ゲーム7
いよいよ最終戦なわけですが、個人的にゲーム6とか7について書くのって好きじゃなかったりします。だってもう限界を超えて頑張るだけの試合だからさ。ということで、ゲーム7はサンズがボロ負けしたので、これまた書くほどの事はなかったね。途中からマブスはハンドラーへのプレッシャーを辞めて、さがってミス待ちにしていました。それくらいサンズの自滅だったね。
ということで、7試合通した感想をダラダラと書いていきましょう。
◎大差が多過ぎる
プレーオフのセカンドラウンドらしくないシリーズでした。ゲーム1と3以外は二桁点差でした。そのゲーム1も内容は大差だったわけで、サンズが大差で2連勝し、そこからマブスが盛り返したわけですが、ゲーム6と7が大差ってのはなんのでしょうか。
プレーオフとはいえ、大差になる試合はそこそこあります。7試合に1つが大差での負け(勝ち)になるのは仕方ないと思う。そういうこともあるよね。でも2試合を超えると話が違うし、3試合になると弱いチームだね。
マブスが大差で負けたのはゲーム5だけだったとも見れます。ゲーム1は初戦で単純に力負け。ゲーム2はレフリーが悪い。シュートが決まらないとか、相手が決めすぎとか、それはゲーム5だけで、他は失敗を生かしてカムバックしてきたシリーズでした。なので、マブスは悪くない。
問題はサンズです。これがウルブズならわかる。あるいは高速バスケでシュートタッチに左右されるウォリアーズならわかる。でもサンズは3P4本成功で勝つような安定志向のチームであり、なによりもシーズン最高成績のザ・安定チームです。そんなサンズが、ここまで不安定だったのは何なのか。
ゲーム3以降はマブスが4連勝してもおかしくなかったです。それはいい。マブスの方がアジャスト能力が上だったのは紛れもない事実です。だからといって、ここまでの差になるのはサンズ側に問題があったからです。
特にゲーム7は酷かった。マブスは殆ど何もしなくてもサンズが勝手にミスしていました。1Qからクラウダーがマブスのディフェンダーに向けたパスを連発し、ミカルはワイドオープン3Pをエアボールし、ブッカーはレイアップを外しました。エイトンもゴール下を連続ミスしていたね。
後半になるとドンチッチvsエイトンにされたところで、クラウダーがオーバーヘルプし、パスを回されて3Pでした。これもゲーム2まではエイトンが優勢だったマッチアップだし、そもそもリスクを取る方が勿体ないので、自分たちの戦い方を見失っていました。
〇クリス・ポール、ブッカー、クラウダー、ミカル、カム・ジョンソン
シーズン 17分
エイトンが3ファールになったところで、モンティはノービッグをチョイスしてきました。エイトンを抜いてカム・ジョンソンを加えただけなので、見た感じは普通に見えるかもしれませんが、シーズントータルで17分しか使っていないユニットです。この5人で17分のみ。
というか、今シーズンのモンティはビッグマンを置かない時間が殆どありませんでした。エイトン、マギー、ビヨンボの誰かはコートに置いておく。ところが、ゲーム7になってエマージェンシーを使ってしまった。いや、だったらシーズン中にもっと試しておくべきでしたね。
サンズが我を失ってしまった感の強いシリーズでした。なお、「安定」はモンティの特徴であり、弱点でもあります。だからマブスが弱点を突いて勝った・・・ならシンプルなんだけど、そうじゃなくて自滅しているのがスゴイよね。
◎元気な方が強い
5年くらいの流行ですが、前述の通りサンズの自滅なわけでして、その自滅は動けないクリス・ポールだけでなく、ミカルやクラウダーにも襲い掛かっていました。特にミカルがこんなにバテるなんてビックリですが、ペリカンズとのシリーズから頑張らせ過ぎた感が出ています。
〇ミカルのシーズンとの比較
得点 14.2 ⇒ 9.9
FG 53.4%⇒ 40.6%
3P 36.9%⇒ 27.6%
また、サンズはペイン、シャメット、カム・ジョンソンあたりはゲーム7でも頑張っていましたね。ってことで、元気な方が強いっていうか「疲れた方が弱い」な感じが強く出ていました。繰り返すけどミカルって疲れることあるんだね。
モンティはシーズンと違って、異常なほど主力に拘ったことも不思議ですが、これについては昨シーズンも同じでした。ただ、クリス・ポールがいい感じにケガやコロナで離脱したので目立たなかった。それだけって気もします。あとはあれか。ナゲッツがスイープされたのが悪いな。
さて、これはいいんです。サンズは疲れたし、それはモンティの酷使がたたった。
なんでマブスは疲れていないの?
いやー、不思議だよね。キッドはどんな魔法を使ったんだろ。
ドンチッチやブロンソンについては、ケガやファールトラブルもあったし、ディンウィディが代役として備えているので、ある程度はわかる。それでもドンチッチもブロンソンもタフだけどね。まぁブッカーだってタフだしさ。
それよりもマブスで酷使されたのはフィニースミスとブルロックです。13試合のプレータイム順に並べてみると
〇プレータイム
ブルロック 511
フィニースミス 492
ブロンソン 460
ディンウィディ 364
ドンチッチ 361
ね、こうみるとドンチッチは元気だよね。あとディンウィディが活躍したのもガチャが当たったんじゃなくて、全体が疲れている中で元気だったからかもしれません。ってだけじゃ、あんなにシュート決まらないか。
ジャズとのシリーズで徹底的に酷使されたブルロックとフィニースミスですが、このシリーズも完全に負けゲームだったゲーム1ですら、最後までプレスディフェンスをして、追い上げさせました。あれが次の試合からの参考になると思っていたけど、レフリーが台無しにしていたのが今となっては良い思い出。
そんなわけで、この2人のタフさにビックリでした。どうなっているんじゃ。そういえばサンズのプレータイムも観ておきましょうか。
〇サンズのプレータイム
ミカル 500
クリス・ポール 448
エイトン 397
クラウダー 383
ブッカー 366
うん、やっぱりそうだよね。ミカルですら疲れる500分なのに、何故か戦えているブルロックとフィニースミス。ディフェンス専門と言っても、ドンチッチ分をカバーしているし、走りまくっているし、ハードワーク&ハードワークだもんな。
さて、実はこのシリーズは「ペースが遅いシリーズ」でもありました。フィジカルファイトが多く、アイソで時間も使うので、トータルでは他のシリーズよりも走っていません。
一方で走りに走る日本の高校バスケをしていたのがウォリアーズとグリズリーズです。なおグリズリーズの方が走っていました。若いってすごい。そんなわけで次のシリーズは
ザ・元気な方が強いシリーズ
~地獄の耐久戦~
こうなる可能性があります。フィニースミスとブルロック、そしてブロンソンは高速バスケの中でも元気に戦えるのか。このシリーズで元気だっただけでも脅威なのに、もっともっと走らされるぜ。
特にブロンソンは「シュートを決めるかどうか+カリーを追いかけろ」とハードな戦いが待っているかもしれません。
なお、ジョシュ・グリーンではなくニリキナをチョイスしていたキッド。それはウォリアーズにも向いているマークマンだね。
◎両チームを分けたもの
このシリーズは大差が続いたので、スタッツが参考になりません。ところが大差なのにディフェンスのシリーズという変な状況でもありました。より点が取れない方が負ける。そんな戦い。でも3Pは高確率でした。
〇3P
サンズ 40.1%
マブス 39.9%
試合によってアップダウンが激しいので一概には言えませんが、トータルで比較したときに面白い要素を探してみたいよね。
3Pアテンプトはマブスの方が多かったのですが、その一方でアシスト数にも大きな差がありました。
〇アシスト
サンズ 24.7
マブス 17.6
アシストに7つも差があってマブスが勝ったわけだ。もはやアシストって何なんだろね。そしてアシストなしで3Pを決めていったマブスって事でもあります。プルアップ3Pの差を見てみましょう。
〇プルアップ3Pアテンプト
サンズ 7.9本
マブス 14.1本
〇プルアップ3Pアテンプト
サンズ 40.0%
マブス 38.4%
確率は変わらないのですがアテンプトに大きな差がありました。ディフェンスの戦いの中で、個人でプルアップ3Pを決めたマブスが優位に立ったわけです。ドンチッチとディンウィディ。
また、このアテンプト数ですがマブスはシーズンよりも3.4本も多く、サンズは逆に0.7本少ないです。
「厳しいプレーオフの戦いでもチームオフェンスを信じた」サンズが負けて
「厳しいプレーオフでは個人で決めきるオフェンスで勝つ」のがマブスです。
なにが大事かって難しいですね。ちなみにセカンドラウンドで最も確率良くプルアップ3Pを決めたのはモラントでした。それも普段のモラントと違い平均7本も打ったうえで52%なので、もっとモラントを見たかったですね。
◎ブッカーはどうした?
このシリーズのブッカーはマブスファンにとってどんなイメージだったのでしょうか?
パスの判断が悪かったり、強引にインサイドに行き過ぎるシーンはあったものの、それもまたブッカーなわけだし、総じてブッカーのプレーはマブスにとって厄介だったはずです。
〇ブッカー
23.4点
FG43.2点
3P40.0%
4.6アシスト
3.9ターンオーバー
ドンチッチには見劣りするとはいえ、立派な成績でした。またゲーム7の11点を除けば、比較的安定していました。まぁゲーム6も8ターンオーバーだけどさ。
メインのマークはブロンソンとフィニースミスで、ブロンソンなら楽に、フィニースミスなら苦労はするけど3Pで攻略した感じです。プレーオフなので簡単じゃないけど、それでもディフェンスのシリーズなのだから、これくらいの確率なら悪くない。
ところがサンズはブッカーに打たせるのがやけに下手でした。どうしたのってくらい下手でした。ハンドラーアタックばかりになっていて、そこを人数かけてパスを促すマブスにハマった感じです。サンズってそういうチームだったっけ?
〇クリス・ポールのパスからのシュート
シーズン 7.3本
シリーズ 4.9本
プレータイムがシーズンより長いことを考えると、このシリーズはクリス・ポールのパスから打ち切れないのが目立ちました。もちろん、ここのキャッチ&アタックを読んでいたマブスのディフェンスが優秀でしたが、エイトンとのツーメンゲームじゃないんだから、そんな都合よく止められるプレーじゃないよね。
サンズはもっと「ブッカーを輝かせる」ことを目指すべきだったと思いますが、プレーコールの偏りが目立っていました。ゲーム1の時点では「プレーコールを隠しているよね」って感じでしたが、なんかシリーズが進むと隠しているじゃなくて、使えないになってきた。
〇オフボールスクリーン
シーズン 5,4回 5.5点
プレーオフ 3.1回 2.7点
※シリーズごとのスタッツが出ない
そうですね。ハンドラープレーが止められたのはともかく、ならばオフボールスクリーンは増えて良かったはず。っていうか、そんなプレーコールとかを考えるまでもなく
みんなでブッカーをフリーにしてあげようぜ!
・・・で、よかったはずだよねぇ
ここはすごく気になる部分でした。マブスがドンチッチ周辺でスイッチ誘導や、オフボールカットを繰り返し、またドンチッチがやりやすいクリス・ポール相手のポストアップを使うためにパスを回していました。それに比べるとブッカーを生かす気持ちの薄かったサンズ。
なんだろうね。なんだったんだろうね。どうにも腑に落ちない面が多かったサンズでした。だからこそ自滅の匂いが強かったのかな。
分析ありがとうございます。
とにかくサンズの集中力、というか勝とうとする意思が薄かったシリーズだと感じました。
去年のようなスネークドリブルからの3PまたはAytonフィニッシュまたはCP3 OR Bookerのミドルレンジフィニッシュのハメ技を なぜか 多用しないし、おっしゃる通り「サンズってこんなチームだったっけ」と感じました。
ペリカンズとのシリーズから違和感を感じてました。
失意のどん底で深海の暗闇の中の貝のようにそっと身を潜めます。
逆に下馬票が悪くても自分達を見失わなかったDoncicとマブスに賞賛を送りたいと思います。
この勢いでウォリアーズも喰ってファイナルまで行ってほしいと思います。
ありがとうございました。
シーズンでずっと安定して強かったサンズがまさかセミファイナル敗退とは・・・しかも、大差で敗退とは・・・なんかクリスポールが途中からケガした状態で出てたとかなにかで観ましたが、ならペイン出てた方が面白かったのでは?と思いました。それでも今年のペインでは厳しかったのでしょうが・・・
何はともあれ、シーズンの過ごし方を考えさせられますね。ディフェンスをよくするのは大事だとしても、オフェンスというか勝ち方というかに多様性がないとダメだし、でもエースの力もないとプレイオフは勝てない。
CFはいいゲームを期待!ウエストではマブスのディフェンスが一番だと思っていたので、頑張って欲しいです(別にグリズリーズファンだからといった深い意味はないですw)!
お疲れ様です。
こんなにもGame7の重圧を感じた試合は今まで見たことなかったです。
特に序盤は両チームともかなり怪しかったと思ってます。
その中でも通常営業できるドンチッチがすごいって話なのかなーと終わってから感じました。
(マブスファンなので滅茶苦茶バイアスかかってると思います)
サンズオフェンスに関しての感想ですが、サポートキャスト(特にエイトン、ミカル)がRSで決めていたシュートを同じ確率で決めれなかった印象です。
少なくともマブスディフェンスにセルツのようなガチガチ感はなかったと思います。
RSで決めていたシュートは打てているのだから、それを止めてまでブッカーに集めるのかっていうと難しいのかなと感じました。
また、TOも多くそれがシリーズを決めた要因と思ってますが、マブスディフェンスはスティール生み出すイメージなかったのでただただ驚いています。
記事にもある通り、リスク減らしたエースで簡単アイソも悪くないとは思いますが、マブスはマブスで極端すぎて…。