エースになったハリバートン

みんな大好きハリバートン。ザ・インテリジェンスなPGにして、高確率の3Pを誇るシュート能力に、ウイングまで守れるディフェンス力と、現代バスケの申し子みたいな長所を持つ2年目は「ペイサーズ再建の中心」として見出されました。

「トレードの勝者はキングスでもペイサーズでもなくハリバートン」とさえ言われたサボニスとのトレードはハリバートンの立ち位置を大きく変えました。

フォックスと並んでチームをコントロールするPGから、チームのエースであるPGへ

この変革はハリバートンの価値を向上させるとともに、ハリバートンに課題を突き付ける事にもなりました。3年目となる次のシーズンは「マックス契約のエースPG」なのか、それとも「素晴らしいPG」なのかの分岐点となるシーズンです。

◎高精度のPG

たまには大学時代から見てみましょう。アイオワ州立大で2シーズンを過ごしたハリバートンですが、1年目から平均33分もプレーしており、2年目は36分とほぼ交代なしでした。ただし、2年目は欠場が多いよ。

〇1年生
33.2分
6.8点
3.4リバウンド
3.6アシスト

ヘッドコーチから高い信頼を得ていたことはわかるものの、そのスタッツは凡庸でもあります。ドラフトレベルのスタッツではありませんでしたが、2年目になると明確にステップアップします。

〇2年生
36.7分
15.2点
5.9リバウンド
6.5アシスト

素晴らしいスタッツです。オールラウンドな能力を示しました。このシーズンはドラフト前なのでハイライトも観ていましたが、本当にインテリジェンス溢れる判断力を見せており、ドラフトNo.1のPGだと思いました。なお、PGというポジションに置いてNo.1の選手という意味ではない。

スピード・フィジカル・高さといった身体能力は殆ど使わず、ハーフスピードでプレーを構築しているのが好印象でした。常に上半身が真っすぐに立っており、ルックアップしてのプレーチョイスはディフェンスの狙いを外していく「判断力勝負」のスタイルです。それに見合うだけの精度の高いスキルを複数もっている。

判断力で15点、6アシストしているのだから、大いに期待したくなるインテリジェンスPGなのでした。しかも、ハリバートンの場合はシュートの正確性もあり、得点を伸ばしても、正確性が落ちなかったのもグッド。

〇FG成功率
51.5% ⇒ 50.4%

〇3P成功率
43.4% ⇒ 41.9%

シュートの半分が3Pなのに、FGは50%を超えており、スピードでぶっちぎることも、高さで押し切ることもないのに、確実に得点を重ねていました。19歳なのに大人過ぎるプレーはNBAでも即戦力として期待できるものでした。

12位というドラフト順位はハリバートンの「インテリジェンス」に対して低かったですが、身体能力の高さは見せつけておらず「ポテンシャル」としては高いくらいでした。だから、まぁ適正さ。なお、当時PGが必要だったチームが指名しなかったことについては批判してよいレベルです。キリアン・ヘイズじゃなくてハリバートンを指名していたら・・・カニングハムを取らなかったかもね。

◎ウイング起用

しかし、フォックスのいるキングスに加入したため、ハリバートンのルーキーシーズンはウイング起用となりました。それも「ウイングとして使いたい」からでも、「フォックスと並べたい」からでもなく、「ウイングがいない」というネガティブな理由です。

線が細いこともあって厳しいように思えたウイング起用ですが、予想に反して見事なプレーで役割をこなしていきました。確実なチョイスだけでなく、ステップバック系の3Pも高確率で決めており、ウイングシューターとして機能しただけでなく、ディフェンスでも体の入れ替え方の上手さと腕の長さを使った読みの鋭さで体格の差は無視していました。

〇ルーキーシーズン
30.3分
13.0点
FG47.2%
3P40.9%
3.0リバウンド
5.3アシスト
1.6ターンオーバー

結果として、しっかりとアシストも稼ぎ、少ないターンオーバーで見事なるスタッツを残しています。リバウンドがもう少し多ければよかったのですが、それ以外はルーキーとして申し分のない出来でした。

その結果、ルーク・ウォルトンのお気に入りになったハリバートンは、2年目にはフォックスをスコアラーに回すことにさせ、PGの座を手に入れました。

エーススコアラーを支えるアシスト役になったわけですが、そもそもPGなフォックスなので「フォックスにアシストする」のではなく「フォックス以外を有効活用する」のがハリバートンの仕事でした。

フォックスの個人能力を使った得点パターン
ハリバートンのチームオフェンスでの得点パターン

こんなイメージで複数パターンを形成することでオフェンスを流動化させることにしました。ここは割と機能したのですが、ビッグマンとガードばかりにしてしまったことと、例によって守れないのでウォルトンのクビは飛んでしまったとさ。

結局のところ、想定した形を作れても、それが効力を発揮するとは限らないのでHCをクビにするとともに、ロスターも改革の必要性に迫られました。控えPGにダビオン・ミッチェルがいた事情も含めて、中心となる選手にはフォックスとのコンビネーションを重視することにしたキングスは、その答えをサボニスに求めました。

こうしてハリバートンはペイサーズへと旅立ちます。

ペイサーズでのプレー ⇒

エースになったハリバートン” への4件のフィードバック

  1. ハリバートン特集ありがとうございました!おかげでペイサーズの形が明確になりました。

  2. INDの昨シーズンはほぼ見てなかったのですが、ドラフトでのニーズが似ていた事から気になってはいたんです。改めてこうして文章で読ませていただくとやはりDETと課題や構成が似ていませんか?

    もちろんタイプ的には微妙に違うし、数字は全く違うのですが、これ、ハリバートンをカニンガムに置き換えても内容的にしっくりきてしまいます

    それぞれマサリンとアイビーというスコアラーを新しい相方に迎えて、どんなシーズンをエース2人が過ごすのか、来季一番の注目になりました、ありがとうございました

  3. CP3との対比だけでなく、ストックトン御大との対比も知りたいと思いました。
    ハリバートンのプレイはあまり見られていないのですが、スタッツからの印象として、高確率だが自分で点を取りまくるわけではない、視野が広く判断力のあるPGとしてストックトンに近いかも、と思っていたので。

  4. お疲れ様です。とても面白かったです。
    ブログ読む前のハリバートン像はペイサーズに移る前のブログドンと重なり判断力で勝負するイメージで、ブログドンはペイサーズを勝たせられなかったので、ハリバートンのエース役は余りポジティブに見てませんでした。
    (コメントするにあたってバックスのブログドンの成績見直してみましたけど想像の半分くらいしかアシストしてなかったです)

    ディアンジェロしかりゲームメイク能力についてぼんやり考えているのですが、評価が難しいですよね。
    ブログ通りポールは「ゲームメイク能力」+「正確無比なミドル」の両立があってこそのエースPGだったわけで、「ゲームメイク能力」だけの価値ってどれほどなんでしょうか?
    他のエースPGだとリラードは該当するかと思いますが、リラードも「ディープ3」などの個の武器も持ってるしなあと。

    エースでないゲームメイク能力が高い選手について考えると、よくブログで出てくるルビオや、晩年のラウリー、ドラギッチ、スマート(今年ちょっと怪しかったけど)くらいしか出てきませんでした。
    ラウリー、スマートはディフェンス面の貢献も大きかったと思うので、やはり「ゲームメイク能力」だけだと厳しいのかなあというのが個人的な感想です。
    是非、ハリバートンには個の武器を身につけてエースPGになるところを見たいなあと思いました。

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