戦術の流れを考えよう

◎ドライブと押し込み担当

その2Pは「空いたインサイドなのでイージーに決める」のが主流になりましたが、当初はドライブ力を生かしたパターンが多かった気がします。これは今でも変わらない流れです。

しかし、ドライブアタックに対してのディフェンスと、そこから始まるローテーションが一般化していく中では、時折、こんな状況が発生します。

ドライブアタックにヘルプが来た時に、パスが3Pへのキックアウトのみだと読まれやすい

随分とレベルの高い話なので必ずしも発生するわけではありませんが、やはりセンターを置く、それも高確率で押し込んでくれるタイプのセンターを置くパターンも増えました。

非常にわかりやすかったのはレイカーズの優勝です。ADだけでなく、ハワードorマギーを使っており(ただし終盤は使わない)堅実性を求めるならば有効な手段でした。もちろん、それ以前にダントーニロケッツがカペラで実行しています。

この押し込み担当に大事なのは、堅実に押し込むことなのでいうなれば

2P成功率65%(3P40%より効果的)が前提

なんてこともあるので、必ずしも「センターなら誰でも良い」わけではありません。3Pを決める能力が高いシューターと、ゴール下の押し込み力が高い選手はオフェンス隆盛の時代においては欠かせない選手になってきました。

ところでドライブの確率については、一時期「レブロンよりもジョー・ハリスの方が確率が高い」なんてことがありました。3Pを上手く決めていく事で、2Pの確率も向上させていたわけですが、だからといってレブロンよりもジョー・ハリスの方が優れた選手のはずはありません。なので、こんなことも増えてきました。

主役(プレーメイカー)よりも確率の高い脇役を集めろ

3Pの上手い選手と、インサイドの押し込みが上手い選手を集めて、主役の周りを囲む形です。ちょっとイメージは違いますが、ウエストブルックの周囲にロールプレイヤーを揃えた方が良いのに近いです。っていうかアダムスが欲しい。ロバーソンは・・・。

ある意味で、この形の最高峰に位置するのがジャズです。

3P能力の高い選手を集めろ
ゴール下でゴベアが押し込め

そしてリーグ最高の3Pアテンプトチームとして、気が付いたらディフェンス力を捨てて、オフェンスのチームになっていました。これもまた1つの流行(の先にある戦術)だったと思います。

ただ、ゴベアをロスターに加えるのが他のチームには難しかったです。つまり、押し込む能力は高いけど、それだけに徹するようなセンターは数が少ない。直近では万能なエイトンに、ひたすらゴール下担当をさせるサンズって案件もありますが、今回の契約交渉で出たように「押し込み担当にマックスは払いすぎだろ」という悩みも出ています。

いずれにしても、流れとしては「押し込み担当センターを置いた方が優位性がある」という流れだったのですが、マブスの躍進とウォリアーズの優勝によって、微妙になりました。その他のチームを考えると

セルツ・・・ロバートの押し込み+ホーフォード
バックス・・・ヤニス無双
ヒート・・・アデバヨ頑張れ
シクサーズ・・・エンビードはゴール下にいろ
ナゲッツ・・・ヨキッチと同時に使えるセンター欲しい
クリッパーズ・・・ズバッツとスモールの使い分け

などなど。一般的には押し込み担当のセンターを置くようになってきています。そして、さらに先を行く形が出てきたのは最新系になります。

◎ビッグマンを並べろ

ラプターズがガード陣の離脱によってファイブビッグを始めたのは強烈でしたが、その前にキャブスがアレン、モブリー、マルカネン、ラブとビッグマンを集めて成功したのが特徴的でした。これは「2P成功率は大事」を示す流れですが、キャブスに関しては20-21シーズンにきっかけがありました。

コロナプロトコルによって、選手が足りなかった中でドラモンド、ナンス、マギーを同時起用する試合がでてくると、意外とそこそこ機能しました。ディフェンスはゾーンを駆使しないとマズいのですが、そんなことをやっているチームなんて他になかったので、なんだかんだと上手くいきそうな匂いが。

ただし、シュート能力がないとマズいよね。ってことで、オフにマルカネンを獲得し、ドラフトでモブリーを指名すると、キャブスはビッグラインナップ勝負に出てきました。これのよかったところは

カバーが大事なディフェンスで、誰もがカバー担当になれる
スモールのチームが多いので、高さのミスマッチは生まれやすい
ラブとマルカネンは3Pが上手い

マルカネンの3Pは怪しいけど、割とペリメーターを守れることもあってキャブスはオリジナル戦術としてジャンプアップしました。アレンとモブリーもアウトサイドを苦にしないので、ディフェンシブなチームとしての復活です。

まぁ今回の趣旨で言えばオフェンス面はそこそこのキャブスは対象外なんだけどさ。

はい、そんなわけで流れを振り返ってみましょう。

①3P増のために3Pセンターやスモールラインナップが増える

②シューターを増やすのは、必ずしも正解ではない

③ゴール下で高確率の押し込み担当も必要

④いっそのことビッグマンを並べてみよう ⇒NOW

大きな流れがこれとして、途中でいろんな派生形がありますね。むしろ派生形の方が主流なのですが、ここで言いたいことは

特別なタレントがいなかったら、どうしていくべきか

という流れが④に近づいてきたってことです。全員バスケみたいなチームほど、大きくてオールラウンドな選手を求めて生きたい今日この頃。

次はスモール側の進化 ⇒

戦術の流れを考えよう” への1件のフィードバック

  1. 初投稿です。
    最後は自嘲気味だった管理人さんですが、数年来の戦術変化に対する分析力に舌を巻くほどの面白さでした。
    3Pの重要性が現代ほど高くなかった頃の、神様MJは抜群のミドルレンジでのシュート力と天下一品のドライブでアベレージ30点を超えていましたが、特殊なケースなんですかね。

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