レイカーズ3-1ロケッツで迎えるゲーム5
スモールとスモールのぶつかり合いを挑まれながら3連敗のロケッツ。自分たちのやりかたに乗ってきた時点でダントーニの仕事は半分終ったようなものです。あとは真正面からぶつかってロスターの優位性を活かせばよい。ところがそれで3連敗なのだからHCに何をしろというのか。
出来ることはランニングゲームを破棄してハーデンの個人技に賭けるか、マイクロボールをさらに徹底させてウエストブルックに賭けるか。いずれにしても勝率をあげる算段ではなく「何かしないと勝てそうにない」というプレッシャーとの戦いです。まぁそういうプレッシャーに負けるダントーニではない。良くも悪くもね。
◎あぁレブロン
そして試合は非常にわかりやすく「同じ戦い方ではレイカーズが上回る」ということを示すスタートです。タッカーやコビントンがゴール下を打つも、レブロンかAD1人が残っていることでシュートは外れてしまう。KCPに止められているウエストブルックは問題外だけど、
ダントーニのオフェンスは「広いゴール下で1on1」を生みだしているのだから、これ以上どうしろってんだ?
それでダメならハーデンのステップバック3Pを決めまくるか、ウエストブルックのスピードで「1on0」を作る努力すをるしかない。
そして同じような形でレブロンがドライブしてくるとペイント内で「1on1」だって「1on2」だって押し込んでくるぜ。わかりやすい。非常にわかりやすい。マイクロすぎて決められないロケッツと、マイクロなのに規格外のレブロン。
そしてハーデンのプルアップ3Pが外れ、レブロンのプルアップ3Pが決まるんだ。もうどうしようもないじゃん。
あっという間に16点リードのレイカーズ。どうする?まとめる?
◎カペラがいないこと
とりあえず思い出話でも書きましょうか。ロケッツはウォリアーズ対策として生み出した戦術をベースにしています。2年前はあとちょっとで勝てそうだったし、その中身もシュートが決まれば・・・くらいなので、そこんところは評価してよいはずです。
そして今シーズンは多くのチームに勝つために徹底したマイクロボールにしました。面白いことに「ウォリアーズに勝つ」ためにはカペラがいて、「多くのチームに勝つために」はセンターが誰もいません。そんなの成立するはずがありません。
当時のカペラは有効でした。なんせウォリアーズは「ノーセンターで勝つ」ことについては自信のあるチームでしたから、カペラでゴール下を制圧するメリットを生みだせました。なお、それ故にルーニーの有能性が目立ったことも忘れてはいけません。
そして今シーズン、カペラのトレードは衝撃でしたが、その後のマイクロボールはそれはそれは見事でした。同時に「カペラでは成立しない」ことも示してくれており、トレードの判断が間違っていたとは言い切れません。
またディフェンスの良い選手を並べて、強力なディフェンスチームになったことも忘れてはいけません。こちらも3年前から続くスイッチングディフェンスの特徴ですが、徹底して弱点を減らし、どんなマッチアップになっても簡単ではない状況を作ることが基本。そのうえで守れる選手を並べているのだから、強力です。
ウエストブルックがいることで広い範囲をカバーするリバウンドやルーズボールが加わり、コビントンとタッカーのハードワークもあってノーセンターのデメリットはほとんど感じさせないディフェンスを構築したことも見事です。
懸念していた選手層の薄さも、ハウス、ジェフ・グリーン、マクレモア、リバースと並んだことで、ダントーニにしては厚くできました。ゴードンをベンチにした方が厚くなると思うし、もう1枚ウイングを加えられたと思いますが、それは「さようならダントーニ」で触れましょう。
そんなわけで、どんな相手にも勝つために徹底して自分たちの良さを使えるラインナップにしました。これは大きな賭けに思われましたが「ダントーニは天才」と再認識するように、自分たちのペースに巻き込んでいくチームを作り上げることに成功しました。なお、バブルに来てからの話なので中断がなければ、単に不安定なチームだった気がします。
そしてこのレイカーズとのシリーズは、前述の通り、自分たちの良さを最大限に発揮し、ゲーム2にしてヴォーゲルは「マイクロボールに合わせるしかない」と判断したわけです。もちろん、そこには大きな勝算がありました。それはダントーニが考えていることと似ています。
コートを広く使い、マッチアップのスピード差を利用し、3Pとゴール下で攻略している。そのマイクロボールには大前提が1つあります。
リーグ最強の個人オフェンス力を持ったジェームス・ハーデンがいる
これです。お互いにリスクを抑え始めたときに絶対に勝てる自信がマイクロボールにはあります。そしてこのシリーズで起きていることは、レブロンとADがその大前提を打ち砕いているのです。同じことを同じように合わせてきたら勝てるはずのロケッツが、個人技というか「ディティール」で負けています。
もちろんこれはチーム同士の戦いであり、直接マッチアップしていないのですが、ゲーム2から続いているヴォーゲルの狙いは
ディフェンス ・・・ ゴール下でレブロンorADが1on1で止める
オフェンス ・・・ レブロンorADがアドバンテージを作る
後者に関しては必ずしもハーデンが負けているわけではありませんが、前者については完敗です。まぁハーデンの役割ではありませんが。いずれにしてもロケッツのオフェンスはゴール下で押し込むだけのシーンを作っては失敗しているわけで、戦術的ではなく個人能力の問題が大きいです。
さて、ここにカペラがいたらどうだった?
