さようならニックス’21

この場に上がってきただけでも大成功と思えるニックス。しかし、その記憶はプレーオフによって苦いものとなりましたが、それ以上に煽りすぎる観客やフィジカルを超えてラフプレーの連続によって非常に後味の悪いものになりました。どんなに自分たちを正当化しても、周囲から正当にはみられないぜ。

◎プレーオフとシボドー

ニックスには若手も多く、育成を優先する方向性もあったわけですが、目の前の勝利を優先しました。そこの可否はデカいのですが、勝利を優先したからと言って「プレーオフに出れるは想像の遥か上をいく結果」だったと思います。いくらなんでも、勝率25%アップは考えられない成績です。

19-20シーズン 21勝45敗 .318
20-21シーズン 41勝31敗 .569

これといってビッグな補強もなく、ペイトン、ランドル、バレット、ブルロック、ミッチェル・ロビンソンという布陣は変わらず、ノエルが加わったのでケガに対応できたくらいです。

一方でベンチはクイックリーとトッピンのルーキーコンビに、ローズとギブソンのシボドーの連れ子コンビ、そしてバークスが加わり一新されています。

〇得失点差
スターター +0.7(15位)
ベンチ   +1.7(2位)

データ的に大きかったのはベンチメンバーの強さでサンズに次ぐリーグ2位でした。とはいえ、ルーキーコンビがいるわけでして、これを「層が厚くなった」だけで評価するわけにはいきません。HCの手腕が強く発揮されたし、勝利を優先したからって、ここまで勝率改善できるほどの補強もなかったのでした。

驚異的に改善させたシボドー

まず、ここは押さえておきましょう。その上でプレーオフを思い出すと、ペイトンの出番はなくなり、連れ子コンビのロース&ギブソンに頼りまくりました。もはやそれは層が厚いのではなく、本当に使いたい選手はベンチにいただけなんだよね。だからなんか良かったのか、悪かったのか判断がつかなくなってしまう。

そんでもって普通に考えれば「よくやったぜシボドー」なのですが、プレーオフの酷さが二重の意味で苦しくって、劇的に改善させたはずなのに、改善したように見えずに終わってしまいました。

シーズンスイープしたホークスに1勝4敗
内容はシーズン中の懸念事項そのまま

だからとっても難しい。シーズンで勝っていた相手に、シーズン通りの懸念点で負けてしまった。それは勝っていたのか、運が良かっただけなのか。少なくともプレーオフのシボドーには運がなかったのでした。

そんでもって「さようならニックス」はグリズリーズと同じでシーズンの内容で振り返ったときと、プレーオフの内容で振り返ったときに話題が180°変わってしまいます。ってことで、今回は片方によると酷いことになるので、両方に共通している改善点と課題が同居していることについて考えてみましょう。

◎ランドル

ニックスの成功はランドルの成功でもありました。オールスターにも選ばれた7年目は異色の出来でしたが、そのプレースタイルの変更も異色でした。

ちょっと一般的に紹介するのが難しいので「ミドルシュート」扱いですが、正しくは「何も関係なく好きなシュートを打っている」ってことです。普通は打たないミドルのタフなロング2Pなんてものも関係ないのが、ランドルにリズムを与え、3Pも良く決まったって感じです。要するに

正しいチョイスよりも自分のリズムで打つ

こんな話です。言葉にするとよい表現ですが「判断力が不要」な面もあるので、ヴォーゲルなら激おこ。思えばプレーオフになると、この傾向がかなり強まり、ローズとバークスがタフショット連発で勝負していました。シーズン中はランドル個人に見えつつ、チーム全体がやっているので、シボドーらしい、ちょっと古臭い戦い方でした。

〇ランドル
プレータイム 32.5 → 37.6
得点   19.5 → 24.1
2P  51.6% → 47.4%
3P  27.7% → 41.1%
FT  73.3% → 81.1%

