3Pシューターを場合分けして並べてみた

前回はFG%の低い選手を並べてみました。シュート力の低い選手はどうなのか?というテーマでした。なので、今回はその逆としてシューター達を探しましょう。

3Pキング = シューター

 

この構図は間違っていないと考えています。しかし、そもそも確率が高ければ3Pキングなのかというとそれは怪しい。

45%のシューターと44%のシューターにどれだけ差があるのか?
ディフェンスを困らせるという点では変わりありません。3Pキングを特定するのは難しいのです。

 

誰が3Pキングなのかは難しいから、取り敢えずロバーソンの逆で多く打っている選手から見てみましょう。
多く打っているということは、シュートが得意でチームから信頼されているはずという前提で3Pアテンプトで並べてみましょう。

 



◯3Pアテンプト数
ハーデン 10.6本
カリー 9.9本
Eゴードン 9.6本
リラード 8.0本
ラウリー 7.5本
ハーダウェイ
Kトンプソン
コビントン
Pジョージ
アリーザ
Lウイリアムス
エリントン
Kウォーカー
フッド

7本以上の選手達です。ラウリーからフッドまで7本台なので、もはや7本は多いとは言えない時代という事です。

ちなみにほんの3年前は4人しかいません。急激な時代の変化です。

 

その中でも上位3人が飛び抜けていることがわかります。ロケッツはアリーザもいますし、リストの続きにクリス・ポール6.9本なんかも控えています。

しかし、こう並べていくと非常に難しい時代になりました。一体どこまでがシューターなのか?

誰もが打つからよく分からない状態に。

この中で確率はクレイ・トンプソンが45%でリードします。それは誰もが認めるシューター。チーム状況を無視すれば、現時点では確率・本数として最高のシューターといえます。

 

一方で気になるのはヒートのエリントン。1人だけ知名度が低い選手です。この人は正にシューター専任職。ほぼ3Pを打っています。

そんなわけで、よくわからないから場合分けしてみるのが今回の企画

シューター達を視点を変えて比べてみよう!



◉100ポゼッションで比較する

戦術としてハイペースで打ちまくるチームもあるので、少し視点を変えましょう。まずはチームを平均化してみます。100ポゼッションあたり何本の3Pを打つのか。

◯100ポゼッションあたりの3P数
ロケッツ 42.7
ネッツ 33.0
マブス 32.8
キャブス 32.8
ヒート 32.2
・・・
ウルブズ 23.1
キングス 23.1
ニックス 21.5

ロケッツがぶっ飛んでいるのは分かりきっていましたが、他はそこまで差がありません。下位になると急激に少なくなってニックスは圧倒的に少ないです。

これは企画には関係ないので、参考までにというだけ。



次は選手のプレータイムを無視して、100ポゼッション当たりに換算したアテンプトで比較してみます。自分が試合に出ていてチームが100回のオフェンス機会があった時に、何本打つのか?

つまり、オフェンス機会を均一にしたら3Pを最も多く打つのは誰なのか?

◯3Pアテンプト 100ポゼッションあたり

ボビー・ブラウン
スペイツ
CJマイルズ
エリントン
Eゴードン
ハーデン
カリー
ダニエルズ
ギャロウェイ
フッド
Nヤング
バータンズ
コーバー
ミロティッチ
モンク

11本以上を並べてみました。驚きの結果です。

ボビー・ブラウンは確率28%なのに打ちまくりです。プレータイムが短いから気がつきにくいけど、どうみても打ちすぎ。

2位はセンターのスペイツ。まぁこの人は実際に打ちまくっています。

確率と本数含めて、気になる選手を並べてみます。



◯推薦シューター
CJマイルズ 38.4%
エリントン 40.3%
ダニエルズ 40.8%
ギャロウェイ 36.6%
Nヤング 39.0%
バータンズ 42.5%
コーバー 43.5%

まぁまぁ有名なシューター達ですが、全員を知っている読者が何%なのか気になるくらいの知名度もいます。

ちなみにリスト外ですがバックスのキルパトリックは管理人も知りません。

 

彼らの特徴はほぼベンチメンバーである事。そしてFGの多くは3Pであり高確率で決めています。ギャロウェイの確率は問題ですが、含めておきます。

3Pが普通の時代に誰もが打つので、特にスコアラー達は高い確率で多くの本数を打ちます。中には確率は低いリラードなんかもいますが。

そんな中でまさに3Pのみを武器として、それだけを求められているのがここにいるメンバーです。

ベンチから出てくるとエース達を差し置いて、キャッチ&シュートを連発します。ディフェンスは外に広げられ、彼らを追いかけ回し、混乱させられます。無視されないためには高確率で決める信頼が敵味方問わず必要になります。



◉シューターではないシューター

少し脱線。調べていて少し気になった2人がいます。

アンソニー・トリバー 39.5%
クインシー・エーシー 34.4%

この2人もほぼ3Pばかり打ち、100ポゼッションで10本を超えるアテンプトです。チームの中には他にシューターがいるので、こんなに打つ必要があるとも思えないのですが、データ上は積極的です。

2人ともPFなのでマークが緩いという特徴もあります。



◉キャッチ&シューター

シュート力だけで生き残っていそうな選手を見たところで、彼らを含めてキャッチ&シュートが得意なのは誰かを調べます。

キャッチ&シュートが4本以上の選手は、3年前は28人でしたが今季は47人います。

◯キャッチ&シュートのアテンプト上位
コビントン
マルケネン
クレイ・トンプソン
アリーザ
エリントン
ゴードン
クラブ
Pジョージ
ライアン・アンダーソン
デマーカス・カズンズ
カリー

ここはシュート能力よりもチーム状況の方が大切なようです。目立つのはウォーリアーズとロケッツ。長距離砲を武器にしているチームです。

そんな中で気になるのはマルケネンとカズンズ。2人とも3Pを打つ時はキャッチ&シュートばかりなのでランクインしました。

ビッグマンのシューターは単に積極的というだけでなくて、味方がパスを狙ってくれないといけません。

ビッグマン2人は新たな傾向として目立ちますが、他はほぼ前述のシューター達です。そこで次はプルアップ3Pを調べます。



◉プルアップ3P

キャッチ&シュートはいわゆるシューターの役割ですが、ドリブルなどで自分で崩してジャンプシュートになると単なるシューターではなくなります。
そんなプルアップでの3Pアテンプトが多いのは誰なのか。

アテンプト3本以上の選手が3年前は7人、今季は19人います。

◯アテンプト
ハーデン 7.9本
クリス・ポール 5.3本
リラード 5.1本
Kウォーカー 4.6本
カリー 4.5本
ルー・ウイリアムス 3.8本
ゴードン 3.7本
ドノバン・ミッチェル 3.5本

やはり豪華なスコアラー達が並びます。シューターというよりもスコアラーな選手達です。自分でプレーメイクして、自分で3Pを打つ。

特に圧巻のハーデン。これだけ打っているのに40.6%と高確率。打てば打つほど警戒されるので、構わず決めている事がわかります。

自分に有利なシュチュエーションを作ることにかけてはリーグNO1のシューターです。

ここまで本数で比べていますが、確率だってもちろん大切です。このプルアップでどれくらいの確率で決めるのか。

なお、ルーキーだけど打っているドノバン・ミッチェルは29%。この確率が30%後半になったシーズンこそジャズが本気で優勝を目指し始めるべき時期になるでしょう。



◉確率順に並べてみる

アテンプト3本以上で比べます。

◯プルアップ3P確率
ルー・ウイリアムス 43.5%
リバース 42.0%
オラディポ 42.0%
エバンス 41.6%
ハーデン 40.6%
カリー 39.7%
ラウリー 39.0%
リラード 38.8%
アーヴィング 38.8%

なんとクリッパーズがワンツーフィニッシュ!どれだけ優秀なシューティングコーチがいるのか。

ムダ打ちの代表格ともいえる2人ですが、今季は高確率で決めてしまうので、ムダではなくスーパーな活躍をしています。

そしてオラディポやエバンスなんて新顔も登場します。2人とも移籍して役割が大きくなって飛躍している今季。エースとなったオラディポは不動ですが、エバンスについてはトレードの噂が流れてもおかしくない活躍ぶりです。

ハーデンはカリーを上回ります。こんな部分が今季のMVPはハーデンと考える理由でもあります。得点が多いのは単に打ちまくっているからではありません。



同じ基準でキャッチ&シュートの確率を比べます。

◯キャッチ&シュート確率
デュラント 46.6%
コーバー 46.2%
クレイ・トンプソン 45.5%
レジー・ブルック 45.2%
プリンス 44.7%
マービン・ウイリアムス 44.4%
ムーア 44.3%
ブラッドリー 43.4%
Pジョージ 43.3%
フォーミエ 43.3%
ノビツキー 43.2%
デビン・ブッカー 43.2%

いやいやいや、ここでデュラントがトップになるのか!? リーグ最高のスコアラーは流石です。そして続くのはコーバーとトンプソンというマークされまくっているはずの2人。

そこからは新顔が並びます。ピストンズはブルック、ブラッドリーと高確率の選手を抱えることに。それだけパスを回すスタイルが重要ということです。パスというかハンドオフというか。

ホークスのプリンスやホーネッツのマービンはシュートが上手いイメージがないので意外です。

 

個人のシュート力+チームでフリーにするシステム

 

プルアップよりも5%高い水準での競争のため、この両方がないと簡単には確率が上がらないようです。



◉ディフェンスとの距離

チームでフリーにしてあげて打った時に頼りになるのは誰なのか?
フリーではなくても頼りになるのは誰なのか?

