26点13リバウンド

渡邊雄太キャリアゲーム

仕事中にラインがきまして「渡邊がスターターだと思ったらサマーリーグだった」ってね。しかも試合が終わったら26点13リバウンドだそうです。サマーリーグとはいえスゴイ。3年前はネッツのサマーリーグチームでベンチから出て来るだけでニュースだったのに、レギュラーシーズンのスターターとして、チームハイのスタッツを記録してしまった。

「渡邊がエースで日本代表みたい」な試合だったとのことで、なんだったら渡邊は「2WAYプレイヤー史上、最高の出世」になるかもしれない。いずれにしてもキャリアゲームなので、見てみましょう。キャブスも観たいしね。

ところが、この試合は144-99という歴史的大敗でもありました。ってことで、試合はクソつまらん。まぁそれはそれでいいのか。キャブスの事も簡単に触れていきましょう。少なくとも自信をもって144点取れるチームではなかったはずだ。

◎高校バスケか

ザ・高校バスケをしているラプターズ。もともとそういう気配はあったけど、サイズとスタミナのある選手を集めて、かなりメチャクチャなバスケをするんだよね。ただ、そこに知性(ラウリー・ヴァンブリード)と変態(アヌノビー)が加わるとスペシャルなチームになる感じ。特に知性が大事だね。

ってことで、走っているだけのラプターズ。ザ・高校バスケ。ウィンターカップと一緒じゃん。マジで超走る。高校の指導者が「NBA選手は走らない」と言っているかのように走る。

ラプターズが違いを作れるのは渡邊含めてビッグマンでもボールプッシュすること。スピードアップしまくるぜ。キャブスの方も面食らったように突破されてしまいます。ただし、それは自分たちのシュートが決まらなかった時の話であり、待ち構えて守れば、ただ単に「決まりそうにないシュートを早打ちしている」だけに見えます。

そしてラプターズのザ・運動量ゾーンはルビオとガーランド、そしてラブのシュートによって破壊されています。そもそもがアヌノビーの変態的な守備範囲による変態ゾーンであり、ラウリーの先読みカバーが重要である【テレパシーディフェンス】なので、寄せ集めみたいな選手では難しい。

それでもバントン、渡邊、ミハイル、ブシェイはカバーに行く戦術に慣れている。だからまだマシ・・・かと思ったら、全員がインサイドカバーに行って外を空けてしまう案件が連発。ギブ&ゴーでディフェンスの背後を突き、そこに4人のカバーを寄せ、コーナーへキックアウトするルビオ。

知らない名前のベンチメンバーが出てくると逆に動かなくなって、「場所を守っている」ゾーンになったよ。高校バスケか。モブリーとジャレット・アレンがいないキャブスは、逆にこの守り方の方が嫌そうにしています。ラブ、マルカネン、ウェイド、コーネットのビッグマンが出てくるんだから3P打てる方が楽なんだね。

1Q35点のキャブスですが、そのうち21点が3Pでした。ゾーンに対してひたすら外から打っていたキャブス。それしか出来なかったっぽいな。オフェンスリバウンドは0本。

だから走りたいラプターズによって、必然的にスピードアップしました。FG43%、3P25%なのに34点も取れたラプターズ。一応は互角の1Qでした。渡邊は9点4リバウンド。ランニングスタイルになれているような戦いぶりでした。まぁ尽誠学園は走るバスケじゃなかったけどね。

なお、ラプターズはブシェイがFG1/6で2ターンオーバー。この走るバスケで留学生(?)のミスが目立ってしまったかのようだった。相手を考えるとインサイドで押し込むべきなんだけど、ブシェイはそういう駆け引きが苦手だよね。

◎マルカネンはシャック

2Qはゴール下にポジションを取ったマルカネンのターンダンクから始まります。そんなこと出来たのかよ。マルカネンがシャックをする試合です。インサイドがヘロヘロだと先に気が付き、相手に合わせたプレー選択になったマルカネン。

