ロケッツvsバックス

2021/4/29

久しぶりに観たバックスはホリデーを起点として驚くほどにチームオフェンスを展開していました。でも、それは試合序盤だけで、次第にヤニスアタックばかりに戻っていきましたとさ。本日はヤニスがファーストプレーでオリニクの足を踏んでしまい、ちょっと前に欠場の原因となっていた足首を再び捻ってしまいました。1分経たずに試合からいなくなったこともあり、逆にどんなオフェンスを試合を通して展開するのか注目されます。

◎ロケッツとタッカー

この試合はタッカーがヒューストンに戻ってきた試合でもあります。ハーデンに続いてオラディポもいなくなったロケッツですが、この2人はエースとしてボールを持ってアタックし、サポートキャスト達はそれに合わせるのが役割でした。

タッカーはまさにその最高峰であり、コーナー3Pとハードワークがお仕事だったわけですが、ロケッツがトレードで求めたのは全く違うタイプの選手であり、マルチタスクのウイングを多く揃えていく方針に変更されています。ハーデンと共にタッカータイプもまたロケッツの構想から外れたともいえるわけです。

ちょうどオリニクがヒート時代とは違ってポイントフォワードみたいなプレーをしている事もあり、違和感と共に、ロケッツは全員がプレーメイカーとして絡んでほしいわけです。4月はテイト、ウッド、KPJ、オリニクと二桁得点でチームを引っ張っています。

スイッチさせてウッドvsホリデーのゴール下にしたり、MPJがブルック相手に3P決めたり。また、単純にオリニクがタッカー相手に1on1を仕掛けたり、寄せ集めで連携が進んでいない事もあって、複雑に選手が絡むオフェンスではないけど、全員がシンプルに攻めていきます。

一方でガードをしているKPJを含めてウイング系の選手を集めているのだからディフェンスでこそ強みを発揮できそうなのですが、そこはボコボコにやられていくスタート。特にホリデーには何もできずにやられてしまいます。これならスピードで対抗できる選手を集めた方がいいじゃん。

さらにオフボールで動いたフォーブスをまるで捕まえられず、キャッチ&3Pを連打されてしまいます。かと思ったらポーティスにスピードで振り切られているウッド。スッカスカだな。

普通はガード系統の選手を増やしてオフェンスで仕掛けるポイントを増やすのに、ウイング集めてオフェンス優勢だから、変わっているといえば変わっているぜ。これなら別にサイズ関係なく選手を集めていいんだけどね。

ただホリデーのディフェンスに悩まされ気味のKPJですが、高さの利があるのでジャンプシュートで攻略しています。それでいて上のパスでインサイドにもパスを通せているので、高さの利はいっぱい出ている。それって単にKPJ個人の問題だけど。

あとバックスが何故かゴール下でガードがオリニクを守る形にされまくるので、1Qは得点は28点とそこそこ。でも守れなくて10点ビハインドで終わります。ディフェンスとコーナー3Pが仕事だったタッカーに比べると、オフェンスではみんながいろいろやるけど、ディフェンスは出来ていないっていうね。

◎流しすぎのバックス

順調にリードを広げており、何も問題がないバックスですが、なんというか、流れるままに試合を進めてしまっている気もします。もう少しテンポコントロールしてもいいんじゃないかな。とはいえ、間違った判断もないし、強気にシュートも打てているし、ディフェンスも収縮しているし。まぁ無いものねだりなのかな。

ミドルトンの3Pで50点にのせ、15点リードに。理想的にはスローダウンして反撃を食らいにくくすることですが、アイソ以外には時間を使うようなプレーコールがなく、下手にスローダウンするとタフショットが多くなってしまうかもしれません。

レイカーズやナゲッツだとエクストラパスの連続になるのですが、バックスの場合は打てる時は2~3本のパスでシンプルに打つのが良い所なので、どうしてもね。そういうテンポの柔軟性がないのもプレーオフの不安要素になるわけですが、本日はヤニスがいないので迂闊にアイソを増やすわけにもいかないしな。

ロケッツのディフェンスはプレッシャーが弱く、特に3Pを打ちやすいこともあって、ポーティスを経由しながら両コーナーまで広くパスが出て、その中でタッカーのコーナー3Pもあるし、フォーブスの3Pも継続して決まります。少ないタッチで決めまくるフォーブスの独壇場だな。

強豪チームとして優勝を狙うには、単にリードしているだけでなく、相手の長所を少しずつ削っていくのも大切ですが、二桁リードをキープできている事もあって、あくまでもバックス流のディフェンスで対抗しています。ただ、ペイント内で強いはずが、ヤニス不在もあって止めきれないことが多く、特に流れのまま進み過ぎた2Qは失点が増えてしまいました。

さらにトランジションで人数が足りているのにオリニクに2for1の3Pを食らってしまうと、最後はウッドがペイント内で強引にフローターを決めたことで、73-65と8点差で前半が終わります。

バックスはしっかりと得点したけど37失点しています。だったらスローダウンしてリスクを減らすようなチョイスもあったんじゃないかってことです。無いものねだりだけど、プレーオフで勝ちたいわけだしね。

◎心のプレッシャー

後半はタフショットを決めるウッドで始まります。さらにKPJもタフミドル。ここら辺はさすがに止めに行きすぎても仕方ないからロケッツを誉めるしかない。しかし、その間にバックスはシュートミス連発し、オリニクの3Pで1点差になってしまいます。始まって2分間の出来事。

今シーズンのバックスはディフェンスの弱さが目立ちますが、ここまでロケッツにやられているのはイマイチわかりません。タフショットは多いし、ウッドはゴール下で粘って決めているので、ファーストディフェンスは成功している。タッカーの高速ヘルプでしっかりと抑えに行ったけど、ダブルクラッチで決められたりしているもんな。リバウンドのリフレクションが運悪くゴール下のオリニクに渡ったりしてさ。

ロケッツの頑張りと共に、かなりの運も味方して逆転したのですが、バックス目戦で見れば「しっかりと守ってはいるけど、ボールを奪い取れていない」ような感じです。それって見た目にはわかりにくいけど、

ロケッツはプレッシャーを感じていない

ってことかな。派手に抜かれることはなく、ヘルプも機能しているし、リバウンドにも飛び込んでいる。でも、ロケッツの選手はシュートを打ち切れているし、ペイント内でも恐れることなく立ち向かっている。

そんな中、KPJがタッカー相手にプルアップ3Pを決めると、さらにコーナーでホリデーに追い込まれているのに、またもプルアップ3Pを決めます。ウルブズ戦では全然決まらなかったし、その後はプロトコル違反していた問題児ですが、なんでここまで強気に決めているのか。

それはウッドにも伝染し、タフなプルアップ3Pをヒットします。こうなると意味わかんない。バックスはちゃんと守っているのに、ロケッツは何も関係ないく決めている。

うーん、だからフルコートでガードにプレッシャーをかけてボール回しを阻害していくしか止めようがなかったかも。でも下がって対応しているから、MPJとウッドは3Pライン付近からのピック&ロールでスタートできています。うーん、もう少しディフェンスも工夫しないとノリノリすぎのロケッツに圧されてしまう。

その一方でホリデーがベンチに下がったこともあって、例によってミドルトンの個人技オフェンスに戻っていきます。1Qと違いすぎるんだよな。オーバーヘルプするロケッツによってミドルトンからパスはしっかりと出てきますが、それはある意味ロケッツの方が工夫しているともいえます。

ただ、やっぱり止めきれなかったことと、フォーブスが見事なフェイダウェイミドルを決めた事もあって、バックスはオフェンスで対抗できます。あとは守れれば、ってところなのでゾーンに変更しますが、DJウィルソンが見事なランニングリバウンドを奪えば、3Pもヒットしてリードをキープします。

うーん、バックスで過ごしてきた期間は何だったのか。この活躍はバックスで求められていたプレーですが、ロケッツに来てからの方が表現できている。今シーズンでNBAキャリアが終わるような選手ではないだろうね。

さらに3Pを決めたKPJによって3Qは104-98で終わります。うーん、こんなにロケッツのオフェンスが続くとは思わなかったね。バックスの方は通常通りではあるかな。アイソ増えて上手くいかないパターン。

◎KPJ

前半はオフボールで動いてキャッチ&3Pを連発していたフォーブスですが、後半になるとロケッツディフェンスはスイッチしてチェイスするようになりましたが、オリニク相手にドライブからステップバックミドルのフォーブスで特に問題なく得点します。そこ止められないの厳しいから勝てないロケッツ。まぁ戦力的問題だし仕方がないさ。

そしてホリデーがK・マーティンに腕を絡めながらのミドルを決めてバックスが逆転します。KPJを戻すことにしたサイラス。今日は勝てると踏んでいるんだろうね。しかし、ホリデーにドライブ連発されると、1on4のシチュエーションで3Pも決められ、ホリデーできっちりとリードを得ます。

そしてフォーブスも3Pで続いて、しっかりと勝ち切りそうなバックスは、ミドルトンもドライブからファールドロー。オフェンスは何の問題もないぜ。

でもロケッツも止まらない。KPJのキックアウトからウッドが3P。ウッドの3Pがこんなに決まったらやってられないね。ヤニスがいないとヘルプ役も足りないしさ。そして今度はウッドのドライブからパスアウトでウィルソンが3P。

ここら辺は定例のバックスのウィークポイントです。ドライブに複数人が対応し、ビッグマンの3Pは捨てる。ヒートに負けてから反省していないような戦いぶりですが、戦力は強化したのでウッドのレイアップをホリデーがブロックして止めます。あとは個人に頼るのみか。

残り5分、そこまで殆どドライブは決められていなかったロケッツですが、KPJのドライブにヘルプが間に合わなかったタッカーが手を出して&ワン。うーん、タッカーがこの形でやってしまうの珍しい気がします。それってアップテンポすぎてスタミナ消費し、間に合わなくなってきたってことじゃないのかな。

続いてKPJはブルック相手にしてプルアップ3Pで逆転に成功します。ハーデンじゃん、と解説も騒いでいるぜ。その次もブルック相手にファールドローのKPJ。同じくブルック相手にステップバック3Pで40点を超えるKPJ

っていうかさ、バックスはブルック、タッカー、ポーティスを並べています。それで簡単にKPJvsブルックにされちゃうっていうね。KPJのサイズに対してホリデーが効いていなかったからタッカーを当てたのかもしれませんが、こんなに簡単にスピードのミスマッチを作られていたら、完全に采配ミスだよね。ビッグマン並べるなら、せめて3Pは打たせないようにプレッシャーをかけてドライブさせればいいのに。

残り4分でポーティスが下がりますが、本日好調のフォーブスは残します。期待に応えてシュートを決めるフォーブス。ロケッツディフェンスも何も対応できていないね。

タイムアウトのロケッツはホリデーにマークされたKPJにドライブさせますが、ここはタッカーがヘルプでチャージドロー。やっと正しい守り方になったようなバックス。そしてホリデーがドライブで得点すると、ミドルトンもジャンプシュートで残り2分1点差。

KPJから自由がなくなったものの、今度はテイトが3P。あっちを塞げばこっちが防げず。それはハーデンロケッツにはなかった特徴であり、これがサイラスの進みたいオフェンスなんだろうなーって感じです。

そう思ったらKPJがウッドのスクリーンを使って再びステップバック3Pをヒット。ミドルトンがクイック3Pで返すも、KPJにプレッシャーをかけたホリデーがファールコールされて、残り1分でロケッツが4点リードに。

ロビンと違ってブルックのフックが外れて、ロケッツオフェンスはまたもKPJがピック&ロールから抜け出して決めます。うーん、延々とこれが守れないバックス。ってことで、最後までディフェンスで対抗できなかったバックスがオフェンス勝負を落としてしまったのでした。

〇3P
ロケッツ 25/46
バックス 16/39

さすがに40本以上打って50%を超えたら勝てないよ。それでもオフェンス力で最後まで試合がわからなかったんだから、バックスが強いのは確かだけど、例によって対応力の足りないチームっぷりを発揮しました。

〇ウッド
31点
3P6/10

特にバックスにとって最悪だったのはウッドの3Pが決まりまくったこと。その前に10本も打たれているのも問題だけどね。バックスとしては放置するポイントなので、そこでやられたらこうなるさ。

〇オフェンスリバウンド
オリニク 6
ウッド 4
ウィルソン 5

ただ3Pを放置しているけど、オフェンスリバウンドも取られまくったバックス。全部で16本とられ、自分たちは8本でした。「ヤニスがいないから」といえばそれまでなのですが、自分たちのディフェンス戦術における弱点を突かれた上で、長所でもやられてしまっているのだから、崩壊しすぎです。

ってことで普通なら「ロケッツが好調過ぎてアンラッキーな試合でした」で終わるのですが、それで終わらせるにはいくらなんでもわかりやすくやられ過ぎていたバックスでした。

〇KPJ
50点
3P9/15
11アシスト

ただし、KPJについてはピック&ロールディフェンスの悪さはあったものの、KPJを誉めるしかありません。イージーにドライブして得点しまくったわけでなく、かなりのタフショットを決めていたし、シューティングの良さで攻略しました。

ホリデーのディフェンスにも恐れることなく強気に点を奪って行けたのはビックリ。左利きでサイズのあるPGってことで、ハーデンっぽいですが、あんなにファンタジーはないよ。でも、より正確にシュートを打てるなら話は別だ。素行の悪さが問題視されているけど、50点とれてしまえば存在価値も変わるよね。

ウッドもKPJもポテンシャルを図り損ねています。限界値は見えていそうなんだけど、それを超えた活躍をしている。ロケッツファンはハーデンを重ねたくなるだろうけど、むしろもう少しスマートなエースになれるといいんだけどね。いずれにしても驚くべきオフェンス勝負を制したロケッツでした。

〇バックス
ミドルトン 33点
ホリデー 29点
フォーブス 30点

バックスもホリデーがあと1点取っていれば、3人が30点オーバーという凄い状態でした。好調過ぎたフォーブスですが、オフボールで動くフォーブスを有効活用できるようになったことはポジティブな変化です。以前よりもチームオフェンスするようになったし、ヤニスがいないことでよりチームで得点を取りに行ったといえます。

ただ、これを柔軟に使い分けるかというと、そんな匂いはしないんだよね。まぁ今日はアンラッキーではあったし、オフェンスはしっかりと構築出来たんだから、気にしすぎる必要はないというか、もはや気にしても仕方がないというか。

果たして打ち合いを挑んでネッツを倒せるのかどうか。
ディフェンス力で劣るシクサーズを倒せるのかどうか。
ヒート相手に昨年の二の舞にならないのかどうか。

いろいろ悩んじゃうけど、まずはヤニスが健康で戻ってくることを願いましょう。

ロケッツvsバックス” への4件のフィードバック

  1. オリニクはサイラスのシステムを “freedom and flow” と表現していました。ハーデン時代との違いは楽しめていますが、タッカーは無得点の試合が多くて苦しそうでした。
    ウィルソンは守備難で干されかけていたけど、ケガ人続出でチャンスを得て自信をつけています。同じバックス産のブラウンは3Pがプチ覚醒して頼りになっていたけど、ケガしました。オーガスティンもケガ。
    ウッドはオフに体を鍛えるらしいので、それに期待します。KPJはチームメイトからの才能の評価が高いので、それを信じるしかないです。
    あとはドラフト次第。

    1. 主役以上にわき役はHCの影響をうけますね。
      サイラスのもとにきてヤル気だした選手もいるはずなので、あとはオフにそんな選手が成長するかですね。
      ウッドはスピードを落とさないように!

  2. いつもブログ楽しく拝見させていただいてます。
    当初はハーデン、ラスがいる予定で監督になったサイラス。トレードによってウォール、オラディポ(そこにヌワバあったり)中心に連勝してた時はリーグトップのDFでしたが、ウォールのケガ、オラディポが再びトレードで、一気に守れなくなりました。サイラスも大変そう。そしてこの3Pのチェックの甘さはなんなんですかね(笑)
    KPJは良い感じに生意気な見た目通り、常に強気にプレイしていてそこは見ていて楽しいです。
    あとは、ドラフトに期待します。

    1. ディフェンスはチームディフェンスがインサイド重視の上で、個人もカバーリングする選手を好むので自然とそうなりますね。
      ここにどんな選手を加えて解決するのかは興味あります。

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