スパーズのツープラトン

妄想ですよ。妄想。

オフシーズンの良いところは妄想が自由なことです。シーズン中に「スパーズは3Pが多い」なんて書いたら、スタッツと離れているので問題ですが、オフなら「こうなって欲しいなー」を書いても、単なる妄想として終わります。ってことで、今回はプレシーズン初戦をみて感じた妄想を書くのでした。

テーマは「スパーズはツープラトンで戦おう」なのですが、実際にはスパーズ以外もブレイザーズ、サンダー、ホークスあたりがツープラトンに適したメンバーを揃えています。特にブレイザーズは攻守のバランスを考えても面白そうだ。

でもこれらは「ツープラトンが面白そう」なのですが、スパーズついては「した方が良い」であり「するんじゃないか」というレベルでの話です。より強く要請したい理由がそこにはあるのでした。

まずはツープラトンが何か。そして「なぜ、今、ツープラトンが面白そうなのか」を語りましょう。それは全チームに関わってくるテーマです。

◎最強セカンドユニット

ツープラトンで有名(?)なのは2年前のラプターズです。それは

【スターター】
ラウリー、デローザン、アヌノビー、イバカ、バランチューナス

【セカンドユニット】
ヴァンブリード、デロン・ライト、CJマイルズ、シアカム、パートル

こうしてスターターとセカンドユニットを分けて起用することでした。ちなみに次に長い時間使われたユニットはスターターからアヌノビー⇒パウエルに変更した形なので、セカンドユニットを動かさないことを選んでいました。

同じメンバーで戦うことで生まれる連携を重視したわけですが、実際にこのセカンドユニットは異常な強さを誇りました。

〇レーティング
オフェンス 118.0(113)
ディフェンス 99.3(103)

()内はスターターですが、スターターでも十分に強かったのに、セカンドユニットはそれを上回る驚異の+18.7を生みだしています。あまりにも強かったため、前年のプレーオフで活躍したパウエルが弾かれる形になりました。そしてラプターズはイースト最高勝率でフィニッシュしています

どうしても連携を構築する時間が短くなるベンチメンバーなので、固定されたユニットの方がメリットが出るわけですが、この時のベンチメンバーはラプターズ905で育成されてから出てきたパターンが多く、ニック・ナースの申し子みたいになっており、一朝一夕で作られたわけではありません。

そして翌年にHCになったナースによって最強セカンドユニットは解体されました。スターターとベンチを混ぜることを選んだわけです。作り上げるのは極めて難しいものの、機能すれば強いのがツープラトンということになります。

◎現代で必要な要素

次に何故、ツープラトンを「いま」勧めるかですが、このブログで書くことが多い現代NBAで勝つために必要な要素と関係してきます。それは選手の能力ではなく、戦術や戦略として必要なことです。

元気な方が強い

トランジションゲームが増えた現代では、運動量は極めて重要な要素になってきました。ただただ元気な方が最後に打ち勝つことも増えたのです。特にナゲッツとクリッパーズのゲーム7では顕著に出ました。

試合中に5人全員がフレッシュなメンバーになることで一気にトランジションで制することが出来ます。ラプターズの最強セカンドユニットは実際に走り勝つ形で圧倒していました。

タフスケジュール

そのナゲッツもレイカーズと戦う時には力尽きていました。連戦となるプレーオフではシリーズを長引かせるのもデメリットでした。それはプレーオフの話ですが、新シーズンは変則スケジュールなので、休養が極めて重要になります。

ツープラトンに分けて戦えるのは、安定を生みだしやすくなります。スターターを全員休ませるパターンもあれば、ファースト・セカンドの各ユニットを1~2名ずつ休ませる方法もあります。これは混ぜて使うよりも考え方を楽にしてくれるはずです。連携を失わないで休養したい場合に有効かも。

将来のエースキャラの有効活用

ドラフト外の有能なルーキーが増えたように、選手のレベルが底上げされ、「スターターには出来ないレベルのエースキャラ」が増えてきました。チームのスターと合わせるならロールプレイヤーの方が有能ですが、未来のエースを育てたいなら、思い切ってセカンドユニットを託しましょう。

サボニスはこの手法で成り上ってきました。2年前のペイサーズもツープラトンに近かったですね。スターターはオラディポ中心、ベンチはサボニス中心で戦っていたら、気が付いたらターナーを追い抜いてしまった。ラプターズもシアカムがオールスターまで育ったので、手法としては確立されてきています。

プレシーズンでドラフト1位から4位までがベンチスタートでしたが、ツープラトンとは言わなくても増えてきそうな形です。

多様性

戦術はエースの特徴に左右されがち。でも、今は多様性を作らないと攻略が難しくなってきています。だったら思い切ってユニットごと違う戦術を採用したらどうでしょうか。ヒートはドラギッチのオン/オフで違う戦術を使いやすくしていましたし、レイカーズはツービッグとADのみで違うチームになりました。どっちもツープラトンではありませんが。

