Window4 日本vsイラン

前半をガッツリ寝過ごした管理人。後半だけの雑感になりますが、まぁ大体想像つくから大丈夫さ。

◎「高さ」が星人は何を思う?

ポストアップ大好きなジャパニーズバスケは、同時に「高さが大事」なバスケでもあり、「リバウンドを制するものはゲームを制す」という格言があるわけですが、永遠とリバウンドに弱い国という相反する要素を持っております。

イランの15番ハダディの高さに対して無力というのは、ある意味で悲観よりも「ほらな、高さが大事なんだよ」というジャパニーズバスケを正当化する一面もあります。

帰化選手がおらず、センター(シェーファー)も起用せず、富樫、比江島、馬場、吉井、井上というスモールなスターターで臨んだ日本は、さらにベンチから河村、西田、須田と小さい選手が出てくる布陣ですが、既に「高さの差があるから何だってんだ?」の精神が浸透していました。むしろ帰化選手がいないからこそ、その部分では戦わないことを明確にし、自分たちがやるべきことを信じた戦いになりました。要するに「ゲームプランを信じて戦う」ってことだね。

思えばアジアカップのイラン戦時点では、まだまだ高さを捨てられなかった日本ですが、あそこでイランに負けたことで突如として吹っ切れたのだから、イラン様様です。

頼るべきビッグマンがいなくても、何も恐れることなく戦えたのは大きな成長がみれた試合でした。

特に吉井はWindow3の時はフィジカルに押し込まれるシーンが多かったのに、あれから7試合を経て、センター相手でも一歩も引かないディフェンスをしていたのは印象的でした。インサイドのハイプレッシャーでパスを阻害していくのは、ブルズのスモールラインナップっぽさがあったね。

ということで、全体としては大きな成長を実感できる試合だったと思います。肉を切らせて骨を断つ戦い方は、「すべてで上回るなんて無理なんだから、ゲームプランに沿ってトータルの勝負で勝てばいいのさ」と感じさせるものでした。

◎ハンドラー過多

見ていない前半は馬場が3Pを決めたのに続いて、井上が3P連打で対抗した1Qだったらしいです。15番ハダディだけは前に出てこないので、井上に打たせまくるのは正解です。その井上を除けば馬場くらいしか3Pが決まっていなかったのは、イランも日本にアジャストしているからでしょう。

しかし、馬場と井上が3Pを決めたのに、続くドライブがなかったことが響いた様子です。後半を見ていても「3Pを打つ」と「インサイドを攻略する」が紐づいていませんでした。

例えば後半にあったシーンとして
富樫がピック&ロールからプルアップ3P
同じくピック&ロールからダイブした永吉のゴール下
同じくピック&ロールからプルアップ3P
これは「紐づいている」プレーですね。こういう連続したプレーの積み重ねがなく、なんとなくシュートシーンを探していました。だから個人技任せに見えたわけだ。

「キックアウトからの3Pを打ち切らない」は、毎度のような課題ですが、アジアカップの終盤から劇的に改善しました。とりあえず打っておけばOKだった台湾戦もありましたが、全体的に打ちまくることで、少なからず「紐づける」ことは出来るようになってきました。

しかし、この試合はイランのディフェンスもあれど、単発のドライブからのキックアウトで、再びドライブというシーンが増えてしまいました。正しくは須田や西田は打ち切っていたし、河村だって打ちましたが決まらない事で、プレータイムを減らしてしまいました。

〇プレータイム
富樫  28分41秒
比江島 29分22秒
馬場  33分11秒

その結果、こうしてハンドラータイプのプレータイムばかりが伸び、また馬場がシューターになっていました。要するにハンドラー過多で、ボールを貰ってから判断するケースが増えすぎてしまい、「言われたから3P打っています」状態でした。

27点の馬場に救われまくった試合でしたが、富樫&比江島で3P2/12と決まらなかっただけでなく、有効なパス&3Pにもなっておらず、オフェンスの酷さが浮き彫りになった試合でもありました。

問題なのは「比江島がダメだった」ではないことです。比江島は比江島らしくプレーしたけど、ハンドラーはコートに2人で十分だし、そのうちの1人はシュートに積極的なタイプでなければ、スピード感にかけるプレーが続いてしまいます。

これは強化試合2試合の時点でも明らかだったので、比江島のプレータイムは少なかったのですが、HC代行は他が決まらないと比江島に頼り、比江島が決まらなくてもOKでした。よくわからんぞ。

また、河村のスピードは効いていたけれど、シューター不足で特に意味はなかったです。富樫、比江島、河村はボールがないと空気なところがあるので、1人ずつ使うので十分な印象でした。

話を戻すと「高さなんて関係ない」「肉を切らせて骨を断つでいいんだ」になっていたのに、肉は切らせたけど、骨を断ちにいけませんでした。この試合最大の問題はユニットの組み方だったので、ホーバス不在の影響が色濃く出ていたと思います。

なお、強化試合の時から
・渡邊(3P&カッティング)と富永(シューター)の不在で、河村の価値は下がり
・馬場(3Pよりもドライブが主)の加入とルーク(スクリナー)が消えたことで、個人技アタックの様相は強まっていました。
なのでホーバスがいても、こうなることは十分に予想されていたので「ホーバスがいればなぁ」ではありません。ただ、なんで主力をここまで引き延ばさなければいけないのか。っていうか「機能していないバックコート」を引き延ばしていたのは理解に苦しんだのでした。

あとさ。やっぱり富樫と比江島を並べたディフェンスは効かない。比江島はアグレッシブにプレッシャーかけるけど、どうみても相手の身体に手がかかっていてファールなんだもん。強化試合では日本流のルールなのでコールされなかったけど、ダブルチームにいっても意味がない試合でした。イランのフリースローミスに助けられただけさ。

「ハイプレッシャーと早い展開」をするにはメンバー的に厳しかったなぁ。

◎吉井の成長と協会のブラックボックス

そんなハンドラー陣に混じって、吉井のプレータイムは長くなりました。

吉井  31分36秒

ディフェンスの利便性に加えて、最近はオフェンスでも自分でアタックを決めるようになったので、すっかり頼れる存在になってきました。二桁ビハインドを追いかけるのに、スモールを使いたかった事情も含めて、吉井のプレータイムを批判することはありません。使いたくなるプレーをしていた。

また、日本の中で頭2つ抜けている馬場に関しても、そりゃあ長く使いたいよね。それもわかる。

問題だったのは「帰化選手は参加しない」と直前になって決まったように11人ロスターになったことと、その割にはシェーファーと永吉を加えセンターを厚くしていた事。その逆でPGも富樫、河村、寺嶋と3人いて、緊急時にPGをやれる比江島、西田が居ました。

つまり「ウイングが少なすぎる」というのが、そもそもロスターの謎でした。便利なウイングを増やしておけば、シェーファーか寺嶋を削っておいても問題なかったはずです。

結局のところ、試合終盤になって追い上げる時に永吉と比江島と富樫のディフェンス力は問題でした。張本天傑がいなかったのも謎ならば、せめて佐藤卓摩をいれておけばよかったのにね。

この辺の事情を協会はブラックボックスにしていることもあり、よくわかりません。どう考えても渡邊は初めから不参加が決まっていただろうし、おそらくファジーカスも出場する予定ゼロだったでしょ。

ロスター構成とプレータイムは謎が多過ぎました。これなら「ギャンブルしすぎ」なホーバスの方が納得は出来たかな。

◎2勝5敗

これで日本は2勝5敗です。グループBはオーストラリアが7-0で、5-2でカザフ、イラン、中国が並び、日本とバーレーンが最下位争いです。

「2勝」と聞くと勝っているようですが、共に台湾相手の勝利なので、実質的に0勝みたいなもんです。日本は「勝つ必要がない」戦いなので、そこは差し引いていいのですが、ちょっとこれらの相手に勝てるイメージは出来ていないですね。

ホーバスになって変化を望んだわけで、それが正しいかどうかではなく、自分たちの形が見えてきたものの、勝利への努力はまだ足りていません。その一歩が何なのかは実は全然よくわかっていないよね。

スタイルとして「打ち勝つ」ことを選び、3Pシューターを使いまくってどうにかしていく、4年前くらいにNBAの一部で流行した形ですが、NBA側が殆どのチームが辞めたように、スタイルチェンジにはなるけど、勝利への計算式には弱かったヤツだ。

これを探しに行く旅をしているのが、アジアカップからの流れですが、このイラン戦に関しては「打ち勝たない」ことを選んでしまったので2歩下がるって感じでした。

さて、次はカザフ戦です。アジアカップを見る限り、3勝目が狙える相手です。あの時は渡邊に助けられまくったけど、その後のチームとしての成長を見せるには良き相手かもしれません。

そしてカザフといえば前回のWC予選時に八村も渡邊も不在(ファジーカス補強はあった)で対戦し、その当時のベストゲームと評価する内容で勝利しています。

ウインドウ5 カザフスタン戦

当時は田中のディフェンスが目立ち「リスクを下げる戦い方」で勝利しましたが、ホーバスは「リスクを取りまくるスタイル」なので、なおさら注目です。

この試合は日本のターンオーバーが8で、カザフが24らしいです。ディフェンスの勝利といえた4年前から、オフェンスに振り切って(一般層の)ファンは喜ばせつつも、勝率は下がっているわけでして、そろそろ・・・ね。な試合になるでしょう。

Window4 日本vsイラン” への1件のフィードバック

  1. 日本のバスケが大きく変わって期待感、のようなものはありますね。
    ただ確かに結果を見ると戦績は悪いです。
    まぁラマスもハチナベニックが合流するまではかなりアレだったので、ホーバスも八村が参加するまでは評価保留ですかね。
    あんまり八村が合うイメージわきませんけども。
    ホーバスバスケは今の日本代表より、U18世代の方が合いそうな気がします。

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