ECF② セルティックスvsヒート

セルティックス0-1ヒートで迎えるゲーム2

まるで手の内を隠すかのように、失速して負けたセルツ。そしてクローズの強さを見せつけたヒート。マストウィンみたいなゲーム2になります。

◎ケンバ

ケンバのプルアップ3Pから始まる試合は攻守にケンバ中心に進んでいきます。オフェンスではケンバが広い範囲でのハンドリングから生まれるギャップを使っていき、アウトサイドから積極的に。ここはゲーム1のこともあって目先を変えるかのような良い形でした。

しかし、ヒートはダンカン3連発。マークのスマートがチェイスしきれず、アデバヨとのハンドオフが目立ちましたが、これが時にマークがケンバにすり替わっていました。オフボールで動いているダンカンによって発生するスイッチ。

そのダンカンが外れるとリバウンドはアデバヨ。この時はアデバヨのマークがケンバ。こちらもオフボールで気が付いたらそうせざる得なかった。別にケンバを狙っていたわけではないヒートですが、ダンカンの良さを存分に発揮してマークをずらしまくっていったのでした。

こうしてまだアデバヨが目立つかなーと思ったら、次第にそうでもなくなります。バトラーには渡さないセルツディフェンスで、ゲーム1と違ってインサイド側はアタックできていないヒート。なので3P打っていきますが、ちょっと早い展開になっているので強引に打っているだけなシュートも。それでもドラギッチとダンカンは決めるんだけど。

セルツはやっぱりちょっとドライブ優先で引いているヒートディフェンスに対して、ブラウンがストップミドルを決めれば、ゲーム1同様に3P打っていくスマートが決めて、守れないけどオフェンスは良い感じに。また打ってるなスマート。

そしてテイタムだけはインサイドまで侵入してのレイアップ連発したのでセルツリードで1Qが終ります。ボールを持つ位置が3Pラインの外になりすぎずに良かったテイタム。修正って感じよりはトランジションが多くてこうなった。

◎ハード・カンター

ゲーム1と違ってセンターの選択をカンターにするブラッド様。これが大きなメリットを生みだします。とにかく走る。走りに走る。タイムアウトになったらベンチに戻れないくらい走る。

そしてゴール下でポジション取りまくり。何度もフィジカルに戦うのは、アデバヨすら嫌そうにします。しかもカンターだとゴール下で2人に囲まれてもシュートに行けるから、ここの差でセルツがリードを広げます。

なお、テイタムからパスをもらえなかったカンター。良い感じにポジション取っても判断が一瞬遅いテイタムだとパスを出したらカットされそうなくらいヒートディフェンスがカンターをカバーしていました。プレーオフになるとこういうパスの判断って大事だったね。ドライブチームのセルツだから、こうなるのかな。

〇前半のカンター
9点 FG4/4
6リバウンド

2Q後半になると今度はまたもケンバ。ゲーム1を取り返すかのようにアウトサイドから決めていくケンバとミドルで続いたブラウンで、ヒートディフェンスは後手に回ってしまいました。

そういえばゲーム1の前半ってどうだったっけ。セルツが3P決めるくらいだったような。その構図自体はあまり変わっておらず、カンターの分だけインサイドも持ち込まれて困ったって感じかな。

ヒートの方はゲーム1でしっかりインサイドを攻めていて、2Qになるとロバート相手で楽になったアデバヨからパスが次々と出ていましたね。カンターのディフェンスは良くないので同じ形を再現したいところですが、直接マッチアップが少なかったことです。そして、ヒートはゲーム1のようにはインサイドに侵入できず、ダンカンやドラギッチの3Pが決まらなかったことで得点が伸びませんでした。

つまりはロバートを起用しなかったことが、アデバヨ起点を抑え込んだ形です。主にダンカンとのコンビくらいしかなかったアデバヨ。カッティングが出てこない、出せないヒート。セルティックスの修正が効いています。

前半をダンカンの4つの3Pに救われたヒート。あと気が付いたら11点のヒーロー。ゲーム1でやられなかった3Pには困ったけど、それ以外は修正できたといえるセルツ。60-47としっかりと得点をしたうえでリードをもって後半に臨めることになりました。

◎ホットライン

後半になると再びダンカンの3Pもありながら、ヒートは明確に修正してきます。もちろん、狙いはインサイド。もう少し攻めないとやってられない。

まぁドラギッチだよね。こういうのはドラギッチ。ドライブをするのですが、リングにアタックしても止められるのはわかっています。そうではなくて、ディフェンスをずらすようにちょっとリングから離れた方向へドライブしておき、アデバヨへ。

