ネッツのこと

トレードでどうなるの?

コメントにもあったので、補足してみましょう。ハーデンがきて、ルバート、アレン、プリンス、クルッツが抜けたネッツはどうなるのか?

チーム力ダウンです

普通に考えてこれです。ディフェンス力が大きく下がるだけでなく、いろいろな問題が発生しますが、特に3つが大きな課題です。

ディフェンス力低下
戦略の幅が狭まる
セカンドユニットの弱体化

これらについて、簡単に触れてみましょう。

◎ライバルチームとの相性

今回のトレードでネッツが失ったものは
・センターの控え(それも割とオールラウンドタイプ)
・ウイング2人(残りはKD、TLC、グリーン)
・セカンドユニットのエース
この3つだと考えましょう。

最後についてはルバート→ハーデンでオフェンス面は問題ありません。ただ、アービングと並べるなら攻守に効くルバートだったよね。というくらい。ここについてはガードは豊富なので何とかなる気もします。

一方でセンターの控えであり、そこそこパスも出せるし、その気になればペリメーターも守れなくはないアレンがいなくなって、ゴール下選任のジョーダンの身になってしまいました。クラクストンが使えるならクリアにはなりますが、現時点では未知数。

そしてウイングは層が薄くなり、おそらく3ガード、1ウイング、1ビッグが基本になるでしょう。TLCは良い選手ですが、ガード寄りなので、KDとグリーンが基本のラインナップです。

ロスター枠は空いたので、何らかの補強はありそうですが、まずは補強しない前提でイーストの上位陣を考えてみましょう。

VSバックス

・ヤニスを守れるのがグリーンくらい
・ジョーダンをアウトサイドに追い出されたら手が打てない

KDもヤニス担当になるかもしれませんが、インサイドでゴリゴリ勝負されたらファールトラブルも怖く、かなり辛そうです。アレンやプリンスなら、いろいろと対応できた気がしますが、ジョーダンではスピードでぶち切られます。

またブルックの3Pを止めきれなくなりそうです。ジョーダンがそこまで追いかけるなら起用する意味がありません。ってことでスモールラインナップを採用したいのですが、ウイングの人数が足りない。

VSセルティックス

・テイタム&ブラウンの両方は抑えきれない
・ケンバのスピードをどうするのか
・ジョーダンをアウトサイドに追い出されたら手が打てない

3つ目は同じですが、セルツの場合はスモール戦略が得意なので、なおさら厄介です。その上でテイタム&ブラウンのどちらかはKDが対応するとしても、1枚足りません。TLCに全てを託すことになるのかも。

もちろんブルースを当てる手段もありますが、今度はケンバのスピードに誰も対応できません。アービング&ハーデンはスピードに振り回されると思うので、どこかに必ずマッチアップの大きな穴が出来てしまいそう。

VSペイサーズ

ペイサーズについては、一番マシです。ターナーとサボニスには苦労しそうですが、おそらくターナーをハーデンに担当させればなんとかなります。苦しそうなのはルバートのスピードくらいなので、明確な穴にはならないでしょう。

もっとも全ポジションで負ける可能性があるのもペイサーズです。あっ!KD以外ね。ハードワークで完敗ってこともありえます。ペイサーズからすると運動量勝負に持ち込めばよいかな。

なおヒートも似たような感じです。アデバヨに振り回される未来しかみえませんが、KDセンター+4ガードで誤魔化しやすいので、相性的にはまだマシ。

VSシクサーズ

・エンビードはジョーダンしか対応できない
・ジョーダンがコートにいるとエンビードは楽になる
・3Pをチェイスしきれない

シクサーズについては、いろいろあるけど、エンビードに圧倒される危険性があります。ジョーダンは対抗できそうだけど、ファールトラブルも含めると簡単ではない。そこを塞ぎに行ってもシューター豊富だしね。