そんなことも含めてツープラトンは時代に合った要素を生みだしてくれる気がします。ちなみに冒頭に挙げたチームは

ブレイザーズ・・・攻守のバランスが違う多様性
ホークス ・・・主役キャラの育成
サンダー ・・・人数が多すぎる

サンダーは特に意味のない理由ですが、ブレイザーズはディフェンダーを揃えたので、面白そうなんです。ただブレイザーズは優勝を目指すスタンスになると思うので、辞めておいた方が良い事情もあります。人数を絞って戦うプレーオフ仕様じゃないので。

スパーズはプレーオフで勝つことは高望み。シーズンを通して戦うためにツープラトンにしようぜ!って話になります。まぁスパーズファンはここまで読んだら、理由は見えていると思いますが。

◎育成とデローザン

スパーズのエースはデローザン。3Pがないとか、ディフェンスが悪いとか問題はあるものの、神がかったミドルシュートで得点を奪えるだけでなく、スコアラーからプレーメイカーへのスタイルチェンジや、ハーフコートゲームからトランジションゲームへの戦術チェンジにも対応できる選手です。

それはまだまだ順応性が高く、成長できているという事。年を取ってしまうと自分のプレースタイルしか出来なかったり、運動量に適応できないことがありますが、デローザンは衰えをみせていないどころか、毎シーズン改善しています。心の若さと対応できるだけの身体能力が維持されているんだ。

来シーズンにスパーズに残るかはわかりませんが、エース格として頼れる選手なので「チーム事情でエースから外れてくれますか?」というのは違うんだ。ハーデンみたいにクレームしているわけでもないし。

基本的にスパーズのエースはデローザンであり、契約が続くなら3年後もデローザンでいけるでしょう。5年はムリです。

でも、チームとしてはデローザンだけがエースじゃマズいよね。次のエースも育てていかないとダメだし、正直デローザンは1人で勝たせてくれるレベルのエースではないし。育成も両立させないといけません。

デローザンはエース格として活躍してもらおう!
でも次のエースも同時に育てておきたい!

マレー、ホワイトはエース格ではないけど中心選手として育ってきており、ケルドンとヴァッセルにはエース格になって欲しい。ロニー・ウォーカーとサマニッチはまずは主力にならないと。

なんてことを考えると役割をわかりやすくするためにツープラトンは有効に思えてきます。どんな組み合わせがベストかは不明なので、完全なツープラトンではないものの、分けるといいよね。基本的には

ケルドン&ヴァッセル中心のセカンドユニット

こんな形を取り入れたいところです。デローザンはハンドラータイプですが、この2人はハンドラーではないので共存も可能ですが、せっかくホワイトがいるのだから「ホワイト+ウイングエース」にして、5年後のスターターを作れるかもね。

◎ハーフコートとトランジション

「未来のエースを育てたい」だけでツープラトンというのは、ちょっと短絡的すぎます。別にミックスでも出来るだろうね。でも、スパーズの場合は戦術的理由が加わってきます。

バブルで高速バスケに踏み込んだスパーズですが、それには3つの理由がありました。1つは同じことしても勝てないから。これはまぁ置いておこう。残りの2つは選手の事情です。

①ケルドンやロニー・ウォーカーを活用したい
②オルドリッジやライルズがいない

②があるから①もあったのですが、特に大きかったのがオルドリッジの不在です。そもそもウイングが激薄の選手層だったのに、ビッグまで薄くなってしまった。だから走るしかないじゃん。

でも、新シーズンは2人ともいます。そしてライルズはともかくオルドリッジは35歳になって、トランジションゲームでなくとも走り負けそうになっています。バブルの戦術をもってくるのは苦しそう。

ところがコメントをもらったように「バブルのバスケを続けます。てへぺろ♪」というのがスパーズの方針らしい。ということでバブルを継続すべく臨んだプレシーズン初戦はマレー、デローザン、ゲイ、オルドリッジ、パートルと並べて宣言通りトランジションを

・・・全然違うじゃねーか。いつも通りのハーフコートだろ!
っていうかトランジションゲームには出来ないメンバーだろ!