ペイント内 10.8 → 7.6

2Pの確率が悪くなり、3Pが劇的に良くなったランドル。実はトータルすると得点力は「3Pが決まるようになっただけ」だったりします。これはポジティブな側面で、実はプレーオフも3P33%なので、ビックリするほど悪かったイメージとは違い、毎試合2本以上決めていました。

ネガティブな側面ではペイント内が大きく減ったわけで、インサイドを攻略できない選手になってしまったと捉えることも出来ます。プレーオフではミドルが徹底的に防がれると、インサイドに飛び込むプレー効率の悪さが響いてしまいました。

ホークスはランドルの研究をしていた気がします。だから研究しても難しかった3Pは止めきれず、ドリブルしてくるミドルエリアに対する止め方はよくできていたかと。マッチアップ別に並べてみると

コリンズ 18点 FG6/25
ガリナリ 12点 FG4/18
ハンター 27点 FG9/22
カペラ  13点 FG3/10

コリンズ、ガリナリ、ハンターは大体同じくらいのマッチアップ数。その中ではコリンズが一番多くて63回でした。カペラだけは13回でフリースローを8本与えているので、ゴール下で対面したときにはそこそこ決めていることになります。ゴール下に行くまでのプレーが研究され切っていた。だから「気持ちよく打てなかった」のかな。

シーズン中にコリンズ相手にはボッコボコにしているのですが、まぁそれは置いといて、マッチアップ回数が多かったジェフ・グリーンやトバイアス・ハリス、ザイオンにサボニス相手には同じように苦戦しています。アデバヨも。

プレーオフがあまりにも酷かったとはいえ、実はシーズン中から同じPFタイプには苦戦していて、センターやSF相手には強い。現代が両ウイングをこなすタイプが多いことがランドルにとってはポジティブに働いていたことになります。ある意味、コリンズとガリナリがいたホークス相手がアンラッキーだったことになります。シーズンに攻略しまくっていたからイメージが違うけど、実は・・・でした。

〇アシスト
19-20シーズン 3.1
20-21シーズン 6.0
プレーオフ 4.0

〇ターンオーバー
19-20シーズン 3.0
20-21シーズン 3.4
プレーオフ 4.6

アシスト力の向上も今シーズンの特徴で、シンプルにボールを捌くようになりました。ドライブでリングにアタックしながら、キックアウトするのが基本だった普通の戦術を採用していたら、ランドルには難しかったかも。ボールを貰ったら『シュートかパスアウトか』で判断が良くなったのかもしれません。

プレーオフになってアシスト数が減りましたが、これはランドルじゃなくてチームメイトの問題でもあったので気にしすぎることはなく、ターンオーバーが多かったのは自分の得点を止められただけでなく、シンプルにプレーできなかったことになります。

総じて「シンプルなプレーが足りなかった」ランドルが、「シンプルなプレーになった」ことが今シーズンのレベルアップでしたが、プレーオフになって逆に「シンプルな事しか出来ない」ってことを示した面もあるのでした。対策されたら厳しかったし、個人で止められると厳しかった。

いずれにしてもニックスはランドル中心で行くはずなので、この課題はプレーオフになる度に思い出されることになるかもしれません。だからプレーオフでの不調をランドルの責任にするのも違うかも。だって、普通のチームはランドルにこういうプレーをさせないでしょ。

プレーオフを見て苦しかったのはランドルが活躍しなかったことではなく「細かい対策をされないシーズン中なら通用するけど、プレーオフで勝ち抜くには厳しいオフェンス」にみえてきてしまったことです。簡単に言えば個人技任せってだけですが。

もっとも、ローズはそれで決めまくっているわけなので、ただ単にランドルのレベルが足りなかったともいえます。レナードでも獲得できれば解決するかもしれないし、何とも難しい話だったりします。そしてこれは違う問題もあって、

ランドルの限界がニックスの限界

連携があるようでない以上は、こんな事態にもなるので補強を頑張ろう。かつてのブルズがシボドーで勝てたのはローズがいたから。もとい”リーグ最高の選手である”ローズがいたから。そんなことを再認識させられてしまったプレーオフでした。

ウルブスがプレーオフに進んだ経験が全て消え失せているのはバトラーにしか経験値が振り分けられなかったからかもしれません。結局はプレイヤーズリーグだと思い知らされてしまいます。

◎バレット

しかし、そんな補強を急がなくてもRJバレットの存在はランドルを超えるエースになれる素質を感じさせる1年でもありました。いや、これも正しくないな。大して面白くなかったバレットだけど、4月くらいから急激に強みが出始めてきた気がします。それはニックスが順位を上げた期間とも重なります。

〇バレット
得点 14.3 → 17.6
FG 40.2% → 44.1%
3P 32.0% → 40.1%
アシスト 2.6 → 3.0
リバウンド 5.0 → 5.8

まぁスター候補としては成長が物足りなく、ザイオンとモラントには大きく差を空けられてしまった1年でしたが、4月以降の3Pが47%と信じられないくらい決まるようになりました。これがニックスの躍進を支え、バレットに選手としての特徴を与えるようになってきました。

初めてバレットを見たのは2017年のU19WCで17歳(だったかな)だけどカナダのエースとして登場し、アメリカをぶっ倒した時でした。八村も出ていた大会でしたが、ミッチェル・ロビンソンやクイックリー、ノックスなんかがいたアメリカが1カテゴリー下(2歳)のバレットを止められず、38点13リバウンドを奪い取られました。MVPもバレットでした。確か。

左利きのバレットはドライブからのジャンプシュートが上手く、ただしちょっとワンパターン。これを止められないアメリカってことは、相当な身体能力があるんだろうな。ちなみにU19だけど開催が1年遅くて20歳以下だったはずで、ワン&ダンで既にNBAにドラフト指名されていたフルツやテイタムは出ていないっていう微妙なアメリカだったことも付け足しておきます。

調べてみたら今シーズンになって当時のメンバーを見ると面白かったです。カナダにはバレット以外にSGA&ドルトのサンダーコンビがいて、従妹のNAWもいます。

カナダ代表

アメリカはワン&ダン出来なかった選手ですが、上級生になってからNBAにきているので今なら知られているメンバーが多く、プリチャード、ラングフォード、カーセン・エドワーズとセルティックスが多めです。ニックスとセルツで6人もいる。

アメリカ代表

その後、デュークに進み、ザイオン・レディッシュとのトリオが有名になりましたが、NBAにはいってきても結局は「得意技のドライブからのジャンプシュートとパワームーブ」がイマイチ通用していませんでした。つまりは育成年代では止められなかったけど、その武器はダメだぜ!ってことだ。

だからバレットは得意技が通用しないプレー迷子になっていました。ルーキーアワードに入らなかったのも納得。そこを2年目のシーズン後半に3Pが高確率になることでカバーし始めました。

ただし、これはスケールが小さい。普通の3&Dっぽくなっています。試合終盤に時折見せるようになったドライブが試合を通して出るのかどうかで、エースキャラになれるか変わってきます。来シーズンに20点に行きたいところですが、止められているインサイドフィニッシュのパターンを増やすことが出来れば簡単にクリアできそうです。

そしたらエース交代したほうが良い気がしませんか?

バレットは今シーズンにエース扱いされても失敗したと思います。でも幸いにしてエースとして扱われなかったことでアウトサイドシュートが良くなってきました。本来の持ち味は、今シーズンのランドルみたいな中間距離をバシバシ打ってい、ドライブで切り崩す事だと思うので、3Pという違う分野に自信を持ったことで次のプレーに繋げられると良いものです。今シーズンも16ft以内は真っ赤だもんね。

どうにも得意分野がなくて迷子だったバレットは3Pに自信がついたことで、全体的に良くなっている気がするんだよね。と、思って調べたら4月以降も16ft以内は真っ赤っか。あれま。

3&Dをさせられたことがバレットにとって良かったのか、悪かったのか。それはもう「if」なのでわかりません。エースキャラやっていればインサイドの確率が改善したかもしれないし。ただ、少なくともフィジカルの強みを生かしたディフェンスと3Pの改善が出来たことはポジティブに捉えてあげたい。