それで勝てるかどうかはわかりませんが、レイカーズがやっていることと似たような対応はできたかもしれません。リムプロテクターを効果的に使うことで、1on1で負けても止めてくれる手法が考えられます。もっともオフェンスは組み合わせを変えないといけないけど。
現状は「同じことをやったらレイカーズが勝つ」状況です。でもロケッツのロスターは違うことをするロスターにはなっていません。だから、ダントーニには打開策がないわけです。ちゃんと戦術は機能している。あとは選手のパフォーマンスで勝つしかないぜ。
そんなことを書いていたら、前半も残り6分です。最大22点差まで広がる一方的な展開でしたが、気が付いたら10点差になっています。ハーデンが休むことなくコートに残り15点取って頑張っているからです。個人が頑張るしかない状況でどこまで頑張れるのか。
◎個人で追い上げろ
序盤のレイカーズは3Pが良く決まったこともありますが、基本的には2つのプレーが効いていました。
・レブロンのパワフルなドライブで自ら決める
・ADのムーブにディフェンスが寄ってきたところでパス
両エースが個人で違いを作ってチームオフェンスが展開されました。レイカーズはスモール関係なくシーズンを通して、この形なので特別なわけではありません。慣れているから効果的なカッティングも出てくるし、パスを受けたら強気に3Pを打っています。
ロケッツが追い上げた要因の1つが
・ウエストブルックやハーデンがADの個人アタックを止めた
これでした。まぁ偶然もありますよ。ADが100%決めるわけではない。ただ大切なのはレイカーズのすべてを止めたわけではなく、起点となるADを止めたってことです。
オフェンスでは主に2つ
・ハーデンが個人アタックを決めた
・ウエストブルックからのパスアウトが通った
普通のことに思えますが、レイカーズからすると「止めていたことをやられた」ことになります。
ハーデンの個人アタックに対して、そもそもアタックさせないように早めのダブルチームを仕掛けているレイカーズ。パスを促しているわけですが、今はハーデンもこだわることなく的確にパスを出しています。しかし、個人アタックが決まったというのはダブルチームに行けなかったということ。
もう1つのウエストブルックからのパスアウトについては、レイカーズディフェンスは「狙いどころ」に設定していたプレーです。ムチャクチャにみえて空いている選手がいると積極的にパスを出してくるので、極端な話としては「誰かを空けといてパスを出させる」くらいのことをレイカーズはしていました。実際には、どうしても誰かが空いてしまうだけですが、そこのパスを狙っていた。
ところが、この両方が出来なかったのは、少しずつテンポが上がっていき、レイカーズディフェンスが体制を整える前に攻め切れることが増えていったことでした。なので、ペースアップできていた時間帯には追い上げられるけど、ハーフコートが増えていくと、点差は縮まりませんでした。
62-51で終わった前半。何はともあれ、両チームはチーム力で戦っているけど、だからこそ差を生みだすのは個人技って感じでした。その個人技を出すためにもロケッツはペースを上げたい。
上げたときにレブロンがチェイスダウンブロックやコーストtoコーストをし始めるから、すっごい難しいんだけどね。
◎また20点差
タッカー、タッカーで3P連発すると、ウエストブルックがADを抜いてレイアップ。ところがモリスとレブロンが3P。そしてコーナーに移動してきたダニーがフェイクするとコビントンが飛び込んじゃってファールドロー。この中で一番問題なのはレブロンの3P。それを決められたらどうにもできないやつ。
ということで後半も快調なレイカーズ。シュートが決まっているとディフェンスも体制を整えられるので、大ダメージにはなりません。それにしてもよく決まっているレイカーズのアウトサイド。レブロンが自信満々で、ロング2Pのフェイダウェイも決めているよ。普段打たないでしょ。