気になるのはスターターにはオルドリッジとゲイを並べていた事。2人とも25分以上プレーしました。デローザンも含めて、ベテラン中心のハーフコートゲームを思い出そうとしているような気も。つまり

オルドリッジ中心のハーフコートゲーム
若手中心のトランジションゲーム

こんな風に分けた方が良さそうだし、それを意識したプレシーズン初戦にも見えました。戦術的多様性なわけだ。選手の個性にも合っている上に変化もつけやすいって最高じゃないか。それしかない、というだけなんですけどね。

◎選手のお気持ち

ベテラン陣の中でミルズは特殊でした。誰よりもエネルギッシュに動き回り、運動量で差をつけていく。それはベテランだけど、トランジションゲームで生きる選手ってことでもあります。ミルズもハーフコートで真正面からディフェンダーと対面しちゃうと苦しいんだろうね。

一方でゲイはセンターをやっていたバブルよりもウイングに戻ってホっとしている気が。こういうのって性格みたいなものだから、どうしようもないよね。

これらの指摘があっているかは別にして、スパーズは得意なゲームスタイルが全く違う選手が混じっている気がしました。ポジティブに言えば多様性、ネガティブに言えばロスターの失敗。

スタイルチェンジするなら、向いている選手を集めるべきです。特にビッグが足りなかったのだから、トレードやFAで探すべきでした。それをしなかったのは「出来なかった」のか「両方残したかったのか」です。後者だと信じておきましょう。

だから、きっとやると思うんだよね。ツープラトン。いやユニットを固定はしないかもしれないけど、きっとやると思うんだ

戦術のツープラトン

それがスパーズへの妄想です。ハーフコートを組み立てるのが好きな選手と、トランジションでガンガンいける選手。あと両方を組み立てるデローザンとホワイト。彼らを使い分けて、ガラッと違う2つの戦術を繰り出してくるのが新たなスパーズになるのでは!?

これで勝てなかったとしても、いろんな経験を積み重ねて選手を育成しておいて、豊作と噂の来年のドラフトで再びエース格を手に入れようじゃないか。

そんな妄想も膨らむようなプレシーズンになっているのでした。

スパーズのツープラトン” への8件のフィードバック

  1. いつも楽しく拝見しております。
    ツープラトンのスタイルというのは確かにオフェンス面ではワクワクしますが、ディフェンス面での数多のトラブルがどうしても気になってしまいます。とくにハーフコートディフェンスが… 
    ここに関しては発展途上なのでしょうが、ポポビッチがどう整備するのかが気になります。

    1. そうですね。でも、個人的にはケルドンやヴァッセルは強気にプレッシャーかけていくスタイルが似合いそうで、それは守れそうなのですが、持たないし、慣れられたら疲れ損な気がします。
      だから適度に休ませながら、プレッシャーの強弱が欲しいなーと。

      ハーフコート組はインサイド固めておくだけで・・・

  2. この妄想が現実になってもらいたい!ケルドン・ヴァッセルを育てるという面でもオルドリッジやゲイをいかすという面でも良い考えだと思いました。どうせプレイオフに進んだって…ですから。

    スパーズには5年くらいのスパンで考えてプレイオフで勝てるチーム作りに取り組んで欲しいと思います。そのためには仰る通りドラフトで当たりを引くのが必須ですね。ケルドン・ヴァッセルには期待していますがこの二人はディフェンスのいいセカンドエースになってくれればと。3年はドアマット化するのを覚悟して応援していきたいと思います。

    1. レナードを当てた事で延命しましたが、どこかで再建は必要ですね。でもレナードの移籍みたいなことも起こるわけで、大切なのは多くの選手を伸ばす事だと思います。そのためにはムダにシーズンを過ごさないのも大切で、、、

  3. もともと明確にツープラトンをやってはないがセカンドユニットをよく使っていたチームなのでできると思います。ただ他の人も言われてるようにその場合ディフェンス面に不安が…。このチームのエースはデローザンですけどデローザンにはOKCでのCP3役をやって貰いたいです。クラッチタイムはデローザンであとは若手達が中心で攻めて、デローザンを元気なままクラッチタイムに持っていくのが勝ち筋だと思うのですがどう思いますか?

    1. デローザンのスタミナロスを避けるのは良いと思うのですが、終盤の弱さに定評があるので、何とも言えないですね。
      特にスパーズは終盤に強引に行かせたくない印象なので、スタミナ問題は考えていないような。

  4. 個人的にスパーズは今オフ主力全部だしてタンクに入ると思ってました。来オフは有望と聞きますし、デローザンとかオルドあたりは契約1年だしでどっか需要ありそうだなって思ってたんですが。やっぱ2人とも契約重すぎたんですかね。
    2プラトンで半端に勝ってロッタリー外れる(そこまではいかないと思いますが)なんてなると来年全員FAでてって今年なんだったんでならないか心配です。

    バッセルがネクストカワイになってポポの置き土産的になるといいなぁと願ってます。

    1. デローザンを放出しておく手段はありましたよね。そこまで多くを求めなくても良いので。
      残したってことは、こういう事なのかなーー

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