ヒート1-2レイカーズで迎えるゲーム4
「7つのオフェンス」と書いたヒートが3つだけで粉砕したゲーム3の衝撃を経てアデバヨが戻ってきます。バトラーだけでも止められなかったオフェンスを、起点が増えることでレイカーズはどうするのか。そしてヒートは多彩さを取り戻すのか。
レイカーズの問題はディフェンスだけでなくダニー・グリーンとADが狙い撃ちにされていること。ADはおまけみたいなものだけどね。これがウイング不足を生みだしているので、ヴォーゲルがローテを代えてくるのかどうか。
◎修正はあるのか?
モンスター・アデバヨのレイアップで始まる試合は、KCPからADのアリウープで返します。しかし、ポストアップするADにはアデバヨがプレッシャーをかけてパスカット。本日もローポストではなく3Pライン近くまで出てきてしまうADなので、そこは修正していません。
問題のダニーはヒーローに対して1人オールコートマンツーなので、ちょっとでも工夫したいのかな。でも、あまり関係なく決めていくヒーロー。そして例によってKCPからダニーにマークが変わるとダンカンが3Pです。ヤバいぜダニー。ホートンタッカーと交代しろ!
一方でKCPはどうしたことか3P連発にドライブレイアップでクイック8点。でも、それ以外は酷いレイカーズ。レブロンもオトボケパスを連発し、クラウダーにはブロックを食らいます。要は人が動かずにパスを出しているようなレイカーズ。ADがボールタッチに拘るとスペースを消して陥りがちなワナだな。開始5分で5つのターンオーバーです。
しかし、タイムアウトからドフリーになった(された)ダニーがコーナー3Pをヒット。レブロンはパスカットからの速攻でヒーローを吹っ飛ばしてダンク(ヒーローはスーパーフロッピング)。まぁそうしたらKCPの3Pは決まらなくなったけどね。空気読まないぜ。
お互いにベンチメンバーが登場し始めると、オリニクでスモールなヒートに対してハワードとADが残るレイカーズ。ここの攻防が続きます。
バトラーはADはドフリーにしてインサイド重視で守り、逆にオフェンスではスピードでAD相手に仕掛け、フィニッシュにオリニクが絡みます。この2人の関係はヒートが上回り、バトラーが好き勝手に得点。ハワード→クズマにしても特に変わりません。
つまりADを振り回すことに成功しているバトラー
これでレイカーズはタイムアウトからゾーンにします。やっと使ってきたヴォーゲル。ゲーム3でやるべきだったと思いますが、ゲーム4になったらあっさりつかってきたね。
ロンドがミス→ゾーン出来ないのでマンツー→バトラーが決める
こんなプレーが混ざるのでゾーンが効いているのかっていうと微妙。さらにレブロンが戻ってきたら、またもターンオーバー。「パスしないで打てよ」というファイナルのレブロンあるある。
そんなわけで互角だったのですが、クズマが連続で決めてレイカーズが7点リードでおわ・・・バトラーがブザービーターで5点差にして1Qが終りました。またもFG5/5で救うバトラー。マジでどうしちゃったんだ。ファイナルは人間を変える。
◎ベンチは逆転か
2Qはスモールで始めるレイカーズ。レブロンをポストに立たせます。一方で2ファールのアデバヨを戻しているスモールじゃないヒート。このシリーズ初めて逆になった気がします。そして決まらないレブロンで逆転するヒート。アデバヨが強引に押し込んでくれるのでバトラー不在でもOKさ!
ゲーム2もゲーム3も「ベンチならレイカーズの方が強い」という展開でした。理由はネガティブで「スターターならダニーを狙えばよい」ってことであり、狙いどころがないベンチだとヒートは困っていました。しかし、アデバヨが加わったことで、ダンカンやナンが生きるので普通に戦えています。
レイカーズがぶ厚く守られてるインサイドに突っ込んではノーファールになる事にクレームをする中で、アデバヨがコーストtoコーストでインサイドも攻略してしまいます。バトラーのレイアップが外れてもアデバヨが押し込む。リードするヒート。
モンスター!帰ってきたアデバヨ!帰ってきたヒート!