ハーデンの方は3Pが決まりません。「決めろよ」というようなシュートではないのですが、レブロンが決めちゃっているから、それを決めないと勝てない・・・。
そして速攻のKCPがボールを掴もうとしてファンブル。これがフェイクになって掴み直してイージーレイアップ。どうみてもダブルドリブルなんですけど、レフリーも早く帰りたいのかな。再び20点差です。
◎充実のレイカーズ
そんなわけでレイカーズが圧勝となったセカンドラウンド。ブレイザーズよりも楽に勝ったイメージです。
内容的にはロケッツの方がディフェンスが強く、オフェンスもいろんな対策が必要になったのでヴォーゲルとしては苦労したと思います。ゲーム2と3は結果が逆になっていてもおかしくなかったので、圧勝なんだけど内容的には楽ではなかったと思います。
ただし、ゲーム4と5になったら、もう余裕がありました。「同じことをしていれば勝てる」という自信みたいなものです。実際にそうだったしね。これが起きた理由をダントーニの戦術に求めることもできるし、ハーデンとウエストブルックに求めることもできます。要はどちらでも上回れなかったロケッツということ。
ロケッツにとってレブロンとADがいるレイカーズは非常に相性の悪いチームでした。ただ、それにしても悪すぎました。ここまでじゃなかっただろ。
その意味ではやっぱりカルーソを筆頭としたサポートキャストがロケッツ相手なのがやりやすそうでした。なんでだろうね。カルーソに関しては出木杉だよね。
今シーズンのレイカーズはレブロンとADに頼りすぎな一面がありますが、それでもシーズンを通して2人に大きな問題はなく、コンディションを保ててきました。ひょっとすると、それはベンチメンバーにも言えるのかもしれません。ここ数シーズンはケガだらけだったレイカーズに起こっている変化は、ロスターの違いやHCの違いだけでなく、スタッフ全体が上手く回っているのかもしれません。
「元気な方が強い」がここ数シーズンのテーマであり、それはダントーニ采配の問題点でもあるわけですが、レイカーズだってそこそこ疲弊してよいはずなのに、ここにきて「最高の状態でカンファレンスファイナルに臨める」かのようです。不思議じゃん!
ゲーム1の時点ではどっちに転がるかわからなかったシリーズが、ゲーム2以降の見事なヴォーゲルの修正により、コンディションまで良くなってきたレイカーズ。勢いを増したセカンドラウンドでした。
勝ったことにな何の疑問もないけれど、コンディションの充実ぶりはよくわからないぜ!
◎さようならロケッツ
後日書きましょう。
マイクロボールは素晴らしかったと思うし、可能性は無限大です。そこを否定する気はありません。だけど、それは『ハーデン×ダントーニ』ではないかもしれない。気が付いたらハーデンに適した選手ではなく、HCに適した選手を求めすぎたのかも。
ハーデンの1on1能力の高さ、シュート力の高さ、そして変幻自在のパス能力・・・これらを考えると、最も欲しくなる選手って
スクリナーとしてもフィニッシャーとしても有能なビッグマン
じゃないかな。極端な話、ヤニスと組ませたら凄いよね・・・すごいに決まっているか。当たり前だ。ちょっとランクを落とすと、アダムスとかハレルとか。そう考えるとタウンズでも連れてこない限りはマイクロボールには不向きなんだよね。
個人的にはハーデンもダントーニも好きだし、ロケッツのやり方は面白かった。だけど、やっぱり賞味期限が切れていると思うんだ。それはダントーニよりも「ハーデンで優勝を目指す」なら、ここで判断しないといけない。そしてウエストブルックで誰か連れてこないといけない。難しいな。難しいぜ。
lalじゃなくlacのほうが展開がわからないような気がしましたね。
ナゲッツは強いから!!!!!!!!!!
ロケッツは博打なのに、ヴォーゲルがやらせてくれなかった・・・
ダントーニのやり方を真似てロスターの強さで勝つヴォーゲルは本当に優秀でしたが、なんかちょっとズルいというか、やっとヴォーゲルにも運が回ってきたかな、という感じでした。ダントーニにも運(スーパースター2人+選手層のあるロスター)をあげて欲しいですね…
ダントーニの戦術は奇をてらっているようで非常に合理的で汎用性が高いですよね?だからこそヴォーゲルもポポビッチもパクったわけですし。てかNBA全体のトレンド作ったか。ハーデンの強さを前提にしてはいますが、他のスーパーハンドラーでも成り立つと思いますので、スーパースターがいるNBAの他の12、3チームでも、ダントーニはチームを強豪にすると思うのですが。
そうですね。その通りだと思います。
「ダントーニの戦術は・・・」という人がいますけど、ナッシュをレジェンドにしたのは、あの戦術あってのことなわけで、レブロンみたいに誰がHCやってもスーパースターとはちょっと違うと思います。
そんな戦術をよりカスタマイズして取り入れられてしまったら・・・ねぇ。
5年後にダントーニにはセミリタイアして、モラトリアムACやって欲しいですね。いろんなチームが生まれ変われそう。
レイカーズのゾーンにオフボールムーブが結構効いてただけに、アジリティに優れたハウスの離脱も激痛でした。ただでさえ少ない選択肢が更に…
ハーデンはKDと組んでほしいなあ!カイリーとハーデン交換しよう。ロケッツのファンもカイリーとウェストブルックの夢のデュオで楽しめるしwin-win。
ハウスはウエストブルックがいなければ超重要選手になってきましたね。
とはいえ、ゴール下決めてくれるかなぁ。
KDと組んだら誰でも強いから却下です。
アトキンソンにハーデンだったら面白いけど!
バスケに限った話ではないのですが、
試行錯誤して新しい物を生み出した先駆者に対して
後続で分析・模倣したフォロワーの方が完成度の高い物を作り出すという事は
往々にしてある事なのでダントーニという人はそういうめぐり合わせなのかもしれないと思います。
ウォリアーズもダントーニの匂いしまくりですし、そういうものですね。
そこまで批判されるようなHCの内容ではないのですが、強いがゆえに勝てないとクレームされている気がします。
グアルディオラみたいに「賞味期限切れた。次に行く」をしてほしいです。
一週間ほど続いた憂鬱がようやく終わる…
特にゲーム4以後はきつかった…
ADよりもレブロンもそうだがヴォーゲルが憎たらしくてたまらん、終始不安そうな顔してるくせに…
ルーちゃんだったらどんなに組し易かったか…
間違いない。
ルーだったらゲーム1の時点でもうレブロンに丸投げ。
もしもの話なんですが
ハーデンがトレード市場に出回るとしてタンクチームがハーデンを取りに行く事ってあるのでしょうか
タンクチームはキャップ埋めるため不良債権を2、3人は確保してます。
ハーデン↔不良債権+指名権or若手たっぷり
こんな感じになるはずです
HOU側は西ブルいるから若手に切り替えて再建という訳にもいかないからメリットはないのですが
タンク側は髭とればPO圏内もしくは争いまで行けるはずです。(レブロンのLAL1年目は無視で)基本キャップもある程度余裕持たせてるのでウイング1人、2人ぐらいは連れてこれるはずです
どう考えますか?絶対トレードされないだろうけどトレードされないは無しでお願いします!!
あり得ますね。そして何よりもホークスが飛びつきます。
タンクチームでありつつ、ハーデンくれば勝てるっていう。
ウエストブルックでそれをやっても良いので、ホークス、ピストンズ、キャブスあたりが応じてくれれば。
その中でビッグマンはカペラとドラモンドなので、ロケッツ側には踏み切りたくないでしょうが。
私はロケッツファンですが、ダントーニが本当にさようならしてしまいました。
管理人さん的には、後任は誰が良いと思いますか?
ルーが候補に上がっているようですが、絶対嫌です。
また、さようならダントーニ楽しみにしております。
誰も思いつきません。
意外と一回ルーを挟んで、ハーデンがやりたいようにやらせるのも悪くないかも!
とすら思っています。
ルーならドノバンの方がよいか。