エース渡邊を欠くラプターズはマルカネンのインサイドプレーに困らされます。ペイントの中を細かく動くことでラプターズのゾーンはマルカネンを見失い、ショートジャンパーに合わせのダンクを決められてしまいます。チームメイトのシュートミスもマルカネンがプットバックダンク。

・・・キャブスにそんなことできたっけ?ルビオとモブリーによってチームが変わっていったのだと信じよう。そして散々ゴール下を制圧した後で3Pまでヒットしたマルカネン。3分半で11点も取りやがった。

あっという間に二桁点差になったことでエース・渡邊を戻したラプターズは、さっそくその渡邊がコーナーからのカッティングでゴール下&ワン。インサイド弱すぎるんじゃ。でも、そこはディフェンスの良いキャブスなので、固める意識は高いよ。人数かけて固めたことで、渡邊のドライブをスティールし、ガーランドからウェイドへのアリウープ&ワンで再び二桁に戻します。

キャブスは45°の位置にガーランドとルビオが出てくるのですが、2人が両サイドを広く利用し、インサイドで動き回るラブorマルカネンと、両コーナーに2人が待つ形です。コートを広く利用されているわけですが、これによってラプターズのゾーンは前の2人が無効化されてしまいます。全く持ってプレッシャーが効かず、どこを守っているのか不明な2人。

必然的に後ろの3人が引き出され、引き出されてはフェイクに騙されていきます。騙され過ぎだろ。サイズがあるのにジャンプしすぎているディフェンス。ドライブで抜かれてキックアウト3Pという黄金パターンでやられていきます。ちなみにベンチのPGポンゴスも上手いんだよね。ガーランドがベンチに下がっても変わらない。

この頃になるとマルカネンはベンチに下がっているので、誰もインサイドを強く攻められないはずのキャブスなのですが、そんな相手の事情は知らないとばかりに全力で守りすぎのラプターズ。現実との折り合いがついていない。ルビオのドライブを渡邊がブロックしているし、インサイドアタックに怖がる必要ないのにね。

〇2Qのキャブス
マルカネン  5/6
その他   10/23

マルカネン以外は怖がることなかったぜ。だからキャブスも思ったよりも点差を離すことが出来ませんでした。ただし、ラプターズは2Qだけで7つのターンオーバーを喫してしまい、そのカウンターで失点を増やしてしまった。カウンターされていても、この程度だったともいう。

あと、ラプターズは171センチのPGが良い所を見せようと頑張りすぎた。ボール動かさないと死んじゃうビッグマンが多いラプターズなので、オフェンスが上手くいかなかったんだよね。4アシストしたけど。

前半は72-55でキャブスがリードしました。ハイペースで点を取りまくっただけ。キャブスのディフェンスも良かったというよりはラプターズのオフェンスが悪かっただけ。その点ではラプターズはラプターズらしかったのかもね。

◎渡邊雄太

さて、ここから後半だけで28点もの大差がつくわけでして、内容も大体想像できますね。ルビオとガーランドが作るオフェンスに騙されまくり、ビッグマンシューター達に外から決められまくったのでしょう。後半もルビオ→ガーランド⇒ルビオ→ガーランド⇒ラブの3Pなんてプレーです。ほぼ2人でやってるんじゃないかって思ったら、マルカネンがドライブ&ワンでインサイドを制圧しています。ウケる。

渡邊の話にフォーカスしてみましょう。渡邊がスターターになったのは、これが初めてではありません。コロナによって選手だけでなくコーチもいないラプターズでスターターになった試合がありましたが、その出来が悪く、次の試合からプレータイムを大きく減らしました。3月3日のピストンズ戦かな。

ラプターズはラウリーとパウエルの2人でオフェンスしていました。初戦はロールプレイヤーに過ぎず、それ以上の価値を示せなかった渡邊は、以降はポール・ワトソンにプレータイムを取られました。少しは主役になれそうなワトソンだったのね。

