のローテが早くなりました。
ドンチッチ自身もインサイドカバーとリバウンドへの参加が仕事なので、極端なことを言えばワン&マンツーみたいな。1人でゾーンするドンチッチと周囲が受渡もしながらのマンツーマン。
ちなみにサンダー時代のウエストブルックもこれでした。そういう動画を作ったことがある気がするけど、探せなかった。ハーデンしか見ていないウエストブルックを周囲でカバーしていた。
サボるドンチッチとサボらないマブス
サボってもカバーしやすくなったマブス
間違いなくマブスの弱点はドンチッチのディフェンスですが、キッドが来てから、やや目立ちにくくなりました。そして、これまた厄介なことに、ドンチッチは大事な局面で集中力を増してサボらなくなります。そんな時でもマークの受け渡しがスムーズなのは非常に面白い特徴でした。
現代バスケにおいて、オフェンス戦術の中心選手には「どうやってディフェンス時に休ませるか」は重要なテーマになっています。
「ディフェンスをしない」は違うけど、「ディフェンス時にハードワークする」までいってしまうとスタミナ切れしてしまいます。
ディフェンス主体のHCにとっては難題を突き付けられた感じだし、ハードワークを重視するHCとスーパースターの相性が悪いことも珍しくありません。キッドもハードワーク重視のHCなのですが、上手く折り合いをつけたシステムになったといえます。
サボるドンチッチとサボらないマブス。たんにチームメイトがカバーしているだけでなく、ドンチッチも含めてチーム全体がサボらないようにしているのでした。
キューバンは優勝したときのイメージが強烈に残ってて、チャンドラーを最後とってハマったみたいに、ビッグマンを欲してるのかなと思ってみてました。
ドラギッチにも基本ベンチに座っててもらうけど良い?みたいなオファーしてたらしいので、ハンドラーは若手に期待してるのかなと。いうてドンチッチも若いし。
フィニースミスは絶対に残ってほしいですが、アヌノビーかターナーあたりどうにか連れてこれませんかね?
キューバンはビッグマン大好きですからね。
最近は獲得しては失敗しているのに、それでもまだ欲しがっている。ドラフト指名しなよ。
アヌノビーはムリですが、ターナーは可能な気がします。でも、十分に人数入るしな
何故マブスのDFがいいのかは、正直分かりにくい部分(挙げられてたブロック・スティール数の少なさ等)があったので、今回解説していただいて本当に助かりました。
補強の件については、GMが敗退後に、来季の補強ポイントは「リバウンドとリムプロテクト」だと明言していたので、今回のような補強になったことに正直あまり疑問はないのですが、今回語られたような昨季のDFを否定するような補強のように見えるのも事実で、今後どのように折り合いをつけていくのか注目しています。
何故、マブスのディフェンスがいいのかは、わかりにくいので表現したいと思っていました。
さすがにパウエルの走行は凄すぎですが、ガードをサボらせているのが面白かったです。
お疲れ様です。
ぼんやり感じてたことをわかりやすく言語化していただいてとてもスッキリしました。
去年のマブスはガード3人とそれ以外で役割がはっきり分かれてて面白かったです。
パウエルどうなっちゃうんでしょうね。
躍進劇の立役者の1人でありながら、POの干されっぷりと補強を見るとどうも…
まあ、パウエルのプレー強度的に酷使は難しいのと、マギータイプがいなかったのは事実なのでちゃんと使い分けてくれることを願っています。
クリバーがプレーオフになると別人みたいにディフェンスがんばるのも面白いです。
その良さを捨ててしまうのは勿体ないので、マギーやウッドはシーズン用だと思っています。