ECF⑥ ヒートvsセルティックス

ヒート3-2セルティックスで迎えるゲーム6

ヒートの3Pが決まらず、セルツのディフェンスが効いたようなゲーム5.そしてゲーム6はおたがいの3Pが全然決まらず、合計10本ミスから始まります。

◎3P

自陣エンドラインのスローインでボールをもらったアデバヨが、ハーフラインを超えて加速し、タイスをスピードで振り切ってファールドロー。ヒートといえど、スローインからこれをやるのは珍しいので、タイスを困らせることを意識しているように見える工夫があります。

3Pが決まらない中でファールドローが多く、ファールがなければバトラーがショートレンジを決めていく形。ゲーム6にして初めてバトラー連発となり、初めの12点のうち半分がバトラーです。マークはテイタム。ゲーム5まで効いているのかいないのか、全くわからなかったディフェンスですが、楽々打たれています。低いインテンシティ。

一方でヒートがゾーンにするとコーナー3P連発で逆転するセルツ。それも全部ダンカンサイドのコーナーなので、ゲーム1からやっとけよ・・・とも思ったけど、マンツ―になったらダンカン相手にスマートが打ちまくるから、再逆転のヒート。

そしてスポ様はゲーム4のスモールラインナップを採用し、ブラッド様はゲーム5のカンターを選択します。オリニクもヒルもいないスモールは、カンターにオフェンスリバウンドを許すも、トランジションでもハーフコートでも3Pを積極的に打っていき、9点リードまで広げました。

とにかく決まりまくったヒートの3P。5連発だってさ。自分たちはインサイドを固めるディフェンスを展開し、オフェンスでは3P打ちまくる。相反する狙いが成功していました。

一方のセルツはまた0点のテイタム以外はバランスよく奪いますが、インサイドを攻略するのはブラウンのドライブくらい。それでもこちらはヘイワードがコーナーから3P連発で助けます。

3Pが決まらずに始まった1Qは、3P決まりまくって終わる1Qになりました。スポ様の方がトランジションでのテンポアップを狙った印象です。

◎オフェンス勝負

2Qになって、またもスマートが3P連発。そこに戻ってくるとは思いもしなかったよ。テイタムがゴール下すら外すので、スマートが打って正解の気もします。難しいです。まぁそれだけスマートが空けられているってことなので、ゲーム6になって、ヒートの意図せぬプレーをしているといえばOKだな。決めている限りは。

しかしセルツはディフェンスが上がってきません。スモールに翻弄されてゴール下が薄い。ドラギッチやバトラーがペイント内にカッティングする狙い通りの展開をされ、しかもノースクリーンなのに振り切られたりもしています。

そんなわけで形を変えてヒートの方がインサイドを攻め、セルツの方がアウトサイドから決めての互角の展開に。セルツはカンター→タイス→ロバートと繋いでいきますが、特に意味がないのでグラントでもよかったんじゃないのかな。まぁセンターの問題じゃないか。

ところが、突然テイタムが決め始めます。よくわからないのが気分屋。決まらなかったところが決まり始めるので、徐々にセルツが追い上げていくと、トランジションからテイタムが3P。続いて同じくケンバが3P。テイタムのゴール下でセルツが逆転します。

ながら見しすぎた前半は、よくわからないけど、お互いのディフェンスが全然効かない異常事態。単純にひとつ1つがぬるいよね。それはゲーム5のレフリーコールからの反動なのかもしれません。あっさり抜かれるシーンが多かったぜ。

62-60とヒートが最後にリードを奪って終わりました。共にFG50%を超える高確率。セルツのフリースローは4本のみ。ファールトラブルだったヒートが嫌がったのかなー。

◎イグダラとケンバ

なんか突然トランジション合戦になったゲーム6ですが、ゴール下ミスも混ざって何ともね。後半になっても止まらずに動き続けて、下位チーム同士の戦いみたいになっています。なんでこんなに荒れた雰囲気なのだろうか。

そんな中でドライブしたバトラーにケンバがファールして4つ目でベンチへ。ヒートが嫌がっていたファールトラブルはセルツの方に発生しました。スピードで解決するケンバがいなくなり、代役のヘイワードはドフリーのゴール下外すし、どんどんアウトサイドのみになっていくセルツ。

一方でショートレンジを確実に決めていたアデバヨがベンチに下がると、ヒートも困り始めるのですが、ここでイグダラが3P連発。どうしたことやら。まぁゲーム5で空けまくっていたところから決められるのだから、セルツからすると狙い通りの形でやられたってことでした。イグダラが決めるか、外すかの勝負でした。

溜まらずケンバを戻すとドライブで切り裂いてくれ、そこにブラウンもドライブで続きます。ちなみにセンターもグラントに変更したので、切り裂きやすくなった。さらにスマートがヒーローからスティールして速攻で同点に。イグダラの爆発が台無しになったな。

またも何とも言えない3Qとなりました。前半の沈黙で力を貯めて後半にディフェンスを強めるかと思いきや、セルツはイグダラに決められてそうはいかず、ヒートはアデバヨいないとそうはいかず。

チームの中でアテンプトの多いスマートとテイタム2人の確率が悪いセルツの方が、改善するポイントを残しているようにも思えるし、改善する雰囲気もないしなぁ・・・。うーん、本当に何とも言えない試合だ。

◎ザ・ヒーロー

ブラウンがスティールからの速攻ダンクで逆転のセルツ。やっぱりディフェンスだよね。ところが、このダンクの際に空中にあった足がバトラーにあたって着地失敗。ブラウンが倒れている間に5on4でアデバヨがダンク。その後、タイムアウト。なんでファールで止めなかったんだ?

戻ってきたブラウンは、またもスティール速攻。これもまた微妙なものになっていて、ヒートがヒーローのアイソみたいなプレーを選ぶから、ブラウン相手にドリブルすらさせてもらえませんでした。プレー選択が悪い。だけど、なんでブラウンをヒーローに当てているんだ? 抑えるべきドラギッチとバトラーではなく、ヒーローから奪い取っているスマートとブラウン。

よくわからんけど、ブラッド様の狙いは成功ってことだ。奪えそうな選手から奪って速攻決める。ゲーム4はケンバやテイタムのマークから37点だったしな。

ところがダンカンのフェイクに簡単に引っかかるテイタム。ドライブ→カバーでヒーローが空いて3P。さらにスマート相手のプルアップミドルで同点にするヒーロー。続けてハンドオフからvsスマートにしてヒーローに攻めさせるバトラー(失敗)

テイタムが3Pを返すも、アデバヨがモンスターダンクとショートレンジジャンパーを&ワンで残り6分ヒートが1点リードです。この&ワンをみてタイス→グラントを決断したブラッド様。でも交代の前にアデバヨのアシストからバトラーがドフリーのゴール下。そしてアデバヨがさらにドライブで仕掛けてタイスは退場です。

タイムアウトからダンカンの3P。さらにヒーローがまたもスマート相手のドライブレイアップでまるで「セルツが自分にエースキラーをつけるのは正解だ」とでも言わんばかりのエースムーブをしているヒーロー。アタック数がバトラーより多いもんな。ヒーローはさらにドライブを決めて10点差。

で、テイタムは何してんの?
もう3P打つしかしていないし、動く範囲がすごく狭い。
エースムーブでヒーローに完敗しています。

残り2分。アデバヨのパスアウトからダンカンの3Pでヒートが15点リードになります。ドライブしてアタックできるのはブラウンくらいになったセルツ。アデバヨ、バトラー、ヒーローとインサイドを使っていくヒートとの差が広がっていく終盤でした。なお、ドラギッチはコートにいなくてイグダラでした。レブロン担当だな。

◎スマートとアデバヨ

なんともいえないゲーム6でした。とりあえずヒーローのことはべた褒めしておきましょう。といってもスマートとブラウンにボール奪われまくっているので、エースとして強いわけではありません。ただ、奪われてもアタックしていったメンタルと、それを信じたスポ様と。

一方で4Qはほぼブラウンに頼っていたようなセルツ。それもスティールを信じるしかなかった感じ。24点のテイタムはFG9/26でフリースロー4本のうち2つはテクニカルで得たチームフリースローでした。ぜーんぜん、インサイドを攻められなかった。

11アシストのテイタムなので、そのままプレーメイカー役に徹していればよかったのですが、そんなにプレーメイクは上手くないし、周囲もパスアウトを待っているくらいでカッティングで合わせるわけじゃないしね。

このシリーズはセルツがペイント内を攻め込めた試合だけ勝っています。そのためにトランジションしかなかったゲーム5だったので、それで連勝するのは難しいよね。確かにヒートのゾーンはインサイドを封鎖してきたわけですが、ゲーム3あたりではギャップを活用していたじゃん。

そして両チームの違いはダンカン・ロビンソンでした。お互いにインサイドを固めたとしても、アウトサイドだけで得点を積み上げる気持ちがあるヒートと、ドライブしないとダメなセルツでは気持ちの余裕が違ったね。

またゲーム5が「クラウダーが外すから」という理由でセルツが勝ったのに対して、ゲーム6は「スマートが外すから」という理由と「イグダラが決めた」という理由っぽかったのは、なんとも寂しい限りです。ポジティブにいえばヒートはクラウダー→イグダラという解決方法を持っていたわけですが、セルツはそれがなかった。

うん、なかったというか、スマートの代役なんて考えるものじゃないから、やっぱりオフェンスそのものの構成なんでしょうね。ゲーム1で浮かび上がった疑問が、ゲーム6で再燃してしまったのでした。

結論:スマートのディフェンスを封じ、オフェンスの主役にしたスポ様の作戦勝ち

いまいち納得いかない部分もあるのですが、これが成立したのだからスポ様の作戦勝ちなわけです。セルツの頭脳として機能してきたスマートですが「そのプレーをするならアデバヨのようなポイントセンターがやる方が効果的」という現代NBAらしさを突き付けられた気もするのでした。もしくはレブロンね。

ECF⑥ ヒートvsセルティックス” への15件のフィードバック

  1. テイタム本当になんなんですかね。
    シュート入らないだけならまだいしも、タフミドルとかシュートセレクションが悪い上に乱発とか意味が分かりません。
    ペイント攻める気もないというかまずドライブしないし。
    そのくせ最後5分間やる気も覇気も感じられない。
    個人的に去年からテイタムには懐疑的でしたけど今日の試合は決定的でした。
    ここ3年間のBOSってこんな風にインサイドを封じられると外打ち一辺倒になって外し続けて負けるパターンばっかりでスティーブンスもどうなんだろって思ってしまいます。

    1. ブラッド様の3P打ちは、ずっと同じですが、そのためにホーフォードなんかを獲得してきたと思います。
      それがケンバの獲得に繋がったのは、テイタムのドライブを信じての事だったわけですが、純粋に働かせすぎってのもありました。

      問題なのは「テイタムが攻めなかった」ことではなくて、「攻める選択にはいらなかった」ことだと思います。
      普通ならエースがボールを持たせるはずが、チームとしての狙いが出来ていたのかと???

      ポストからのフェイダウェイだけでも、続けていればよかった気がしますけどね。

  2. ブラウンとスマートのディフェンスの良さが目立った感じがするセルツですが、テイタムのディフェンス力ってどうなんですかね?

    隣でブラウンとスマートがいるから攻撃に専念できる環境ではあると思うんですが、この試合のようなオフェンスが決まらない展開で、ディフェンスでのもうすこしインパクトを出さないのかなと思ってしまいました。

    次世代のウイングのオールラウンダー筆頭候補ではあると思うんですが、レナードは元々守備から伸びてた選手ですから違いますけど、レブロンやデュラントも要所ではディフェンダーとしても大きなインパクトを残してるような気がするんてすけ

    1. シリーズの総評としては
      ・MIAのゾーンに対してBOSがドライブでのパターン(ブラウン)しか用意出来なかった
      ・MIAがタイスのスピードのミスマッチを徹底して攻めた
      ・テイタムのムラ(気分)
      ってとこですか?
      LALが相手ということでJJが欲しくなるとこですがFMVPイグオに期待します

      1. 大体そんな感じですが、タイスのところは「ヒートが攻めた」よりも「セルツが対処しなかった」のが問題でした。
        そりゃあ対処しないなら攻めますよね。

        なんでアデバヨをヘイワードやブラウンで防ぎに行かなかったのか?

    2. テイタムのディフェンスは驚くほどに改善しています。
      PFとしては弱すぎると思いましたが、しっかりとコースを塞ぐチームディフェンスも出来るようになりました。

      ・・・が、最後にこのプレーをしてしまったことは、ディフェンスが悪いのではなくて、クラッチに弱いか、疲労で集中力を欠いているか。
      攻守に同じような感じなので、単なるディフェンス力とは違うと思います。

      ただディフェンスでは、レブロンとデュラントレベルに便利になる匂いは今のところしないんですよね・・・

  3. ヒーローのハンドリングをミスと言っちゃう実況がなんともね。シリーズを通してハンドラーとしては不合格なのを分かっていない。でもスコアラーとしてそれを上回っちゃう意味不明さ。
    4Qに暴れだしたアデバヨとワケわからんヒーローにぶっ壊されたセルティックス。細かいディテールでも負けてたけどまぁアホみたにアデバヨだなと考えて終わりますw

    1. イグダラもヒーローもわけわかんないです。
      要はそこまでに勝負を決められなかったセルツと、決めさせなかったアデバヨだと思っています。

  4. 細かい話は抜きにして、ダンロビとヒーローがいなきゃ今日も勝てなかったし、シリーズも勝てなかったと思います。ラスト5分40秒から13-0のラッシュを作ったのはこの2人だし、どっちかがノッてくると止められないでしょう。LAL戦もそんな感じでダニグリとKCPをノックダウンしてくれたら面白いです。

    1. ヒートが気持ち悪いのは、誰が欠けても勝てそうになかったことです。
      語りだしたら全員が重要だったというのは、セルツのマッチアップが語っていますね。

  5. お疲れ様です。
    セルティックスは最後の最後でゾーンに苦しんでいたのがすごく不思議でした。
    前半は綺麗に攻略してたのに。
    ヒートのタイムアウト空けのゾーンだったと思いますが、今まで攻略出来てたゾーンと微妙に違ったんですかね?
    ゾーンブレイカーを怪我のブラウンとファールトラブルのタイスに頼っていたからなのか…スリー乱発の姿が負けに行っているように見えて、不思議な光景でした。
    テイタムはボールコネコネしてたとき(去年?)から比べれば、確実に成長しているので、管理人さんよりかは肯定的なのですが、どうなんでしょうね?
    まあ、この試合は非難されてしかるべきだと思いますが、来年以降どうなるのか楽しみです。

    1. 最後はゾーンの狙いがドライブ止めになっていました。
      3P決められなかっただけとも言えれば、3P打つために足を止めすぎでもありました。難しいですね。

      テイタムは成長していますが、ドンチッチ、ミッチェル、マレー、そしてアデバヨの方が成長しています。っていうのがテイタムの評価を相対的に落としています。

      「アヌノビーのディフェンスはすごいけど、ブラウンはオフェンスもしているぜ」ってことで、アヌノビーを批判するのと同じかな。

  6. スマートの価値 ですかねー。似たようなタイプがいたHEATが勝ったとゆう結果論ですが。スマート捨てディフェンスされたら解があんまりないセルツはもう見飽きてきました。(ブラウンがんば なんか間違ってウォーリアーズ来てくんない?ウィギンスとあれこれでドレードもかさ)

    管理人さんの最後の1文の「それをするならアデバヨのようなポイントセンターかやる方が効果的」とゆうのがしっくりです。ですがスマートタイプを否定は出来ないからややこしい。イグドラ兄さんにでも修行付けてもらってこいスマート君。でなきゃロンドみたいにジャーニー化しちゃうぞ

    HEATは、ダンロビ&ヒーローを支えるドラ・バム・バトラー に見えてきている僕がいます。(イグドラ兄さんも最近参加) 昨年までの積み上げと、今季からの戦略がよく混ざって良い結果に繋がりました。結局ガチムチSG好きなのは変わりませんがそれが今シーズンは吉と出てる印象です。アデバヨもある意味ガチムチSG系統のポイントビックマンとゆうー特殊も特殊系統なのかなー

    なんだかんだあった今シーズンですが、ファイナルを迎えられる喜びで夜しか寝れません

    1. ゲーム2の後にキレたスマートですが、最後まで自分を制御できなかったですね。
      それがコントロールPGとしては致命的でした。だったらセンターが同じことをした方が、有り余るパワーをぶつけることが出来たような

      働けなかったスマートのディフェンス
      働かせなかったヒート
      そして自分を見失ったスマート
      そんな印象です。最後さえなければよかったのですが・・・

  7. 追伸 そのジャーニー化したロンドはファイナルチームのベンチマンとしてファイナルに来ました。何が吉か凶か分からんもんですね(ハワードもか)

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