しかし、オフにチームに残ったのは渡邊の方。チーム全体を考えればロールプレイヤーの方が大事なわけですよ。当時はコロナの勢いは沈静化していたしさ。一方で渡邊は渡邊で「役割以外のプレーもやる」なんてインタビューがあった気がします。スターターで試合に出た頃の反省なんだろうなとね。

そんなわけでリベンジの機会が与えられたような本日の試合でした。しかもラウリーもパウエルもいないわけでして、アヌノビーも、シアカムも、ヴァンブリードも、バーンズも、フリンも、アチュワも、バーチも、トレントもいない中での試合です。

・・・・延期しろよ・・・

選手が離脱しまくっているチームは珍しくないけど、ここまで「主役から順に離脱している」ようなチームはないよね。そういえばドラギッチはどこいったのさ。

そんなわけで突如として主役が回ってきた渡邊ですが、だからといってプレースタイルから大きく変わるわけではありません。いつも通り、コーナーに位置してパスを待つことから始まりました。

幸いだったのはプレーメイクに絡むのがバントンとブシェイしかいなかったことで、どう考えても2人でプレーのきっかけを作ることは難しく、必然的に渡邊がコーナーから動いてボールを貰いにくことが増えました。控えのウォータースがPGやっている時間は個人でなんとかしようとしていたので、逆に貰いに行くスペースがなかったね。

そんな感じでコーナーからパスを引き出す動きをした渡邊は、エンドラインのカッティングに加えてエルボーへの飛び込みでジャンプシュートを打って行きました。このプレーはアヌノビーやバーンズもやるので、ラプターズにおける進化です。ちゃんとルールを守った中で、これまでにない点の取り方をしたぜ。

11本のFG成功のうち、4本がこの形でした。ドライブに合わせたり、空いたスペースを見つけたり。また、このシュートは確率も良く、確か1本しか外していなかったと思う。

また似たような感じでトランジションの流れからボールを受けての3Pも2本決めました。あとはリバウンドと速攻の押し込みがメインかな。26点って分解すると意外と多くないよね。

4Qになるとハンドラープレーが増えています。他にいなかったからだろうね。キャブスの選手がベンチのベンチメンバーになったので、成功もありましたが、タコ・フォールにブロックされるなど、全体的に成功率が低かったです。ドライブはやっぱりダメだった。

もっと悪かったのがパスで、ドライブからのコーナーキックアウトがズレるは読まれるわ。パスのタイミングとか、狙いは悪くないように思えたので、キャブスの読みに完敗した匂いもします。ルビオさん、カッコいい。

これらは「ドライブを決められないから、パスも通らない」とも見えました。どっちが先かは置いといて、ハンドラープレーの質の低さは如何ともしがたかったです。ってことで、良い経験にはなったけど、渡邊は渡邊だった。

①コーナーからのカッティング向上
②合わせのジャンプシュート向上
③1on1は厳しかった
④ドライブからのパスがミスだらけ

26点取れたのはビックリ。でも半分は良くなかったわけで、①と②を磨いている重要性を感じた得点面だったのです。

一方のリバウンドは二桁が珍しくなくなってきました。ブロックも記録していますが、本当に高速ヘルプが様になってきた印象があります。従来よりも「次のプレーが何か」の予測が良くなり、グリズリーズ時代のように何をするのか丸わかりではありません。タイミングの良いヘルプが目立ち、だからこそリバウンドもとれています。

ちなみにグリズリーズ時代といえば、キャブスのHCしているビッカースタッフだったわけで、あのディフェンス作ってたHCが、キャブスで成功しているとは信じられないんだよね。

まぁそんな感じです。渡邊の成長は感じられて面白かったし、だからといって想像をぶち破るようなプレーをしていたわけでもありません。そういう意味では、渡邊もまがいなりにもNBA4シーズン目を迎え、ある種の安定感が武器になってきたのかもね。ここまで生き残れただけでも奇跡的であり、まだまだNBAでやっていけそうな選手に育ってきていました。

次の試合も20点オーバーを期待しましょう。チームメイトがパスを出せばとれそうです。

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