ヒートがプレーオフまでにやるべき5つのこと

開幕を4勝1敗でスタートしたヒート。早くもラウリー効果が著しく、これまでのヒートに足りなかった要素をわかりやすく足してくれています。

・トランジションの判断
・ミスマッチ利用の推進
・パッシング&ドライブ

要するに「ゲームメイカー」としての能力が高く、コンビプレーやチームプレーはしっかりと構築されていても、そもそも何をするかの判断力に乏しい一面があったヒートに、起点役としての頭脳が加わった感じがします。結果としてバトラーとアデバヨがボールムーブするシーンは激減しており、ドラギッチよりも「初めにボールを持つ選手」という認識が強いです。

〇パス数
チーム 285.2 → 287.5

バトラー 54.9 → 52.8
アデバヨ 44.6 → 41.0
ドラギッチ42.2 
ラウリー      → 61.7

チーム全体のパス数に変化はないのに、明らかにラウリー分が伸びまくっています。だけどバトラーとアデバヨに大きな変化はないので、3人のプレーメイカー+ヒーローという形が機能しています。ある意味でボール持たないタッカーってのも大きいかもね。

イメージとしては「ドラギッチ→ラウリー」というトレードですが、パス数を考えると「オリニク(イグダラ)+ドラギッチ+ナン → ラウリー」という雰囲気のため、よりチームのベースがわかりやすくなりました。意外だけど起点になる選手が減ったことが、ヒートを強くしたかもしれません。

課題① わかりやすくなったオフェンスで、機能的なパターンを増やす

ヒートがプレーオフまでにやるべきことの1つ目がこれ。チームオフェンスは核がハッキリとし、形が理解しやすくなりました。確かにイグダラやオリニクが中継するよりも、今の形の方がそれぞれの役割が明確です。この明確さが、安定したオフェンスに繋がっています。

しかし、ヒートは点が取れていません。つまり、安定したから勝利に近づいたけど、現実問題としての得点力は落ちているわけだ。

〇オフェンス
レーティング 110.6 → 108.2
ターンオーバー 14.4%→ 15.0%
EFG 54.65 → 50.2%

よくこれで勝っているよね。現状で機能していないのはとにもかくにも3Pです。29.6%しか決まっておらず、マジで4勝1敗が信じられん。

〇3Pアテンプトと成功率
ダンカン 8.6本 27.9%
ラウリー 5.3本 14.3%
ストゥース4.0本 30.0%
タッカー 3.4本 29.4%
モリス  2.2本 18.2%

ヒーローが7.0本で37%決めているのがスーパーに見えてくるほど、酷すぎるヒート。起点はわかりやすくなったけど、オフェンスパターンとしての規律が取れているとは言い難く、未だにアウトサイドが全く来ません。

ところで、ここにストゥースの名前があるのがポイントで、単にダンカンに次ぐシューターってだけでなく、オリニク、イグダラ、ナンなどを削ってラウリーが加わった恩恵があるわけです。タッカーやモリスも含めてエース+3Pという構図を作っただけに、シューター達が決めてくれないと設計倒れなわけです。

3P担当達がどれだけアジャストできるのか。それがヒートがやらなければいけない近々の課題です。

〇オフェンスリバウンド 8.0 → 12.6

一方でオフェンスリバウンドが大きく増えましたが、その理由って2つあるんだけど、まず何よりも純粋に

3P外しまくっているから、ロングリバウンドを取る機会が増えた

これね。マジで、ただ単に自分たちが外しまくっているだけ。さて、拾っているのがアデバヨとデッドモンなのは、まぁいいとして。あとバトラーも通常だな。ただ、そこにタッカーとモリスが加わりました。なんと5人が1本以上のオフェンスリバウンドを記録しています。

・新たにリバウンド担当(タッカー・モリス)が生まれた
・アデバヨがアウトサイドのプレーメイクが減って、リバウンド参加が増えた

前者はわかりやすく、これまでオリニクにしろイグダラにしろアリーザにしろ、プレーメイクの中でパスの中継役になっている選手でした。でも、ラウリーがいることで中継役は不要となり、タッカーとモリスが3Pとリバウンドの仕事がメインになっています。

またアデバヨがキレキレなことと、こちらもプレーメイク参加が減ったのでゴール下にいることが増えました。アデバヨの場合は、これに加えてラウリーによってミスマッチにしてからゴール下に行くことが増えています。デッドモンのオフェンスリバウンド増は、特にこの傾向が強く、まともなマッチアップじゃないところで取っているイメージだ。

ところで、プレーオフまでに考えるべき1つにラインナップの柔軟性があります。アウトサイドはほぼ問題ないのですが、デッドモンを起用するのか、それともタッカー+モリスの形も求めるのか、悩ましい所です。つまりはネッツ対策として、スモール合わせを1試合続けることも検討しなければいけません。

課題② ビッグマンの組み合わせを試していく

先日のネッツ戦はデッドモンの9リバウンドがキーになり勝利しました。相手にない武器を使うのか、相手に合わせた形にするのか。決め打ちにするチームもありますが、スポルストラは両方準備しておくタイプなので、現在の好調が続いた先にはテスト期間が始まる可能性が高いです。急に負けだしたら、そういうことだ。

またホーネッツ戦は相手がノービッグだったため、最後はダンカン(3P決まらない)とタッカーを外し、ヒーローとストゥースで勝負しました。早速試してきたわけですが、こちらはアデバヨのワンビッグでの戦い方です。リバウンドが好調だから出来る技だな。

ってことで、上手くいっているから、試しまくるよ。きっと。大体、こんなにシュート決まらないで勝っているんだから、ディフェンスよりもオフェンスを試したいだろうな。

そのディフェンスはとにかく「ラウリーとタッカーの見えない貢献」が光りまくっています。ボールのない所でのヘルプポジションの取り方が、秀逸というか、そりゃあ今までのPGに比べたら個人でも守れて、チームディフェンスはリーグトップのラウリーだから、劇的に改善するわな。

タッカーについてはアリーザとイグダラなので、大した変化はありませんが、アデバヨがアウトサイドまで追いかけた形が安定してきました。アリーザだとフィジカル負けすることがあるので、バトラーとタッカーでインサイドの強さをキープしています。

〇ディフェンスレーティング
オン/オフ
アデバヨ 88.3/100.5
タッカー 86.1/99.6
ラウリー 88.8/96.7

このスタッツの正しい見方がわかんないわ。いなくてもとんでもないけど、いると更にトンデモナイ。特にアデバヨね。っていうか、だからこそアデバヨがベンチの時間は、もっとラインナップをテストしようって事だ。

さすがに、この数字は続かないでしょうが、アデバヨとラウリーの重要性は高いまま続くと思われます。ダンカンが出ていないと守れるってことも含めて、終盤の組み合わせはいろいろと考えられそうだ。

課題③ アデバヨとラウリーの健康管理

ベテランのラウリーには定期的に休養を与えそうですが、昨シーズンの問題はシーズン前半に頑張りすぎたアデバヨのコンディション不良だったので、働かせすぎてはいけません。状態が非常に良いけど、シーズンは長い。他の選手も重要だけど、この2人については代役がいないんだから、特に重視しないといけません。

好調な時ほどワナが待っている。アデバヨとラウリーが強烈だからこそ、頼りすぎは禁物だよ。勝率は休養を生み、休養は勝率を生むんだ。これは成績が良いチームに許された特権でもあるので、バックスも圧倒的に強い時はプレータイムが短かったし。

ってことで「もう少し楽に勝つ試合を増やせ」ってことになり、「3P決めろや」でもあります。それもまたコンディション管理の1つなのかもしれない。

課題④ ビンセントの成長か、新たな控えPG獲得か

この状況において、シーズン中盤までに考えておくべきことが、控えPGビンセントのことです。もともとシューター的な選手なので、ラウリーの控えはタイプが違いすぎます。とはいえ、ヒートはノーPGで問題なく機能してきたチームであり、ラウリーが休みならビンセントがシューター的に振舞えばいいだけさ。

しかし、ペイサーズ戦で機能していなかっただけでなく、そもそもシューター的な選手が増えたから、ビンセントの意味が小さかった。やっぱり普通にパサーが欲しくなるじゃん。もしくはノーPGにして、ディフェンスとドライブも期待できるケイレブで良かったんじゃないかってね。

はい。なのでビンセントが成長するか、それともトレードやFAで第3PGを連れて来るかは考えましょう。極めて小さなトレードなので、気にする必要はないのですが、ここまでラウリーが機能するならPG専門家が欲しいよね。アーチディアカノとかさ。

ちなみに別の視点ではオクパラの成長も欲しい所です。あるいはストゥースがそこも奪ってしまうのか。いやいや大本命オラディポの復活があるのか。

ここまで35分もプレーしているのがバトラー。ただ、代役って考えると得点面ではヒーローがいます。足りていないのはハードワークの部分で、アリーザとイグダラというウイングディフェンダーが減った影響が出ていました。オクパラの仕事だけど、ストゥースも身体は張れるから悪くない。頑張れケイレブ!

いずれにしても、オフェンスの悪さをスペシャルなディフェンス力で補って勝ってきたことは「不調でも勝てる」という強みを生み出した一方で、バトラーを長時間起用することに繋がってもいます。

誰かが3P決めまくって助けるか、ウイングディフェンダーがもう1人出てくるのか。まぁ前者をなんとかしろって感じだな。

課題⑤ 必殺ゾーンの仕切り直し

最後の課題はゾーンの再構築です。ファイナルまで進んだ最大の武器だったゾーンですが、今はマンツーが機能しまくっているのでゾーンにする意味がありません。しかし、ゾーンを機能させないとダンカンを使いにくくなってしまいます。幸いにしてダンカンとヒーローくらいしかマンマークに課題を持つ選手がいないので、マンツーでもイケちゃうのですが、スポルストラだと何か仕掛けたいでしょ。

1-2-2ゾーンみたいなこともしていましたが、もともとはアデバヨを真ん中に置いた3-2やバトラーやデリック・ジョーンズを前にした2-3だったはず。つまり、選手の特徴によってゾーンを作り替えていました。

まだ現メンバーに合ったゾーンが何かを決めかねている様子。必殺ワザとして、得点が欲しい時のカウンターアタック用として、いろんな使い方があるので、ゾーンを育てていくことが必要です。かといって、「育てすぎるとバレる」ってのも面白いわけで、ある程度の即興性をもったゾーンをスポルストラは考えているはずです。

◎強さの余白

そんなわけで新加入が機能して好調のヒートだけど、中身を見るとオフェンスはズタボロ。オフェンスっていうか3Pか。それを予定通りのディフェンス力と、変更されたロスター構成の中でリバウンドが救っています。あと、ヒーローのスペシャルなスコアリングだな。

その意味ではチームは未完成も未完成。ただただ、個人の強さで補っているだけにも見えるわけだ。プレーオフに向けて完成度を上げて行く時間はたっぷりと残っています。既に強いけど、もっと強くなれる余白が余りまくっているのでした。

ヒートがプレーオフまでにやるべき5つのこと” への3件のフィードバック

  1. 今年は全体的に3が入ってない気がします。
    久しぶりに満員の観客だから緊張でもしてるんですかね(笑)

  2. DRTG95.1はリーグトップで、MIA単体でも昨シーズンの110.7から大きく落としてますよね。-15.6というのはかなり顕著な変化です。3P29.6%でも勝てているのは急激な守備優勢のトレンドが背景にあるのだと思います。

    その上で守備優勢=低FG%でも勝てるということなので、バトラー、アデバヨ、ヒーロの3人はミドルレンジのアテンプトを昨シーズンより1〜2本増やしています。3人が同時に増やしているので、これはチームとしての明確な方針ではないかと思います。

    何が言いたいかと言うと、3Pが入らない=規律が取れていないというのは少し違うような気がします。そもそも規律とは何なんだ?というのもあるんですが、3Pだけに頼らないオフェンスを志向しているのが今シーズンのMIAではないかと。まぁまだ5試合だし、3Pが入るのに越したことはないんですが、NET RATING +16.5という数字を見ると、今までと違うものさしで見るべきチームじゃないかと思います。

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