「選手としての特徴が足りない」と思っていたルーキーシーズンから、少なくともレベルアップはしたし、キャリアの中で必ず必要になるシューティングとディフェンスを身に着けた。さて、エースへと脱皮できるのかどうか。ランドル不要に出来るのかどうか。

ところでさ、バレットにとって良かったか悪かったかは微妙なんだけど、今シーズンの八村はこの路線で行くべきだったよね。担当部門がハッキリしていなくて、どれも成長したようなしなかったような・・・それはウィザーズ編か。

◎フィジカル

さて、ニックスが躍進した理由は攻守に『フィジカル』です。正直試合を見ていると、なんでファールコールされないのか不思議なことも多いのですが、実は何だかんだとこういうチームは多いよね。守りたければギリギリを攻めないといけない。そこを攻めきれるのは細かいスキルと、純粋なトレーニングだったりします。

ペイトン、バレット、ブルロック、ランドル、ノエルと何となくフィジカルなトレーニングを好みそうに見えるタイプが揃っていたのは、シボドーにとってもラッキーだった気がします。そもそもこのチームにはフィジカルな対応は向いていた。

〇ディフェンスレーティング
112.4 → 107.8

オフェンス力も向上しましたが、それよりもディフェンスの向上が際立ちます。フィジカルな対応はかなり効いていたし、明確な進歩をもたらしました。ハードワークはニックスのカルチャーでもあるし、単にシボドーが素晴らしかったというよりは、「HCにシボドーを選んだ」のが成功を生み出したといえます。

〇被FG% 44.0%(1位)
〇被3P% 33.7%(1位)
〇被アシスト 23.6(6位)

〇被ターンオーバー 12.8(23位)

フィジカルなディフェンスは非常に素晴らしい結果をもたらし、被FGはリーグ最高でした。特に3Pへの対応が良かったのですが、これは後述します。
ちょっと面白いのはディフェンス力は高いけど、相手にターンオーバーを誘発することは出来ていない事です。あくまでもシュートを止めるのが上手いのがニックス流。スピードよりもフィジカルな空気なので、必然的にこうなるのかもしれません。ボールを奪うよりも、粘り強く対応する。

〇ブロック 5.1(11位)
〇スティール 7.0(21位)

こちらも似ている数字ですが、ブロック力が特別ではないため、なおさら粘り強さを感じます。

〇DIFF
トッピン △7.4
バークス △5.5
ギブソン △5.0
ローズ △4.3
ノエル △3.6

上位から並べた時に、これまた驚きの数字が並びまして、ベンチメンバーばかりが上位に出てきます。トッピンとか意外過ぎ。ギブソンの良さはプレーオフでも出まくっていましたが、ドリブルにも手を出しまくって「ファールじゃないの?」というシーンが多かったのですが、それだけ上手いプレーをしていました。うん、ギブソンは上手いと思うんだよね。

フィジカルの強さが売りでしたが、その中でもベンチメンバーが結果を出している事はスターターのプレータイムが長すぎるシボドーからすると矛盾を抱えています。そしてプレーオフではローズとギブソンが長くなってしまった。フィジカルな対応が多いから「元気な方が守れる」だとしたら、なかなか厳しいものがあります。

さて問題は3Pです。これが不思議すぎて困ってしまいます。ディフェンスに力を入れているし、ある程度上位にいるのはともかく、リーグ最高になれるほどの良さを感じません。普通にパスアウトされて打たれているし、そこまでチェイスが良いわけでもないし。

〇被3Pアテンプト 35.6本(21位)

実際に多くの本数を打たれています。コーナー3Pもリーグで24位と多く打たれているけど、確率を34.8%に押さえています。全然わからん。普通に打たれているのに、確率は抑えている。

そこでプレーオフのホークスのスタッツを見てみましょう。最終的にホークスの3Pに負けたわけなので、プレーオフになって止めきれていなかった事実を示してくれます。

〇ホークスの3P
オープン 14.4本 32%
ワイドオープン 18.6本 41%

これだけでニックスの平均被アテンプトを超えてしまっており、ホークスはちゃんと攻略して打っていたことになります。ただ、その割には確率が悪いのも特徴です。ホークスしか相手にしなかったのでわかりにくいですが、

・オープンショットを多く打たれている
・確率はオープンの割には悪い

実際にシーズン中通りの結果が生まれています。ただ後者についてはガリナリとコリンズが外しまくっていたのが大きく、ワイドオープンはヤングのディープ3P分だけ確率が落ちているので、ホークスの事情で確率が落ちていた感じです。

ということで3Pディフェンスについては、かなり訝し気に見ており、継続課題です。バレットとブルロックがともにウイングスパンが6-10あるらしいので、この2人のチェックが効いている部分と、フィジカルな対応が多い中で、相手が正確なシュートを打てなくなっている気がしています。トッピンのDIFFが素晴らしいのも似たような理由かも。

しかし、ニックスの対応はある意味、他のチームにも参考になります。これくらいフィジカルに当たっていくと、結果的に3P成功率を落とせるんじゃないかっていう。今シーズンは無観客が影響してか3P成功率が高くなっているので、来シーズンに向けて大きな変化があってもおかしくありません。

ちなみに被3P成功率については、毎シーズンのように上位が入れ替わっています。かなり繊細な理由が混じるみたいです。ニックスは前述のウイングスパンもあるので、急激に落ち込むことはないと思いますが、もう少しみていきましょう。

◎ファール

さて、このフィジカルなディフェンスについては、プレーオフになって「ヤングのハゲはファールばかり狙ってくるクソ野郎」だと市長が発言して物議を醸しだしました。えーっと、本当はこんなこと言っていませんが、いろいろくっつけるとこうでした。

しかし、実はそもそもニックスはファールが多いチームです。自分たちのファールが多いのをヤングの責任にしているだけだったりして、その上でラフプレーするから手に負えません。

〇ファール数 
シーズン 20.5(25位)
プレーオフ 19.8

実際にはプレーオフになって減っているくらいです。またシーズンは25位なのですが、ニックスはリーグで最もペースの遅いチームなので、100ポゼッション当たりになおすと29位とリーグで2番目にファールが多いチームになります。

単なるファールが多いチームだった

前述の市長のバカ発言は置いといて、実際に試合でもシボドーは全てのファールコールに怒っているのですが、自分たちのプレースタイルなのにフランストレーションを溜めてしまっているのが非常に気になったのでした。

また見方を変えるとフィジカルなスタイルを支えているのは「ペースが遅いこと」でもあります。主力のプレータイムが長く、フィジカルにファールをする。それでも最後まで持っているのはペースが遅いからでした。

ニックスで最もファールが多いのはランドルですが、そのランドルはプレータイムが長いので、同じ視点で見てはいけない気もします。ってことで100ポゼッション当たりのファール数を選手別に並べてみましょう。

〇ファール数(100ポゼッション)
ニリキナ 6.8
ノエル  5.7
ギブソン 5.2
ロビンソン 5.0
クイックリー 4.5
ランドル 4.2

ニリキナとクイックリー以外はビッグマンが並びます。実はこうみるとランドルは少ないもんです。ミッチェル・ロビンソンが多いのはみんな知っていることですが、ノエルやギブソンは更に上回っており、ディフェンスが効いている時はファールも多いって事になります。

〇被フリースロー 22.2本(17位)

ところがファールが多い割には被フリースローは少なく、100ポゼッション当たりにしても23位です。そう考えるとクレバーにファール出来ており、シュートモーションになる前にファールで止めているともいえます。

総じてニックスのディフェンスは、リーグ全体がディフェンス回帰しているここ2年の中でも、さらに1チームだけ昔の対応に戻っているので、興味深いものがありますし、来シーズンに他のチームが取り込んでくる可能性もあります。

ちなみに、今シーズンは「ファール数が激減した」シーズンでもあります。関係するルール改正はないので、おそらくタフスケジュールの問題かと思われるのでした。全体的にシーズン中のディフェンスが緩く、プレーオフになって増加傾向にあります。

ニックスのフィジカルなディフェンスとファールコントロール。ペースダウンも含めて、リーグ全体の流れが揺れている中で非常に機能しました。

しかし、プレーオフの姿は問題がありすぎました。前述の通り、そもそもファールが多いチームなのに、とにかく不平不満の嵐で、さらにヤングを標的にしてのラフプレーの数々。これをランドルがやっていたら「あぁ性格がなあ」だったのですが、ランドルは割と普通で、ブルロックとノエルが酷かった。

シボドーが不満すぎるのも含めて、フィジカルなディフェンスとは何だったのかを問われるプレーオフだったと思います。ただ単にケンカ腰なんじゃないかと。

ファールが多いディフェンスとメンタルコントロールの悪さ

ここが両立していないことがプレーオフになって非常に気になってしまったわけです。そしてこういう部分がシボドーあるあるで、二律背反みたいな。フィジカルな対応が成功していて、そこにはケンカ腰くらいの姿勢があるから上手くいくけど、ケンカ腰だからメンタルコントロールできなくて自分たちから崩壊してしまう感じ。

実はシーズン通りどころか、シーズンよりもファールコールされなかったニックス。でもヤングのプレーに責任を押し付けて自分たちを正当化してしまっている気がするのでした。だからプレーオフのたびに同じ問題を起こすんじゃないの?ってね。

◎これは「さようなら」なのか

さようならシリーズを書くチームと書かないチームの差は何ですか?

単に時間の問題でして、これ書くのかなり大変なんです。プレーオフは毎日試合があるので、こんなこと書いていられない。だからサバサバっと書くことにしていたのですが、ニックス編はなんか苦しくて構想だけで2日くらいかかっています。書き始めて気が付いたのですが

普通に戦術的な側面に触れているからだな

ってことに途中で気が付きました。だから時間がかかりすぎている。しかし、バレットの件を除いて、なんでこんなことになっているのかというと、シーズンの成功とプレーオフの失敗があり、そこには大きな差があったようで

シーズンと同じ内容でプレーオフで失敗している

ということを示したかったからです。同じことをして成功してるシーズンと失敗しちゃうプレーオフは、何とも言い難い。そういえばバレットだけは違うから「RJバレットはスターになれるのか」というテーマで別に書くべきだったな。

ホークスが4勝1敗で勝ったことは驚きでしたが、それは単にホークスが「ここまで完璧にプレーするとは思わなかった」というだけで、それこそバックスじゃないですが、ニックスはプレーオフで弱みを見せる気がしていました。ランドルがあんなに決まらないのは予想外でしたけど、かわりにローズが決めまくったしね。

シボドーがコーチ・オブ・ザ・イヤーに「1位票はモンティが多いのに」選ばれたのですが、成績のジャンプアップを除けば、どうも評価できるところがないんだよね。それはシーズン通りの内容でプレーオフでレイカーズを倒したサンズとの差でもあります。

まぁNBAの投票している記者なんて半分くらいは特定のチームの試合しか見ていないので、大都市の人気チームが凄まじく有利になります。毎度のことだ。チーム担当の記者に投票権利がなくなりましたが、逆に全員がチーム担当にした方が公平かもしれない。

そんな愚痴はさておき、今シーズンのニックスは想像外に、あまりにも想像外に勝率をあげ、予想外にプレーオフに進んできました。その結果はとってもポジティブに捉えよう。だけど、ここまで書いてきたように

プレーオフの経験は次に生かされるのか?

こっちが最も大事なことになります。別にプレーオフで惨敗したっていいさ。出れたことだけで素晴らしく、(相手が若いホークスじゃなければ)1勝4敗でも「よく頑張ったぜ」で終わったはずです。

ランドルやバレットにとっては良い経験として換算されるでしょう。しかし、ロケッツに惨敗したウルブズ同様にチームとして本当に成長できるのかどうかは、よくわかんない。よくわかんないから来シーズン次第だよね。ってことなのでした。

なお、「プレーオフに出れた成果」といえば思い出されるのはアトキンソン・ネッツです。若い選手を地道に成長させてジャンプアップしてきたネッツは、プレーオフに出たことでスター選手の興味を引き、豪華戦力で全く違うチームになりました。

だから実はニックスの成功もオフに大物を獲得することで「成功」になったりします。クリッパーズがファーストラウンドで敗退してくれればカワイ・レナード狙いだったのですが、他にもオラディポとか、デローザンとか、エースキャラは市場に出てきますし、ロンゾやコリンズなどのRFAもいます。

まさかここでホートン・タッカーみたいな選手を狙いにはいかないでしょうし、目の前のチームを強くすることに精力を注ぎこまないと、この1年の意味もありません。ポルジンギスの成長なんて待たないよ。

ということで二重の意味でプレーオフの経験は生かされるのかどうか?
オフに勝負をかけて意味を見出すのが成功だと隣のネッツが教えてくれています。

◎ローズとペイトン

〇プレーオフのローズ
19.4点
FG48%
3P47%
5.0アシスト

そのプレーオフで結果を誰よりも残したローズ。特に3Pの向上がフロックではないことを示しました。ローズもシボドーでばかり活躍する選手ですが、実際にはシボドーから離れている期間に現代化されてたりします。

ローズについてはなにもクレームすることはありません。自分がすべきプレーをハイレベルでこなし、チームを救いました。問題はどうしても個人技に頼ってしまうオフェンスであり、その中でもわざわざペイトンを外したことです。個人で得点する能力のないペイトンをシーズン中は使って、プレーオフで外したことで、オフェンス問題はさらに苦しくなりました。

〇ローズのパス
ランドル 21.7本
バレット  7.0本
ブルロック 6.3本
ギブソン  6.0本

〇ペイトンのパス
ランドル 13.7本
バレット 11.2本
ブルロック 5.5本

ローズはプレーオフでスターターになった3試合(平均32.8分)の数字で、ペイトンはシーズン中(平均23.6分)で、それぞれ誰に何本のパスを出したのかという数字です。ローズの方がアタックするのでパスが少ないのは良いのですが、ランドルにばかり出していることがわかります。

これは明らかにプレーシェアをしないことに繋がりました。ニックスのオフェンスはローズの活躍に救われ、ペイトンが起用されないことで単調さを増していったといえます。2人とも起用すればよかったのに、こういうバランス感覚が悪いよね。

そしてこの部分については、シーズンとプレーオフで大きく違う部分でした。忘れ去られたペイトンの良さ。同時これはディフェンダーは意地でも削りたくないという采配でもあるので、あっちをとれば、こっちがとれず。

ということで、もう正直ペイトンは再契約せず、もう1人スターを連れてくるのが最善です。開幕前には「ウエストブルックを獲得しよう」ってのもあったのですが、これやるならエースがパス能力も持っている方がいいよね。ケンバならとれるだろうけど、ディフェンスがな。やっぱりオラディポか。

オフにスターが欲しい。そのスターはディフェンス力があってローズと並べられるパス能力を持っている選手ってのが最適です。そんな都合よくはいかないので、時にはローズを諦める覚悟も・・・それはないな。

◎若手をリリースするのか

ニリキナ、デニス・スミス、クイックリー
バレット、ノックス、イグナス
トッピン、ミッチェル・ロビンソン

シーズン前に若手をリリースしなかったニックス。しかし、その結果はクイックリーとトッピンのルーキーコンビにバレットくらいしかプレーオフローテになりませんでした。ケガもあるけどね。

普通に若手で戦って経験を積ませ、今回のドラフトに備えれば良かったと思いますが、後の祭りなので、もうそこは無視しよう。ちょっと苦しかったのはクイックリーとトッピンは起用されたことで「自分で指名した選手は使うよ」になっていたGM&HCでもありました。

つまりはどっちにしてもニリキナやノックスは出ていくしかなかったじゃん。せめてシーズン前に出してしまえば、対価もありそうでしたが、今更ノックスでは何も望めないよね。かつてはADとのトレード話もあったのに。

いずれにしてもニリキナとノックスはトレードで処理しましょう。エース獲得のために差し出す若手でもいいし、ロールプレイヤーのために差し出したって良い。出し惜しみするのは選手本人にとって可哀そう。

そして今回のドラフトにはポルジンギスを差し出し・・・ちがった。ハーダウェイをマブスに差し出したことで得たマブスの指名権もあります。ルーキーを加えてもいいですが、おそらく今のメインロスターを削りたくないと思うので、

ニリキナ、ノックス、19位指名権、21位指名権

これだけ差し出せます。ポルジンギスくらいなら取り戻せそうですが、複数チームのトレードに絡ませたり、サイン&トレードに絡めれば、チームの中核になる選手を探してこれそうです。スーパースターはムリだね。リラード?それはバレット+指名権5つくらい出す覚悟がないと。

ニックスのシーズンはここまで出来て「成功」だと思っています。若手育成で再建するのではなく、目の前の勝利を優先した以上は、補強までがセット。ここで「若手が伸びそうだから」なんて中途半端なことをしてはいけません。アンタッチャブルなのはバレットだけで、クイックリーやミッチェル・ロビンソンを絡めれば、さらに良い選手を獲れるなら躊躇ってはいけません。(トッピンで取れる気はしない・・・)

「私たちはニューヨーク・ニックスだ」でFAの大物を取れると勘違いしていたオーナー。デュラントには面談すらさせてもらえなかったらしいし、どうにもならなかったわけですが、プレーオフに進んだことで人気が出るのかどうか。ニックスというブランドに変化はあったのか。

チームのイメージを変えられたのか?

順位とかなんだとかは関係なく、おそらくこれが全てだ。勝たなくてもトレ・ヤングの存在とサラリーでFA補強をしたホークスのように、ニックスは次のステップに進むためには、他のチームの選手からどう捉えられているのかを試されるオフになってきます。

さようならニックス’21” への4件のフィードバック

  1. スーパースターであれば、自分の好きなシュートが打てるニックス(シボドー)はいいチームなのかもしれないですね、と思ってくれるなら、大成功のシーズンですね!!
    ただ、プレイオフのペイトンをみて、ロールプレイヤーがいくのかなーみたいな
    まぁロールプレイヤーは若手でやりくりするのか。そのやりくりをシボドーがうまくできるのか。なんかニックスはいいシーズンだったとは思いますが、ここを来シーズンはのばしたい!!!ってのはバレットだけ(ミッチェルロビンソンもか?)で、あとは補強頼りってのがなんかなーって思います。

    1. トッピンがなんとなく信用されて、育てられているのが唯一の救いで、トッピン以外は「現状の能力」が全てで判断されている気がします。
      NYだから、ロールプレイヤーくらい集められるっていう自信があるのかもしれません

  2. ニリキナはワンポイントではなく、もっとヤングにつかせてどれだけできたか見てみたかったですねー。
    あとローズとタージはセカンドユニットでクイックリー、トッピン、バークス、バレットとの連携が良かったので来シーズンはまた控えで活躍していただきたい。
    そう考えると第一優先は先発で試合を作れるPGを探すことが最優先なのかなと思いますが、実はティボドーがそういう選手をあまり好まないじゃないかなと、なんとなく思ったりもします。
    個人的にはラウラーが来てくれたら最高だなと思うのですが、ティボドーニックスでは速攻がとくいなロンゾみたいな選手の方があってますかね?
    来シーズンにむけてニックスはどこにフォーカスすると良いと思いますか?

    1. PGにはとにかく個人突破を求めるので、ペイトンじゃないんでしょうね。ペイトンじゃなくなったら、どうなるのか知りたいので、そこは逆に期待しています。

      ロンゾを狙うのは良い補強で、HCとは違う路線の選手でよりベターな方向に流すっていう。
      リラードの噂もありますが、PGに動くんだと思います。

      シーズン中にやることは何も変わらないと思うので、オフの補強が非常に大事です。

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