元レイカーズ・クズマ

ディアンジェロ・ラッセル、ブランドン・イングラム、ジュリアス・ランドルに続けるのか?

「レイカーズにドラフトされた選手は、トレード後にブレイクする」

そんなジンクスはシックスマンに輝いたクラークソンやオールスターではないけど、多くのチームから人気のあったロンゾも含めれば、結構な確率で現実になっています。なんだかいろんな理由がありますが、1つには若い時に注目チームの注目の若手としてプレッシャーを受けていたのが良いのかもね。

さて、ここまでそんな元レイカーに続いて、クズマがブレークしそうで、信用していいのかどうか、迷う状態にいます。オールスターに選ばれるレベルのプレーはしていないけど、ウィザーズが好調の要因はクズマの存在にありそうです。

〇レーティング
オフェンス  110.7→107.7
ディフェンス 112.3→104.0

ウィザーズが改善した理由はディフェンスにあります。といっても、今シーズンのディフェンス改善はリーグ全体の傾向なので、これをスペシャルと表現できるのかどうかは不明。ただし、ビールまでもが試合終盤まで緊張感のある対人ディフェンスをしているのだから、意識改革は出来ている。

キーになっているのはKCPというエースキラー。先日はアブディヤもエースキラーとして頑張っていましたが、昨シーズンまでのウィザーズは「ディフェンス?なにそれ?」という選手起用をしており、意味不明だったので、HC交代によって考え方が変わったことがわかります。なお、アブディヤは昨シーズンからディフェンスで目立っていたけど経験不足だった。

ディフェンダーが増えた
ディフェンスを優先した選手起用

イメージはこれだけなんだけど、そもそもさ、HCの問題でもありつつ、GMがオフェンスしか考えない補強をしてきたことも問題だったじゃん。だから、ここまでチーム構成を変えたことは謎でもあります。GMにプランがないのか、心を入れ替えたのか。前者にしか見えないので、どうにも信用できないっていうね。

〇ディフェンスリバウンド 39.2本(4位)

しかし、ウエストブルックのトレードでディフェンダーが増えたことは良いとしても、1人で異常にリバウンドを取っていた選手がいなくなりながら、ディフェンスリバウンドの強さもレーティングアップに貢献していることは驚きでもあります。

確かにハレルは加わったけど、これまでもロビン・ロペスやアレックス・レンもいたので、そこを決定打というのは違うかな。意識改革だけですべてが解決するなら苦労しないし。

〇クズマのリバウンド
オフェンス  1.6→1.3
ディフェンス 4.5→8.1

ところが、ウエストブルックの穴をクズマが強烈に埋めています。見ての通り、オフェンスリバウンドは減っている中で、ディフェンスリバウンドは大きく増えています。いやいや、さすがに、これは想定外。スーパースターがいなくなったのを、次にスターになりたい選手がステップアップしています。

そんなわけでウィザーズの好調について、チームについて触れつつも、キーマンになっていそうなクズマを中心に観ていきましょう。ディフェンス力アップはある程度は想定できたけど、ルーズボールやリバウンドに課題が出そうだったウィザーズ。そこをチーム全体の意識改革に加えて、ステップアップするクズマのリバウンドがカバーしています。

◎ビールは決めていない

オフェンスに目を向けると、もっとも大きく変わったのはビールのプレーです。これまでハンドラ―としてボールを持って仕掛け、得点力の高さと展開力の低さ、あと勝負弱さを発揮していました。ファーストオプションとしては機能しに行くく、しかしエースとしては強烈に機能するタイプの選手です。

しかし、今シーズンはハンドラープレーが大きく減り、5年くらい前のウォール時代のようにオフボールのスクリーンからプレーを始め、ハンドラーではなく、フィニッシャーの扱いが増しました。

〇ビール
タッチ数 69.0→71.9
パス数  37.8→40.7

実際、タッチ数以上にパス数が増えています・・・が、実はいうほどスタッツは改善していません。まぁ「ウエストブルックが持ちすぎていた」というシンプルな理由もあって、プレーメイクをオフボールで繰り返しているオフェンスシステムに反して、ボール保持の時間は増えているんだよな。

〇ビール
平均タッチタイム 3.33 → 4.27

ってことで、こんな感じです。なんだよ、良いプレーしているし、ボールを持ちすぎなくなったと思ったけど、なんだかんだとウエストブルックがいた時の方がシンプルに仕掛けていたのか。印象と数字が全然違う。ちなみにウエストブルックとディンウィディの比較も面白いよ。

