ウィザーズに合うHCは誰だろう

後編です。

問題の多いウィザーズの来シーズンを早くも考える後編です。前編は必ずしもスコット・ブルックスが悪いわけではないけど、ブルックスではカルチャーを変えられないから交代せざる得ないという内容でした。でも後編は完全にブルックスが悪いんです。

ただ、実はウエストブルック、ビール、八村が揃った試合は15勝17敗と5割に近くなります。「3人そろえば勝てそう」ってことではなく、ブルックスのようなプレイヤーの自主性に任せるコーチなのに中心選手があまりにも揃わないなら、チームは構築できなかったという面もあります。

またウエストブルックがシーズン前半が酷かったので、後半になってから次第に本領発揮しはじめ、それがチームメイトに好影響を与えたり、混乱させたりというのも苦しかったです。もっとも「混乱させたり」はHCが悪いんだけど。

まぁブルックス擁護はこれくらいにして、問題点の続きから行きましょう。

③戦術がない

これ以上でもこれ以下でもありません。トレードでガフォードを獲得し、大活躍していますが、ガフォードの活躍の仕方はあくまでも「ラス&ビールに合わせる」というだけです。それは「他のビッグマンは合わせていない」ということでもあり、「合わせる基本ルールがない」ということです。

ジャズ・サンズ・グリズリーズ・ヒートあたりを見慣れているファンからすると、ウィザーズの酷さは際立ちます。ビールのドライブコースをビッグマンがジャマするとか日常茶飯事だしさ。

アトキンソンネッツなんか、センターへの合わせだけじゃなくて、ジョー・ハリスをゴール下に切り込ませたら、そこには誰もいないとか、同じプレーからアレンが合わせるとか、整理整頓されまくっていたからね。1試合のハイライトだけで、これくらい鮮やかな合わせが出てくる。それも同じようなパターンばかりで。

さて、それではどんな戦術にしたいか考えてみましょう。その先にHCは誰が良いのか、ってことになってきます。まずはラス&ビールがいることから選択肢が大きく分かれます。

A.ラス&ビールを中心に「合わせのプレー」で構築
B.全員が個人技を使って得点しやすく構築

前者はダントーニがわかりやすく、アリーザ・タッカー・コビントン・バーアムーテのようなウイングとカペラのようなセンターを揃えていきました。ハーデンがスーパーだから成立した形ではありますが、ビールの得点力があるので、それも悪くありません。

ただし、ビールのパス能力に問題があるので、ダントーニってわけにはいかず、ブレイザーズやクリッパーズの方がイメージが近いかも。いずれにしてもスーパースター・デュオを中心に、それにあった選手で作る戦術です。

HC候補の筆頭はダントーニですが、他にもピストンズのケーシーやクリッパーズのティロン・ルーはHC職を解任される可能性もあるので候補として考えられます。

一方で若手も育てたいなら八村やアブディヤにも個人技をさせる戦い方もあります。フロアバランスをとって、しっかりとコーナーまでシューターを設置していきながら、交代で1on1を仕掛けていく形です。個人技ではあってもエースから始まる一辺倒オフェンスではなく、バランスアタックを実現します。

マブスのカーライルはこれに近く、ドンチッチが多いけど、ブロンソンやハーダウェイにもやらせるし、飛び道具のバークスとマルヤノビッチを活用もしていました。それぞれオフボールで合わせるのが上手い選手ではないですが、チームとして得意技を組み合わせてきます。

セルティックスのブラッド・スティーブンスも、ホーフォードがいなくなてから、ここ2年はこの形。今はテイタム&ブラウンになりすぎて困っていますが、局地的に優位になるマッチアップで強気に攻めるのが特徴でした。アービングがいても他の選手に平然とクラッチショットを任せていました。

この2人は局地戦という共通項があり、使い方が優秀でしたが、そこまでではないけど、グリズリーズとニックスでHCをしていたデビッド・フィズデイルは全員に個人技をさせるタイプのオフェンスを作っていました。OK3時代のサンダーでHCやって欲しかったですが、八村とアブディヤがそれくらいの選手になれるなら面白いかもしれません。

戦術的にエースとサポートキャストを明確にするか、個人技の組み合わせでバランスアタックするかは迷いどころです。しかし、違う視点でもエース2人とHCの相性は考えないといけません。

C.システムタイプか
D.プレイヤーズ・コーチか

HCを選ぶには「戦術があって選手が活躍する」のか、「選手が活躍して戦術がある」のか、大きく分かれてきます。ネッツを辞めたアトキンソンは前者で、ダントーニ、リバース、ティロン・ルーなんかは後者と言われており、選手から人気があるのは圧倒的に後者です。

ブルックスも後者なので、ウィザーズの惨状を考えたら、どう考えても今の逆となる前者のHCを選んだ方が良いのですが、ウィザーズにとって最も大事なことを考えると、そういうわけにもいきません。

ビールと契約延長する

これが最優先課題であり、出来ないならば再建に進むことになります。それはそれで良いのですが、今回の話とはズレてきます。ところで、ベルタンスと5年80Mという重荷の契約をしているわけですが、ビールをトレードして再建に進むならば、ウィザーズって八村にマックス契約を提示しそうだよね。だから、このチームのフロントを考えると「再建に進んだ方が危険」にも見えてしまいます。

ビールと契約延長するならば、ある程度はエースのご機嫌取りをしないといけません。もしも今シーズンにしっかりと勝つ方向性を取って5割勝っていれば話は違いますが、現状ではビールが契約延長する可能性は低いでしょう。だから次のHC選びはとっても大事。

ホークスのマクミランなんかはディフェンス優先の選手起用ながら、コミュニケーション能力が高く、不平不満があまり出てこない采配をしていました。オフェンス戦術に乏しく、個人技に頼るものの、そこはラス&ビールがいるので補えるかもしれません。

ウォリアーズでACをしているマイク・ブラウンは「HCやりたい」といっているので、キャラクターが強かったウォリアーズの経験を生かして、スーパースターとの人間関係を大事にしながら、チームを変革するのに向いているかもしれません。かつてはレブロンキャブスのHCだったので、エースキャラ中心に考えてくれるかも。

同じレブロンキャブスでいえば、後期のデビッド・ブラッドも良いかもしれませんが、こちらはシステム系なので選手から不満を買いました。(それ以上にNBAルールを理解していなかったけど)
しかし、キャブスが優勝できたのはブラッドの遺産が大きく、翌シーズンからはエースの個人技スタートばかりになり、それ以上にディフェンスが悪くなりました。逆説的に攻守にチーム戦術を導入できるHCだったことになります。レブロン&アービングで戦術を作れたのなら、ラス&ビールも似た構図なので良いかもしれません。

3Pがないウエストブルックと合わせの仕組みがないセンターという現状を考えると、シクサーズのACイェーガーはガチガチにコンビプレーをシステムに落とし込みます。キングスではフォックスにゲームメイクを学ばせ、そこにシューターのヒールドが加わっているので、ラス&ビールと似た構図です。選手の特徴と逆で良かったHCでした。ただし、選手との軋轢は大きかったので、ウィザーズでも揉めるでしょう。

ということで、システムに落とし込むHCにして大きく変化させる方が良いと思うのですが、それは同時にスーパースターの反感を買いがちです。ビールを納得させるHCが誰なのか、全くわからないので何とも言えませんが、そこは1つの焦点です。

個人的に一番初めに浮かんだのがレイカーズのACジェイソン・キッドでした。元スーパースターのキッドならカリスマ性で何とかならないかなーという気分的な理由が1つ。あんまり期待できないんだけどね。

そしてキッドは現役時代のフリースタイルとはイメージが違い、かなりシステムガチガチでトライアングルオフェンスみたいなことをバックスでやりました。勝利のために妥協しないで、トライアングルをやっていたイメージすらあります。結果的に、それで勝てないっていうね。

そこにヤニスのリバウンドから自分で速攻に持ち込むスタイルを混ぜていました。キッドさながらのプレーでヤニスを育てたわけですが、これもウエストブルックの特徴にあってくるんだよね。だからビールさえ納得するなら、って思っています。

まぁキッドよりも、バックスからブーデンフォルツァーが解雇されたら手を出すのが良いかもね。今シーズンも同じような負け方をしたら、ホークス時代のイメージもあるからクビになりそうなので。

◎ビールの正解は何だろうか?

良くも悪くも特徴があり、トリプルダブルをしてしまうようなウエストブルックに関しては、合っている戦術、あるいは出来そうにない戦術もはっきりしています。最近の流行だと「選手の特徴と逆のHC」にした方が上手くいく気がしているので、敢えて苦手分野に手を出させるのも一手です。

これに対して「ビールに合った戦術」はよくわかりません。シュート力があり、ドライブからの得点も出来るので、どんな戦術にも合う一方で、起点としてのパス能力には乏しいし、シューター的に打ちまくるタイプでもありません。クレイ・トンプソンのウォリアーズ型のオフェンス戦術は違うってことだ。

似たような感じで得点力に優れている選手はラビーンですが、ブルズもブセビッチ獲得で選手のバランス的には形にはなっているのに、現実はそうでもなくて困っています。アービングも単独エースとしてはイマイチ。

ドノバン・ミッチェルは勝っていますが、ワンパスで状況打開するのが上手く、ブッカーやデローザンも同じく。それはビールにはない能力。ただ、今は持ち合わせていないけど、ブッカーとデローザンみたいに上手くなることを信じるのも一手です。

ポール・ジョージやテイタムは、相棒にレナードとブラウンがいてダブルウイングエースです。しかもオフェンス力だけで勝つのは難しく、ディフェンスの強みで勝率を上げています。今シーズンのセルツは守れないから困っている。そしてビールは守れない。

マカラムとミドルトンは個人技でスコアするのが仕事ながら、チームは勝っていますが、こちらはあくまでもセカンドエースの扱い。そう考えるとビールで勝つのは既存のやり方ではなく、ウィザーズなりの戦い方を見つける必要があります。20年前ならビールで勝てたかもしれないのにね。

ブルックスが長く率いていることで「HCが悪い」の一言で済ましてしまいますが、そもそもロスターバランスが悪い上に、得点王の活かし方は普通とは違う戦術で試していく必要があり、かなりの戦術家タイプが好ましくなります。それはプレイヤーズコーチじゃないだろうね。

個人的にはアブディヤをPG的にしたら面白いと思っていますが、常識ではない使い方です。スポルストラを連れてきて、いろんなことをやらせて試していくのも良いのかもね。

◎誰がいいのか

そんなわけで大前提は「ビールが残留したくなるHC」なのですが、前回から書いたようにチームにある問題点は多岐にわたるので、何を重視するかで人選も大きく変わってきます。ビールの事は考えずに、誰が良いのか。前回からの内容をまとめてみましょう。

①バランスの悪いロスターでも、個人の特徴を生かすことを重視したディベロップメントコーチ
 (モンティやボレゴ 候補:ジェイ・トリアーノ)

②怠惰なチームにファイティングスピリッツを植え付ける厳格なコーチ
 (シボドー、ヴォーゲル 候補:マーク・ジャクソン、カラミアン)

③ラス&ビールを中心に周囲はサポートに徹するエース中心のコーチ
 (候補:ダントーニ、ケーシー)

④全員が個人技で積極的に攻めていく全方位アタックのコーチ
 (カーライル、ブラッド・スティーブンス 候補:フィズデイル)

⑤コミュニケーション力のあるプレイヤーズ・コーチ
 (マクミラン、リバース 候補:マイク・ブラウン)

⑥システムに選手を当てはめるチーム優先コーチ
 (候補:イェーガー)

⑦システム優先だけどレジェンドのカリスマ
 (候補:ジェイソン・キッド)

さて、どんなタイプがいいですかね?

上手くHC色を区分けたいなーと思いましたが、並べてみると共通点がないコーチが並んだりしますね。結局は誰がフリーになるかのタイミングなので、ブーデンフォルツァーを最優先に考えましょう。

ウィザーズに合うHCは誰だろう” への4件のフィードバック

  1. 個人的に理想はヴォーゲルが一番合うのではないかと感じます。ラス君をリーダーとしてたてながらもチームカルチャーを変えてくれるコーチはうまく行きそう。
    現実的に考えれるとカラミアンとかは見てみたいです。

  2. フィズデイルに1票です。
    キッドファンとしてはまたHCやってほしいけどWASには行ってほしくないなと…
    ブーデンフォルツァー解雇されたら後釜として再びヤニスと組むか、そのうちホーネッツでラメロを指導してほしいかな

  3. ラスに変わるPG、そこそこ守れるセンター。これだけで実際はブルックスでも5割はいくと思うんですけどね。そういうのをやりたがると考えたらイェーガーですかね。ただそうなると重くなりラスが機嫌を損ねそう。ビールは得点王ですが。ラスが15p位のアテンプトで納得すればいいんですけどね。得点力とバックコートの身体能力はあるので割りきってゾーンやりまくるってのは自分なら考えますね。ブーデンフォルツァーなら全部やれると思うんでやっぱり第一候補ですかね。でも彼は狙ってるチームが多そうなんで来てくれないってのもありますよね。

  4. 現実的にイェーガー。コミュニケーションよりもシステムを作る方に全振りした方がいいと思いました。シボドーはACが優秀という側面もありそうなので単体ではあまり評価できません。カラミアンは指揮官としての手腕が未知数なのでイェーガーに分があるなと。それにインサイド陣にピックだけでなく、ペイント内の動きをきちんと仕込めば、外のスペースが広がってラスとビールがやりやすくなるんじゃないですか。

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