ロケッツはスクリメージから新たなオフェンスを取り込み、懐かしで憧れのダントーニスタイルに戻ってきています。
バックスは攻略法書かなきゃいけないのに・・・
◎ヤニスさん、それ、なに?
1Qはバックスが二桁リードを奪いながら、1Qの中で逆転される展開でした。しかし、そもそも(ハーデンのステップバックを除き)ロケッツの方が優れたオフェンスを展開し続けており、当然の結末でした。
ミドルトンが3P連発し、ヤニスもプルアップを決めたのでリードを得ましたが、個人技炸裂で得点できただけで、攻略したわけでもリズムよくシュートを打ったわけでもありません。
PGブレッドソーがいないバックスはヤニスをトップに置いたプレー構築。そのヤニスはスクリナーを呼びだし、マークマンのタッカーを外してウエストブルックやハウスにスイッチ誘導しました。はい、これ、何しているんですか?
①スクリナーなんか使わなくてもウイングに移動するだけでロケッツはスイッチしてくれる
②トップから仕掛けるならスピードに対応できないタッカーの方がイージーに抜ける
いろいろと何しているのかわからないオフェンスでした。ただし、トップにヤニスがハンドラーとして動きながら、ミドルトンやディヴィチェンゾがオフボールムーブすること自体は効果的です。広いインサイドを狙いながらも、ヤニスはパスが出しやすく、マークのズレも作りやすい。
ヤニスさん、自分で仕掛けてから考えるのはPGとして違うぜ!
というバックスらしくない非論理的なゲームメイクをしたので、そのうち止められるわけです。3Pが外れたら簡単に逆転されたのでした。
◎ラスさん、何しているの?
オフボールの動きを取り入れてきたロケッツは、裏に抜けたハウスのアリウープで幕をあけました。こんなプレーはしていなかったじゃないか!!
そのうえで両コーナーにもシューターがしっかりと位置しているので、キックアウトも効きまくり、物凄く止めにくいオフェンスを展開するロケッツ。しかも、バックスは3Pは後回しディフェンスなのでイージーさ。
ってことでハーデンが個人技しなければよい感じのロケッツ。しかも、ハーデンも含めて攻守の切り替えが早くなっているので、かつてのように「ウエストブルックだけが速攻に走っている」状況がなくなってきました。
ザ・ダントーニなロケッツ!
ところが、そのウエストブルックはキックアウトパスが乱れまくり。ちょっとらしくない感じで
・フリーが出来ているのに見逃してしまう
・パスが弱い
・パスが低い
こんなことを繰り返していました。
・フリーになっていなくてもパス
・パスが強すぎる
・パスが高すぎる
これがウエストブルックだったのに、真逆じゃん。なんでこうなっているのかイマイチよくわかりません。合流が遅れたから・・・ってのとも違うよね。
そんなわけで2Qになって逆にロケッツが二桁リードしたものの、突き放すほどでもなく。ヤニスがハーフコートゲーム以外で攻めていく選択肢に変えたこともあって、接戦は続きます。
3P連発すると一時的に点差が離れますが、そんなには続かないって事です。
◎前半を振り返る
前半は62-54でロケッツが8点リードになりました。これを数字で追いかけてみましょう。
〇ロケッツの3P
ハーデン 1/8
タッカー 0/6
他 9/17
ハーデンの1本はトランジションで決めた3P。ステップバック系統は全滅でした。しかし、ドライブしてのキックアウトでコーナー3Pはタッカーが全滅でした。
それ以外が良く決めてくれたから助かりましたが、良いオフェンスをしている割には苦戦した部分もあったわけです。エースが決まらずに62点まで伸ばしたのだから、もっとリードを得ていても良かったよね。
それにしてもオフボールが加わってからのマクレモアの存在感は良い!3P3/6という確率もあるけど、微妙にポジションを動かすことで、フリーになる機会が増えています。
コビントンとタッカーよりも、ハウスやマクレモアがオフェンスで活躍できるのは良い傾向です。ゴードン・・・。
〇バックスのアシスト
ヤニス 5
ヒル 4
他 2
バックスの問題は持ちすぎのブレッドソーがいなくなったら、何故か殆どがPGスタートになってしまったことです。ちょっと単調でしたね。それでも54点まで辿り着いたから否定するほどではありません。
