集中力の違いが生み出した勝敗

ゲーム5になって初めてスーパースター同士の殴り合いが発生した珍しいファイナル。それをバトラーが制することに。

〇ジミー・バトラー
35点
FG11/19
12リバウンド
11アシスト

ケチのつけようがないパフォーマンスを見せたバトラー。最も凄いのは47分11秒というプレータイム。ほぼ休まずにプレーしながらクラッチタイムの強さは今シーズンのバトラーとは違うので、ファイナルという舞台がもたらした強さ。

「ファイナルという舞台がバトラーをステップアップさせた」

ゲーム4の後に書いた記事を上回ってきたバトラー。ちょっと信じられないレベルのスタミナと集中力で試合を制しました。バトラーを語っても仕方がないぜ。

このバトラーを上回るようなスタッツを残したのがレブロン。チームメイトの3Pが決まらないと思ったら、プルアップで決めまくったことで接戦に持ち込み、あと1本のシュートが決まれば勝ちでした。

〇レブロン・ジェームス
40点
3P6/9
13リバウンド
7アシスト

この試合のレブロンは71本のパスを出し34本のシュートに繋がりましたが、チームメイトが33%のFG成功率に終わって7アシストでした。ちなみにバトラーは84本パスですがシュートに繋がったのは33本で11アシストです。

〇レブロンのパスからのシュート
2P5/13 39%
3P6/21 29%

KCPは3P3/7と決めてくれましたが、ADの2Pすらも決まらなかったので7アシストに留まりました。ゲーム4で「レブロンが不機嫌」と書きましたが、この試合では不機嫌そうにすることもなく、淡々と、しかし自分で決めていったのが印象的です。

まぁでもレブロンについても、触れることはありません。ファイナルだし、触れなくてもいろんなところに書いてあるでしょ。ハイライト観ようぜ!

ゲーム4が「何故。レブロンが不機嫌なのか」だったとすれば、ゲーム5は「何故、レブロンは不機嫌にならないのか」と言いたくなるくらいに酷かったレイカーズのチームメイト達。

それについて触れたいのが今回のテーマですが、その前にダンカン・ロビンソンから行きましょう。

◎13アテンプト

ヒートはバトラーを除けば、目立ったスタッツを残したのはダンカン・ロビンソンのみでした。あとはナンが頑張ったくらい。イグダラ先生は5ファールで0点です。多くをバトラーに頼っていたにもかかわらず勝利したことは驚きです。

しかし、バトラー自身は警戒されまくっていたわけなので、ダンカンが決めたことはヒートオフェンスの大きな助けになりました。試合前日にバトラーから叱責されたらしいダンカンが「バトラーの言葉で奮起した」といえばエモーショナルですが、そんなことで打てるなら、初めから打っています。

ダンカンが13ものアテンプトになったことは、根性論のはずがなく、何があったかを見ておくのは非常に重要です。

●ゲーム4までで26アテンプトだったのが、ゲーム5だけで13アテンプト
●KCP相手には6アテンプトのみだったのが、ゲーム5は2アテンプト(実際には3つ)
●確率7/13と50%オーバー

この3つが重要な点になります。では、13のアテンプトを並べなおして見直してみましょう。

4つにわけてみました。


①3枚のスクリナーを用意し、KCPを剥がす  
(動画は1枚使った後からスタート)
 ・ヒートが用意してきたスペシャルプレー

②オフボール時に死角を動き、コーナーでフリーになる
 ・日常のプレーだが、パサーのバトラーと狙う意識が高かった。
 ・KCPがシリーズで初めて見逃してしまった

③トランジションやリバウンドなど、ディフェンス側にはノーチャンス
 ・これらのプレーはゲーム4までも同じように展開されていた

④スクリナーもなく、個人のオフボールでディフェンダーを剥がす
 ・KCPが抑え続けていたプレーだが、他の選手はやられ続けている
 ・この本数が多かったことがアテンプト増につながった
 ・特に最後は・・・

まとめると、こんな理由で増えたイメージです。
①はヒートが用意して打たせた+1本
②はバトラーとの関係で意識を強めた +1~2本
③は通常でしかなく、運もあった +0~1本
④はKCPとのマッチアップが少なかった +2本
(ダンカンのプレータイムが長かった)

①は重要な要素です。ネッツファンなら見慣れたダブルスクリーンですが、さらに1枚多かった。②はバトラーとの話が生み出したアテンプト増ですが根性ではない。

問題は④です。KCPは見事に抑えていたゲーム4まででしたが、このゲーム5はマッチアップする機会が少なくなりました。主な理由はダンカンのプレータイムが長かったこと。

この試合は約半分がKCPとのマッチアップでした。そこで打ったのは2本のみ。もう1本はリバウンドからなので、KCPは変わらず打たせない対応が出来ていましたが、シリーズ初めて見失ったシュートが1本ありました。まぁ責められないね。