その上、オフェンス面でゴール下選任のジョーダンがいると、エンビードもブロック待ちが出来てしまいます。これが一番怖くて、ドライブが全く通用しない事態になる可能性も。パスを出せて走れるアレンや、グリーン、KD、プリンスを並べれば対抗できたと思うし、ある程度守れれば、後は走る戦略でも勝てそうでしたが、いくらなんでもKDセンターにしたら苦しいよね。

代表的な5チームを並べてみると、プリンスとアレンがいなくなったことで、スモールラインナップに移行しにくい問題が発生しています。ディフェンス力の低下もさることながら、戦力の幅が縮まってしまいました。これをクリアできる気がしない。

しかしながら、ヒートは苦戦しているし、シクサーズもコロナに巻き込まれ、どこのチームも様々な事情を抱えているので、ここに書いたことも相手チームが「わかってはいるけど、実行できない」となる可能性もあります。

ネッツが早々とギャンブルに走るのも分からないこともないというか。タイミング的にうまくハマれば個人技オンパレードの寄せ集め集団でもファイナルまで行けてしまう可能性がある

こんなコメントも頂きましたが、本当にその通りです。ある意味、KD、ハーデン、アービングのうち1人が欠場しても、まだ2人もいるじゃないか!って作戦も悪いことばかりではありません。戦術の戦いに巻き込まれたら負けると思われるネッツですが、巻き込まれない可能性があるシーズンです。

◎ブルースとシャメット

しかし、選手が3人減ったことで、ブルース・ブラウンとシャメットを獲得した意味が出てきました。不運のブルースと思いきや、ここにきて控えPGの座を手中に収めそうです。シャメットも合わないところばかりが気になっていたけど、スコアラーとして活躍する機会が増えそう。

他にもチオザやタイラー・ジョンソンもいてガードは豊富です。どうせハーデンはスピードのあるガード相手には無力なディフェンスなので、ウイングやビッグを守りたいはず。その点では、意外とバランスはとれています。

オフェンス面では逆にコーナーでシューターになってくれれば十分。勿体ないけど、まぁ仕方がない。意味のなかったような選手たちにスポットがあたることになりましたが、それがピストンズのスターターだった選手とか魔境だわ。

ってことで、ガード過多なので、対応できる戦略は狭めですが、控えが足りないってことはありません。ハーデンとKDの特殊性もあるので、オフェンス面はいろんな極め方があるでしょう。スモール戦略をどう極めるかがポイントになります。

ハーデンのリバウンドからワンパス速攻が復活するかもしれません。ロケッツは周囲の選手が走らなくなって消えたけど、ネッツの方はブルース、TLCあたりが走りそうだ。

◎オフェンスで上回れ!

いずれにしても、ディフェンス力の低下と対戦相手に応じた柔軟性がなさそうなので、「自分たちのプレー」をして「オフェンス力で上回る」のが基本になりそうです。でもそれじゃあ勝てないのがNBAだ。

なんで勝てないかといえば、オフェンスレーティング110くらいでは「普通」になってしまったからです。火力だけで粉砕したいなら「115」くらいにならないといけません。でも、昨シーズンに115をクリアしたのはマブスのみです。・・・っていうか、マブスがクリアしているのはびっくりだ。

100回のオフェンスで115点以上を取るには、2Pでいえば57.5%決めないといけません。いわゆるEFG%ってやつです。ここにフリースローも加えるとTS%(トゥルーシューティング)になります。

実際にはここに25%くらいのオフェンスリバウンドによる「やりなおし」と15%くらいのターンオーバーが関係してきます。マブスの場合は、
オフェンスリバウンドが27.5%と高く
ターンオーバーが12.6%と低い
ことが高いオフェンス力にも繋がっていました。