そしたらレブロンが腕をたたかれながらの&ワン、隙間を抜けてのダンクを返すんですけどね。こっちもモンスター。ヒートのディフェンスが何をしているかというと、インサイドをぶ厚く。とにかくぶ厚く。でも本当はレブロン相手には3Pもミドルも「打たれて仕方ない」くらいの守り方なので、強気にレブロンが打つべきなのです。でもインサイド狙っちゃう。またADにパスしてターンオーバー。
レブロンとアデバヨが下がったところでレイカーズが追いつきます。理由はシンプル。ヒートのオフェンスはアウトサイド一辺倒になり、レイカーズのオフェンスはアウトサイドも増えた。バランスよく攻めろってことですね。
この状況でスポルストラは早々にアデバヨを戻します。一気にバランスアタックが戻るのですが、3P決めたのがナンくらいで。一方のレイカーズはロンド中心に鮮やかにフリーを作っては3Pを外します。
で、レブロンが戻るとボールを止めて停滞。ドライブしてもインサイドで止められるレブロン。「ファールだろ」と怒るレブロン。さらにディフェンスでもヒーローのシュートがバックボードの上にあたるとレフリーが「レブロンが触った」というコールで怒ります。キングがお怒りなのでチャレンジのヴォーゲル。
実際、レブロンは触っていなかったので、キングの留飲を下げることに成功したヴォーゲル。プレーオフになると、この手のチャレンジ多いよね。ダントーニはやりすぎだけど。
バトラーは速攻でカルーソにフロッピングされオフェンスファール。でも怒らないでレフリーを睨みつけるだけにしています。メンタル負けしているのはレイカーズだよ。
さて終盤になってやっぱりアデバヨを下げたヒート。そりゃそうか。カルーソの3Pでレイカーズが4点リードしますが、バトラーのヒップアタックに倒れている間にヒーローがリバウンドミドルを決めて49-47と2点差で前半が終ります。
ちなみに残り3秒あったのに、ボールを持ったらオロオロして終わったレブロン。何してんの?
◎シューティング
後半をハワードではなく、モリスにしたヴォーゲル。そんなにハワードで困っていたとは思えないんだけど。アデバヨがショットクロックないところでミドルを決め、ヒーローのハイアーチフローターもあってヒートが逆転します。
おそらくヴォーゲルはオフェンスでインサイドを空けたかったのだと思いますが、その狙いに反して3P打つしかないレイカーズ。ヒートのワナにハマっている感じですが、レブロンがやっとプルアップ3Pを選んで決めたことで、次のオフェンスではドライブが成功します。
続けざまにプルアップ3Pを選択するレブロン。言い換えれば、ヒートはそこは強く来ないわけです。レブロンが40点取れば勝てそうなんだけど、それをやると終盤にどうなるのか。ADが働くはずの3Q序盤をレブロンアタックでこなしています。
ヒートはまたもバトラーvsADを作ります。そこでドライブもすれば、ハンドオフからダンカンの3Pにも繋げます。ADがこないとにらんでの選択であり、KCPにプレッシャー受けながら決めてしまうダンカン。
さらにボール持ちすぎのレブロンからターンオーバーを引き出し速攻。自分たちの良さを出していくヒートですがこれまでと違って苦労しないで出せているよね。
面白いことに気が付いたらレブロンのマークをアデバヨ、ADをバトラーにしています。このマッチアップ自体は守れるのですが、ADがアデバヨに対してスクリーンに行くとユニフォームを掴んだアデバヨにファールがコールされます。ちょっとだけなんだけどね。スクリーンに慣れていない。ベンチへ。
ところがマッチアップが戻ると、今度はクズマが何気なくレブロンに出したパスをバトラーがさらいます。その速攻がレブロンのファールに。ファールには見えないけど、前半にチャレンジ使っているじゃん。追いついたヒート。
