BOSを救いたい(救って)
スマートがぼやいていましたけど、BOSってどうなんでしょう?
主にセルツ目線の質問を貰いましたが、原因はブルズとの4Qにあったので、そこだけみてみましょう。3Qまで103-89と14点リードしながら、逆転負けしました。「14点差」の逆転は大して珍しくもありませんが、その4Qが39-11と圧倒的だったのが問題です。
大逆転といえばネッツブログとしては、vsキングスの28点差(記憶のみ)をディアンジェロ+4人のPFで覆したのが思い出されますが、あれも試合開始から見ていると「なぜ、4人のPFだったのか」というキングス対策がキーになっており、そこにディアンジェロのラッシュが絡みました。あの試合はキングス目線では、そこまで否定するものはなかったんだよなぁ。
他にもラプターズvsマブスの30点差(記憶のみ)の大逆転がありました。どっちにもRHJが絡んでいるけど、これはフルコートプレスっていうもので「4Qだけみていてもわかる」内容だったのも面白いよね。
まぁそんなわけで、4Qだけみても真実はわからないのですが、まだ開幕したばかりで、両チームとも数試合観ているので、3Qまでの内容は想像を膨らませてみましょう。そして、それぞれのチーム目線で4Qについて語ってみましょう。
◎追い込まれて閉塞するセルツ
4Qは10-0のランから始まったので、セルツが一方的にやられていた印象が生まれそうですが、逆転されるほど、悪い内容ではありませんでした。
・ボールムーブからワイドオープン3Pをミス
・グラントがチャージドロー
・テイタムがキックアウトをスティール
攻守にわたって悪くないプレーをしており、Jリッチとシュルーダーがワイドオープンを1つでも決めていれば、流れはここまで傾かなかったはずです。初得点は交代で出てきたスマートのドライブでしたが、総じてボールムーブして空いた選手が打つ形が出来ていました。
〇3P
3Qまで 15/24
4Q 0/8
〇ペイント内得点
ブルズ 54
セルツ 36
もともと3Pへの依存度が高く、これが決まらないとオフェンスにならないです。3Qまで決まりまくっていたのが、4Qになってサッパリ決まらなかっただけといえば「だけ」です。試合全体で見れば45.5%も決まっているので、ここを言い訳にするのは厳しく、むしろ「3Qまでが出来過ぎだっただけ」なのかもしれません。
ところが、3Pが決まらず10-0のランになったものだから、大きく崩れ始めます。シンプルに言えば「テイタムに頼れ」になって、明らかにチームのバランスは崩壊しました。苦しい時間帯にエースにボールを持たせ、周囲の足が止まる典型的な例です。
また、テイタムにはずっと続く問題があるというか、本来はテイタムの問題じゃないのですが、ハンドラーをやらせると2つの課題が見えてきます。
・ペイント内への侵入が少ない
・大きなキックアウトが出てこない
前者については3Pをチョイスすることが多いことと、スピードで切り込んでいくタイプではないことが関係しています。1on1で点を取る能力は高いですが、プレーメイカーとして「崩して展開する」のはあまり上手くありません。チームが苦しくなった中で、テイタムアタック中心になるとディフェンスは楽になります。なお、楽にはなるけど3P連打されると何もできなくもなるので、これがNGってことではありません。ただチームメイトの足は止まりがち。
後者については2年前のプレーオフあたりで大きく改善してきたかと思いきや、ロスター変更したら元に戻りました。テイタムの場合は「横にいる選手にパスを出す」ことは出来るけど、スキップパス系統はあまり得意ではありません。上のプレー傾向も含めて、テイタムに期待することが間違っているともいえます。
一方で良かったプレーはブラウンがボールを運び、その間にウイングのテイタムに対してスマートがスクリーンをかけ、そのままインサイドに飛び込ませたプレーでした。タイムアウト明けに用意されましたが、個人で決めきる能力は高いテイタムなので「周囲が崩してテイタムにもたせる」のは正解です。
「おれって、コーナーで待っているだけじゃん」なんてことをスマートが呟いたとかって話ですが、本来はスマートにプレーメイクさせて、両ウイングにフィニッシュさせるのが理想のはず。ただ、この4Qのように追い込まれてくると、どうしてもエースに渡してしまいます。
・・・追い込まれなくても、その傾向はあるか・・・
ホーフォードの加入により、テイタム→ホーフォードのパスから、もう1つ展開できるようになりました。それは昨シーズンまでも「ホーフォードが欲しいなぁ」と感じさせた部分ですが、当時以上に機能しなくなっているのはなんでだろうね。
◎コンディションなのか?
「周囲の足が止まった」のはオフェンスシステムにありますが、ここで足を止めたことが理由なのか、攻守の切り替えでブルズに完敗していました。特にテイタムとシュルーダーは遅く、またトップ近辺にホーフォードがいる状態だと、純粋に走力負けをしています。かつてはチェイスダウンで救ってくれたけど、歳を重ねすぎたな。
特にブルズは走る選手を揃えたチームなので、その差は明らか。数的不利で戦っているかのような印象を抱かせる苦しいセルツでした。
また、それ以上にハーフコートディフェンスで後手後手なのも気になりました。ブラッド・スティーブンス時代にはありえなかった状況が出ています。まず、スマートやJリッチでさえも、何の変化もついていないラビーンのスピードにタジタジ。さすがにこれは意味が分からなかった。
ただ、その先にあるのは、やっぱりホーフォードの話で、ヘルプポジションに来るのが遅いor一歩届いていないので「ラビーンのドライブ→2人で囲む」はずが、実質的なスイッチになってしまいました。要するにホーフォードがJリッチにスクリーンをかけているような状態。ドライブコースに入っていれば2人で囲めたのに、ラビーンの後ろを追いかけるようなケースが3~4回みられたぜ。
ちなみに、それでもホーフォードがいる時間帯は、個人の判断でヘルプに出ているから守れている方で、チーム全体のカバーリングとローテルールが整備されていない印象を受けました。
これがデローザン登場と共に一気に崩壊します。比較的、自分発信で進んでからチームを見ているラビーンに比べて、チーム全体を俯瞰してから自分で行くのがデローザン。そのため、ボールを貰った時点でデローザンが空いていたり、ドライブしてホーフォードにところに突っ込んでミドルを打っていました。
・ディフェンスの足が動いていない
・ヘルプ&ローテが整備されていない
こんな傾向を強く感じてしまった。そしてテイタムやシュルーダーはオフェンスに気持ちを持っていかれている気もする。昨シーズンの時点で「モチベーション問題が発生している」と感じたセルツですが、あのブラッド・スティーブンスがコントロールできていないことが不思議でした。モチベーションの天才じゃん。
HC交代からの新シーズンは、コンディション問題なのか、モチベーション問題なのかわかりませんが、純粋に走れていないのが目立っています。なお、コロナ後遺症のブラウンってのもあったね。
〇ペイント内失点 51.1本(26位)
〇被3Pアテンプト35.4本(16位)
〇被3P成功率 37.1%(24位)
この試合までの傾向としては、ペイント内を守れていないので、やっぱりヘルプが機能しておらず、その代わり3Pについては本数を抑えています。3P優先の守り方だね。ただし、ローテが機能していないからか成功率が高くなっており、間に合っていないケースが多い様子です。
オフェンスの問題はいろいろあれど、まずはここのディフェンスを改善しなければいけません。特に昨シーズンリーグ5位だったペイント内失点が、下から5番目になったことは大きな問題。インサイドの補強をしたはずが、弱体化しているのでした。
◎運動量のブルズ
セルツの逆でブルズが好調な理由は、どこよりも「足が動いている」からです。パトリック・ウィリアムスの離脱というアクシデントがありながら、ガードばかりを起用してディフェンスで成功を収めています。これはさすがに予想外過ぎるのでした。
Ayo Dosunmu
193センチのルーキーは、4.5点、2.2リバウンドながら、毎試合強烈なインパクトを残してくれます。イージーシュートになりそうなシーンには必ず顔を出してくるハードワーカーは、ブルズのベンチメンバーを支えており、この4Q序盤も「よくわからないけどブルズがラッシュした」ことの最大の要因でした。なんて読むのが正しいんだろ?
ジャボンテ・グリーンとドスム(?)の2人は、サイズがないことを忘れさせるハッスルプレーでブルズを大きく変えてきました。またトニー・ブラッドリーが控えセンターにはいったことで、サイズの問題も少し解消されています。デリック・ジョーンズを含めた3人で得失点差を稼ぎまくってくれているのですが、全員が得点はとらないので目立っていません。
4Q序盤のセルツは悪くなかった
→ハードワークでランを生み出したブルズ
こんな状態でした。ワイドオープン3Pが決まらなかったセルツに対して、リバウンドから走った2本が非常に大きく、ここからセルツのリズムが崩れるとともに、そこまで機能していなかったハーフコートオフェンスを楽にしてくれました。
まぁハーフコートオフェンスで、突破できるのがラビーンしかいないのに決めてくれたからなんだけどさ。そしてデローザンが出てきたら、一気に加速したじゃん。
◎誰が試合を締めるのか?
ブルズの疑問点だったところですが、答えは「デローザンであって、デローザンではない」でした。6割くらいのオフェンスをデローザン主導にしていますが、そのデローザンはスペースに飛び込んで、チームメイトを使い、ヘルプが来ないと見たら、チェンジオブペースでリングに飛び込みました。
デローザンって2回目のスリーピート時代のMJみたいじゃないですか?
イメージはサンズのクリス・ポールに近いかも。エースはブッカー(ラビーン)なんだけど、プレーチョイスするのはクリス・ポール(デローザン)であり、クリス・ポール(デローザン)が打つのが最も確率が良いけど、強引には打たないから、エースというほど得点に絡むわけじゃないよ。
さらにブルズにはブーチェがいるので、デローザン&ブーチェでプレーを作っているというか、両サイドにワイドな展開が出来ます。それはテイタムから大きなパスは出てこないセルツときわめて対照的でした。
ちなみにロンゾはほぼディフェンダー。これもまた役割分担的には良いのかもね。
トドメはドライブしたデローザンから、カルーソ、ロンゾと繋いでコーナーのデローザンが3Pでした。トップ近辺に止まっているテイタムに対して、プレーメイクしながらコーナーシューターにもなっていたデローザンなので、違いがハッキリしていた終盤でした。
それは「テイタムとデローザンの差」ではなく、「足が止まっていたセルツと、全員が流動的にポジションを動かしたブルズ」の差です。
好調なチームがハードワークと全員が最後までプレーに絡む形で機能し、不調のチームがエースに頼り足を止めてしまうという非常にわかりやすい構図だった4Qです。ここまでわかりやすい現象は、滅多に起こらないでしょう。だからこそ37-11なんていう、酷い結果になったわけだ。
◎HCの戦い
シーズン前に「バランス取れるのか」と書いた内容そのままに、ハードワーカーと主役、ディフェンダーと主役が綺麗に混ざっているブルズ。ある意味でビリー・ドノバンらしくない主役を揃え、ビリー・ドノバンらしいわき役を集めたことが上手くいっている要因です。まじで2年前のサンダーっぽいな。ブーチェ以外は。
セルツはここからディフェンスを整えて巻き返せるのか。
ブルズは好調を維持して突き進めるのか。
HCとして「チームの絵を描く」のはドノバンに軍配が上がりました。しかし、シーズンは長い。ここから「柔軟性と調整能力」が問われ、「成長促進」を達成したチームが勝ち始め、「モチベーター能力」で勢いが生まれます。まだ始まったばかりですが、対照的な両チームがどう進むのかなー。
非常に面白い記事、ありがとうございます!
ウィザーズ戦で3Pが壊滅的だったにも関わらず競っていたのと、ブルズ戦で3Pが決まらなくなり崩れたのと、この違いは何なのかについて良ければ教えて頂けると嬉しいです!
どーせ終盤までにはセルツは何とかすると思うので(根拠なし)、全然整備されていなさそうな今試合をしておきたかったなー