そしてKCP以外の時に9本打たれたわけです。問題は④なのでロンド、クズマ、カルーソ、ダニーの4本。ロンドはトランジションでもやらかしたから5本かな。彼らはあまりにも簡単にダンカンに振り切られていることがわかります。

本当は「打たれなかったKCP」をまとめるとわかりやすいのですが、それをするには試合全部を録画しないといけないので・・・。

基本的にKCPはダンカンよりも外側を追いかけることが多く、スクリナーにひっかからない代わりにダンカン以上に長い距離を、早く走る必要があります。これをダニーに求めるのは酷だろうね。

KCPにマークされていない時にダンカンはディフェンダーを振り切りまくった
それだけ動きながら高確率で決めた

これがリーグ最強シューターの実力!!とでもいわんばかりのスーパーなプレーをしたダンカン・ロビンソン。一方でKCPが守れてしまうだけにレイカーズの面々がアッサリと打たれてしまうのも気になります。

そこにはカルーソのスクリーン事件も含めて「判断ミス」が出来ています。とはいえ、誰にでもミスはあるもの。ミスだけでは責められません。

この中で最も気になるのは、やはりロンド。チームとしてダンカンを優先しているはずなのに、1人だけ「他の選手のカバー優先」という判断をしてしまって打たれています。そもそもがカバー優先のADやレブロンだってダンカンがフリーになるのを見つけると飛んでいくのにさ。

◎オトボケキングは誰だ?

「マンバジャージ着ていれば、勝つと思っていたんじゃないの?」

ってのが試合直後の感想です。レブロン、AD、KCPの3人、あとクズマには必死さがありましたが、それ以外の選手には集中力が足りませんでした。プレーが悪いことはあるし、ミスもありますが、オトボケプレーってのは意味が違います。

例えばダニー・グリーンは、ダンカンに振り切られまくるし、ナンには1on1でプルアップ3P食らうし、と問題だらけでしたが、でも別に集中していないわけではなく、単に個人能力が足りなかっただけ。3Pは「もう少し打てよ」というシーンがあったのは気になったけどね。ダンカンが打ちまくっているだけに。

こんなダニーを「集中力が足りない」というのはちょっと違うよね。ダンカンを見失うなど、細かく言えばあるのですが、怒りを集中砲火するほど悪かったなんてことはありません。

ただレイカーズは、小さなパスミスやディフェンスコミュニケーションミスが非常に多く、全体的に低調でした。それをキングが1人で救いまくったのがゲーム5でした。

そんな中から厳選したオトボケプレーをピックアップ。ちょっと酷すぎました。こんなプレーが混ざっていて、1点差なのだからキングは偉大だ。

49秒しか休まなかったバトラーが最後まで集中していたのに比べて、レイカーズのベンチメンバーの酷いこと酷いこと。レブロンがブチ切れても止めて良いのはADとKCPだけです。

①のカルーソは致し方ないようでいて、そうではありません。ダンカンのオフボールを止めるのが重要なのは試合前からわかっており、しかもこの試合は決められまくっている中で起きた終盤のプレーは「集中力が足りない」の一言です。

②のモリスは信じられないプレーです。クラウダーが迷わせようとしているとはいえ、バトラーが左手でドリブルしている時点で右サイドに出てしまいました。一体何を考えていたのか?これが決勝点となったのです。

③のロンドは個人の勝手な判断が目立ちます。何故インサイドのクラウダーをフリーにしてまでナンにダブルチームを仕掛けないといけないのか。そしてダンカンのマークでありながらクラウダーに行くのは何故なのか。ロンドの場合は「集中力が足りない」というよりは「チームのゲームプランを意識できていない」のが問題です。

④に票が集まりましたが、このプレーは微妙です。シュートが決まらなかったダニー・グリーンを「見逃した」のではなく「敢えて渡さなかった」のであれば、まぁ理解できる。ADへのパスは酷い。モリスはレブロンを見つけられるとは思えないし。

しかし「敢えて渡さなかった」となると違う問題が発生します。

◎レブロンのチョイス

ラストプレーのレブロンは、またも自分で打ちませんでした。ゲーム4でコーナーで置物となったことを前フリにして見事にレブロン勝負を挑んだヴォーゲルでしたが、ダニー・グリーンのシュートが入らなかったことで台無しでした。まぁ決まる・決まらないは仕方がない。これまでが決まりすぎです。

プレー映像は上の④モリスを見てください。

さて、まずレブロンの選択について触れると、
・強引に押し込んでレイアップ
・ストップジャンプシュート
という選択肢もありました。前者は強引ではありますが、アデバヨがブロックに来たらADにパスも出来ます。レブロンはボールを持つのを一瞬遅らせれば強引に行けたように見えます。

ただ、それこそコービーにしろ、デュラントにしろ、バトラーにしろ本命はジャンプシュートです。この場面ではフェイダウェイ気味のジャンプシュートは打てたでしょうし、多少止まっても高さの利もあります。「またも自分で決めに行かなかったレブロン」というレッテルは剥がせないプレーチョイスでした。

ただし、パスの判断自体は見事です。クレバーであり、ドフリーのダニーを見つけました。これをダニーが決めていれば世紀のシュート的に語り継がれたでしょう。えーっとパクソンだっけ、スティーブ・カーだっけ?忘れたけど、それくらいにはなるわけだ。

そのため「レブロンは自分で決めなかった」けど「チームメイトを信じて的確なパスを出した」わけなので、あくまでも結果論としての失敗になります。この試合での好調さを考えても自分で打つべきだったと個人的には思いますけどね。

問題はレブロンではありません。ヴォーゲルです。

プレーチョイスは
・両コーナーにKCPとモリス
・逆サイドのエンドラインにAD
この状態を選びました。

スクリナーをダニーにする。これがチョイスなわけですが、狙いは「ダンカン・ロビンソン」になるわけです。ここまでなら論理的です。

ただしダニーがスクリーンに来たのとは逆側をレブロンはドライブします。広いサイドではなく狭いサイドにドライブしたわけですが、クロックも残っている中で「レブロンvsダンカン・ロビンソン」というアイソにはならない選択です。

また、ヒートはここまでレブロンに対しては「バトラーはスイッチしない」を徹底しています。スクリーナーが来た時点でダンカンはマークを捨ててレブロンに襲い掛かり、その間にバトラーが体制を整えてきます。

「スクリーンの逆を抜く」ことを選んだことでバトラーの反応が一瞬遅れたものの、そこにはダンカンがいるので、結果的にダブルチームの形になりました。ここからレブロンがフリーのダニーにパスをすること自体は自然な流れではあります。

ヒートはレブロン優先で守る
シューターを捨ててもダブルチーム
狭いサイドにドライブ

要するに、ヴォーゲルがこのプレーをチョイスした時点で、ヒートディフェンスの傾向を考えれば「ダニー・グリーンがラストショットを打つ」のは既定路線でした。おそらく10回やったら8回はダニーが打つことになります。

レブロンは自分で打ちませんでしたが、そもそもヴォーゲルもダニーを選んだわけです。このチョイスが見事に失敗したわけですが最大の疑問は

ここでダニー・グリーンを選ぶのか?

ってことです。結果論ですけどね。バトラーとの1on1であってもレブロンのアイソにするとか、同じプレーをドライブもあるクズマやADにやらせるとか、チョイスはいろいろあったわけですが、ヴォーゲルが選んだプレーは失敗しましたとさ。

そしてここで④モリスに戻ると、HCもレブロンも託したダニーに「敢えて渡さない」ってのはダメなわけです。1本目は決まらなくっても2本目は決まるかもしれないじゃないか。

そんなわけで④のモリスもやっぱり集中力が足りないっていう結論です。ダンカン優先なのにジャマしたカルーソ、勝手にダブルチームで穴を作るロンド、そしてモリスと「チームのプランを意識できていない判断ミス」が多発したことは、「レイカーズに集中力が足りない」と言いたくなる要因でした。

スキを見逃さなかったダンカン・ロビンソン
多くのミスをしてしまったレイカーズ

バトラーとレブロンの戦い以上に、この集中力の差が勝敗になったゲーム5だったといえます。

果たしてゲーム6までに修正できるのか。ADのケガもある中で、より全員が集中しないといけません。

集中力の違いが生み出した勝敗” への4件のフィードバック

  1. 書かれているようにロンドに関しては集中力というよりチームのDFプランを無視していて、ヴォーゲルが信頼して任せてるのかもしれませんが、それにしてもなぁと思ってしまいます。。
    ロンドについては、たしか1Qの得点された後のハワードからのインバウンドパスを適当に受けて、パスミスからあっさり2点取られた場面の方が「ちゃんとやれよ、ファイナルなんだぞ」と思いました。笑

  2. マンバジャージで優勝決めるっていうドラマチック作る狙いだったんでしょうが余計な雑念混じって枷になった感じにも思えますよね
    今年のファイナルの視聴率が予定よりかなり低いらしいからリーグも焦ってるみたいですよ

    ところでこんな記事が読みたいというお願いなのですが今季のPO含めた各チームのHC格付けです。超雑感でもいいので興味あればぜひ

  3. 個人的にはライブ観戦してて②のモリスのディフェンスが一番謎でした。何をどう考えて一歩前に出たのか?

  4. オクラホマもラスも敗退したので低見の見物のオクラホマシティーにわかです。

    なんかもうバトラーがギャップを作ってバトラーが点を取ってバトラーがアシストしてバトラーがバトラーが…なイメージなんですけど、ゲーム5はほんとにロビンソンが素晴らしかった。あんなにいい選手なんですね。ヒートあまり見なかったし全然知らなかった。ディフェンスは狙われまくってるけど。

    ところで、おとぼけランキング、ロンドが一番低いのは納得いきません。笑
    だってどうみても勝手に動いて失敗してるもん。まあゲーム4を決めたりしてるからそれで許されてんのかな…?

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