ビッグ3最後の砦となったドンチッチが登場する準々決勝ポーランド戦。何故か勝ち残っているスペインとフランスだけど、違いといえばディフェンス力だよね。スペインのガードはディフェンス基準に選ばれているかのようだしさ。そしてスロベニアもディフェンスしないチームだ。
◎スロベニアの弱点
ポーランドはゴール下アタック連発のオフェンスから始めます。トビーを外してしまえばインサイドは怖くないスロベニア。っていうか、ユーロの国は大体がそんな感じだよね。ある意味でディフェンス3秒がない国際ルールだからセンターがインサイドで待つのに慣れているからなのかもしれない。
トビーを外しておくために、ビッグマンの3Pもつかったポーランドは狙い通りに1本目でこれがヒットすると、さらにピック&ロールからの3Pもヒット。トビーがインサイドを固める形に「NO」を突き付けることに成功します。
さらにラッキーなことに、この後でインサイドアタックを仕掛けたらトビーが2ファールになります。ちょっと対応が遅れたのと、運の悪いファールコールでしたが、トビーにとってはアンラッキー。直ぐにはトビーを下げなかったスロベニアですが、さすがにベンチに下げます。
どこまでが狙いだったのかは不明ですが、ポーランドは見事なゲームプランを、美しく成功させました。
トビーが自分のマークマンを捨てられない
トビーはスクリーン時にスイッチを選択せざる得ない
トビーがファールトラブル
スロベニア最大の弱点である「センターはトビーしかいない」を突くことに成功したポーランド。
そこからスモールラインナップになったスロベニアは、スモールだから中を固める空気が強まります。よく言えば「中を固める」だし、悪く言えば「外まで追いかけたくない(サボる)」になったので、ポーランドは気持ちよく3Pを連打しました。
このあたりは狙ったというよりは、変なセオリーに拘ることなく、フリーになる選手に的確に打たせたって感じです。いずれにしてもトビーさえいなくなれば、スロベニアが取れる手段は限られてきます。
ドンチッチのドライブもスティールし、ポーランドはリードを奪います。
初めにインサイドのトビー連発になったスロベニアのオフェンス。これはどっちかというとポーランドがアウトサイド警戒したので、インサイドにスペースが生まれた感じでした。チャンチャーが飛び込むシーンもあったしね。
あまりにやられたのでポーランドがヘルプを強めると、すかさずキックアウトしてコーナー3Pになるスロベニア。美しいオフェンスです。
自分たちのミスもあって先手を取られたのですが、トビーがいなくなると、ドンチッチに続いてチャンチャーにもプルアップ3Pが飛び出し、スモールのオフェンス力でおいあげます。ザ・スロベニアな戦い方です。
1Qは29-26とハイスコアでポーランドがリードしました。スロベニアとしてはトビーいなくなって、明らかにディフェンスに困っていましたが、そもそもディフェンスは強くないしさ。
◎エースのミス
ファーストプレーがチャンチャーのインサイド合わせの2Q。スモール活用中。続いてチャンチャーがハイポストでドンチッチがコーナーから飛び込んだんだ。トビーの役割をチャンチャーがやりつつ、ドンチッチのインサイドも使うから厄介なチームだ。
しかし、ここからプレペリッチ、ドンチッチ、チャンチャーと3Pを外すと、ドンチッチがドライブを連続でミス。生命線のスモール戦術で普通にミスが出てしまいます。
ポーランドはAJがドンチッチとの1on1をスピード差で制すと、ゴール下のプレペリッチになったのでミスマッチ活用。これでリードを得ると、スロベニアのミスからトランジションへの移行時にファールされてアンスポもゲット。
そして逆にエースのポニッカがドライブを決めます。ドンチッチが外している中でエースアタックが決まるとイケてるよね。1番スサコフスキーの3Pで一気に12点リードに。タイムアウトのスロベニア。
ドンチッチのポストアップを選ぶスロベニアですが、ゾーンで守るポーランドにハマり始めます。狭くなったインサイドなのに、外から打ち切らなかったプレペリッチがキックアウトしたらスティール速攻を食らい、ドライブしたドンチッチはコーナーでチャンチャーがドフリーなのに自分で打つことを選択し、シュートが外れるわ、カウンター速攻食らうわ。
また、このドンチッチのプレーは、かなり無理して腰を捻っており、フロアに倒れたところで腰を痛めます。普通の落ち方だったので、多分ムリのある動きをしてからの倒れ方がマズかった。
これでドンチッチがベンチに下がると、今度はドラギッチから見事なキックアウトがコーナーに出て来るも、普通にワイドオープン3Pをミス。今度はオフボールで動いてトップでフリーになったチャンチャーへパスを出すも高すぎてバックコートバイオレーションに。ドンチッチとドラギッチのところからミスがでてしまい、全く得点が奪えないスロベニア。15点差になります。
大量リードを得たポーランドですが、オフェンスそのものが素晴らしかったわけではなく、そこそこだけどミスが少なく、そしてスティール速攻で稼いだ感じです。ただ、この「ミスが少ない」は文字通りのターンオーバーの少なさではなく、プレッシャーに来たスロベニアの逆を取るようなパスで落ち着いて振り回していく形でした。
流れが悪いので、ラッシュを仕掛けたドラギッチに対して、あくまでもスロベニアディフェンスへのリアクションオフェンスでした。いつになく、前半からヤル気を出したスロベニアディフェンスでしたが、裏目裏目になっていく。
戻ってきたドンチッチがレイアップを外すと、ディフェンスに戻ってこない間に5on4にしたポーランドが3Pを決めて23点差になります。いやいや、決まりすぎだって。決まりすぎなんだけど、チャンスを作っているのはスロベニアのミスなんだよね。
盛り上がるポーランド応援団。
盛り上げようとするスロベニア応援団。
前半とは思えないくらい会場も熱気を帯びています。
残り2分からチャンチャーがチャンチャーとは思えないくらいの自分主導のアタックをみせ、ミドル&ワンにドライブファールドローで何とか点が入ったスロベニアでしたが、2Q通して13点でした。チャンチャーしか点取ってない気がするくらい。
一方でカウンターで稼いだポーランドですが、振り返ってみれば2Qは29点でした。1Qと同じ得点だね。だから尚更スロベニアのオフェンスミスの印象を強めてしまったよ。慌ててしまったスロベニアの前半でした。