100回のオフェンスで85回のシュートチャンスがあり
シュートミスのうち1/4はやり直せる

ってことです。2つ目の計算がとってもメンドクサイ。115を達成するために必要なTS%は62%です。無理です。史上60%を超えたのは17-18シーズンのウォリアーズのみだと思います。あとはターンオーバーを減らして、オフェンスリバウンドを増やしながら、高確率で決めないといけません。無理だ。

普通はムリなTS60%ですが、怪物デュラントはこれすらもクリアしてしまいます。63%くらいは普通にできてしまう史上最高のオフェンスマシーン。

そしてファールドローの達人であるハーデンも60%を超えてきます。フリースローがなければ苦しいのですが、3Pファールドローすれば、そりゃあね。アービングは1回だけ60%を超えたことがありますが、ちょっと足りない。

KDとハーデンはTS60%を超える稀有なエース

これに加えて、ジョーダンは68%、ジョー・ハリスは65%くらいが期待できます。つまりエース達が打つよりも、この2人に打たせた方が効果的です。

ジョー・ハリスとジョーダンはさらに高確率で決める

ということで、オフェンス力に優れた選手を集めてもレーティング115を達成するのは難しいのですが、ネッツの場合は高確率に押し込むサポートキャストもいて、エースも異常なので「オフェンスで打ち勝つ」という戦い方が可能になります。

しかも「個人技で高確率は難しい」のに、そもそもデュラントもハーデンも個人技でそれをやっているからね。アービングはレブロン先生に指導されていないと厳しいかな。

ハードワークはなくなりそうだし、戦略的なディフェンスで抑え込むのも難しそうだ。でも「自分たちのオフェンス」のみを追求して、オフェンス力で打ち勝つことは十分に出来そうだ。

ってことで、ネッツは異常なオフェンス力を期待したくなります。デュラントもハーデンも止めてしまうような個人ディフェンスを持ったチームじゃないと止めきれないでしょう。アービングも含めて3~4人のエースキラーを抱えているチームなら対抗できるけど・・・

◎補強するのかな

イリャソバ、ヘンソン、マービン・ウィリアムスなど、補強できる選手も結構います。みんな何しているんだろうか?

そんなに気にしなくても十分に補強できるので何かしら動くでしょう。主力というかプレーオフの戦力としては物足りなくても、シーズンはなんとかエースの怒涛の個人技で何とかしてしまおう。

このトレードに乗っかってキャブスから誰かを貰っても良かった気がしますが、出来れば3Pも打てるタイプのビッグマンが欲しい。Gリーグから連れてくるのも一案ですが、コーチ陣がそういうことできるのか怪しめです。となると、デッドモンあたりかなー。

ロスタースポット3つ空きってのは、トレード的には魅力があります。ネッツが誰かを諦めるなら、1対3のトレードも出来るわけだ。アービングを放出するのがベストですが、さすがにデュラントが許さないでしょう。

優勝を至上命題とし、絶対に勝つんだ!というアピールをするなら、このロスタースポットで、さらなる補強に動きたいところです。誰が適しているかは全く分かりません。

オフェンスで打ち勝つしかなさそうだけど、それすらも出来てしまいそうなロスターとなったネッツ。ワガママを通しまくったハーデンを迎えて、どんなプレーをするのでしょうか。っていうかアービングは戻ってくるのか。

あぁちなみにアトキンソン・ネッツはディアンジェロの魅力が詰まっていましたが、ディアンジェロがハーデンでも、かなり面白かったと思います。でも、このトレードでほとんどの選手がいなくなったので、そんな姿は流石に観れないでしょう。

ネッツのこと” への11件のフィードバック

  1. いつも拝見させていただいて勉強させてもらってます。
    誰を補強するんですかねー確かマーヴィンウィリアムスは引退したような気がするのでイリャソバとか取るんですかね?
    ネッツの動き要チェックですね!

