新生ブルズは噛み合うのか

ブーチェビッチ、デローザン、ラビーン、ロンゾ、パトリック・ウィリアムス

魅力的な5人を揃えてきたブルズはイーストの注目チームなのは言うまでもありません。しかし、中位予想が多く、そして「プレーオフでは勝てないだろう」という声が大半を占めています。まだ開幕もしていないのにプレーオフの事を考えても仕方がないので、シーズン通して「チームが噛み合う」ようになっていくことが大切です。

『噛み合う』と言われると、やはりオフェンス面を想像するのが一般的。特にデッドラインでブーチェビッチを獲得したものの、有機的に絡むことなく、分断されたようなオフェンスをしてしまったことは記憶に新しい。前任のボイレン時代がガードの個人技アタックで構築されていたため、突如としてビッグマン起点になっても上手くいかなかったのでした。

しかし、今回触れたいのはそんなオフェンス面ではありません。

ロンゾ、デローザン、カルーソと加わったガード陣は、全員がパスをしっかりと出していくタイプです。ドライブからのパス能力が向上しているラビーンを含め、全員がアンセルフィッシュなプレーというか、強引さを押し出さないプレーが基本なだけに、これまでよりもボールが回っていくはずです。

ラビーンとデローザンの組み合わせがどうなるのか、ロンゾのトランジションゲームが作れるのか等、細かい部分での不安はあれど、何かしら明確に引っかかるような要素はなく、ブーチェビッチのポジションレスを利用しつつ、パス&ドライブでオフェンスが作れそうです。

◎ディフェンスの不安

ブルズの評価が低いのはラビーン、ブーチェビッチ、デローザンとディフェンス面での不安が大きいラインナップになるからです。対人ディフェンダーとして高い能力を示しているロンゾとパトリックがいるとはいえ、チームとしてディフェンスの弱点が大きすぎるというわけだ。

ウェンデル・カーター
サディアス・ヤング
ギャレット・テンプル
アル・ファンク・アミヌ

PGとしてはサイズのあるサトランスキーやウィザーズで活躍したギャフォードも加えれば、補強のために放出した選手たちはブルズのディフェンスにとって重要な選手ばかりでした。そのため、単に「弱点となりそうな選手が加入した」のではなく「ディフェンス要員を放出した」という事実が重くのしかかりました。

新たにカルーソも手に入れたとはいえ、ロンゾとデローザンを獲得した時点では、ディフェンスはかなり苦しく見えました。同時に4人のスターにサラリーを使っているため、ミニマムに近い額での選手しか集めることが出来ませんでした。だからツラいぜ。

唯一、トレード要員として残っていたマルカネンを放出し、そこでデリック・ジョーンズを手に入れたのは良いトレードでした。欲を言えばナンスの方が良かったけどさ。

うーん、苦しいなー。なんて思っていたら、ここから思わぬ方向に進んでいったのでした。

◎ミニマム補強

派手な補強は出来ないし、特筆すべき選手も加わらなかったブルズですが、気が付いたらミニマム補強でディフェンダータイプを増やしています。以前からチームにいた選手も含めて羅列していくと

アレックス・カルーソ
ジャボンテ・グリーン
デリック・ジョーンズ
トロイ・ブラウン
スタンリー・ジョンソン
アライズ・ジョンソン
トニー・ブラッドリー

気が付いたら、なかなか渋いロールプレイヤーを揃えました。ジャボンテ、アライズ、ブラッドリーとハードワーカーでしつこくボールに食らいつくタイプが複数いることは、攻守の切り替えにおいて大きな意味を持ちます。いかにもトランジションに弱そうなメンバーに見えていたブルズですが、彼らの球際の強さは弱点を隠してくれる気が。

そしてデリック・ジョーンズとスタンリーというエースキラータイプも用意しています。ガードもウイングも対応できるため、使い方はいろいろ。ゾーンにした時のDJJは無類の万能性を見せていただけに、ディフェンスシステムも選択肢が広がります。

トロイ・ブラウンも6-6とサイズのあるガードのため、時にはロンゾの代役的な働きも期待できるでしょう。気が付いたらウイングもガードも守れるタイプの選手で溢れてきました。スパーズのようにデローザンがPF登録になったら厳しいけれど、それでも成立するくらいに全体のサイズアップが出来ています。

※プレシーズンはデローザンがPF登録になっていたぜ!