〇平均タッチタイム
ウエストブルック 5.33
ディンウィディ  6.09

実はディンウィディの方がボールを長く持っていたりして。つまり、プレーコールは大きく改善したんだけど、中心の2人が持ちすぎる傾向は変わっていないどころか、悪化していて、チーム全体で得点するという意味では、ウエストブルックのアシストがあった方がメリットは大きかったようです。本人のシュート力問題もあったけどさ。

〇ビール
得点 31.3 → 23.5
2P 53.5% → 45.5%
3P 34.9% → 23.2%

ってことでビールはなかなか酷い。リーグ全体がシュートに困っているとはいえ、ビールは酷すぎる。得点が落ちた事はチーム事情もあるけど、成功率の低下はオフェンスが上手くいっていないって事なので問題です。

チームオフェンスの意識は高まったけど、ビールの負担は増え、上手くいっていない

そんな状態です。ってさ、思うんだけど、これでビールが上手くいくようになったら、ウィザーズって強くなるのかな?
不思議なことに、ビールが活躍しても、=ウィザーズが強くなる、ってイメージがない。これくらいがチーム全体として丁度良い気がしてきてしまうんだよね。決められないからこそチーム全体が頑張っているような。ウエストブルックがいないと勝っていた頃みたいにさ。

◎困ったときの

そんなチームを支えているのは、チームで2番目に得点を取っているハレル。ミスも多いオフェンスだけど、セカンドチャンスを押し込むし、個人技でも決めきっており、広くなったインサイドスペースを謳歌しています。FG60%超えて18点は頼りになるぜ。

3番目はディンウィディ。3P38%とリーグ全体が困っているシューティングで、ディンウィディらしくない結果を残すことで、チームを助けています。目立つのはショットクロック4秒切ってから1.4本も打っている事で、チームオフェンスが上手くいかなくても、最後にステップバック3Pで何とかしています。

両者ともある意味でチームオフェンスの外にいた得点の仕方で強烈にチームを助けています。そんな事情もあって

実は勝率ほどにはオフェンスは機能していない

そんな匂いがするよね。チームの中心はビールなんだけど、その中心はそんなに機能せず、代わりに困ったときにエースではなくて、ディンウィディとハレルが決めてくれるから、どうにかなっている。いや、ディフェンスのチームだから、この点の取り方はリスクも低く、勝率をあげることに繋がっています。

うーん、それも違うな。チームオフェンスってのが「勝つためのプレー」な気がしていて、それ以外で個人が何とかしてくれるのは「負けないためのプレー」な感じ。ウォール&ビール時代は前者はあるけど、後者が全くなかったようなイメージだ。今はなーんか、上手くいかなくてもディフェンスと個人技でどうにか繋いで大崩れしない。

2人で35点のディンウィディ&ハレル。ちなみにビールはもっと良くなっていくだろうけど、この2人は好調過ぎるようにも見えています。チームが上手くいかない時にこそ働いてほしいタイプが、しっかりと開幕から結果を残しているな。

◎セカンドエース

一方でチームオフェンスにおいて重要な位置づけであり、勝利にとって重要性が高そうなのはクズマ。ビールの次に対応するのがクズマって感じのプレーコールをしているので、リバウンドでも得点でもクズマは大事です。

〇得点
勝ち試合 16.7
負け試合  8.7

〇FG
勝ち試合 45.1%
負け試合 30.6%

〇リバウンド
勝ち試合 10.8
負け試合  6.7

負け試合は途中で負傷退場もあったので、プレータイムの違いも大きいのですが、全体的にクズマの出来はチームの成績にダイレクトにリンクしています。特にネッツ戦とラプターズ戦はクズマの得点源が響き、ホークス戦はリバウンド数が痛かったのでした。

クズマがチームオフェンスにもたらしているものは大きく2つあります。どちらもレイカーズで求められていた要素であり、ウィザーズでスターターになったことで、より強く生かすことになりました。

・スペーシングとカッティング
・オフボールからのキャッチ&シュート

どちらも言ってることは同じなのですが、前者はウイングとしてコーナーまで広がり、スポットシューターにもなれば、カットプレーも決めていくという事。逆コーナーにいるKCPと合わせて元レイカーズがウィザーズのスペーシングを形作っていますが、クズマはそこにカットプレーでインサイドで合わせることも出てきます。

ちなみにデータ上、ウィザーズでカットプレーを記録しているのがハレルとクズマの2人しかいません。オフボールでの合わせを出来る選手が増えた意味の大きさを感じるとともに、八村の復帰も待たれます。

