JJJとドラフト候補

グリズリーズファンです。
ファンの中で「JJJはDPOYだ」という意見があるのですが「平均27分のやつが何言ってんだ」と思っています。しかし、今日の4QのKDへのディフェンスが凄かったので、納得してしまいます。どう思いますか?

JJJは偉大なポテンシャルを持っている選手であり「未来のDPOY」と呼ぶにふさわしい存在です。とはいえ、既に4年目なわけで未だにポテンシャル枠で良いのかという疑問もあります。年齢で言えば大学卒業したての1年目だから、まだ許される面もありますが、評価を確立するところまでは辿り着いていません。JJJのポテンシャルは何かといえば

①ガード相手にもスピード対応するフットワーク
②センター相手にもパワーで対抗するフィジカル
③長い腕と大きな手を生かしたブロック力

スピードとパワーを兼ね備えたPFのJJJですが、③も大事なポイントで単なる背の高さ+ジャンプ力だけでなく、腕が長いためジャンプしてからもボールを追いかけることができるし、手の大きさで圧力のある守り方をしてきます。身体能力+身体的特徴によって偉大なポテンシャルをみせています。

①と②を持った選手は流行系なので他にもいて、代表的なのはドレイモンド・グリーンです。JJJよりも圧倒的に優れたディフェンダーですが、かといって③を将来的に身につけるかといえば、それは難しく、ポテンシャルとは偉大な武器です。全てを持っているのはアンソニー・デイビスやヤニス・アンテトクンポなど、ごく一部のスーパースターだけなので、JJJは未来のDPOYと言いたくなるわけです。

その一方で未だにポテンシャル枠なのは、安定感に欠けるからです。代表例はファールが多いことですが、シンプルに言えば「ブロックに行くべきか、圧力をかけてシュートミスを誘うか」の判断力が足りないといえます。ファールをしなければOKではなく、プレッシャーをかけつつも、ファールにならないギリギリを攻めなければいけません。ドレイモンドもファールの多い選手ですが、それがディフェンダーとしての価値を落としてはいないでしょ。

④ファールが多い
⑤相手との駆け引き・先読みが出来ていない
⑥日々、違うタイプと戦うためのアジャスト能力が足りない

JJJの弱点はこんな感じです。全局面で威力を発揮し、どんな相手にも戦うだけのポテンシャルを持っていますが、それを有効に活用しているとは言い難いわけです。オフェンスがやってくることにリアクションする能力は高くても、むしろ相手を追い込むような個人のディフェンス戦術は出来ていません。NBAは毎日違うタイプどころか、違うポジションの相手とマッチアップすることも求められるわけですが、そこにアジャストしていく能力は低いです。

オフボールのポジショニングも課題ではありますが、JJJの場合はダメというほどのレベルではないし、高速ヘルプも出来ます。チームディフェンスとして鍛えられる部分はグリズリーズらしく改善していますが、最後の個人レベルの戦術力はそうはいかないよね。

昨年のプレーオフでもゴベア相手にシリーズ後半は良いディフェンスをしていました。アジャスト出来れば可能性はグッと開けるのがJJJのポテンシャルです。ある意味で質問にある通り「4Qの・・・」はJJJのポテンシャルと課題が思いっきり出たのかもしれません。要するに自分のポテンシャルを安定して発揮する能力が足りていない。

ところでグリズリーズには①~③のポテンシャルは劣っていても、④~⑥が優れた控えセンターのザンビアー・ティルマンがいます。安定感抜群のセンターはチーム全体のディフェンス力を引き上げてくれるわけで、ある意味でJJJよりも優れたディフェンダーです。試合に勝つことを最優先するならば、ポテンシャルよりも安定感の方が大事です。かといって将来を考えたらティルマンには賭けられないよね。

さて、今回は便宜上ではありますがJJJの良い部分を「ポテンシャル」と定義し、JJJの悪い部分を「完成度」と表記します。

◎ミシガン・ステイト

ところで、JJJ、ドレイモンド、ティルマンの3人は全員がミシガン・ステイト出身です。他にもギャリー・ハリスやマイルズ・ブリッジスがおり、ディフェンス面に特徴のある大学と言えます。例外のフォーブスもいるけどね。

ケンタッキーやデュークは例外として、ドラフト候補を見る時に、時には大学名も参考にできるという事です。つまり今回はドラフト候補をどうみていくのかという個人的メガネの話です。

ワン&ダンのJJJに対して、4年間通ったドレイモンドとティルマンは間違いなく高い完成度を誇っているわけです。JJJも4年間をミシガンで過ごしていたら、より良いディフェンダーになっていたかもしれません。

NBAにワン&ダンで上位指名されるJJJなので、そこは気にすることないのですが、上位指名以外のパターンでプレータイムを貰えないくらいならば、大学に残って完成度をあげた方がベターです。(JJJはケガでプレー機会が減ったので大学の問題ではない)

これは近年の傾向でもありますが、個人的なメガネでは

同じポテンシャルならば、上級生を指名しろ!

そう感じています。1歳若くても引退する時期はわからないし、契約で縛れる期間も同じです。同じポテンシャルの選手ならば、完成度の高い選手を獲得したほうが試合に出して伸ばしていきやすいじゃん。これが高校3年生と大学4年生ならば話は違いますが、アーリーエントリーがある以上はね。

ただし、基本的にワン&ダンと上級生が「同じポテンシャル」なんてことはありえません。JJJをとるか、ティルマンをとるかならば、絶対にJJJなので、基本はポテンシャル優先。ただ、稀に大学に入ってから身体能力をあげる選手がいます。ウエストブルックなんかも身長が伸びたらしいですし、グリズリーズで言えばモラントがそのパターンです。

ワン&ダンよりも2年生を狙え!

そんな風にも考えています。ワン&ダンって多くが高校時代から有名で、圧倒的な身体能力でこないしているのですが、稀に大学で身体能力を伸ばす選手がいるよね。そういう選手は高校時代には完成度を高める努力をしていることが多いので、ポジティブに観ているよ。

さて、主題から離れてしまった。今回はJJJのディフェンス力から、ドラフト指名を考えたいので、あくまでもディフェンス主眼で生きましょう。いずれにしてもポテンシャルは重要だけど、完成度ゼロもダメさ。

◎ビッグマンはディフェンス優先

今年のドラフトはビッグマンが豊作です。でも、個人的にビッグマンに関してはディフェンス優先で評価をします。だってオフェンスの事考えたら、スモールラインナップでもいけるわけで、3Pの上手いビッグマンよりも3Pシューター使えばいいじゃん。守れなきゃ意味がない。

ところがディフェンスについては、ポテンシャルはともかく、完成度は何試合もみないとわからない。でもドラフト候補のために何試合も観ていられるかってんだ。だから、こうやってメガネの説明をして、誰か見た人に教えてもらおう。・・・ともいってられないので、ドラフト評価サイトを使います。

ビッグマンのホルムグレン、ジャバリ・スミス、バンケロの3人がトップ3かもしれないので、この3人についてみていきましょう。

ハイライトをパッと見た感じ、最も推したいのはオーバーン大のジャバリ・スミスです。JJJのように①②を持ち合わせ、身体能力的には③も期待したくなります。

〇ジャバリ・スミス
7.4リバウンド
1.0ブロック
1.1スティール

〇36分換算
9.3リバウンド
1.3ブロック
1.4スティール

そこそこですね。ブロックもスティールもあって総合的な能力は高いです。ドラフトサイトの評価ではリバウンドやスティールが、一定以上(素晴らしいではない)になっています。

オーバーンからは直近でアイザック・オコロとチューマ・オキキがおり、なんだかディフェンス面に期待したくなります。どちらも明確なスタッツではなく、粘り強く守ることでスタッツ以上の評価を得ているので、ジャバリ・スミスもそんな感じかもしれません。なお、ワンビッグでは試合に出ていないっぽいので、そこがリバウンド力を落としているかもね。

ファールが少ないのも1つの特徴なので、わりとスマートに守ろうとしています。この体格だともっとハッスルして欲しいのですが、高速ヘルプはもっていそうなので、加入したチーム次第で変わってくるのでしょう。おすすめはサンダーかな。ロビンソン・アールの上位互換な匂いがする。

〇パオロ・バンケロ
7.9リバウンド
0.9ブロック
1.0スティール

〇36分換算
8.7リバウンド
1.0ブロック
1.1スティール

デュークの卒業生はあてにならないので無視するとして、バンケロはオフェンスハイライトばかりが出てくるPFです。フットワークでもパワーでも勝負しているので、ディフェンスでもフットワークとパワーで対抗できそうですが、その一方でスミスよりも40パウンド重いので③の高さに不安が残ります。

また、NBAのガードスピードをどこまで守れるかも未知数です。最後にブロックで守り切れればいいのですが、そもそも置いてかれては意味がありません。ガードアタックが多く、インサイドヘルプが足りないのがNBAなので、バンケロのワンビッグは難しそうで、相棒のセンターが欲しくなります。スミスだとちょうど良さげなんだよね。

ドラフトサイトでもブロックとリバウンドに難色が示されており、オフェンスの魅力とディフェンスの負担を天秤にかけた時にどうなるのか。他にビッグマンがいて、なおかつツービッグのチームが良さそうなので、マジックやロケッツを進めます。本人に進めても仕方がないか。両チームはエースアタックできるビッグマンが欲しいだろうから、ちょうど良い気がするぜ。

〇ホルムグレン
9.8リバウンド
3.7ブロック
0.8スティール

〇36分換算
13.0リバウンド
4.9ブロック
1.1スティール

凄まじいスタッツを残しているゴンザガのホルムグレンは、言わずと知れた八村の後輩です。他にはクラーク、コリンズ、サボニス、オリニク・・・あれっ?大丈夫か?

良い選手が出てくる一方でモンスターがいないゴンザガ。そもそもワン&ダンの有望株が行く学校ではなかったので、ホルムグレンクラスが加入するのが珍しい。サッグスといい、八村世代の後から傾向が変わってきたのかな。

さて、今回のドラフトで最も難しいのがホルムグレンの評価です。凄まじいスタッツは即座にNBAで活躍できるのですが、これだけ細くてデカいビッグマンは正しい評価が出来るのかどうか。一番大事なことはヤニスのようにNBAに来てからビルドアップするかどうかですが、もっと太くなってもらわないと困るね。

NCAAトーナメントのハイライトではパワーで押し込まれるのですが、高さで止めきっています。ファールをしないのは良い部分でゴンザガで完成度を高めているのでしょうが、あまりにも押し込まれているのを見ると、NBAでは吹っ飛ばされるんじゃないか疑惑。

また、細身の割には高速ヘルプはなく、こちらもゴンザガがチームとして塞いでブロックさせているように見えます。総じて「スタッツの割には・・・」なのですが、そのスタッツが異常なスタッツなので、やっぱり優れたディフェンダーなのかもしれません。NBAでもスタッツを残しそうだけど、その割には物足りない印象を与えそうです。例えるなら「細いポルジンギス」です。ユニコーン被り。

センターしか守れなそうな反面で、押し込まれそうな一面もあるので、ハードワーカーのウイングを抱えるチームが向いていそうです。ブレイザーズでリトルやワトフォード、ハートに支えてもらいましょうか。

なかなか3者3様で難しいです。オフェンス面で言えばホルムグレン、バンケロ、スミスの順でしょうが、ディフェンスならスミス、バンケロの順で、ホルムグレンは評価が分かれそう。いずれも使いどころを見極める必要がありそうというか、相棒を考えないといけません。その点で最も相棒を選ぶのがバンケロに見えちゃうんだよね。

◎JJJとデュラント

冒頭に戻りましょう。今日の4Qでデュラントに対するJJJのディフェンスです。

ネッツはアイソオフェンスを繰り出しており、スイッチ誘導でビッグマンを引き出す作戦でした。そのため、アダムスは使いにくく、クラークとJJJで終盤に向かいます。こうやってセンターでもPFでもいけるのがJJJのメリットです。相手に応じた柔軟性はチームとして大事。なおアダムスの得失点差は△16でした。

デュラントにはブルックスが密着し、カイリーにはベインでした。逆の方が良さげですが「デュラントに持たせたら終わり」という力学が働いていたと言えます。そのためカイリーアタックの方が厄介で43点を奪われていますが、4Qに狙われたのはクラークの方が多く、それもプルアップ3Pを食らっています。

ドライブからジャンプシュートを打つところにJJJが寄ってきてブロック。ブロックしきれないまでもプレッシャーをかけてフローターミスを誘っており、「狙われなかったJJJのカバーが効いた」形でした。どこからでも飛んでくるインサイドに飛び込むのが極めて難しくなったカイリーです。