◎スイッチングディフェンス

ロンゾとラビーンのガードコンビも含めて、ウイングサイズの選手を多く揃えたことは、スイッチングに適したディフェンスチームになります。確かにオフェンス勝負と考えれば、スイッチしてもミスマッチを生み出しにくく、イージーシュートを減らせる守り方は効果的かもしれません。

それでいてロンゾやラビーンにはリバウンドでの貢献も期待できます。スイッチしてディフェンス組織としてズレても、ディフェンスリバウンドをキープする算段もあります。むしろガードがリバウンドを取ればカウンターアタックを発動しやすいだけに、このロスターの揃え方はロンゾ向きな揃え方かもしれません。

スイッチを多用し、ガードのリバウンドからカウンター発動

そんなかみ合わせが成立するかがポイントです。オフェンスよりもディフェンスのかみ合わせが気になるというのは、こういうところ。弱みだと思われていた部分が、強みに入れ替わるなら、これ以上ないかみ合わせです。

PFタイプが少ないことは不安要素でしたが、むしろ走力とペリメーターディフェンスを重視することに繋がるかもしれません。アライズがネッツで魅せていたようなハードワーカーっぷりを発揮すれば、必要な時はツービッグに近い形の対応も可能になります。噛み合えば一気に強くなりそうなんだよね。

ただ、ディフェンスの連携については時間がかかるのが一般的だし、リバウンドからトランジションの流れは信頼関係が生まれることで、攻守の切り替えが早くなっていくので、シーズン当初から発揮されるとは思えません。1月くらいに形が生まれ始め、プレーオフに向けて武器になっていけばOKってくらいかな。

◎試行錯誤

ブーチェビッチ、デローザン、ラビーン、ロンゾ、パトリック・ウィリアムス

5人のスターターが揃っていることは強みにもなるけど、弱みにもなりがちです。それはサラリーの問題だったり、ベンチメンバーが弱くなることだったり。しかし、今回はそれ以上にベンチに置いたハードワーカー・ディフェンダーと、スターターにいるオフェンスの主役たちを、どのように組み合わせていくかがキーになりそうです。

ロンゾがハーフコートオフェンスを作るという点では主役になれない事もあり、デローザン・ラビーン・ブーチェビッチと他のロールプレイヤーを絡ませていくことになります。

どんなローテーションがチーム力を最大化させるのか

ハードワーカーなロールプレイヤーを揃えたとはいえ、それぞれが単独で意味をなせるほど有能な選手ならばミニマムレベルのサラリーにはなりませんでした。一芸はもっているけど、トータルでは悩ましいわけだ。だからこそ主役とわき役の組み合わせは大事だし、1試合の中で適切な組み合わせとローテーションを探していかなければいません。

このかみ合わせがガチっとハマれば、ブルズのディフェンスは予想外に機能する可能性があるのです。

とはいえ、これは現実問題として極めて難しい。そんなに上手くはいかないよ。だけど、常に何がベターかを探していくことになります。その繰り返しで、いつかどこかで噛み合って連勝すると、一気に良い流れが来そうです。試行錯誤の連続だろうな。

特に重要になりそうなのがブーチェビッチの存在。なんせ似たタイプの選手はいないので、ブーチェのオンオフでチームカラーは大きく変わります。一応、トニー・ブラッドリーがハードワーカー的に適していると考えていますが、ロンゾ&ラビーンやホワイトとの組み合わせにして、ガードアタックを強めた時間帯にブラッドリーです。スタンリーやアライズ、時にはジャボンテも使ってハードワークと走れる選手を揃えてトランジション勝負だな。

逆にブーチェとラビーンがそこまで機能していなかった過去を考えると、デローザン&ブーチェになるのかな。この時カルーソも出てくれば、より効果的なハーフコートオフェンスが出来そうです。賢く動けるトロイ・ブラウンやゾーンを工夫できるデリック・ジョーンズなんかを活用してさ。

ロンゾ&ラビーンのトランジションとハードワーク戦術
デローザン&ブーチェのハーフコートと駆け引きの戦術

こんな感じで上手いこと噛み合えば、単にディフェンス面だけでなく、オフェンスでも違う要素を混ぜ込むことが出来ます。そういう意味でもローテの組み方は非常に大切。噛み合うかな?

◎HCドノバン

チームを率いるのがビリー・ドノバンであることも、良くも悪くも働きそうに見えます。HCとロスターが噛み合うのかどうか。

相手に応じた戦略性を重視するHCもいれば、自分たちの強みを重視するHCもいますが、ドノバンは後者のタイプです。個人の長所を使う事が優先されるだけに、時に個人任せの単調さを生み出し、真正面からぶつかるため、戦略家タイプに華麗にかわされることもあれば、相手の戦略を無効化するほどの個人能力を発揮させる事もあります。

ネガティブに働きそうなのは、ただただ同じメンバーを並べそうなこと。まぁこの選手構成だと仕方がないんだけどね。スターターユニットを長く使い、ラビーンとデローザンの個人技アタックが増えていくような匂いがしてしまいます。それはオフェンスの問題でもありますが、こうなってしまうと閉塞感が生まれそう。

ポジティブに働きそうなのは、ファイタータイプに向いているHCであり、ディフェンスとハードワークをみせるわき役たちがドノバンが好みそうなタイプってことです。スターターを重用しそうなんだけど、ドノバンとしては好きそうなベンチメンバーが多いよね。どっちになるんだろ。

ドノバンの長所と短所が、ロスターとどう噛み合っていくのか

極端な話でいえば内容はどうでも良くて、ファイターを積極的に使って連勝すれば、それが正しくなり、以降も同じ形で展開できます。しかし、負けが増えていけば、スターパワー中心のゴリ押しアタックがメインになっていくでしょう。勝率と内容が噛み合うかどうか、といいつつ勝率が内容をバックアップしてくれるのさ。

昨シーズンのブルズは「サディアス・ヤングとギャレット・テンプルの働きが最も重要」でしたが、それはいかにもHCドノバンっぽいよね。ハードに頑張って攻守の際を制してくれる選手が多いほど、ドノバンスタイルは形になっていきます。ザ・サンダーにして、新生サンダーには違うタイプのHCなんだな。

◎勝負は後半戦

そんなわけで「これはプレーオフで勝つのは苦しいだろ」と思っていたブルズだけど、なんだかそれなりにバランスの取れたロスターになってきたじゃないか。でも「バランスがとれる」のは、すごーく上手くいったときの話。これでバランスをとるのは簡単ではないぜ。

ブルズの勝負はシーズン後半です。新加入が多いのだから時間がかかるのは当たり前だし、その上でロールプレイヤーたちのかみ合わせが上手くいく必要があるのだから、なおさら時間がかかるぜ。

だけど、もしも噛み合ったら、オフェンスの主役たちとディフェンスのわき役たちの役割分担も出来ているし、カウンター一閃もあれば、選手層も厚くなっているように見えてしまう。そんな簡単な話じゃないんだけど、どうにかして10連勝する時期を作れれば、物事は上手く回りそうだ。

ただし、ブルズには違う問題がある。違う問題というか「後半戦勝負で間に合うのか」という問題だよ。

ラビーンは契約延長するのか?

「チームの補強に満足している」というラビーンだけど、契約は今シーズンまで。契約延長しないでシーズン前半に苦しむと、その段階でトレードを考えなければいけません。シーズン序盤から快調に飛ばせば、迷いなくプレーオフまで突っ走るけど、何の対価もなくラビーンを手放すわけにもいかないよね。

勝率とラビーンの収去問題。これがうまく噛み合わないと、いろんなことが台無しになってしまうかもね。

新生ブルズは噛み合うのか” への2件のフィードバック

  1. オフェンスでもディフェンスでもブーチェの存在は異質ですね。上手いこと噛み合ってくれることを祈ってます

    1. ブーチェの身体能力がデメリットになるか、スキルや戦術力がメリットになるのか、そこが勝負って感じがしますね。

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