ロンドの25アシストからみるカズンズ&デイビス

デマーカス・カズンズとアンソニー・デイビス

リーグ最高のインサイドコンビはスモールラインナップの高速化時代とは一線を画すスタイルをどうやって構築していくのか?

そもそもセンターがいないチームが増えた中で高さを全面に出すと思いきや、むしろ高くて早くて上手い、そんな現代型としての存在価値を示そうとしています。

その強さをどう定義すれば良いのか理解出来ないペリカンズは、自分達でも理解出来ない強さを発揮しているようにも思えます。

そんなツインタワーに触れようと思った矢先、ロンドが25アシストというジェイソン・キッド以来の記録を達成しました。

 

そこで企画変更。

ロンドの25アシストから観るカズンズ&AD

ペリカンズがめちゃくちゃ強く見えてくるはず

 



◉固定観点は捨ててください。

まずはお願い。管理人は5つのポジション概念に何の意味も持たない派ですが、その是非はともかく、カズンズとデイビスを『センター』だとは考えないで下さい。

『2人の優秀な選手』とだけ捉えて下さい。

 

カズンズの事を「デカくて強くて遅いレブロン」と評していますが、ボールハンドラーとしてプレーメイクしながら、トップからローポストまで広く動いて得点だけでなくアシストまで、どんな役割もこなすのがカズンズです。

◯デマーカス・カズンズ
25.9点
12.1リバウンド
5.2アシスト
5.0ターンオーバー

 

注目すべきはターンオーバー。ミスが多いと言えば聞こえは悪いですが、得点数とアシスト数をみてもわかる通り、それだけボールに触れる機会が多い選手です。スクリーンファールなんかもあるので、むしろ純粋ガードよりも増えてしまいます。

 

◯FG
2P 6.7/12.4 54%
3P 2.2/6.2 35%

そしてFGの1/3が3Pであり、確率も悪くない選手です。

つまりはセンターではなく、ボールに絡む機会が多くシュートチャンスを演出するプレーメイカーであり、中外あらゆる距離からシュートを放つフィニッシャーでもあります。

それがカズンズ



◯アンソニー・デイビス
25.4点
10.4リバウンド
2.4アシスト
2.1ターンオーバー
2.1ブロック

スタッツ的にはカズンズよりも効率的なデイビス

しかしその能力はフィニッシャーに特化しています。アシスト2.4はキャリアハイなので、自分は得点しますがプレーメイカーではありません。

 

◯FG
2P 8.5/14.4 59%
3P 0.7/1.8 40%

ご覧の通り、3Pアテンプトは少ないものの毎試合打つくらいの数字はあり、かつ確率良く決めています。単にインサイドプレーをするわけではなく、広いシュートレンジを持っています。

高い身体能力と広いシュートレンジを活かすフィニッシャー

それがデイビス

 



◉2人を中心にしているのか。

カズンズがプレーメイカーよりで、デイビスがフィニッシャーより。そのためデイビスは合わせるけど、カズンズは合わせのプレーを怠っているイメージがありました。しかし、今季は、特にロンド出場時は味方からのパスをフィニッシュするシーンが増えています。

◯被アシスト
カズンズ 4.8
デイビス 6.2

 

非常に多いデイビスへのアシスト。得点の7割近くにアシストが記録されている事になります。周囲から良いパスをもらう事で得点するタイプのデイビスです。

そして今季のポイントに挙げていたのが、カズンズの被アシスト数です。プレーメイカーとしては優秀なものの、あまり動かないカズンズは周囲との連携に課題のある選手でした。

 

しかし、今季はしっかりと合ってきている事が伺えます。

1つ重要なのは、「スコアラーが増えて得点が分散された」以上の効果が生まれている事です。

デイビスは少し得点を落としたものの、高い被アシスト数を維持できています。そこにカズンズも高い得点力を味方のパスから発揮できているので、1+1以上の怖さを発揮できています。

 



◉アシスト

今回のテーマはロンドのアシストですが、より大切なのはそもそもペリカンズはアシストが多いチームだという事です。

◯アシスト 26.8(2)

ウォーリアーズに次いで多いアシストはチームがパッシングを重要視している事がわかるとともに、FG数が多い、つまり早い展開でオフェンス志向になっています。

 

◯得点 111.1(3)
◯レーティング 108.6(6)
◯ペース 101.9(7)

ツインタワーというと「機動力で劣り、ディフェンス優先で高さを活かす」がセオリーなのですが、この2人はあくまでも『背の高い良い選手』早い展開で点の取り合いを挑んでいます。

でもカズンズは走らない代名詞のような選手ですけどね。

 

アシストはロンドの8.2が最高で、ホリデー、カズンズ、ネルソンが4以上を記録しており、満遍なくアシストし、満遍なくアシストされるチームになっています。

 

美しきボールムーブを誇るわけではありませんが、起点が4人いてオートマティックな合わせのプレーを志向するペリカンズ

その理由をロンドに教えてもらいましょう。

 



では前置きをまとめておきます。

・ペリカンズはアシストが多い連携のチーム
・早い展開でオフェンス志向
・カズンズはプレーメイカーのスキル&フィジカル系
・デイビスはフィニッシャーの能力&シュート系
・2人はセンターではなく背の高い優秀な選手

そんな前提でロンドの25アシストからペリカンズを見ていきます。ロンドは優秀なプレーメイカーですが、今回はロンドがアシストしたというだけで、誰もがアシストしているのがペリカンズです。

可能であれば2画面でリンク先の動画と本記事を見比べながらお読みください。

 

なお、実際のアシスト順とは違うと思われるので、この動画順に触れています。



≪アシスト≫1

カズンズがポストからプレーを開始し、狭いところをロンドにパスを通します。これはズレますが、逆サイドのコーナーで待つデイビスにアシストします。

 

ポイントはデイビスのポジションです。カズンズがポストアップした事でコーナーにストレッチします。

空けたスペースに飛び込む選手がロンドというパターンでした。



≪アシスト≫2

スローインからアーリーオフェンスのパターンです。

ポイントはアーリーで全員が前に動いていながらも、最前線でもフリースローラインあたりで、ゴール下を空けています。

そこにボールと逆サイドからきたカズンズが中に絞りながらゴール下に移動し、上のパスを通しています。

 

これはカズンズの背の高さを使ったアーリーパターンです。フリースローラインまでに選手が固まっているので、ヘルプがいない状態です。またネッツのセンター(ゼラー)はデイビスのマークなので、そもそもカズンズはミスマッチである事を利用しています。

こんな感じで25アシスト振り返ります。



≪アシスト≫3

カズンズのローポストですが、同じくゼラーを外に出すためにデイビスはトップにいます。

ロンドとのトライアングルでデイビスがカットした事でディフェンスが全員インサイドを向いた瞬間に外でオープンになったムーアを使います。



≪アシスト≫4

やっている事はほぼ2と同じです。ウィングはワイドに開いて、真っ直ぐ進んだカズンズを使いました。



 

≪アシスト≫5

今度は同じパターンでデイビスが走っていますが、さすがに読まれているのでワイドに開いているホリデーを使います。3Pで良かった所ですが、アーリーかつデイビスがディフェンスを引っ張るので、楽にミドルになっています。

 

地味に重要なのはロンドがパスをもらった位置。運べるカズンズがリバウンドをとっているので、かなり前でボールをもらいます。アーリー志向がわかります。

 



≪アシスト≫6

これもアーリーの同じパターンですが、ワイドに開いて最後にカズンズが来ています。その間にディフェンスがマークマンを適正化したがっている事がわかります。

中にデイビス、外にカズンズなので中が止め難いけど、外もミスマッチになり易いパターンです。



≪アシスト≫7

ワンセンターです。プレーは普通。

≪アシスト≫8

これはアシストか?

≪アシスト≫9

またもアーリーでマークが緩い時。でも新たに特筆すべき動きはない。



 

≪アシスト≫10

セットオフェンスのナンバープレーです。

カズンズとデイビス共に中外ある構成を利用して、どちらが飛び込むのかわからないセットにしています。ピックプレーと見せかけてロンドがサイドに流れてパスコースを作っています。

どっちにパスしても良かったくらい混乱させています。



 

≪アシスト≫11

解説不要なくらいわかりやすくデイビスに引きつけて、外のカズンズがフリーです。

≪アシスト≫12

これも既出のプレーですが前を走るのがカズンズだけなので、ロンドの位置がワイドに広がっています。
やはり逆サイドのゴール下へ、高さを活かします。



≪アシスト≫13

2人はほぼ関係ないプレー。カズンズのブレイクパスが見事なだけ。

≪アシスト≫14

部分的にはロンドとデイビスのツーメンゲーム。3Pにする以外は普通です。

ポイントは全く関係ない逆サイドのカズンズ。見事にコーナーに移動しシューターの位置に入っている事がわかります。ロンドがそのままドライブしたらキックアウト先になります。

ツインタワーが両コーナーというペリカンズ



≪アシスト≫15

これもアーリーの同じようなプレーで、真ん中を上がって来たデイビスがロンドと逆サイドのゴール下へカットします。

 

と見せかけて、ディフェンスの注意が薄くなった所をボールと同サイドがリングにカットします。

これもフリースローラインまでしかポジションしないから空けたゴール下という派生パターン



≪アシスト≫16

変なプレーで相手のフリースローなのにデイビスはリバウンドに入らず前へ。アーリーオフェンス重視です。

 

アリウープ自体はネッツのマズさもありますが、またも狙ったのは同じ位置です。



≪アシスト≫17

それまでゴール下を使いまくったから、ワイドに開いた位置までディフェンスが来なかったプレー。パスが良かったけど、それまでのフリが効いた形

≪アシスト≫18

ロンドとホリデーの素晴らしいプレー。
カズンズ&デイビスは関係ないのだけど、2人ともいるオフェンスなのに2人ともインサイドにいない状態



この先はもうカズンズ&デイビスはお休みなので割愛します。

 

今回の趣旨は「ロンドスゴイなー」ではなく、「ロンドのアシストからみるカズンズ&デイビス」です。ペリカンズは2人をどのように活用してオフェンスのチームになっているのか。

そしてこうやって動画を振り返ると、ロンドは確かに素晴らしいですが、そもそもペリカンズ自体がアシストの多いチームであり、カズンズ&デイビスをオンボール、オフボール問わず有効に利用している事が伺えます。

その内容をまとめてみます。

 



◉アーリーオフェンス

アシストの殆どがアーリーオフェンスでした。ネッツの守備も問題なのですが、速攻のイージーシュートではなく、リバウンドやスローインからのスタートであり、早くシュートまで辿りついていますが、速いわけではありません。

◯ワイドにポジショニングし、ゴール下を空ける
◯カズンズ&デイビスはセンターラインからボールの逆サイド裏パスを狙う
◯2人が中外両方にディフェンスを引っ張る

アーリーオフェンスの狙いは早くフロントコートに入る事でディフェンスのマッチアップに混乱を生じさせ、そこで空いたゴール下にリングを向いた状態でダイブさせています。

ニックスはカンターが走るのでポルジンギスのミスマッチを作っていましたが、カズンズ&デイビスはそもそもどちらかにはミスマッチが生まれやすくなります。

それでいて外からも打てるので、ディフェンスの体制が整わないうちにフロントコートに入って混乱を生じさせています。

ペリカンズのパターン自体は非常にシンプルですが、分かっていても混乱させられているネッツでした。ゾーン気味にしてますが、そこでもアシストされてしまいました。



相手のフリースロー時にデイビスがリバウンドに入らないのも興味深い作戦です。これはデイビスが不在の時にカズンズもやっていました。相手のビッグマンに対応させる意図もあります。

全般的に言えるのはカズンズ&デイビスさえもリバウンドに参加しないで前を走るシーンがかなりある事。

 

つまりディフェンスはある程度諦めています。

元々ブロック数が多い割には守れなかったペリカンズは、コートをワイドに使い、速さで崩して来るオフェンスに対して守りきれないと判断しています。主にカズンズが。

 

その代わりに同じく早い展開をチョイスし、アーリーオフェンスでカズンズ&デイビスの多彩さを活かしてディフェンスを混乱させる方法論を選びました。

同じ様に早い展開ならば高さの分だけ優位になる発想もあります。



◉ハーフコートオフェンス

アーリーオフェンスに対してハーフコートになるとロンドのアシストは目立たない事がわかります。

あくまでも25アシストという数にしてはですが。

ハーフコートではカズンズ&デイビスが別サイドに開いている事がわかります。特に逆サイドはコーナーパターンが多くあります。実際にはカズンズはトップに近いのですが、そこにロンド効果があって、ロンドの指示はちゃんと聞くカズンズがいます。

1人はボールに絡みますが、1人はスペーサーに徹しているわけです。

おそらくこの試合はマッチアップの関係からカズンズの方がミスマッチが多いので、よりローポストアタックが加わっています。

両コーナーにいたシーンがあるようにインサイドをどうやって空けるかを考慮されているペリカンズです。

 



◉ペリカンズのキモ

そんなわけでカズンズ&デイビスの利点を活かしオフェンスチームになったペリカンズ
従来からの主力であるデイビスとホリデーはディフェンスレーティングも悪くないのですが、カズンズの獲得によりオフェンスに移行したといえます。

2人を強力に活かすために、スペーシングを出来ている事がわかりますが、そこにキモとなる選手がいます。

◯イート・ワン・ムーア
13.2点
FG 53.9%
3P 47.4%

 

空けられたスペースを利用するオフボールのポジショニングが上手いガードのムーア。そんなムーアが超高確率でシュートを決めている事が、ペリカンズのオフェンスを強固なものにしています。

ムーアがこんなに決めなければ、諦める選択肢もあるのですが、カズンズ&デイビスよりも効率的というのがより怖さを発揮します。

特に12月は3P60%でオフェンス絶好調なチームを支えます。キャリア最高の確率なので単にシュート力が成長したのでなく、戦術の中で力を発揮しやすくなったといえます。

 

ちなみにフリースローは50%程度しか決まりません。



◯12月のペリカンズ
得点 116.3
FG 51.3%
3P 46.0%

恐ろしい数字です。

ロンドの復帰によりホリデーとの突破力もアシスト力もあるPGコンビに、カズンズ&デイビスの高さのあるフィニッシャー、そしてスペースを使うシューターのムーア。

ツインタワーの控えこそ欠きますが、PGネルソン、シューターのクラーク、万能型のカニンガムとベンチも役割がハッキリしていて、好調なオフェンスを続けられます。

ウルブズはオールドスクールな内容で、ウルブズらしさが足りないと評しましたが、ペリカンズは現代的な内容でペリカンズにしか出来ないシステムで成り立っています。

 

時に笑ってしまうほど全てをねじ伏せてしまうペリカンズらしさは、ディフェンスを無力化してしまいます。



 

しかし、そんなオフェンスなのに7勝8敗。

この体制が整って日が短いので、これからの面はありますが、FG50%超えて5割しか勝てないなんて、どれだけディフェンスが悪いのか、なんて話になります。

しかし、問題はディフェンスだけではありません。

◯12月のレーティング/4Qのレーティング
オフェンス 113.7/108.7
ディフェンス 110.2/115.6

合計では+3.5と圧倒的なレーティング差ながら、4Q△6.9となります。

特に負けた試合は最後に押し切られています。ロケッツやウォーリアーズ相手だったりするので、致し方ないといえばそれまでですが、終盤力に欠けるチームです。



◉ゲームメイカー不足

4Qになっても比較的高いFG%なのですが、ホリデーの成績が悪くハンドラーによる得点がカズンズに偏ってしまいます。

しかし、カズンズはターンオーバーが多いこともあり、競合いで流れに乗られて押し切られてしまいます。

ロンドは素晴らしいアシストを決めるのですが、ゲーム全体の中でプレーを構成していく能力に欠ける面があります。プレーメイカーだけど、ゲームメイカーではないロンド。

そこまでの展開からどんなプレーを選択すべきなのか、どこが最も勝てるのか、そしてディフェンス面でもせめて相手の何を抑えるのか。

サンプル数が少ないので、たまたま負けただけとも言えますが、それでもオフェンス力に見合わない成績はペリカンズが勝つために必要な事を掴みきれていない事を感じざるを得ません。

ディフェンス力に課題があっても勝ち切っているチームはあります。それは終盤力の時もあれば、試合の中で一気呵成にリードを広げる方法だったり。

 

ペリカンズは効率的で考えられたオフェンスをします。それはミスも厭わない攻めの姿勢から生み出されます。

試合を決めるタイミング

そこを見極めて押し切る力には欠けているのが現状です。

ウルブズが安定感ならばペリカンズは爆発力です。現状は安定的に戦われると最後に押し負けてしまうペリカンズです。

 

チームが上向いてきた今、リーグトップに追いつく勢いのオフェンス力で勝率を上げられるのか。新しいツインタワーの形として注目されます。



◉カズンズが握る将来

 

カズンズ&デイビスに触れたいと考えていましたが、不安定すぎるペリカンズであり、データでは語りにくい強さでした。

ロンド25アシストにより急遽作成した記事ですが、データでは説明し難いカズンズ&デイビスの利用法を分かりやすく説明してくれたロンドでした。

もちろん、これは上手くいきすぎパターンです。でも、決してたまたまではなく、チームとしての狙いをロンドがしっかりと達成している事がわかると思います。

 

そしてチームの完成度で言えば、低いのが今のペリカンズです。伸び代を感じずにはいられないチーム。

 

かなり特殊な対応が必要になるのでプレーオフで当たるチームを嫌がらせるはずです。

しかし、完成するのかと言われると、ロンドとカズンズのこれまでを振り返っても怪しい雰囲気が。

 

デイビス離脱時に獅子奮迅の活躍をしたカズンズは、ロンド復帰で役割を変えるなど、かなり大人になってきています。スタッツ面では十分な結果を残しながら、プレーヤーとしての評価はイマイチなカズンズ。

そんなカズンズの変化には期待しています。

 

 

アンソニー・デイビスをセルティックスにトレード?

あり得ないでしょ!
ニューオリンズにはリーグ最強に近づくオフェンスチームがあります。

 

PS.ホームのお客さんが増えた気がしています。

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