ちなみにネッツはクラクストンを使いましたが、ノービッグの方がJJJの脅威を薄められたでしょう。ヘルプに来られている時点で戦略負けなんだよね。負けてる状況だったし、今こそスモールって感じだったけどな。

一方でデュラントはJJJを引き出すことが多かったです。この違いに狙いがあるとは思えないのが「相手を選ばない」カイリーとデュラントですが、JJJは珍しくノーファールで対抗しました。4Qのフリースロー0本がネッツの敗因だと言えます。

デュラントがJJJの何に苦労したのかは不明です。単に本人の不調だったのかもしれません。ただ、スピードで抜き去ることが出来なかったのは事実で、リアクションディフェンスでついてくるJJJを振り切ることが出来ませんでした。

加えてデュラントを止めるには、かなり距離を取っていました。普通の選手は、この距離を取ってしまうとデュラントを止めることが出来ません。ジェイレン・ブラウンなんかは密着して押し出すパワーで対抗するもんね。しかし、JJJは割と距離を取っていたのでデュラントとしてはシンプルにジャンプシュートに行けました。

ただ、常に長い腕と大きな手が目の前にありました。普通の選手よりも距離をとっても守れているJJJ。この圧力の感じは、ちょっとレナードっぽい。先読みせずに、ついてくる対応なんだけど、止められそうなプレッシャーがある。

https://www.nba.com/stats/events/?CFID=&CFPARAMS=&ContextMeasure=FGA&EndPeriod=4&EndRange=28800&GameID=0022101089&PlayerID=201142&RangeType=1&Season=2021-22&SeasonType=Regular%20Season&StartPeriod=4&StartRange=21600&TeamID=1610612751&flag=3&sct=plot&section=game

デュラントの調子が悪かったのか、それともJJJが素晴らしかったのか。

印象としては前者です。それはデュラントの方が実績があるからです。史上最高のオフェンスマシーンがジャンプシュートを外しまくる方が違和感があるよね。

言い換えればJJJに足りないのは実績であり、「JJJと対面すると、誰もがこうなる」というイメージ付けかもしれません。つまりは安定して、このディフェンス力を発揮してくれることが必要なんだ。

DPOYなんて初戦は投票なので、エリートディフェンダーというイメージを植え付けることが大事です。ポテンシャル枠から脱却するのに必要なのは「安定感」なので、毎試合エースを止めまくって欲しいのでした。


JJJとドラフト候補” への9件のフィードバック

  1. 大変面白い考察でした。
    記事の内容とは離れてしまって恐縮ですが、ぜひワシントン大のホプキンスHCのディフェンスにも注目してほしいです。
    ワシントン大は2-3ゾーンが有名ですが、素人まで見ても素晴らしいファイト&規律のディフェンスを毎年行なっており、近年ではサイブル、マクダニエルズ、アイザイア・スチュワートなど優れたディフェンダーを輩出しております。

      1. なんと。これは失礼いたしました…
        PAC-12レベルだと動画もあまりないのですね

    1. WCJの方は駆け引きの上手さがね。
      伝わりにくい強みですが、完成度はJJJよりずっと上

  2. 結局今シーズンもポテンシャルはあるけど安定感が・・・って感じになってしまいました。効いてる時のJJJの支配力はホントにすごいので、もっと試合に出て欲しいですが。ファンの中では「ファール癖は改善した」という意見もあります(改善はしているとは思います)が、それじゃあなんで平均27分なの?30分以上出てくれ!と思ってしまいます。
    DFではいろいろ仕事が出来そうで、いつもMAXだから安定感が足りない、ずっと一緒の課題です。POで大事なのは審判との相性!!

    1. プレータイムの問題はオフェンス面の安定感も足りていないので、総じて安定感ですが、不在の間にチームが成長しちゃって、ちょっとチャレンジしにくくなったのは可哀そうではあります。
      いまさらJJJのミスで負けるの嫌ですもんね。シーズン序盤はモラントで負けても許容していたけど、JJJだとさすがに。

  3. 全くひとつも関係ない話をしていいですか。左手シュートの必要性はどの程度ですか。『打てた方が良い。』これは正しい前提ですが、その程度や水準ですね。

    アービングなどはひけらかすように左手シュートを行いますよね。

    1. 左手シュートはみんなやりますが、左手でタフショット打つのは珍しいですね。
      決まればいいので、どっちでもと思いますが、逆手の選択肢が作れるのは武器です。

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