◎悪夢な環境
この年のホーネッツはドワイト・ハワードが輝きを放ったシーズンであり、リーグ全体がスモール化へと進む中でオールドタイプのセンターを好んで起用していました。その点では控えセンターとしての活躍も期待されたウィリーです。
しかし、ゼラーの壁を超えることが出来ず、それなりの代償を払って獲得したのに、特にこれと言って期待している起用法にはなりませんでした。一応、ホーネッツはケンバ中心にプレーオフを狙う位置づけだったので致し方ない面もあります。
プレーオフ進出に失敗したホーネッツはオフに改革を始めます。ハワードはいなくなったものの、HCにボレゴがやってきてしまったので、スーパースモール路線へと大転換。それはウィリーにとっては悪夢みたいなHC交代劇でした。
〇3年目のウィリー
14分
7.3点
FG52%
5.4リバウンド
〇4年目のウィリー
12分
6.1点
FG53%
4.3リバウンド
こうしてオールルーキーチームの輝きはどこへやら。ウィリーの最初の4年間は苦しい時間ばかりでした。リバウンドの強さ、ゴール下の得点力という持ち味は発揮しているのに、なんともいえないチーム事情に流されてしまいました。
皮肉なのはニックスにしろ、ホーネッツにしろ、今となっては「ウィリーがいたらよかったなぁ」という面があること。ビッグマン不足に困ってしまうことがあり、ポストで起点になれることも含めてチームの未来図に含めていても良かったです。
同時に時代の流れに反するタイプでありながら、ゴール下の強さは各チームに認められているからこそ、プレータイムに反して需要がある選手です。さっさと手放さなかったホーネッツの失敗は、さっさと手放すには勿体なかったってことでした。
現代バスケには適合しにくいタイプだが、ゴール下での強みは評価され、チームに置いておきたいセンター
非常に運の悪い時にNBAへやってきたのかもしれません。それこそニックスへ行くのが2年遅ければ、今では主力センターだったかもしれない。運が悪いけど、捨てられることはない実力者って感じです。
◎ペリカンズ加入
ウィリーはFAでペリカンズを選びます。状況はホーネッツ時代よりも改善しました。
〇5年目のウィリー
18分
7.8点
FG56%
7.1リバウンド
アダムスの控えとなったウィリーはプレータイムを増やし、堅実にリバウンドを奪い取り、確率が向上したFG成功率でしたが、得点力は陰りをみせました。これはペリカンズならではの事情が関係しています。なお、アダムスもFG61%ながら、7.6点しか取れていません。
2年目のザイオンが平均27点を奪ったペリカンズのバスケは、いろいろと難しいものがありました。まず何よりもザイオンのアタッキング能力を活かすために、ペイント内を埋めすぎるわけにはいきません。それが仕事のセンターにとっては、なかなか難しいフロアバランスを求められました。
さらにアウトサイドのイングラム、ロンゾ、ブレッドソーとインサイド陣は分断されていることが多く、シンプルなツーメンゲームでの崩しが少ないという課題がありました。
代わりにオフェンスリバウンドが多く、セカンドチャンスから2.0点を奪っています。アダムスも2.6点なので、センター陣は得点の3割くらいがセカンドチャンスでした。
ゴール下の強さはあれど、チーム設計としてインサイドで合わせるというよりは、スペースを空けてザイオンにドライブさせることと、中に詰めておいてイングラムにミドルを打たせるのが仕事って感じでした。
ペリカンズのチームとしては必要な役割でしたが、ウィリー個人としては、ちょっと難しい役割分担だったし、そもそもHCが1年でクビになるほど「どうやってザイオンを使おう」という迷走の1年でもありました。
そしてオフになるとアダムスとバランチューナスがトレードされ、ザイオンはケガから復帰することなく、シーズンを過ごすことになります。
〇6年目のウィリー
16.8分
9.1点
FG52%
6.8リバウンド
その結果、得点面が改善します。一応、これがキャリアハイです。
バランチューナスが17.8点も取っているので、やや物足りないウィリーですが、それでもザイオンがいないことで得点の仕事はわかりやすくなりました。押し込めってことだね。
〇ウィリーへのパス 16.7本 ⇒ 20.6本
前半戦はグラハム、後半戦はマカラムによってセンターを利用したオフェンスが増え、従来より中継役のプレーも増えました。これらは個人ではなくチームとしての方向性が変わったことで起きた現象です。
ウィリーにとってザイオンがいなかったことは、連携が増えるという意味でポジティブに働いた一方で、バランチューナスとの差がハッキリと出てしまった面もあります。
バランチューナスに比べると中継役、ポストムーブ、シュート力と全ての面で下回ってしまい、同じようなゴリゴリのパワータイムに見えて、スキル面での差は明らかでした。
現在のプレースタイルでも通用するのですが、それには精度が足りていない一面があり、リバウンド力では賄い切れていません。ドラモンドの下位互換みたいな。