これが気持ちよく決まったヒート。可哀そうなくらい2on1に近くなったタイス。ドラギッチを無視しても良かったんだけどさ。そうもいかないよね。そしてアデバヨがめんどくさいのは、起点役が出来ない時は、押し込み担当に変化してちゃんとやるってことです。ワンタッチシュートを連発するアデバヨ。

そしてインサイドにディフェンスが寄ってきたら、キックアウトでクラウダーです。面白いように、本当に面白いように決まっていくヒート。ブラッド様はタイムアウトをコールするけど、全然改善しません。スポ様は白い歯をみせています。

むしろヒートの方がセルツを困らせるために、ディフェンスでマンツ―とゾーンを細かく変えていきます。こちらも3Q初めにタイスを追いかけたらインサイドでテイタムが空くようなシーンがあったので、いろいろと考えなければいけなかったし、それにゾーンが意味あるのかわからないけど、セルツのプランは狂ったのかな。

そして相変わらず、ゾーンへの答えがあんまりなさそうなセルツ。スマートがベースラインドライブしていたけど、それもウイングからだしな・・・。

困ったので(タイスが痛めたこともあって)カンターを使うのですが、このゾーンでカンターは違うだろ。アヌノビーがアウトサイドまで追いかけるラプターズとは違うんだから。早々にベンチに戻る。あるいはもっと起用してトランジション解決作戦もあったかもしれません。

一回ベンチに下がったドラギッチが戻ってくると再びボッコボコにしていきます。ツーメンゲームからスピードのミスマッチ→ダンカンへキックアウト。ドライブレイアップと好き勝手さ。

ベンチメンバーでもドラギッチがいればOKみたいなので、オリニクの3Pが決まれば、DJJはテイタムからチャージドローで、84-77と逆転して3Qが終ります。3Qは37-17です。点を取られすぎたこともありますが、17点ってのはブラッド様はゾーンをどうとらえていたのだろうか?

◎ゾーンとブラウン

ワナメイカーがルーズなスローインを投げてDJJがバックコートからラッシュしてスティール。DJJはスマートのレイアップも後ろからブロック。でも、テイタムの3Pに余計なファール。いずれにしてもベンチメンバーを信じる余裕があるヒート。特にゾーンで守っていればよさげなので、個人の弱点よりも長所を使いやすそうです。

セルツは1本だけコーナーでパスをもらったブラウンがワンドリブルでペイントへ。中途半端なシュートを打ったけど、オリニクのファールをもらいます。オリニクは3秒オーバーもしており、弱点はここです。でもやっぱりコーナーをうまく使えていません。

それでもブラウンはハイポストなんかを使ってゾーンの内側に侵入していきます。この時間はグラントをセンターにしていますが、実質はブラウンがインサイドをかき回す役割になって、ちょっと崩せそうになりますが、せっかくインサイドを使えても、パスアウトが決まりません。

スローインをパスミスしたワナメイカーは、他にも怪しいパスを連発。ゲーム1は奮闘したのに、ルーズだったり読まれたりのパスばかりなので、ゾーンが崩れません。またパスアウトの後にコーナーに選手が配置されずトップに3人いるのでエクストラパスにもなりません。

ヒートのゾーンは4人が外まで追いかけて中はアデバヨ1枚。なので、ここのギャップを使えるかどうかが大切です。それはセンターではなくてブラウンにやらせることで見事に攻略しました。ただし、アデバヨだけでなく4人もすぐに収縮してギャップを埋めに来ます。そこでパスアウトが大切なのと、特にコーナーは空きやすいのですが、そのポジショニングはせずブラウンに任せる感じでした。ヴォーゲルに笑われるぞ。

〇ターンオーバー
セルツ 20
ヒート 9

ゾーン攻略の手はずを整えていなかったようなブラッド様。意思疎通の悪いプレーを繰り返します。後半は12のターンオーバーでした。

一方でディフェンスはスモールが効いて、ヒートは3Qのようなギャップを使えません。あと本日はヒーローが悪い。判断ミスが多く、チャンスを使いきれず。これを繰り返したので、初めの6分で5点しか取れなかったヒート。

セルティックスも良くはなかったけどブラウンは効いていたので10点を奪い、点差が縮まります。そしてブラウンはゾーンの中に飛び込んでオフェンスリバウンドを奪って同点に。囲んでいたのはダンカンとヒーロー。そういうことだな。

しかしタイスが戻ってくるとアデバヨをシールドしておきテイタムがドライブダンク。そしてケンバが3Pを決めて5点リードにします。一瞬効いたオフェンスがこの先の展開を左右します。