コーナーで待つだけなら誰でもできるけど、そこにタイミングよく飛び込めてこそ意味がある。プレシーズンではコーナーに広がっているだけの事も多かったウィザーズですが、平均33.4分もクズマを起用することで解決している匂いです。

また、コーナーでスペーシングするだけでなく、クズマの場合はよりアグレッシブにオフボールムーブからのシュートも担当しています。基本はビールのためにスペースを作るわけですが、そのビールが動いて空いたスペースに飛び込むのがクズマのお仕事。

いつ動き出し、どこのスペースを使い、どのプレーを選ぶか

実は何となくヴォーゲルがやらせたかったけど、どうしてもやり切れなかった仕事をウィザーズに来て達成しているように見えます。レイカーズで求められたクオリティほどは求められない事で成立しているようにも見えます。繰り返せばクオリティも上がってくるだろうし、スターターになれてよかったね。

〇キャッチ&シュート
クズマ 5.5本
ビール 4.3本
ベルタンス 4.1本
KCP 3.3本

そのためウィザーズの中で圧倒的にキャッチ&シュートが多くなっているのがクズマ。ちなみにほぼ3Pなのはレイカーズと違います。昨シーズンはベルタンスが6.9本打っていることを除けば、全体的に打たないチームだったので、クズマの役割は重要です。

スペーシング、カッティング、オフボールムーブとボールのない所で働くクズマがいるからこそ・・・逆だな。

ディフェンスがビールへの警戒を強めたスキをクズマが活用している

これが一番重要な事です。「素晴らしく活用している」とは言い難いのですが、それでも昨シーズンのウィザーズだと、エースがどんなに働いたところで、それがチームオフェンスに拡張性をもたらしているとは言い難かったのですが、今シーズンは「ビールの動き」→「クズマの動き」とチームの中で連動してきました。

単発オフェンスの印象が強かったウィザーズに連動性が生まれたし、その連動の中心にいるのがクズマなのでした。

〇ディンウィディのアシスト先
クズマ 1.4
ハレル 1.1
ビール 0.9
KCP 0.7

これもなかなか面白くて、プレータイムの関係もありますが、ディンウィディがアシストするのはビールではなくクズマとハレルになっています。ビールを囮にしているようなディンウィディ。あと単純にビールがシュートミスしすぎなんだけどね。

なんだか元レイカーズで成立しているようにしか見えないんだけど、その中でクズマだけは「レイカーズ時代よりもステップアップ」しています。ハレルはクリッパーズ時代に戻った。

これまでビールを生かすPGはいたけど「ビールの動きに連動しているウイング」ってのは新しいかもね。クズマがこれを続けていくことが出来るのか。より確率良くシュートを決めていくことが出来るのか。ここまでチームの勝利と深く関与しているクズマなのでした。

◎好調は続くのか

ウィザーズが勝っているのは何でだろ?

これが今週のテーマでしたが、1勝2敗と負け越してしまったし、わかりやすく「プレーメイカー不足」であることを示していました。特にラプターズにはプレーを読まれまくっていたのが印象的です。そのラプターズ戦の後半はクズマがいなかったこともあって、キーマン不在で負けたともいえる。

ウィザーズはスペーシングも出来ているし、最後までチームオフェンスを展開する気持ちもありました。なんだかレイカーズっぽいな。それはそれとして、レイカーズはレブロンとADがいるからこそ成立していたオフェンス戦術であり、ウィザーズは「プレーが単調で、途中で判断を変えられる選手が少ない」という印象でした。それがプレーメイカー不足だ。

一方でプレーメイカーが足りなくてもフィニッシャー側のクズマが、より効果的に連動させることで解決する問題だとも言えます。ディフェンスの動きを見て、自らのオフボールを変えていくことが出来れば、プレーメイカー側の判断に頼ることなく、違いを作れます。

そんな点も含めてウィザーズにおけるキープレイヤーに見えたクズマ。ここから更にプレーの精度を上げて行くことが、チームの好調を続ける事にも繋がりそうです。

元レイカーズ・クズマ” への1件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    クズマはミドルの選択よりも3を狙っている印象がありましたが、管理人さんの分析から考えるとカットプレーでゴール下やショートレンジまで攻めきるプレーを増やせたことが1つの要因なのだと想いました。エースというよりもウィングとしての能力を上げたことで成功出来ている気がしました。
    最近はディアンジェロもエースではなくKATとエドワーズが目立っているような感じですが、なにか役割が変わったりしているのでしょうか、、、コートを横断するようなパスをあまり見ない気がしていて、やはり寂しい気がしました。

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