    1. すぐとるか、他のチームの動きを待つか、ってのもあるので、注目のロスター枠です

  2. ディフェンスを重視せず、オフェンスで圧倒し優勝できるのか、そんな戦術があるのか、コーチ陣に期待します。

    1. キャブスが優勝した時は守れませんでした。
      と、思ってましたが、レーティング10位だったので、ディフェンス必要みたいです。

  3. ネッツのオーナーはアリババの共同創設者でタックス払うのは気にしないのでしょうけどせっかく揃えたスーパースターを手放すタイプでもなさそうですしカイリーの引き取り先も出ないでしょうから使用していないミニミドルとミニマム使ってロースター埋めると思います
    ハードキャップじゃないのでとりあえずミニマムで枠埋めをして本命はトレードデッドライン前後でトレードされた後ウェーブされる選手に優秀な選手がいたらとりあえずミニマム契約した選手を解雇して虎の子のミニミドルでその選手を獲得する流れでしょうか
    タックスをいくら払っても問題ないチームならではの動きではあるのですが希望のポジションの優秀な選手が出るか興味深いですね
    ただセンターについては今回のトレードに関係したCLEがこのトレード結果インサイド過多なので誰かウェーブするのを当てにしてるのかもしれません

    1. キャブスはバランス悪いロスターでも気にしないので、どうでしょうか。特に最近はガードがケガだらけでセンターを複数起用してますし。ウェイブするにしてもソンメイカーかな。

      ネッツは優勝狙いにいかないと、指名権もないので、どんな勝負にでるのか?

  4. キャブスがアレンを手に入れたことでドラモンドがトレードとか言われてますが正直あの金額で優勝候補にトレード成立は難しいと思うんでワンチャンバイアウトでミニマムネッツ合流とかないですかね?
    ビッグ4爆誕みたいな。

    結局DJと守れる範囲かわらないじゃんって話ですが笑
    移籍って妄想が1番たのしいですからね。
    ドラモンドネッツミニマムとかどう思われますか?

    1. ドラモンドは違うだろ!って感じです。ポール持つのも好きですし、シュートは下手だし。
      バイアウトされたら、レイカーズとかクリッパーズあたりが狙うのでは。

  5. ネッツはディンウィディのDPE条項を適用する予定らしいので、トレードで5.7Mより低いサラリーの選手なら獲得できるようです。
    プレーオフ外のチームから契約最終年のウイングかセンターを2nd pickでとるつもりなのでしょう。
    あとはバイアウトで誰を取れるかですかね。優勝する可能性があるチームで試合出場が確実に出来そうなネッツは人気かとしれません。レイカーズは結局ハレル、ガソル、ADとスマートとレブロンがいるし、LACはバトゥームとレナードとポジョとイバカとスマートがいるし。

    ここで2選手くらい引っ張ってこれるなら指名権がなくなったことはおいておいて、シャメットやブルースすらガベージ要員にすることになってしまっていたロースターの人員整理をある意味できたことになるかもしれませんね

    1. 結構、動く余裕がありますよね。

      まぁアトキンソン推しとしては、これで残りはディンウィディとジョー・ハリスだけとなり、もはや何も面白くないのですが・・・

  6. このトレード。ネッツとしては今年1年勝負の大博打ですね。各チーム戦術やケミストリー構築の時間が取りずらいため、スターパワーゴリ押し作戦が効果的と読んだんでしょうか?それとも行方不明のアービング対策??
    ハーデン、KD、アービングは22-23シーズンまで契約ありますが、今年からジョーハリスのでかい契約含めて、補強は割と身動き取りづらくなりました。ロスター人数自体少ないのでどうするのか見ものです。
    スターパワーでなんとかしちゃえ大作戦みたいな戦術は眠くなりますが、ナッシュとダントーニがいるのでオフェンスはなんとかしてくるでしょうね。問題はディフェンス…
    ネッツはこのトレードが大失敗だったらドラフト権もすっからかんなんで、ネッまた暗黒時代入りして5〜6年は浮上できないかも…
    いずれにせよ大博打の結果やいかに!?

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA