レブロン・ジェームズと今季のキャブス

『今季のレブロンはキャリアハイライトの活躍をしている』

高卒でNBAデビューしてから伝説的な活躍をしてきたキングですが、そんな声も上がるくらいの大活躍をしています。

しかし、もうすぐ33歳になる選手が更なる成長を遂げたなんて事があるのでしょうか?

人間の心を持ったゴリラとさえ呼ばれるくらい異様なパワーを誇る肉体が未だ衰えぬだけでも驚異なのに、更にパワーアップしたのでしょうか?

そこにある変化が何なのかについて語り、直前に迫ったウォーリアーズとのクリスマスゲームに備えるのが今回のテーマです。




◉昨季からの変化

出場時間 37.8 → 37.3
得点 26.4 → 28.4
FG 54.8% → 57.0%
3P 36.3% → 41.1%
アシスト 8.7 → 9.2
リバウンド 8.6 → 8.2
ブロック 0.6 → 1.1

目立つのは
・FG%と3Pの高確率
・アシスト
・ブロック

この三点です。一時期はプレータイムの長さが話題になりましたが、大勝する試合が増えてきたため、昨季よりも減っています。

そう、実はここが重要です。

レブロン頼みのチーム

アーヴィングが抜けたキャブスにおいて1人で全てを背負っている

そんな意見が一般的に広がりましたが、実は今季のキャブスは出だしこそつまづきましたが非常に強い。レブロンの前にキャブスに触れましょう。

イメージで語るここまでのキャブスの変化です。とはいえ全ての試合をみているわけではないので、正確なわけでもありません。管理人の勝手なイメージです。「ここが違うよ」と言う方はコメントして下さい。



◉ローズとウェイド

開幕当初はローズとウェイドがスターターでした。この2人が悪かったとかではなく、この形はアーヴィングの所にそのまま当てはめようとしていました。当然の失敗です。

それはドライブ役とシューター役が分かれますが、どっちつかずのウェイドとシューター役をこなし切れないローズとクラウダーです。

このまま続けてもそこそこ結果は出たと思いますが、個人成績も悪かったウェイドがベンチスタートにしてくれと自分で言い出します。更にローズがケガをします。
つまり、どちらも偶然的に外れます。

この頃はレブロン頼みは甚だしく、チームでやろうとして得点はあまり伸びなかったので、一回は狂ったように個人で57点なんて試合もありました。

◉シャンパートとJRスミス

出てきたのはこの2人。クラウダー、レブロンと合わせて少し同じような選手が並び始めます。シューターメインだけどドライブもしていく。ベンチのグリーンも含めてポジションレスのスタートです。

レブロンがポストアップするケースも増えてきて、スペースの取り方が変化します。起点がインサイド寄りになり、ドライブ→キックアウトがメインだったオフェンスから、選手が動いてパスを通す形が増えます。

 

 

◉コーバー

ここから連勝が始まりますが、その中で神様、仏様、レブロン様、いやコーバー様が登場します。4Qに現れる3Pキングは逆転劇を生み出し続け、チームに自信を植え付けます。

元々シューターとして優れていたのに何故、このタイミングでコーバーが活躍したかと言うとシステム的な都合があります。
レブロンとアーヴィングのドライブといったオンボールプレーのために広くスペーシングしていたため『待ち』のシューターだったのが昨季。

 

しかし、このスペーシングがドライブのためではなく、全員がカットプレーやポストアップなどを狙っていくオフボールプレーのためのスペースに変化していました。

自分から動いてスクリーンを使いフリーになったり、自分に引きつけて他の選手を空けるコーバーの動きと相性の良いスペーシングになったのです。

 

完全に戦術コーバーになった4Qのキャブスは、しっかりと戦って4Qに持ち込めば勝てる自信に満ち溢れるチームになりました。



 

◉カルデロンとフライ

連勝していたもののケガ人が増えます。ローズが戻らなくなりシャンパートが離脱したので、出番がなかったカルデロンに順番が回ってきます。

カルデロンは正統派PGでレブロン御大のご機嫌も伺いつつ、レブロンを囮にするプレーも多用します。視野の狭いタイプのガードばかりだったのが、ゲームメイクするようになります。

 

更にやはり呪いにかかったトリスタン・トンプソンが離脱するとフライが出てきます。コーバーが活躍する下地が出来ているのですから、スクリーンで人が動いて出来たスペースを使うのが上手いフライは当然機能します。

 

またも偶然の要素でチームに有効な選手の出番が増えます。シャンパート、カルデロン、フライ。みんな不要とされかけていた選手達です。



 

◉現在形のキャブス

ペイサーズに連勝を止められたものの、より効率的なユニットになったキャブスは、余裕が出てきたので少し形を変えます。サボり気味とも言います。

それは試合開始から終わりまでの間に全く違うシステムを使うようになった事です。

 

◯戦術ラブ

カルデロンのいるスタートは全体に大きくボールが動くバランス型で、5人が外に広がった状態からオフボールスクリーンを使いながらマッチアップにギャップを生じさせ、インサイドスペースを頻繁にラブが使うように。

そしてインサイドと見せて3Pにも広がってきます。
仮に戦術ラブとします。

◯戦術グリーン

セカンドユニットが増えてくるとウェイドやグリーンがいるスモールラインナップなので、コーバースクリーンもあり、何処かでミスマッチが発生しやすくなります。スペーシングよりも人が入れ替わるように動いていきます。

出来たミスマッチを最も利用するのはドライブ、ポストアップ、3P何でもありのグリーン。
レブロンに次ぐセカンドエースになっているので、仮に戦術グリーンとします。

 

◯戦術ラブ

3Qのスターターで再び戦術ラブに。

 

◯戦術コーバー

そして4Qになると前述の戦術コーバーが登場します。コーバーが動くために各所に配置されたスクリナー達。当然、コーバー狙いですが、カバーディフェンスに動くとスクリナー達が瞬間にシューター役に移行します。

ペイサーズはコーバーを止めに行って勝利を掴みました。4Qの3P0/3
同じく負けたバックス戦も0/4です。これは入らなかっただけ感。



◯戦術レブロンはどこに

アーヴィングがいたけれど、戦術レブロンと呼んでいた昨季のキャブスは何処かに消えて、今のキャブスは分解してみると戦術レブロンは現れません。

 

これが今季のレブロンを語る上で最大の特徴です。一般的にはレブロンがスーパーな活躍をしているので、レブロン頼みと言われていても、実際には他の選手が活きるシステム構成に。

 

選手起用が偶然の要素で構成されるのでティロン・ルーHCを全く評価していないのですが、キャブスのACが作り出すセットが効率的なのは有名です。それぞれの時間に違うシステムが使われて多様性を手に入れているキャブス&レブロン。



◉12月のキャブス

 

そんなキャブスの12月の数字は驚異的な数字を叩き出しています。

◯オフェンスレーティング 115.2
◯FG 50.3%
◯3P 41.2%
◯アシスト 26.8
◯ターンオーバー 13.0

クレイ・トンプソンの今季の目標はFG50%、3P40%、FT90%です。キャブスはフリースローこそ81.2%ですが、チームでクレイ・トンプソンの目標値を達成していることに。

そして目立つのはアシスト数。高いFG%はチームオフェンスが生み出したものです。

 

ちなみにこの上を行くのがペリカンズ。
FG51%、3P45%なのに4勝6敗。



今季のレブロンの恐ろしさは良く語られる話ですが、実はレブロンではなく恐ろしいのはキャブスというチームです。

 

これをデュラントとウォーリアーズに当てはめてみれば良いわけです。

ウォーリアーズが凄いのか?
デュラントが凄いのか?

こんな問答をした時にはデュラントが高いスタッツを残せるけども、ウォーリアーズにいるから尚更その数字は高いものになる。
そんな評価が一般的だと思います。

 

それは今のレブロンにも当てはまるのです。

キャブスが効率的だから、レブロンは更に効率的な数字を残している。

それが今季のレブロンの好成績の秘密だったりします。



◉レブロンのいないキャブス

そんな事言ってるけど、レブロンいなければキャブスは何にも出来ないだろ

 

そんな声に反論すべく、レブロンのオン/オフレーティングを見てみましょう。

◯オン/オフレーティング
10月 △6.1/△3.1
11月 6.9/2.9
12月 5.8/5.0

10月は何なんだという感じですがマジックとニックスに大敗したのが響いています。
見るべきは12月の数字です。いなくてもオフェンスレーティングは110あります。

レブロンがいなくても強いキャブス
レブロンがいればよりつよいキャブス

そんな構図が浮かんできます。
ちなみに昨季はこんな恐ろしい数字です。

◯オン/オフレーティング
16-17シーズン 7.7/△8.5

「アーヴィングがいなくなったからキャブスは弱い。レブロンだけだろう。」

もしもウォーリアーズファンで、そんなイメージで抱いているのならば、すぐに拭い去って下さい。今のキャブスはチームで連携して崩し、複数のシステムを使い、クラッチタイムにはコーバーがいます。

ちなみにコーバーのレーティングは13.5です。レブロンの上を行くコーバー。
まぁウォーリアーズはチームで13.2ですが。



◉デュラント

そんなデュラントはカリー離脱、グリーン離脱でPG仕事も増えてレブロンに近づいています。

◯12月のデュラント
29.0点
FG48.7%
3P33.9%
6.4アシスト
8.0リバウンド
2.4ブロック

しかし、レブロンよりも劣る数字に。
両チームの対戦はオフェンスだけならばキャブス有利です。

なので注目すべきはウォーリアーズディフェンスがキャブスを止められるのかです。

 

そしてレブロンを止めるのか、それともラブ、グリーン、コーバーを止めるのかも注目ポイントです。グリーンvsデュラントは元チームメイトなので熱いバトルが期待できます。あぁ恐ろしきはサンダー。

 

ファイナルのプレビューでは「対策するのはキャブス側」としていましたが、迎えた今季の対戦では逆の立場です。でもスティーブ・カーはこういう試合ではあまり対策しなかったりします。

キャブスファン向けの記事と見せかけて、ウォーリアーズファンに考えてもらう記事だったりします。
管理人の予想はポイントにジョーダン・ベルとマコーを当て、またカスピがどれくらい通じるか実験してくるウォーリアーズです。

 



◉後編に続く

本当はウォーリアーズとのクリスマスゲーム後に書く予定だったのですが、先に出して試合を観る楽しみが増えると良いなと思いました。

後編ではもう少しレブロン本人について触れる事にしています。勿体ぶる訳ではなくて、2回に分けた方が楽しめるかと考えているだけです。

 

今回はデータではなく、全てイメージでの内容になりました。意外とこういう内容でも悪くないとわかってきたので、チャレンジでもあります。

人気チームのキャブスなので、試合を観ている方も多く、自分のイメージと違うかもしれません。それもまた一興なわけで、違うところを指摘してもらえると助かります。

 

プレビュー的な要素を含めて書けるのも昨季のファイナルへ進んだ2チームだからこそです。

レブロン・ジェームズと今季のキャブス” への1件のフィードバック

  1. 昨季のレブロンベンチの時にリードとかすチームからの大変貌ですね!カルデロン相当ハマってるし、グリーン、クラウダーも徐々に馴染んでますし無能なルーですが、相当運が強いのか徳が高いのでしょうねwww
    ただ気になるのがクラッチタイムでのレブロン、コーバーの3勝負が多すぎないかということと、カットプレーで相手見失うこと多いこと、レブロンもmax欲しいいうてるしミニマム契約の奴らは当然それなりのお金もとめるだろうし、このメンバーが来季も維持できるのか、JR、TT、シャンパあたりも他チームが引き取るか、、、、

    でも次のGSWは手の内見せずCAVSも色々試してもいいのかもと思ったりもします!

3mi0 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA