サマーリーグ④

本日はレイカーズとニックスです。オースティン・リーブスが2試合で2WAY契約を勝ち取ったこともあり、そこが目当てだったのですが、思ったのとは違う方向で面白かったです。これは「サマーリーグとしての面白さ」ではなく、普通の試合としての面白さでした。

◎クイックリー

ニックスの中心はクイックリー。これが特に素晴らしかった。シクサーズのマキシーとは差がついて行きそうな内容です。クイックリーといえば「クイックネスを生かしたプレーと3P」であり、ニックスといえば「ガードの個人アタックとタフショット」なわけです。チームとしては連携がないというか、個人でタフショット決める能力が重視されているので、ディスってますよ。

ところがクイックリーは見事なゲームメイク力を発揮し、スピードを生かしたアタックからのアシストが本日最大の見どころでした。しっかりとチームメイトの位置を修正し、意図的にヘルプが寄ってくるコースにドライブし、キックアウトしていくのは見事。

チーム全体を掌握するPG

という空気満載でした。突破力とアシスト力、それを作るためのゲームメイク能力と抜群だったぜ。なお、3Pは決まらなかった。「調子が悪い」状態でこれなので高く評価しよう。

〇クイックリー
25点
3P1/6
7アシスト
1ターンオーバー

素晴らしい活躍ぶりに称賛を与えるとと共に「マジで、ケンバは不要だろ」という印象をうけたのでした。ローズを中心にしてフォーニエも補強、そこにケンバを獲得したらクイックリーはどうなってしまうんだ?

それくらい良かったクイックリー。ケガがちのケンバよりもいいんじゃないかって思うわけだ。そもそもシボドーは若手を伸ばすよりも結果優先だからケンバが加わってくれ、それでクイックリーに出番がないとなるとフヌヌ。まぁどっちにしてもケンバは40試合くらい休むから問題ないのかもね。

ニックスはサマーリーグチームにノックスがいません。シーズン中のプレータイムが短いのにサマーリーグでもプレーさせない。だったらトレードしろって感じですが、ケガでもしているんだっけ?
このままだとムダに終わってしまうノックス。それはニリキナの4年目とも似ているね。出番が殆どなくて飼い殺し。オフになって移籍先も決まらないわけだ。

◎トッピン

もう1人の主役であるトッピンは「良かったような悪かったような」でした。試合序盤はアウトサイドからのドライブに3Pを決め、さらにポストムーブもあったので、やっと豊富なオフェンスパターンを示し始めたわけですが、とにかく安定感がなかったです。

〇トッピン
17点
11リバウンド
FG6/17
5ターンオーバー

基本的に上位指名の選手って「長所はNBAでも通じ、短所はサマーリーグレベルだと目立たない」と思っていますが、思いっきり短所が目立ってしまったトッピン。ドラフトに進むだけの才能も結果も残していましたが、プレータイムが短すぎて改善しなかったね。Gリーグがなかったのも運が悪かった。

ただ、ニックスのサマーリーグチームはトッピンに加えて、58位指名のセンターのシムズが動けるタイプなので、オフェンスでは5アウト、ディフェンスでは平面のトラップディフェンスを積極的に仕掛けていました。「トッピンの使い方」としてはポジティブでした。

◎ニックスの悲哀

昨シーズンからACをしている日本人がサマーリーグのHCですが、なんだか日本っぽいくらいに勤勉かつトラップにアグレッシブなニックスでした。とてもサマーリーグには思えないほど、整備されているし、気合もノッテおり、普通にバスケとしての面白さを放っていました。

この点ではクイックリーのゲームメイクに、トッピンの万能性、そしてチームとしてファイトする姿勢とシステムが融合されており、一見の価値があります。ただ例によって

クイックリー 34分
トッピン   35分
シムス    31分
グライムス  32分

ってことで主力酷使というか、サマーリーグはあくまでも「ルーキーと2年目のドラフト選手がプレーする機会」という捉え方です。なお、グライムスは今年の25位ね。あと試合時間は40分です。

まぁ別にこれはこれで。ニックスは「新戦力の発見」には力を入れていません。ドラフトそのものも同じ雰囲気だし、ロスターなんて17枠しかないんだから無駄なことはしません、というスタンスでした。

一方でストレッチ5も平面のプレスも「ランドル中心のシーズンでやるの?」みたいな部分は気になりました。このチームとしてはいいんだけど、シーズンでどんな戦力が欲しくて、どんな能力を伸ばしたいのかは見えてこなかったよ。『今、この瞬間に全力』というニックスでした。

◎セルデン

そんなニックスの最後の1枠で18分だけプレーしたのがセルデン。あれっひょっとして・・・と思ったら、やっぱりグリズリーズでプレーしていたセルデンでした。

17-18シーズンはグリズリーズで35試合に出場し、うち9試合がスターター。19.2分で9.3点、ディフェンスでの活躍が目立っていた気がするけど、もう忘れたな。翌シーズンはグリズリーズ→ブルズでトータル75試合、うち13試合がスターターだぜ。でもここ2年はNBAでのプレーはなし。

そんな選手がニックスのサマーリーグで試されているんだからNBAって怖い。でも、今年はイスラエルでプレーし、ユーロカップのファイナル4MVPに選ばれています。バリバリの油が乗っている26歳。若いな。

このセルデンがスターターにはいっているくらいだから、そりゃあサマーリーグのチームとしては強いよ。1巡目3人と2巡目1人に、NBAでのスターター経験もある26歳だもんな。ハイプレスにレイカーズは困っていましたとさ。

◎レイカーズの姿勢

対するレイカーズのロスターにはドラフト組はいません。多分いない。21歳から26歳までの若手だけど「若すぎない」選手ばかり。ホートン・タッカー的な選手はいないって事だ。NBAの経験があるのはケイコックほか2人ですが、みんな知らない。

そのうちの1人ジャスティン・ロビンソンが27分プレーしたものの、10人が14分以上のプレータイムを得ており、多くの選手が試されました。若手有望株の育成にサマーリーグを使っているニックスに対して、レイカーズのスタンスは真逆で

シーズンで使えるロールプレイヤーを探せ!

この姿勢がハッキリしているので「スゲー!なんだこの才能は!」みたいな選手はゼロです。でも、それでいいんです。安いサラリーでレブロン・AD・ウエストブルックの隙間を支える選手が欲しいのがレイカーズだし、それは「次のカルーソを捉まえろ!」です。

だからオースティン・リーブスを確認したかったのですが、本日はFG1/8と全くダメ。ニックスのスターパワーを前に、自分の良さを発揮できずに終わりました。

ちなみに選手からしてもニックスに比べて「レイカーズにはチャンスがある」という感じなのですが、そこでハッスルしたブラウンは、バッシュがぶっ壊れてしまいました。しかもはいていたのがザイオンモデルらしい。なんという皮肉。

致し方なくベンチに戻るブラウンは、物凄く不満そうにしてコートから出ていく事すら拒否。なんとかなだめられてベンチに座るのですが、ずっとご機嫌ナナメ。NBAのチケットを掴むための大チャンスを、シューズが壊れてムダにするなんて悔しくて仕方なかったでしょうし、それくらいレイカーズにはチャンスがありそうなわけだ。

金メダルがかかっていたら、テーピングをぐるぐる巻きにしてコートに戻ったかもしれないけどさ・・・

アンチスター軍団のレイカーズは、個人でニックスのディフェンダーを抜ける選手がゼロでした。マジでゼロだった。ほぼドライブ出来ていないもん。しかし、これがまた見事にチームで崩していきました。みんながアピールしたいけど「個人技アピールしたところで生き残れない」のも共通意識になっていました。

「さようならレイカーズ」では「ペリンカはヴォーゲル向きの選手を獲得しない」と指摘しましたし、実際にディフェンス力に欠けた問題児みたいなのも多く連れてきたり、知性が足りなかったりしてさ。逆に知性があるカルーソは重用されたのに。

ところがGリーグになると「いかにもヴォーゲルが欲しそうな選手」ばかりを揃えてくるのが面白い所。様々なポジションの選手がいますが、共通しているのが

・チームプレー重視
・攻守に働ける
・ハードワーク

・複数ポジション対応

もちろん、中にはハワードみたいに知性が足りなそうな選手もいるのでしょうが、チームのルールにおいてプレーできているので、何も問題は起きません。ハワードもそうだったじゃん。

特に大事なのは最後の要素で「複数のポジション・役割」っていうか「主役の横で万能に働ける」ことが大事な要素の気がします。だって「レブロンにはあうけど、ウエストブルックには合わない」なんて選手をロスターに入れても意味がないもんね。そしてメインの仕事はディフェンスとハードワークなのも大事。

ということで「次のカルーソを探せ大会」を開催しているレイカーズ。このメンバーでニックスと互角に渡り合っているのだから、バスケって面白い。だけど 『今、この瞬間に全力』 ではなくて『シーズンでそのまま使えるようなプレー』が大前提なので、トラップとかはなくてマンマーク・カバー・ゾーンなど基本事項を徹底している雰囲気です。

ドラフト組がゼロだからこそ面白かったレイカーズ。誰が大会の勝者になるのかわかりませんが、全員が良いプレーをし、かといって誰かが目立ったわけではありませんでした。「目立ったら負け」みたいな大会で、レブロン・AD・ウエストブルックの影になるプレーをしていることが大事なのでした。

サマーリーグ④” への1件のフィードバック

  1. ノックスはコロナプロトコルでサマーリーグ出場が取り消しになったはずです。
    クイックリーはオフシーズンにミドルの練習、サマーリーグでPGの練習をしているようですね。ケンバが2年の契約らしいので、ケンバから2年間で学んで将来的なスタートPGになってもらうのが、フロントの構成なのかもしれないですね。
    シーズンのローテーションもニックスはほとんど決まっていそうなので、このサマーリーグはローテーションに入っているであろうクイックリーとトッピンのオフシーズンの成果報告なのかと思ってます。そう思うとプレイタイムが長くなってるのも納得かと。

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