ペリカンズvsスパーズ

2021/4/24

スパーズで好きな選手は誰ですか?

うーん、誰でしょうね。考えたこともない。ホワイトは緩急織り交ぜる面白い選手だし、デローザンは毎シーズン、パスが上手くなって面白いし、ヴァッセルのディフェンスは観察してみたい。でもそれは好きとは違うような。

で、考えたら「この選手が活躍したと聞いたら試合を見たくなる」のはサマニッチ。ビッグマンだけど、スピードがある選手っぽく、でもクイックネスで勝負して勝っているのは観たことがない。3Pを決める時が活躍する試合だけど、安定している気はしない。やる気がないように見えていたけど、一旦調子に乗ると活躍し、次の試合には出番がなかったりする。そういう「変」な感じが面白いのでした。

◎ディフェンス

ペリカンズはザイオンのモンスター感とイングラムの堅実さ、そしてロンゾのパス能力とオフェンス面では機能しており、でも勝てない。勝ち切れない理由はオフェンスにもあるのですが、そこは置いといて、1Qはディフェンスを中心に観てみましょう。まぁベンチメンバーが若くてミスしてしまうってのも大きいんだけどね。

ペリカンズはロンゾとブレッドソーのガードコンビなので、個人で見たら他のチームがうらやむようなディフェンス力を持っています。そこに屈強でハードワークを欠かさないアダムスがインサイドで構えているのだから、そもそも守れておかしくないんだよね。

イングラムとザイオンの意識の低さってのはあるけど、ウイングスパンのオバケのイングラムとパワーオバケのザイオンだから、ウイングディフェンダーとしては便利なはず。そう考えるとディフェンスレーティングが27位ってのはいかがなものか。

もうシーズンも終盤に入ってきたので、新HCになってディフェンス戦術だって確立できていないといけない頃です。まぁ「ディフェンスは来シーズンね」とか考えていたら話は別ですが、自然発生的な連携でも守れていないのも事実だしさ。

デローザンがボールを持ち、パートルがスクリーンに行くとブレッドソーは3Pラインの外までデローザンを追いかけ、そこにアダムスがショーディフェンスに来ます。すると簡単にパートルにパスを通され、そのパートルには遅れて残りの3人が収縮し、簡単にケルドンのコーナー3Pになります。

さらにホワイトのマークを離していなかったイングラムですが、あっさりとキャッチ&3Pを打たれます。ウイングスパンがあるのだから、普通よりは距離を空けても良いイングラムですが、そのメリットを生かせないほどにホワイトとの間には距離がありました。繰り返すけどマークはしていたんだよ。

つまりデローザンに対しては3Pラインの外までダブルチーム気味でも追いかけ、ホワイトに対しては3Pが打てるくらいの距離を取っていた。スカウティングというか当然の対応が出来ていないことになります。チームとして何を止めるのか、相手の特徴を把握していない。あるいは単にイングラムのサボりかな。そっちの方が現実的か。

マイボールになったらケルドンが前を走るも、ペリカンズは3人が戻ります。ところがデローザンのワンパスでケルドンの裏にパスを通されてイージーレイアップ。3人戻っているのだから一番後ろにいたロンゾはケルドンだけを観ていてよかったのに、ボールを見てしまっていました。

同じく3人戻っている時に前を走ったマレーにパスが出ると、3人がマレーを見てしまい、逆サイドを走ってきたケルドンがドフリーのダンク。何してんだか。

総じて全員がボールに来てしまうペリカンズ。だから個人のディフェンス力が良くたって関係ない。アダムスがショーディフェンスしては裏のスペースをザイオンが埋めていないシーンも目立ち、パスが出てから遅れて来るので人数が多過ぎる。

こっちの問題もチーム戦術の問題ではありますが、1人くらい気を利かせてくれてもいいのに、両ウイングがイングラムとザイオンだから、どっちも気を利かせられない感じだね。「ハートがいれば」って気がしますが、実際にザイオン→ハートになるとディフェンスレーティングが105.8まで下がります。ハートのケガは大きいな。

そんなわけでパスを回して個人が仕掛ける形のスパーズオフェンス相手に守り切るのが大変そう。幸いデローザンに3Pがないため、ちょっと遅れた時のシューターがデローザンだと助かっており、この点では相性は良いのかも。基本的に3Pに弱いペリカンズ。

1Qは31-24とスパーズリードで終わります。チームディフェンスが悪いとはいえ、カバーリング問題とかじゃなくボールウォッチャーになることが最大の問題なので、解決するには時間がかかりそうです。

◎爆発しきれない

リードしたスパーズですがオフェンスがとても良いってわけじゃなく、ドライブで飛び上がってからパスコースを探すことが増えてしまっています。それだけ空いたスペースに誰かが飛び込んでくるという信頼があるわけですが、スムーズなダンクにはならないね。

しかしディフェンスの方はペリカンズのセンターに3Pがないこともあって、4人がプレッシャーをかけながら、ゴール下をパートルが塞ぐので機能しています。ペリカンズからすると、空いているはずのセンターにパスが出てこない。スペースが足りないし、ザイオン以外はドライブでリングにアタックすることが少ないからね。パートルが自分のマークを捨てても、全体は崩れていないから簡単にカバーできる。

なので、ザイオンの強引さとガード陣の3Pが決まることに困るくらい。オフェンスさえもっと上手くいけばいいんだけど、ペリカンズがマーシャルを起用してくると、ちょっとドライブしにくくなります。結局はウイングディフェンスなのか。ボールに行きすぎず、反応の早いカイラも効いているね。

そんなわけでペリカンズに圧されているわけじゃないけど、点が取れなくなってしまい追い上げられます。オフェンスでもマーシャルにドライブを食らってしまい、予定外に苦しんでいるような。

するとケルドンと交代でサマニッチが出てきます。本日はゲイがいないので代役ですが、2Q残り7分まで出なかったからゲームプランとは違う起用かもね。

そのサマニッチはペリカンズのドライブに対してスパーズが収縮したら、3Pラインの外でフリーになっていたカイラを見つけて、パスが出る前にカバーします。別にスパーズでは珍しいシーンではありませんが、ペリカンズと比較するとサマニッチすらもローテが出来ていることは大きな違いです。

ザイオンがベンチに下がるとカイラやブレッドソーとアダムスによるピック&ロールに苦しみそうになるのですが、アダムスはフリースローを2本とも外してくれ、しかも早々にザイオンが戻ってきたので、センターが引き出されなくなったスパーズ

ザイオンのアタックに対してもパートルとサマニッチの2人体制でインサイドカバーするので、ペイント内が固くなったスパーズ。ケルドンの時は裏パスアリウープされていたけど、サマニッチはザイオンを大きく離して守るから、その危険性も減っている。

ザイオンは一回他の選手にパスしてリターンを3Pでも打てばいいのに、それはしないでひたすら自分でアタックだな。もちろんパスアウトはするんだけどワンパターンだ。

これに対してスパーズオフェンスも微妙なシュートばかり。サマニッチがコーナーからドライブして&ワンを決めて抜け出すかと思ったら、ザイオンにドライブ&ワンで返されてしまうしさ。

スパーズ5点リードの残り1分半からデローザンが連続でドライブから得点。ペリカンズはアダムスがオフェンスリバウンドで取り返すも、同じくオフェンスリバウンドに絡んだらパートルへのファールがコールされアンラッキーなボーナススローに。

更にザイオンのドライブはパートルがチャージドロー。チャレンジしたらパートルのブロッキングに変更されたけど、総じてパートルのカバーを引きはがせずに困りまくった前半でした。パートルは前半だけで4ブロック。パターンが同じだから待ち構えられまくっていたね。

前半は61-52。デローザンの8アシストがあった割にユーバンクス&ロニー・ウォーカーで5つもターンオーバーが発生した事もあって、スパーズオフェンスは爆発しきれませんでした。ペリカンズのディフェンスローテは悪いけど、スパーズ側もそれを手玉に取れる選手は限られているって感じだったね。

◎マーシャル、カイラ、イワンドゥ

ボール運びでダブルドリブルしたロンゾ。次のオフェンスはドライブからアダムスにパスを出したけど、密集地帯だし息も合わないしでターンオーバーになり、不満があるようなアクションをしてディフェンスに戻らず、速攻を食らってスパーズが11点リードになります。

イングラムもチャージングするし、とにかくフィニッシュのタメのスペースを作れないペリカンズ。オフェンスもトラブルになってきた3Qですが、ロンゾが3P連発で救います。ブロックの外から決められるかどうかに左右されるね。

スパーズはデローザンがスピンムーブにフローター。ホワイトもドライブフローターでインサイドフィニッシュしてリードを保って行きます。ただ、こちらは3Pの思い切りが悪くなっており、ペリカンズのディフェンスが間に合っています。修正といえば修正。

それでもやっぱりワイドオープン3Pを作れるのですが、これをミスしてしまい、やっぱり突き放せない。そんな時はミルズの出番ですが、そこはカイラが密着でフリーにさせない。

前半も感じましたが、ペリカンズはカイラとマーシャルが出てくると急激にディフェンスが良くなります。自分のマークマンを簡単には離さないことで、スパーズにタフな状況を作っていく。本来はスクリーンを使って剥がすのがスパーズですが、パートルがベンチの時間帯だと剥がしきれていない。

・・・あっカイラじゃなくてイワンドゥだった。ってことは前半は30秒しか出ていなかったイワンドゥ投入でディフェンスを締めにいったのか。2人いればローテでのカバーも成立するので効果的。マーシャル、カイラ、イワンドゥはペリカンズの中でディフェンスレーティングの良い選手ですが、その理由はとてもよくわかります。

するとオフェンスでもカイラのキックアウトからマーシャルの3Pで3点差に。マーシャルはデローザンのフェイクに引っかからずに止めると、自分は強引にデローザンにぶつかっていってファールドロー。

スパーズはユーバンクスのみにしているインサイドの弱さが目立ち、何度もオフェンスリバウンドに絡まれてしまいます。さらにマーシャルからヘイズへのアリウープも決まり、ベンチメンバーで一気に追い上げたペリカンズ。

同点にされたスパーズはホワイトの3Pで再びリードするものの、ザイオンの強引なゴール下でファールコールされてしまい、パートルがいないと厳しいことを示してしまったのでした。やっぱりセンターは補強しないとダメかな。

◎エースアタック

ザイオンのドライブからフリーになったヘイズがダンクに行きますが、これを戻ってきたパートルが後ろからブロックします。これで再びスパーズが復活・・・と思ったら、ザイオン&ヘイズは何度もオフェンスリバウンドに絡み、圧倒し始め、ザイオンのスピンムーブ&ワンで同点にします。

このまま行ければ良かったペリカンズですが、スパーズがゾーンに変えるとオフェンスを作りにくくなり、そして、またもスターターが増えることで上手くいかなくなっていきます。ザイオンvsケルドンをわざわざvsパートルに変えてシュートに行けなかったりするし、守ってもデローザン&パートルから、右サイドにワイドオープンが2人出来ちゃうし。

スパーズとしては大体は何をしてくるかわかってきたので、良いディフェンスを繰り返すのですが、単純にザイオンの強引さに破壊されてしまいます。やってられないね。しかも、マーシャルだけはベンチに下がってくれないから、デローザンのドライブは止められてしまう。

すると残り5分、マーシャルがデローザンのミスを誘うとロンゾの速攻。さらにトランジションから空いたロンゾの3Pでペリカンズが5点リードにします。とにかく点が取れないスパーズ。2Qと同じだね。突き放せなかったのが響いている。

スパーズはホワイトがドライブと3Pで取り返します。久々の思い切りの良い3Pだ。これに対してペリカンズはイングラムがミドルをエアボール。うーん、ザイオン頼みが続いてしまう。

今度はデローザンがマークをザイオンに変えさせるとフローター&ワン。お見事。マーシャルから離れたら逆転弾だ。すると今度はイングラムがドライブからファールドロー。取り返した両エースで同点。

ペリカンズはイングラム&ザイオンのピック&ロールですが、イングラムvsケルドン、ザイオンvsホワイトにしたのに、なぜかホワイト側にドリブルしてマークを元に戻してしまうイングラム。何してんのかわけわからん。シンプルにザイオンに渡してパワー勝負で良かったのにさ。

一見、強力なコンビなのだけど、同じことをして終盤になると弱くなります。プレーそのものはスパーズに完全に読まれ、それでも決めてしまう優秀さはあるんだけどね。

ローポストに立つデローザンはマーサルからファールドロー。シュートミスしたときはチームメイトがオフェンスリバウンドを繋いでくれ、再びドライブからミドルで残り1分3点リードにします。

ザイオンはかなりムチャクチャなんだけど、本当に強引に飛び込んでしまってリバースレイアップ。しかし、再びマーシャル相手にサイドステップからミドルを決めたデローザンで残り30秒3点差。

ゾーンを選んだスパーズに対して空いたロンゾが3Pを打つも外れ、ファールゲームに行くしかなくなります。ファールされたのはマレー。2本決めて残り20秒5点差にして逃げ切ったスパーズでした。

◎エースの差かな

イングラムとデローザンを比べた時にイングラムが劣っているとは言えないのだけど、試合終盤にマーシャルを攻略したデローザンに対して、判断ミスが多かったイングラム。振り返ってみると前半はアシストが多かったデローザンに比べて、イングラムは試合を通して同じ感じです。

ディフェンスが悪くて勝てないペリカンズですが、オフェンス面でもこんな問題があって同じことをしているから終盤に失速してしまう。悪いことにそれでも点を取れてしまうザイオンと、高さが止まらないイングラムという存在が間違いに繋がっている気がします。

最近はマーシャルの活躍が目立ちますが、スターターの相性の悪さと、どうせエースの個人技アタックにするオフェンスを考えると、マーシャル、カイラ、イワンドゥをもっと長時間使った方が良さげ。スパーズとはプレーインを直接争うライバルですが、これで4.5ゲーム差になってしまいました。

スパーズはやっぱり若手の判断力には課題があるのと、パートルがベンチに下がるとディフェンスのやり方に困ってしまう。あと、ペリカンズが相手だったことで3P の思い切りが悪いこともマイナスでした。全員が思い切る必要はないんだけど、シューターというか1人は迷わず打つ選手が欲しいね。要はダニー・グリーン的な選手だ。

とはいえ、今更補強は出来ないので、一番楽なのはベンチメンバーの時はサマニッチを起用してインサイドを厚くすることだと思うのですが、そこはオフェンスを考えると嫌なのかな。ヴァッセルもそうですが、どこで起用されるのかが定まっていないんだけど、それよりも強い武器で特徴を出すことを求められていないから、なーんか微妙でした。まぁサマニッチはザイオンみたいな選手担当ってのはハッキリしているけど。

ってことで2点差で終わったけど、内容的にはスパーズの完勝。ただし、ペリカンズの個人能力は明らかにスパーズを上回っていたよ。それぞれのチームが大事にしている事の差が、両チームの差だったってことでもありました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA