プレーオフ①ブレイザーズvsナゲッツ

ゲーム6

もはやリラードvsナゲッツとなったゲーム5。良くも悪くもここまでリラード頼みになってしまうのは何故なのか。それはネガティブな意味だけじゃなくて「こんなに決まりまくるからリラードに打たせるのが正解でしょ」みたいな。このシリーズはお互いにストロングポイントが相手のウィークポイントだったりするので、そりゃあストロングで押しまくればいいじゃん。

でも、いつまでもリラードだけでは勝てない。それがゲーム5だったので、何とかしないといけません。ナゲッツの方は「ヨキッチがお疲れ」にしか見えないので、周囲が何とかしてあげないといけません。同じかよ。

◎MPJとリラード

開始からデュラントなMPJ逆サイドからのオフボールムーブでダンカン・ロビンソンみたいなムービング3Pを決めれば、コビントンに完全にチェックされているのに3Pを決めるし、かと思ったら、ジャンプシュートからゴードンに見事なアシスト。

特にコビントンの上から打ったのは反則。ファイナルでリチャードソンに張り付かれているのにプルアップ3Pを決め続けたデュラントを思い出しました。「続けた」のがデュラントなので、MPJは「1本決めた」だけなのですが、そもそも1本決める選手ですら激レアさん。

ナゲッツの初めの27点のうち22点を奪います。そんな中でリラードが今日も変態的なタフ3Pを決めると、ディープ3Pを打ち返していたMPJですが、これは流石に決まらない。でもなんか「やり返したい」という気持ちが溢れていました。

そしてリラードはMPJのディフェンスの狙い撃ちします。初めはブリッツでスティール狙いに飛び出て、スイッチしないディフェンスをしていたのですが、ディープ3Pを決められたこともあり、スイッチが増えてきました。

だからスピードでイージーモードのリラード。しかし、ここで弱点が出てしまい、ジャンプシュートの選択が多いから、見事なハンドリングでMPJの体勢を崩したんだけどシュートミス。そりゃあ常時決まるわけじゃないからね。

大活躍のMPJでしたが、1Qはブレイザーズが33ー29とリードします。ブレイザーズはリラードだけでなくパウエルにも当たりがきていて、シューティングからのインサイドで上回りました。

その上、このシリーズ初となるヨキッチのファールトラブルを手に入れました。頑張ったヌルキッチ。どうしてもやられてしまっていたけど、ファールトラブルならヨキッチは下がるしかない。実はゲーム1からのヨキッチは前半のファールが0,0,1,1,0と非常に少なかったことが好ゲームになっていました。

一方でヌルキッチは5試合中3試合で退場しており、スタミナ的にもファール的にもセーブできたは点差以外のアドバンテージでした。ヨキッチが下がるとヌルキッチもベンチに下がり、前半は5点のみとなりました。

◎ストロングポイント

スモールに移行したブレイザーズ。ヨキッチ相手にカンターが苦しいし、ヘルプが間に合わないからのスモールだと思っていましたが、カンターは使わないことにしているっていうね。代わりにRHJ。点差は開かないものの、カーメロのポストアップが有効に機能し、しっかりと点が取れます。

そしてヌルキッチとヨキッチが戻ってくると、2ファールのヨキッチが想像以上にハッスルディフェンスをしてきます。ファールが怖くないのかヨキッチ。ボールをキープする事すらできないヌルキッチ。リラードがいないからポストで起点になろうとするのですが、ハイプレッシャーに苦しみます。

思い出すのはラプターズがアヌノビーでアデバヨを止めた事。あれでヒートは機能しなくなっていましたが、センターがセンターに「ボールが持てないほどのプレッシャー」ってのは、あまり聞いたことないな。それくらいヨキッチの方が迫力で上回っていました。

と同時に本日のジャッジは、そこそこやらせてくれる感じなことがわかります。チャージドローにいったリラードが倒れてもノーコールだったし、リラードのドライブにスライディングスティールしたカンパッソもノーコールだったし。そんなには吹いてくれない。

これでインサイドに強いナゲッツが追いつきます。ほぼ攻守にヨキッチだったけど、ハードな戦いを制した感じ。

マカラムはインサイドにドライブして決めきっているけど、ディフェンスではゴードンにパワーで押し込まれるし、次第にヨキッチ以外もパワープレーが目立ちます。そういえば「スピードを止められないナゲッツ」は頻繁に書いていたけど、「パワーで押し切られるブレイザーズ」ってのは始めて書いた気がする。

しかし、MPJが外し始めてからブレイザーズがトランジションアタックで一気に取り返します。シュートが決まってセットになれば強いインサイドだけど、フルコート走られると苦しいね。ベンチから出てきたサイモンズも2つの3Pでリードをもたらします。

ゲーム6で既にお互いの事はわかっているし、自分たちが止められないこともわかっているし、それぞれが強みで押し込んだ2Qでした。でも、やっぱりブレイザーズの方が上回っているように見えるよね。「負けそうなのに勝つ」のがナゲッツらしさではあるけど。

ヨキッチとモリスの3Pで追い上げたナゲッツでしたが、最後はやっぱりリラードがブザービーター3Pを沈めて7点リードで前半を折り返します。リラードはFG7/11で19点と本日もハイパー。マカラムだけが3P1/6と決まらなかったけど、チームで58%でした。

◎リラードの対策

リラードから動いたマカラムにパスが出て、ヨキッチを引き出したところでヌルキッチにパスを出す見事な連携で点差を12点に広げます。ただ何故か、この後でヌルキッチがマカラムとリラードに何かを言っています。何だったんだろ。リードを広げている割に何かが上手くいっていない感覚を持っているのかヌルキッチ。

なんでリラードがMPJのマークだったんですか?

何かあるとしたらディフェンスですが、実際によくわからない現象が起きていました。MPJのマークといっても、それは他の選手を優先した結果として回ってきた感じではなく、リラードがチェイスディフェンスをしています。MPJ対策としてリラードが回ってきた感じ。

1つあるのは、コビントンにはカバーに入って欲しいから、MPJから解放する狙いです。実際、ゴードンはこれといって怖くないので、そこは形になる。じゃあパウエルがMPJを追えばいいのですが、リラードが「オレが行く」と言い足したとしか思えない感じです。

なお、若干ゾーン気味のブレイザーズでした。かと思ったら、MPJのカッティングにリラードしか追いかけていなかったりするので、ちょっとよくわかんない。さらに3QのMPJが0点で成功していたから二重にわかんない。ジャンプされたら誰も止められないから、その前に止めるためにハードチェイスしたリラード。ディフェンスまでリラードかよ。

狙い通りMPJが止まると、今度はマカラムがドライブからフェイダウェイにフローターで加点し、コビントンはヘルプでヨキッチからターンオーバーを引き出し、残り3分で13点差。ディフェンスの変更が成功していたのと、リラードがロゴくらいの位置からゲームメイクすることでナゲッツのディフェンスが開き、そこをマカラムのドライブからシューティングに繋げていくのが良かったオフェンスです。

3Qはリラードが4点4アシスト。6人が得点するバランスアタックになり、そこまでリラードが決めていたことがフリになって、上手くパスを散らしていきました。しかもリラードは走るフリして止まってカンパッソを5つめのファールにしてしまいます。

しかし、ここからヨキッチが&ワン。なんと4Qだけで4ファールのヌルキッチが下がると、ヨキッチはコビントン相手にスピンで抜け出すわ、ローポからのフローターを決めるわ。それでもリラードが残り4.3秒でのファールドローに成功し突き放すのですが、フリースロー後にボールをもって走ったモリスがふざービーターのロングフローターで4点差にして3Qが終わりました。

3Qだけでヨキッチが20点。1Q0点なのを一気に取り返したけど、今度はMPJが0点でした。変なチームだ。マレーがいれば1QMPJ,2Qと3Qヨキッチ、4Qマレーで勝ちまくっていそうだけど。

◎マイクマローンの成長

負けられない戦いでリラードを下げないブレイザーズ。「元気な方はナゲッツ」というシリーズの流れ通り、ヨキッチを休ませているナゲッツは、またもMPJがリラードのチェイスに3Pをミス。打てているのに決まらなくなっているぞ。

苦しかったナゲッツですが、モリスが3Pで反撃です。マレーはいない、カンパッソはファールトラブル。そんな中で奮闘するモリス。今のナゲッツだとヨキッチに次ぐプレーメイカーなので、その役割は重要だし、こなせているからヨキッチを休ませられる。

〇モンテ・モリス
22点
FG8/16
9アシスト

ゲーム5の28点に続き、ここでも活躍するモリス。他にもミルサップやジャマイカルがいるし、強力なナゲッツのベンチメンバー。これで繋ぐと残り6分半、MPJのポストアップからキックアウトし、戻ってきたヨキッチの3Pで逆転します。休んで1本目をしっかりと決めたヨキッチ。リラードと違って、休んだんだから決めてくれないと割に合わない。

そしてここから一気にナゲッツペースになります。ファールコールが厳しくなった感じもあるけど、コンタクトしすぎるブレイザーズにファールが増えていき、逆に足が動いているナゲッツがディフェンスプレッシャーが効き、速攻にも繋がる。

残り6分108ー108から、ナゲッツが11点を奪う間にブレイザーズは0点。やっとリラードがドライブ&ワンで返します。やっぱりリラードか。ダブルチームに行ってもスピードで振り切ってしまうリラードをここでも止められない。

それでもナゲッツはゲーム5のオーバータイムとは違い、ヨキッチではなくモリスとヨキッチのピック&ロールで崩して、最後はヨキッチがイージーレイアップ。マレーがいればこのパターンが強烈だったのに・・・と言ってきた中で、モリスがいきました。

ブレイザーズはリラードの3Pが決まらないけどマカラムがレイアップで追い上げますが、MPJを出すのを辞めてジャマイカルを残したマイク・マローンの期待にジャマイカルがオフェンスリバウンドで答え、最後はゴードンの3Pで残り53秒9点差に。

結局、4Q終盤はハーフラインくらいからヨキッチがリラードにダブルチームを仕掛けると、パスを出しても効果的に得点できなかったブレイザーズ。リラードが打つチャンスを貰えないと途端に苦しくなってしまったのでした。

なお、カリーとドレイモンドが突破できなかったのと同じようなディフェンスですが、これを最初に積極的にやり始めたのがナゲッツだと思うので、パスを出してもその後のローテが早くて、なかなか攻めらんないんだよね。これを突破したければヨキッチのようなセンターを活用するしかない気がします。PGエースのチームの課題です。ブッカーにはあまり関係ない気がするけどね。

〇ヨキッチ
36点
FG13/22
8リバウンド
6アシスト

今日もスペシャルだったヨキッチ。レブロンを抜いて「世界一の選手」だと思うんだよね。そんなことを書く構想はあるので、相応しい結果を残してくれた時にでも。

しかし、リラードに勝てた理由はただ単にプレータイムがリラードよりも7分短かったことだと思います。この差が最後に響いてしまった。

〇プレータイム合計
リラード 248分(41.3分)
ヨキッチ 211分(35.2分)

シリーズ合計で37分。つまりヨキッチの1試合分も短くなりました。それがチーム力の差ですが、1年前のナゲッツはマレーが平均39.6分、ヨキッチが36.5分でした。一見短く見えるヨキッチですが、単にファールトラブルが多かっただけなんだよね。

つまり1年前は疲弊していたナゲッツでしたが、マイク・マローンも成長したのか、今シーズンは「元気な方がナゲッツ」になりました。無事、ゲーム7にもいかずにファーストラウンドを突破したので、これもまた成長なのかな。

加えて言うと2年前に負けたブレイザーズ戦のシリーズではヨキッチは42.2分も出場していました。FG52%3P46%で破格の出来だったヨキッチは、リラードよりも良い成績を出して敗れましたが、このシリーズは見事に逆になりました。

〇リラード
28点
13アシスト
5ターンオーバー

〇シリーズ平均
34.3点
FG46.3%
3P44.9%
10.2アシスト
2.2ターンオーバー

見事なシリーズ成績でしたが、特にこれだけの成績を残しながら2.2ターンオーバーは脅威。でも今日は5つもありました。お疲れリラード。疲れていないくらいのプレーだったけど、さすがに後半にMPJをチェイスしまくっているのはムリがあったよ。

ガード2枚エースが厳しいのは、プレーオフの舞台で必要なエースキラー役をガードの片方がやるため、疲弊してオフェンスに困ることです。今回はナゲッツのガードが弱かったから楽でしたが、最後にMPJに行ってしまった。

マレーがいないことは、単にナゲッツのオフェンスだけでなく、ブレイザーズのガード陣にダメージを与えられないデメリットが大きかったと思います。それをヨキッチを休ませられるくらいに上がってきたチーム力で補ったことにしておきましょう。

ブレイザーズは「解体」も現実味があるので、また今度触れましょう。でも、多分、このシリーズで起きている問題こそがブレイザーズが解決しなければいけない問題で、それはリラードのハイパフォーマンスを期待しすぎていることも含まれます。

ってことでチーム力で何とか勝ち上がったナゲッツ。そしてサンズもまたチーム力でレイカーズを倒して上がってきました。ブッカーとヨキッチの激しいバトルは、ひょっとしたら「より活躍しない方が強い」ってことになるかもしれません。

若手が若さを感じさせない完成度の高いプレーで、スーパーなプレーをするベテランを上回っていく今回のプレーオフなのでした。

プレーオフ①ブレイザーズvsナゲッツ” への1件のフィードバック

  1. パウエルではなくトレントならエースキラーとなりえたのでしょうか。
    スリーガードによるオフェンスの安定は図れたのに最後はリラード頼みになるのなら、戦略が足りなかったのかと。
    アミヌ、アリーゼのような、ディフェンダーよりのウィングを活用期待します。

    リトル、デリックジョーンズ、ジャイルズと育てば穴を埋めてくれそうな戦力がいたのに。

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