「レブロンが・・・」という視点で考えたくなるレイカーズのトレード劇でしたが、もしもレイカーズにレブロンがいなかったとしたらですよ。
ラス&ADって最高にワクワクするコンビじゃないか!?
そういう風に思いませんか?
いや、思うから書くわけですよ。パート2です。
◎弱点
いってもラスと違ってレイカーズで優勝しているADなので「今が正解だった」というのも事実です。ただ、レイカーズはオフェンス力が弱点でした。
〇オフェンスレーティング
19-20シーズン 111.7(11位)
20-21シーズン 109.8(24位)
「ウエストブルックが来たからには解決だ!」なんてことはありませんが、一番重要なことはレブロンに次ぐオプションがADからラスになること。どうしても起点役としては物足りないADという以上に、ビッグマン2枚起用ではADにはインサイドにスペースがなく、確率の高くないミドルレンジのシュートを選択しがちでした。
〇距離別FG%
ゴール下 73.5%
ペイント内40.1%
ミドル 34.9%
3P 33.0%
※19-20シーズン
んー、でも実は成功率的にはそんなに悪くはありません。大体みんなこんなもん。もちろん「優勝するエース」だと考えれば苦しいのですが、一般的な確率を考えれば合格点です。だから問題はアテンプト数でした。
〇距離別アテンプト
ゴール下 419本
ペイント内207本
ミドル 252本
3P 218本
ゴール下よりも「ミドル+3P」の方が多いように、どうしてもアウトサイドで打ってしまう事が多かったAD。3Pに関しては、キックアウトを打つことも仕事だったので仕方がないと思うのですが、自分が起点になったときにミドルを打つ選択が多過ぎました。
ゴール下まで個人技で打開するパターンに乏しい
これがADの弱点になっています。ちなみに、この19-20シーズンでゴール下(ノーチャージエリア)でのアテンプトが多い選手を見てみると
〇ゴール下アテンプト
ザイオン 12.7
ウエストブルック 10.5
ヤニス 10.3
・・・
レブロン 8.3
・・・
AD 6.8
つまり同じチームのレブロンの方がゴール下までアタックできている事となり、プレーメイカーとしての能力差が大きく出ています。それにしてもザイオンがトップとはね。
そして2位にいたのがウエストブルックなので、ADがもっていない突破力をもった選手の加入はプラスです。なお、このシーズンはロケッツでマイクロボールをしていたから、特に多くなりました。本来はADと同程度のアテンプトになり、そしてアダムスにアシストしていました。
前回のラス目線だと「決定力不足をADに補ってもらおう」でしたが、
今回のAD目線だと「突破力不足をラスに補ってもらおう」になります。
どっちの方が実現性が高いかといえば、AD目線だろうね。特にガソルが戻らないことも示唆している中では、センターとしてのプレーが増えそうです。
◎ホリデーとロンド
ADのベストシーズンは28.1点を記録した17-18シーズンですが、この時のペリカンズはケガで離脱するまでカズンズがいたツービッグでしたが、さらにホリデーに加えてロンドがいたダブルPG体制になっていました。ダブルなのか、トリプルなのか。
そのためADの役割は「フィニッシュのみ」って感じでした。それがレイカーズに来てからは起点役も多くなっています。ここ4シーズンに決めたFGで「アシストあり/なし」の比率を見てみると
〇アシストありの比率
17-18シーズン 72%
18-19シーズン 65%
19-20シーズン 63%
20-21シーズン 61%
こんな感じで年々下がっています。この「下がっている」がそのまま「FG成功数の減少」にもなっていて、ADはアシストしてくれる選手がいなくなるほど、得点が下がっていく傾向があります。当たり前といえば当たり前だけどさ。いずれにしても「パサーが欲しい」タイプのスコアラーです。
〇アリウープ
17-18シーズン 2.03回
18-19シーズン 1.52回
19-20シーズン 1.37回
20-21シーズン 0.61回
また1試合当たりのアリウープの本数もわかりやすく下がっています。っていうか1試合に2回以上って異常なスタッツだな。1年ごとにロンドがいたり、いなかったりなわけですが「レイカーズに来たことで0.7本下がった」という見方も出来るかもね。
いずれにしても「押し込むだけ」のパスが増えれば増えるほど、ADの得点は増えていき、そしてディフェンスからすると「ボールを持っていなくても気を抜けない選手」になります。ラスが来ることで下がる部分もあれば、上がる部分もありそうな不思議なADですが、アリウープはともかくとしてアシストありのFGの割合が増えるはずです。
この年のプレーオフなんて199本のFGアテンプトのうち、119本が「ドリブルなし」で打っていたんだよね。ADをほぼ完ぺきに守っていたのに、ADに粉々にされていたブレイザーズ
ADのフィニッシュが機能していたペリカンズの17-18シーズンと、レイカーズの19-20シーズンにおけるドライブからのアシストを比較してみましょう。
〇チームのドライブ数
ペリカンズ 42.4回(11位)
レイカーズ 36.6回(30位)
〇チームのアシスト数
ペリカンズ 4.6(7位)
レイカーズ 4.0(22位)
ともにドライブ数に対してアシスト数は多くなっているのが特徴です。AD効果。ただレイカーズはそもそもドライブが少ないチームなので、切り崩してからのパスでインサイドフィニッシュすることも少なくなっています。レブロンのキックアウトはあるぜ。
〇レイカーズのドライブ
レブロン 14.1回1.8アシスト
ロンド 7.0回0.8アシスト
シュルーダー 13.3回1.3アシスト
この2人に続くのがカルーソとKCPの0.4アシストなので、選手個人としてもドライブ向きの選手を揃えていたわけではなく、PGの2人頼みでした。ちなみにシュルーダーだけ20-21シーズンです。ドライブフィニッシュ以上にレブロンとはアシスト数に差がありました。
〇ウィザーズでのラス
ドライブ数 17.8回
アシスト数 2.4
ここにドライブからアシストするラスが加わります。ドライブ回数はこんな数字にはならないでしょうが、ロンド以上に効果的にドライブ&アシストするラスが加わることはADにとってもチャンスが大きく広がります。
突破&アシスト役が増える事でADの得意パターンが使いやすくなる
ADにとってはありがたい補強になると思うわけです。ホリデーとのコンビで威力を発揮してきただけに、レブロンよりもアタックしながらパスを出してくれる選手が欲しいはず。レブロンもよりコントロール型に推移していきそうだし、割とトリオとしては機能すると思っているよ。
ところでアイザイア・トーマスやマイク・ジェームスって話がありますが「辞めておけ」としか言いようがない。共に自分で点取るための動きばかりで、アウトサイドから打ちまくりタイプ。これだとADは生きないよ。そもそもTHTがいるのに、なんでこんな選手が必要なのかも意味不明。ナンとモンクもいるんだぜ。
ってことで、とるならダレン・コリソン一択です。ディフェンスが良くて、ラストのコンビも期待できるだけに、それなら理解も出来る。でも、そもそも必要なのはガードではないだろうに。ガソルが戻ってこないと言い出したら、どうするつもりなんだろ?
◎トランジション&ディフェンス
レイカーズは「ハードなディフェンスから速攻で点を取る」というチームスタイルでした。ディフェンス力は変わらねど、オフェンス力が落ちたのが今シーズンの悩みでした。平均得点よりも速攻での得点の方が下がっているくらいなので、どれだけ速攻が大事だったかがわかります。ハーフコートオフェンスが怪しいもんね。
〇平均得点
113.4点 → 109.5点
〇速攻での得点
18.4点 → 13.3点
とはいえ、これは「レブロンとADが欠場していたから」という原因もわかります。特にレブロンは個人で突破して決めるプレーもあれば、ワンパス速攻も生み出してくれます。ただ、レブロン個人のスタッツは下がっていないのに対して、ADのスタッツは大きく落ちています。オフが短すぎたことや、ADの負担が大きすぎた反動です。
〇ADの速攻
3.2点 → 1.8点
レブロンがいないと苦しかったADでもあるし、ロンドがいないのも苦しかったのかもね。いずれにしても速攻においても自力で突破するのではなく、ビッグマンらしからぬスピードと柔らかさで飛び込んでくるのが怖い選手であり、そこに的確なパスが必要でした。
ADの場合は速攻での得点というよりも、トランジションの回数と得点の方が重要かもしれません。スティールから走るパターンよりも、リバウンドからチーム全体が前に走り、ディフェンスの隙間を走りこむADという構図が一番怖いし。
〇トランジションの回数と得点
17-18 3.4回4.2点
18-19 3.1回3.6点
19-20 2.6回3.6点
20-21 2.1回2.7点
トランジションアタックしまくっていたペリカンズ時代よりも回数は大きく落ちましたが、一方でレイカーズに来てから得点効率は良くなったのかな。でも、ここでもまた「ロンドがいない」ことが響いているようにも見えます。
いずれにしても「速攻をクリエイトさせたらNO1」のラスが来るのだから、チャンスは増えるのは間違いないでしょう。ちなみに、スタッツ的にはトランジションの回数は増えずに「トランジションでラスのシュートミスを押し込む」ことが増える可能性の方が高そう。アダムスもそんな感じでしたが、ウィザーズはあの走りについてこない選手が多かったので、ADにとってもラスにとっても良い効果が出そうです。
一方で課題となるのが「トランジションの起点」です。ひとつはKCPやカルーソのようなディフェンシブガードがいなくなったことで、そもそもレイカーズのディフェンスがどうなるのかわかりません。ここまで集めたメンバーは「オジサン&シュート力」って感じで、アリーザとナンを信じることが増えてきそうです。
モンク、カーメロ、エリントンってシューティングタイプを揃えたペリンカですが、ヴォーゲル的には「こんな人数は要らない」って言いそうだ。これまでだってオプション的なマクレモア1人で良かったんだしさ。
また、そもそもレイカーズは「ワンビッグ」に移行することが予想されており、AD本人もOKを出しています。これ自体は何の問題もないし、より強力なオフェンスが組めそうです。問題はディフェンス面で、ADをどこまで守らせるかの線引きとなります。
ADのディフェンス
〇被FGアテンプト 14.2(チーム1位)
〇被3Pアテンプト 5.1(チーム1位)
リムプロテクターのADがボールサイドに寄って行って被FGが多いのは理解できますが、レイカーズが凄いのは「3PのチェックもADが一番多い」ってことでした。ちなみにKCPは3.3回しかなくて「3Pを打たせない」のが仕事でしたよ。それはベイズモアの仕事になるのかな。
それだけADがアウトサイドまで追いかけていたし、ADのチェイス能力がリーグ最高のディフェンスチームにしていました。当然、3Pまで追いかければインサイドに穴が空きますが、ここをツービッグで埋めているのも効果的です。ディフェンスのためのツービッグであり、それは同時に
ADのディフェンス能力を最大限に活用するためのツービッグ
でもありました。オフェンスだけなら絶対にワンビッグですが、それ以上にどこでも守れて、どこまでも守れるADをフル活用したかったわけです。来シーズンのDPOYはADかな?
試合終盤はワンビッグをしてきたヴォーゲルですが、そこにはレブロンがいたし、モリスやクズマなんかもリバウンドに飛び込んできていました。カーメロにリムプロテクトは出来ないので、現時点ではレブロンに頼るしかありません。
ただ、リバウンドに関してはモンスター・ウエストブルックがいるので、何も問題はありません。むしろ理想的には
ADが3Pチェックに行き、そのままトランジションに走る
これが出来るとラスのリバウンドからの速攻パターンが生まれます。レブロンでも可。3人揃ってディフェンスリバウンド数が減りそうですが、それはそれ。代わりに速攻が増えるならOKです。
AD最大の魅力であるディフェンスでのフットワークの良さをレイカーズがどこまで活用するのか。ツービッグの時間が減りインサイドカバーの不安は増えるけど、同時に速攻をどれだけ増やせるのか。セットで考えないといけませんが、ADからすると「同じプレーをすれば速攻が増えそう」なわけで、ポジティブな変化が起こります。
ってことでレイカーズはね。リムプロテクトできるPFを探すべきなわけですよ。ADと似たようなタイプでいいからさ。最高峰はジョン・コリンズだけど、レベルを落とせば他にもいるでしょ。ミルサップ狙うのかな?
◎オフボールの働き
ここまで書いてきてアレですけど、そもそもレイカーズは選手も大きく入れ替わったし、コーチングスタッフの変更もあって、オフェンスは大きく変更される可能性があるんだよね。ディフェンスは同じようにやるだろうけど、選手が変わったから出来るかわからない。
一番大きな変化が「ADのワンビッグ」がメインになることで、代役はハワードです。ガソルはADと併用でしょうが、プレータイムは限られるはず。一方でPFにはレブロンとカーメロなので、明らかにセンターキャラではありません。実は「ADのワンビッグ」というシステムよりも大事なことが
AD以外にインサイドで待つタイプの選手がいない
ということです。試合の中ではポジションを流動的に変えていくものですが、カーメロやアリーザの特徴を考えると、あくまでもコーナー担当となり、逆にADがコーナーに出てくることは考えにくくなります。トータルで考えると実はADがプレーメイクする回数は減っても、ポストアップそのものは減らない気もします。減るのはアウトサイドでボールを持つ回数。
PFということにこだわりを持つADはこれまでワンビッグでも3Pを打っていくようなポジショニングをしていたし、少なくともミロティッチのようなPFと一緒にプレーしていましたが、この前提が大きく崩れます。
AD以外にポストアップで攻め込むのがPGのレブロンとラスというのも、かなり変わった構図になるかもしれません。いずれにしてもADは3Pアテンプトを減らすことになってきます。同時にミドルも減らしてくれれば、一気にFG%が60%近くになるかもしれません。
ただ、これをやりすぎると今度は「ゴール下にスペースがない」なんて事象を生み出してしまいます。これまで通りアウトサイドにも出てきてスクリナーをこなし、そこからダイブするのが好ましいプレーです。
それくらいのことは優勝のためには求めるぜ。でも、出来るのだろうか?
〇スクリーンアシスト
17-18シーズン 3.9回
18-19シーズン 3.4回
・・・・・・・・・・・・・・
19-20シーズン 2.4回
20-21シーズン 1.5回
実はADはレイカーズに来てからスクリーンでの貢献が著しく減りました。リーグトップのサボニスが6.5回もしていることを考えるとビックリするくらいの回数です。そもそもレイカーズはスクリーンアシストの少ないチームでもあり、同時にピック&ロールも少ないチームです。
〇スクリーンアシスト 18.1回(28位)
〇ピック&ロールハンドラー 16.6回(26位)
ラス&ADというコンビを考えると、これらの回数はADがどんどん増やしていく必要があります。それは実は他の新加入を考えても同じで、シューターを増やしたのだからオフボールスクリーンは大事になり、ナンやアリーザのようにバックドアカットをするタイプの選手がいるなら、時にゴール下を空ける必要も出てきます。ハンドオフが増えるといいけど。
総じてレイカーズに来てからオンボールプレーの重要性を高めたADは、よりオフボールプレーを増やさなければいけません。
ボールが絡まず、ヘルプやフィジカルな対応が減ることから負担が楽になるとも考えられれば、より多くのスクリーンを必要とすることから動き回ることになり、トランジション増にも対応するから、スタミナ的な負担が増えるとも言えます。どっちがベターってことはないけど、プレーを変えなければいけません。
あと、ここでもやっぱりPF足りない問題が出るんだよね。もっとスクリナーを連れてこないと厳しいぜ!
ADからすると「自分主導のプレー」ではなくなるだけに、これまでヴォーゲルがロールプレイヤーたちに求め続けてきた「賢く、的確に、チームオフェンスを展開しろ」がADにとって最大の問題になるかもしれません。それはラス&ADというコンビになるデメリットでもある。
ADは賢いオフボールのチームオフェンスをしなければいけない
さぁ果たしてどうなるんだろ。幸いにしてレブロン、ラス、ADと全員がディフェンスの良い選手であり、チームとして大崩れするようには見えません。なお、ラス&ADがハードに動き回って、隙間をレブロンが埋めに行くようなディフェンスになりそうだけど。
ただ、これらのオフェンスにおける特性はプレーオフという舞台で弱点として晒されることがあります。だからシーズン中にどれだけ精度を高めることが出来るのかが大事。
ラス&ADは最高のコンビになりそうだけど、まだまだコンビ1年生。チームが大きく変わる中でADは、いろいろな役割変更が求められます。それをハイレベルにこなし強く柔軟なチームになるのか、それともモンスター大集合で終わるのか。
レイカーズにとっては役割が大きく変わり、ラスとのコンビでポジティブにもネガティブにも働く要因があるだけに、プレーの変更を求められるADこそが最大のキーマンだと思っています。
ラス加入のシナジーで、ADがMVP候補になることがレイカーズにとってベスト
アリーザが老化するにつれてペイント付近のヘルプが更に洗練された気がしますので、ADのワンビッグでもレブロンとラスのリムプロテクトでも何とかなるのではないかと思ってます。まぁ仰る通り、あと1人は動けるリムプロテクターは欲しいですが。
DFではある程度3Pは打たせて、ロングリバウンドからラス、レブロンのDR→トランジション→ADのフィニッシュが1番効率が良さそう。もちろん相手の3Pの爆発で3割の試合は確実に勝てなくなりますが、52、53勝くらいすれば充分です。
あとはスヴィが戻ってくるようなので、けっこう隙間を埋めてくれるような気がしますね。第二のカルーソになってくれないだろうか
ロンドがグリズリーズからバイアウトされるみたいなのでPGをもし取るんならブランク明けのコリソンより一昨年レイカーズにフィットしてたロンドの方がいいと思いますか?ウエストブルックとの兼ね合いがどうなるかはわかりませんが
サラリーやアセット的に可能なのかはわかりませんが、見れば見るほどフェイバースがぴったりに思えてきました。ヴォーゲルにも合いそうな気がします。
デッドラインだと連携面で少し遅いかなって感じはありますが、それより早めに成立すれば面白そうです。指名権ヤクザの腕の見せどころ!