◎クラッチ・ブラウン

ブラウンの役割をスマートに変更してパスアウトがスムーズになるように修正のブラッド様。ところが、逆に自分で行かないスマートのパスが効果的ではなく、結局はドライブと3P頼みみたいに変化します。そしてパスアウトをバトラーに奪われます。

ヒートが意図的に変化したならスポ様の完勝なのですが、スマートがインサイドでボールを持った時、あまり寄ってこないヒートのゾーンなので、狙わせた可能性があります。そしてスマートが機能しないからか、タイスのスクリーンとドライブ、3Pの組み合わせに戻っていくセルツオフェンス。それで確率良ければ苦労しないわな。

一方のヒートオフェンスはタイス狙いを徹底。バトラーが仕掛けて止められると今度はドラギッチが行って3P。同じオフェンスで2人が仕掛けているけど、どっちもタイス相手。スピードのミスマッチを徹底しました。

タイス自身は頑張って守っていましたし、それでアデバヨにやられたわけでもありません。だけど、決められてしまった。

そしてタイムアウト明けのスマートのエンドラインスローインが再びバトラーに奪われます。スローインだからゾーンのパスアウトとは違うのだけど、アウトサイドに出てくるパスを狙われまくっているのは同じ。狙われたぜ。

ブラウンこそ3Pを返しますが、またドラギッチvsタイスでミドル。徹底のヒート。そしてまたブラウンが3P。で、またタイス狙いのドラギッチから空いたクラウダーの3P・・・は決まらず。ブラウンはプレッシャーディフェンスでバトラーのキャッチミスも誘います。

しかし残り11秒でコーナーから狙ったブラウンの同点3Pは決まらず。辛くもヒートが逃げ切ったゲーム2となりました。決めていれば・・・というブラウンですが3P3連発を期待するしかなかったのだから、戦術的にはクラッチで完敗。

まぁ「辛くも」ではあるけど、チームとしての狙いは明らかにヒートが上回っていて、4Q13点のブラウンの反撃にあっただけ、くらいかもしれません。セルツは24点なので半分以上がブラウンだった。マレーじゃないんだから。

・セルツのパスアウトを狙うバトラーとクラウダー
・タイスとのスピードミスマッチ狙い

ほぼこれで勝ったような終盤のヒートでした。もっとワンプレーに拘るようなヒリヒリするのがプレーオフな気がしますが、マジでこれくらい。逆にこれ以外はヒートオフェンスも止められていたってことです。

ブラウンが3P3連発していればヒーローになれたゲーム2でした。ゲーム1のテイタムに続いてなり損ねてしまったブラウン。それを責めることは出来ないわけで、そんな状況にもっていってしまったセルツが苦しかったのでした。

◎会心の一撃

ヒートからすると会心の勝利でした。前半に起きた問題を明確に後半に改善し、セルツディフェンスを攻略。いったんは追いつかれたものの、それまでため込んでいたバトラーを中心にクラッチ勝負で再び上回る。戦略も戦力も会心の一撃を浴びせた形です。

〇ジミー・バトラー
14点 FG4/11
4リバウンド 3アシスト
4スティール

最大のポイントはここです。ほとんど働いていなかったバトラー。ブラウンに止められるシーンもあったクラッチタイム。しかし、勝負を決めに行ったのは「4スティール」でもありました。3つが4Qで奪っており、追いつかれてからギアをあげるだけの元気が残っていたとも言えます。

捉えようによってはブラッド様がスポ様を嫌いな部分でもあります。最後までバトラーというカードを切らなかったスポ様。なんで、どうして、何を対策すればよいの? とでも言いたくなるのも事実です。それもゲーム1のヒーローなのにブラウン相手には仕掛けず、ドラギッチが決めきったのでした。

〇ドラギッチ
25点 FG10/19
5アシスト

セルツにとってゲーム2の問題はこっちでした。際立っていたドラギッチとアデバヨのホットライン。21点のアデバヨも合わせて46点がうまれたコンビを抑えることが出来なかったうえに、最後までタイスを起用したから、ドラギッチvsタイスでやられてしまいました。

ヒートとしてはプレーオフから続く「ドラギッチの判断力」によって接戦を制している流れが未だに途切れません。決して圧勝しているわけではなく、でも接戦は制することが出来ることでヒートは1敗しかしていないわけです。

このドラギッチを止めるのは課題としてシリーズ前から出ていたはずですが、手も足も出なかったブラッド様。そこには前半のダンカンが効きまくっていた事情もあります。

・・・にしてもね。うん。ゲーム1でもやられているし、もう少しドラギッチを警戒すべきなんじゃないの・・・それもダンカンの影響なのかなんなのか。

さて、この試合をハイライトにしてみましょう。

①ダンカンの連続3Pでヒート優勢もケンバがアウトサイドで取り返し互角
②カンターのハードワークによってインサイドも攻めたセルツが13点リードの前半

③ゾーン発動でアウトサイドを打ちにくく&カンター使いにくく
④タイスを引き出すドラギッチからアデバヨフィニッシュのホットラインで逆転

⑤スモールラインナップのブラウンでゾーン攻略
⑥通常のスターターでスマートのパス判断の悪さからゾーン復活
⑦タイスとのスピードのミスマッチでドラギッチがクラッチ勝利

①は両チームがゲーム1の修正というか、選手のリベンジみたいな結果でした。
②はブラッド様の工夫です。ここはカンターの気合と共に大成功しました。

③と⑤の間に20点をヒートが得たことが問題です。あまりにも対応が遅かったブラッド様なのか、④がハマりすぎのスポ様なのか。スポ様っていうか、もはやドラギッチ様。

そして問題はそんな④がありながらの⑦です。結局のところ、ヒートが20点上回った3Qの内容を、クラッチタイムでも再現された感じ。ノーアンサーだったブラッド・スティーブンス。

でも⑤はスモールラインナップなんだよね。グラント起用して、それで追い上げることが出来たわけで、うーん、うーん、うーん。と唸りたくなります。タイスに絶対の信頼を寄せて連敗となったゲーム2でした。

そんなわけでニック・ナースに怒られそうなブラッド様です。ラプターズの方がヒートよりも強いと思いますが、最後のクラッチ力がヒートの方が断然上なので、そこに困っている感じかな。

概ね「しっかり守る」くらいがヒートにとって重要で、そこにはゾーンだったりエースキラーだったりいろいろですが、オフェンスについては最後はミスマッチ使えばOKじゃん、っていう感じでした。ラプターズがオフェンスでフィニッシュできなかった問題をあっさりと解決しているヒート。

ゾーン攻略もそうですが、ディフェンス設計が苦しいセルツ。そして本日もう一つ苦しかったのがワナメイカー。ここが酷かったので、ノービッグには出来なかった。グラントを起用する選択肢しかなかった。あぁヘイワード。

ゲーム1を「出し惜しみ」して負けたような印象でしたが、そこが響いた2連敗。だけどゲーム2は「出し惜しみじゃなくて、準備していなかったの?」とでも言いたくなるような展開でした。あるいは「準備するにも選手がいない」ということか。

さぁどうなるゲーム3。ラプターズはここから巻き返したぞ。

ECF② セルティックスvsヒート” への2件のフィードバック

  1. 今日はケンバが攻守にインテンシティを高くスタートした時点で嫌な予感はしてました。
    そことカンターで上回った前半はドラギッチも大人しく、明らかに3Qの爆発を予感しました。
    3Qはストロングサイドのドラギッチ、ダンカン、ヒーローからの
    アデバヨだけでなく前半に全く無かったウィークサイドのクラウダーまでも絡んできてアデバヨ劇場でしたね。
    ストロングサイドによりまくる布石とも思える2Qのダンロビ押しでした。
    まるでナゲッツかよという3Qのインテンシティの高さをみせたヒートと前半にインテンシティを高くしたがゆえに上がり目が無かったセルティックス。
    2-3に攻略法を見いだせずディフェンスではまんまとスポのプラン通りにアデバヨ劇場。
    4Q終盤にブラウンという2-3の攻略の光が見えかけたが時既に遅し。スピードとフィジカルの両立なブラウンのドライブはファウルをもらえる。ブラウンのらトランジションでもそこまで収縮しない。それだけケンバやテイタムを優先しているからでしょうかね。
    それに3Qに気づくべきだったスティーブンス。
    ダンロビから入り3Qへのインサイド破壊の布石を作りドラギッチがクローザー、ゾーン攻略に手間取る所をクランチディフェンスのバトラーとDJJ。バトラーがゴートゥーガイにならないクランチタイムでも快勝。
    点差以上に力量差を感じました。というかHCというか。
    僕のスティーブンスの評価を変える位のスポの圧勝でした。

    1. 逆転が流行し過ぎで、感覚おかしくなります。
      ケンバはともかくカンターでのリードなので、そこまで前半にパワーを使ったはずもないのに、もうそういう流れにしかみえなかったのは事実でしたね。いくらなんでも3Q20点は苦し過ぎて。

      ブラウン以外は消えていた4Qはセルツの戦術問題でした。主力酷使してきたのが、響いているんですかね。にしても策がなさ過ぎて。

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