そんな視点でも見てみましょう。

◯ワイドオープンの確率
Pジョージ 54.0%
マルケネン 48.0%
ラブ 47.5%
カリー 46.7%
Aゴードン 44.9%
イングルス 44.7%

3本以上のアテンプトがある中で、段違いのポール・ジョージ。信じられないような超高確率。

ワイドオープンにしてはダメなのに、オープンになってしまうのはアダムスというスクリナーの存在による気がします。

イングルスは相手の動きをみて視界から消えてフリーになるのが上手く、マジックのゴードンは運動量でフリーになります。

ラブは自分がスクリナーをしながらディフェンスの動きをみてフリーになる上手さがあり、マルケネンもスクリナーしたり周囲と連動した中で気がついたらフリーになるタイプ。

アテンプトが多いのはカリーとロケッツのゴードンなのですが、この2人はフリーになるのも上手いけど、それよりもロングレンジから打つのでフリーとされるシーンが多いからかも。

フリーになる能力+決める能力という面では一歩抜きん出ているPジョージでした。



ではフリーでなければどうなのか。ディフェンスがしっかりと守っているのに決めてしまうような防ぎようのない選手は誰でしょうか。

 

タイト、ベリータイトという分類がありますが、ベリータイトは母数も少なければ状況としてもショットクロックギリギリとかなので、タイトで比較します。

ちなみに2本以上打っているのがハーデンとデュラントだけなので1本以上で検索です。

◯タイト3P
コビントン 44.6%
フッド 44.2%
カーメロ 41.7%
CP3 40.7%
エリントン 39.7%
コーバー 39.6%
アーヴィング 39.5%
レディック 39.2%

なかなか興味深いラインナップです。

 

まずは初登場のカーメロ!サプライズ!

キャリアワーストと言われるカーメロですが、タフショットを決める能力の高さを持っています。逆にいえばフリーで決められていないので、自分で何とかして打ちたいタイプです。

ちなみにポール・ジョージはアテンプト自体少ないので、セレクションタイプです。対照的な2人。

コビントンとフッドも3P能力に定評はあるけど、リーグを代表するようなシューターではありません。この2人もやはりタフショットメーカーといえます。
CP3はタフショットというよりも自分が打つしかない状況の方が決まりやすいパサー故の特徴かな。

むしろエリントン、コーバー、アーヴィング、レディックについては高いシュート能力が遺憾無く発揮されている感じがします。
つまりフリーでもタイトでも同じように打てるタイプの選手達。

タフショットメーカーは苦しい状況で燃えるタイプだけど、この4人は冷静に淡々と動じないで打つタイプ

両方のタイプを感じられるランキングでした。



長くなってきたので、ここらで終了します。いろんな名前が挙がっているので、次回はベストシューティングチームを考えてみたいものです。

Q、最高のシューターは誰なのか?

何も言われずに投票でもすればスプラッシュブラザーズが頂点を競いそうですが、場面を分けていくとそう簡単ではないことが見えてきます。

様々な場面で名前が出てくる万能型のカリーに対し、自分の型にはめるトンプソンなのかもしれません。

 

今回の内容で自分なりのベストシューターを探してもらえれば、と思います。名前が出ている選手は単なる確率では比較できないくらいの高確率ばかりです。

 

そして、そんな視点で考えると今回のMVPは万能すぎて頻繁に名前が登場し、ベンチからだけど3Pだけで結果を残しているようなエリントンです。

カリーのシュートが怖いからフェイクに引っかかるわけですが、エリントンのシュートは怖いけど迷いのない速さでブロックにさえ行けない3Pを打っています。

正に3P専任職のエリントン。スポルストラの起用法による共同作業かもしれません。

 

 

もう1人はフリーになって高確率という1点だけでは、他を圧倒したポール・ジョージ。こちらはウエストブルック様様。

しかし、そんなポール・ジョージは3Pの方がよく決まるタイプです。果たしてそれはシューターなのか?

少し疑問が残ったので、違う視点でも考えてみたいものです。

続く。

 

PS.最高のシューターを考えると候補にCJマカナムが浮かぶのに、全く名前が出てこなかったよ!!

 

3Pシューターを場合分けして並べてみた” への2件のフィードバック

  1. シチュエーション別の考察、面白いですね。
    普段見えないものがたくさん出てきますね。
    NBAはもちろん、普段やってる草バスケでも応用できる考え方で、面白いです。
    メロは、本来ファーストオプションでこそ生きるタイプ、ってことでしょうかね。
    まあ、このデータから、メロの生かし方を考える、ってのもあり、というか既にやってるかもですが。
    相変わらず面白い検証です。

    1. カーメロの名前が出てくるとは思いませんでした。
      本当はシュート前に動いているとか、フェイク使うかとかもわかれば面白いのですが。

      好意的にみればウエストブルックのパスがアレなので、慣れていないからかもしれません。ポール・ジョージは夏も一緒に練習したから慣れているのかも。

      「シューター」も戦術に合わせてタイプを選ぶ時代ですね。自分のチームにいるシューターに合わせてパターンを考えるべきかも。

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