ここからヒートはファールをもらってはボーナススローになります。なんでもないところでもファールしてしまうレイカーズ。スリップされまくったゲーム3の反動でインテンシティをあげようとしているのでしょうが、それがファールになってしまう。苦しいね。
一方のレイカーズはシューティング状態。インサイドは固いから外から打つよ。クズマとADが決めたけど、その後は停滞。ところが残り1分から、今度はヒート側が不要なファールでADがフリースローを4本打ち、全部決めて5点リードで終わります。
ベンチに下がっても不満げだったレブロンは、ラストディフェンスに登場すると、エアボールになったバトラーのプレーにもレフリーにクレーム。大ベテラン。
◎決まらないレイカーズ
4Q序盤も明らかに空けまくっているヒート。頼みのクズマまで外してしまったうえにトランジションでサイドラインを踏むカルーソ。キャブス時代ってこんな感じでレブロンがフランストレーション貯めていたよね。しかも、自らのシュートチェックをかいくぐったヒーローにハイアーチ3Pを決められてしまいます。
レブロンがフェイダウェイミドルこそ決めるも、3Pが決まらないレイカーズ。フリーなんだけどね。かといってダニーは使えないしさ。
ゲーム2を思い出すと、決まらなくてもリバウンドを取りまくりました。ゾーンだったからね。でも今はゾーンをしないヒートなので、頼みのADがアデバヨにボックスアウトされているし、そんな簡単ではない。だけど、飛び込む。するとADに膝にダイブしてしまったのはフィジカル争いで負けたカルーソ。これでADが倒れこみ、その間にヒーローが3Pを決めます。タイムアウトのレイカーズ。ちなみに3QもADの靴が脱げてタイムアウト使っています。
自力で立ち上がれないADでしたが、タイムアウトの間になんとか戻ってきました。打撲程度だったのかな。しかも、ファーストプレーがロンドからADのアリウープだった。打撲程度なんでしょうね。
さて、その後はデジャブ。レイカーズはフリーの3Pが決まらない。ヒートはタフな3Pをダンカンがバンクショットで決める。
レブロンは3人くらいからファール受けながら真ん中を突っ込んでレイアップ&ワン。さらにゴール下に抜けたら後ろからファール。なお、多分ファールではない。
バトラーはレブロンがブロックに来たけど、コールが怖くて手を出してこないからゴール下イージー。ブロックがきたらすかさずあわせたアデバヨへ。イージー。そしてヒーローはタフミドル。イージーもタフも決めているヒート。
苦しく見えるのは3Pが決まらないレイカーズなのですが、これをレブロン含めてリバウンドで何とかします。超★力技。それをやるならハワードの方が・・・とも思いましたが、3Pも信じてモリスって選択のヴォーゲル。インサイドも大切だからクズマではない。
ここまで4Qはノーファールで守っていたレイカーズですが、ヒーローが奪われかけながらも強引に打ってKCPのファールを引き出し、残り3分半2点差になってクラッチタイムが訪れます。
◎ノーレブロン、クラッチ
レブロンとバトラーが外した後、実に、あまりにも久しぶりに、やっとレブロンからのキックアウト3Pが決まります。決めたのはKCP。1Qの序盤以来じゃないか。
ヒートはオフェンスに困った中でアデバヨがブザーギリギリでミドルを決めたかに思えましたが、24秒のコール。そしてまたもKCPがドライブレイアップ。ここで来るのかKCP。地味に働いている男が陽の目をみるのかゲーム4
これに対してヒーローとバトラーのピックゲームから、インサイドのバトラーがワンタッチでクラウダーにキックアウト。これを決めちゃうクラウダー。
ところがヒートはまたもレブロン以外にやられます。空いたレーンをロンドがイージーレイアップ。逆に言えばレブロンに頼りまくっているのは、今シーズンのレイカーズらしくないので、終盤になってやっと形になったのか。
そしてトドメはADの3P。
この試合はインサイドを固められ、フリーの3Pが決まらず苦しみまくったレイカーズでしたが、クラッチタイムになって3P、ドライブ、ドライブ、3Pとレブロン以外で決めまくることに。捨てていた3Pだけど、1本決められ、しかもクラッチタイムとなるとヒートも放置できなかったという印象でした。
◎KCPとヒーロー
アデバヨが戻ってきたことでヒートは2つの改善がありました。
・バトラーを経由しなくてもオフェンスになり、パターンが増えた
・インサイドを強力に固めることが出来る
これはゲーム3に比べると段違いに試合運びを楽にしてくれました。ゲーム4にしてやっと「ファイナル!」って感じの試合になりました。ドラギッチはいないのにね。
しかし、失ったものもあります。それはオリニクの3Pとスリッププレー。まぁ3P0/2のオリニクを使い続けても、外してしまったかもしれません。ただし、オリニクがいると更にADを振り回すことが出来ます。得点だけじゃない駆け引きなので、一概にアデバヨのプラスばかりではなかったです。
加えてバトラーは3本の3Pを打ちました。1本はブザービーターだから実質は2本か。それだけインサイドにいない時間が増えたわけで、アデバヨで楽になった代わりにちょっとだけやりにくかったかもね。
ただゲーム3に勝ったとはいえ、苦しそうだったので、やっぱりアデバヨ復帰で改善し、クラッチタイムに持ち込んだ形です。しかし、そこで競り負けてしまった。本当はここでバトラーに働いてほしいし、ヒーローも働いてくれたし。
問題はインテンシティをあげるディフェンスが、KCPによってスカされてしまったこと。運が悪かったのか、KCPがそういう選手だったのか。あの3Pとドライブがなく、レブロンvsバトラーになっていれば最後まで分からなかったでしょうが、唐突にKCPになってマークのダンカンも困ってしまった。
どっちも勝つチャンスのあったゲーム4でしたが「空気を読まない」KCPが突如として試合を決めてしまう不思議なゲーム4でもありました。
そしてもう1つ。レブロンはゲーム3で4Qに4つのターンオーバーで、ダラダラっと試合を終わらせる原因になったわけです。試合トータルでも8つのターンオーバー。
この試合も6つのターンオーバーで問題だらけだったわけですが、勝ち切れました。なんでかっていうと、最後にボールを持たなかったからです。ロンドのコントロールが増え、代わりにリバウンドで奮闘していました。狙いどころをスカされたヒート。
ロンドとKCPが決めた試合。それはヒーローが試合を決めるヒートと似たような構図かもしれません。そんなゲーム4でした。
4Q終盤にバトラーにマークされたレブロンはコーナーに突っ立ってカワイソレーションしてるみたいに見えました。前半でKCPが調子良さそうなのを見て終盤に狙ってやったとしたらヴォーゲルすげぇなって思いました。
ロンド、KCP、ADで崩すのは勇気も要りますし、何よりADの3Pという選択で勝負を決めたのだから純粋に結果として凄すぎです。
お疲れ様です。
最後2回のロンド-ADアタックは絶対ヴォーゲルの指示ですよね。
リードしているからでしょうけど、最後レブロンでいかない選択肢を取ることにものすごく感心してしまいました。
ルーだったら最初から最後までレブロンなのに…
ヒートはロングリバウンド取れなかったのがきつかったですね。ゾーン敷いてないのでアンラッキーの面が大きいと思いますが、それにしても、ロンド、カルーソと毎回ダイブしてくるのは厄介そうです。
最後のプレーコールを切り抜いてみました。完全に狙いですね。あそこでレブロンを切って、結果を出すHCって他にいないかもしれません。