ただ、なんで単調になったのかはロケッツとの相性もありました。早いスイッチディフェンスのロケッツは、インサイドに早く収縮するバックスとは違いフリーの選手を生み出すのを嫌います。そのためボールを回したくても空いている選手がいないことが。
途中からヤニスがペイント内を攻めまくったら上手くいったように、個の戦いを仕掛けないとヘルプに来ず、チームオフェンスにさせてもらえない面もあるので、ガンガン個人で行くべきでした。ま、後半になったら仕掛けてくるだろうと思っているわけですが。
そして、ここでブログドン・・・ではなくブレッドソーの不在が響いています。ドライブで強引に割ってくる選手が足りていないバックス。
モンスター・ヤニスが全てを解決しに来ますが、戦術的にはやっぱり足りていない面が大きいよ。マシューズ、ディヴィチェンゾ、コーバー、マービン、ヒル。誰かはドライブタイプに変えておくべきだったかもね。頑張ろう!スターリン・ブラウン
◎修正のブーデンフォルツァー
後半のスタートもウエストブルックのキープ、そしてオフボールの動きでシュートチャンスを狙うロケッツ。そうね、こっちの方がわかりやすいのか。ハーデンだとステップバックを狙ってしまうけど、ウエストブルックにはそれがない(あったら大問題)
ただし、スキが出来たらドライブするし、ミドルも打つぜウエストブルック。前半決まらなかったタッカーのコーナー3Pも決まって走り出すロケッツ。
バックスはヤニスがトップからウイングに移動しながら、そのままタッカー相手のドライブ。ミドルポストに起点を移してディヴィチェンゾが周囲をオフボールで回って3P。
ちゃんと1Qの修正をしているバックス。昨日のシクサーズ&ペイサーズとは違う両チーム。
さらにバックスはここにきてブルック・ロペスがインサイドで強引にねじ込みます。得点を狙うだけでなくタッカーのファールトラブルもあったので、シンプルだけど効果的。
お互いにヘルプ&ローテのディフェンスもあって、しっかりと止めに行くのですが、そこで生まれたマークのズレを生かせたのはバックス。8つのオフェンスリバウンドを奪ってセカンドチャンスで差を付けました。
しかも高さとフィジカルの差を嫌がったのか、ファールが増えていったロケッツ。10本のフリースローを与えたことも響いてしまいバックスが逆転して終わる3Qになりました。
〇3Qのリバウンド
バックスのオフェンス 8
ロケッツのディフェンス 6
あまりオフェンスリバウンドを取りに行かないバックスですが、ここは徹底していました。まともにリバウンドを獲れるのがウエストブルックしかいない(笑)ロケッツなので苦しみまくりだし、カウンター出せないし。
このブーデンフォルツァーをどう見るか?
柔軟性がないバックスなわけですが、ちょっとずつこういう要素を増やしてきた今シーズン。思えば開幕戦もヤニスが退場してからブルックのポストアップ推しでした。どこまで狙っていたのかわかりませんが、相手の弱い所をつけたわけです。
前半のプレーチョイスミスを反省し、相手の弱点も使えた3Q。論理的だったね。
そしてインサイドを強く打ち出すのは、ロケッツからスピードを奪い取りました。早い展開ではないウエストブルックなんて怖くないって感じにもなったとさ。なお、キックアウトパスは高過ぎず、強すぎず、ちゃんとし始めたウエストブルックの3Qでした。
◎バックスが勝つ展開
〇4Qのリバウンド
バックスのオフェンス 6
ロケッツのディフェンス 6
4Qも同じだったのでブーデンフォルツァーは狙ったんでしょうね。そして暴れる機会を奪い取られたようなウエストブルックは、強引にでもトランジションに持って行こうとするし、オフェンスリバウンドを押し込むし。
余ったエネルギーをぶつけまくりに行ってファールトラブルになりベンチに下がりました。何やってんだ。
対して冷静なバックスは、ミドルトンとブルックのピック&ロールという至極もっともなプレーで攻め込めば、ハーデンがパスを出す前のダブルチームで潰していきます。ゴール下に引きこもっていたはずが、ブリッツもしてくるだと!
さらにブーデンフォルツァーはヤニスのワンビッグに移行します。実質的なスーパースモールラインナップ合わせ。この状態でぶつかれば早い展開をヤニスのモンスターっぷりで上回れるはず。
リアルタイムで観ていたら「バックスが勝つ」と思っていたでしょう。残り6分。
◎野獣判断
ブルックを戻したバックスは、そのブルックが連続得点するインサイド中心のオフェンスで残り3分8点差に持って行き、ディフェンスは1-2-2みたいなゾーンにします。(なお、コーナーを簡単に使われたのでゾーンは辞めた)
で、ウエストブルックが暴れまくります。「チームのルール?なにそれ?」みたいな野獣判断で、自分のマークを離して大胆なヘルプポジションをとるし、スピードで仕掛けまくります。
でも、論理的じゃないようでチームメイトはついてきているので、これも1つの能力です。ウエストブルックあるあるは、
・周囲はカバーリングが上手くなる
・本人がカバーしている範囲が異常に広い
ってことで、バックスはオフェンスの正解がわからなくなり始めます。わからないからミスもでてコビントンとウエストブルックの速攻でロケッツが追いつきます。
タイムアウトが多く挟まる中で、バックスのオフェンス選択は微妙でした。ヤニスのアイソでも良かったと思いますが、ここまで上手く攻略していただけに迷いが生まれたのかもしれません。
残り30秒でウエストブルックのミドルにファールしてしまったヤニス。これでロケッツが1点リード。
しかしヤニスはコビントン相手のアイソでイージーレイアップ。逆転。
ボール運びからノンストップのウエストブルックのレイアップにミドルトンがファールで再逆転。時間を21秒残すというね。
リバウンドからこちらもノンストップで飛び込んだヤニスですが、囲まれたわけじゃないけどコーバーへキックアウト。でもマークのハウスはヘルプにもいっていないのでパスカットしたのでした。
◎心を乱す
残り6分からハーデンがステップバック3P決めまくったとか、ヤニスがフリースローを外しまくったとか、そういう理由ならわかるのですが、現実に起こったことは実に難しい。
残り6分からロケッツの3Pは1/5しか決まらなかったし、リバウンドなんて0だぜ!
バックスのオフェンスだけ見ても、なかなか凄い数字が並ぶんだ。
〇残り6分からのバックス
FG6/14
オフェンスリバウンド 5
外れた8本のシュートのうち5本を拾ったわけです。残りの3つはバックボードの上に当たったとか、ファールがあったとかです。これで逆転負けとか異常事態です。
〇残り6分からのターンオーバー 5
ところがボールロストが全部ターンオーバー。試合を通して22と多かったのですが、それにしても終盤に連続ミスが発生したのでした。
なんかもう完全にウエストブルックの魔力に吸い込まれたような理不尽な展開でした。ハーデンのコメントが「ディフェンスが良かった」だそうですが、事実として見事なローテーションでミスを誘発していました。
ザ・マイクロボールなディフェンス。極端なピンチを作ってチャンスを増やした終盤。異常な戦い方。バックスの心を乱して得た勝利。
ブーデンフォルツァーの立場だったら「何が間違っていたのか」と眠れぬ夜を過ごすことになりそうです。
実況・解説に惹かれて日本語解説で見たのですが、クリスさんがバックスの3Pディフェンスを管理人さんと全く同じように解説していて、ほっこりしました(笑)
またディヴィチェンゾを良くも悪くも「若い」と評価しているのが印象的でした。
今回のロケッツの勝利は強豪相手の勝利で一番不気味だったと思います。
ハーデンもラスも爆発せず、3P%もバックスの想定内の数字でしたし。
今までの勝ち方だと「4つ勝つのは無理だろう」で片づけられたのが、今日の試合で「これを一試合混ぜられたら怖い」になったような。これがプレーオフでもたまに出るようなら、面白くなるなと感じました。
4-0で勝つ気はしないけど、4-3ならどこにでも勝てる可能性があるロケッツ。その中の1勝をこういう形で手に入れられたら、本当に厄介ですね。
ウエストブルックを空けておく がメリットにならない形をみせられたのも、悩ましい部分でした。
オーナーが3年前の夏に「ウォリアーズを倒すためのチームを作った」と言っていましたが、ウォリアーズの王朝終焉もあって今季はダントーニの戦術の柔軟性が見受けられます。
その一つのきっかけがウエストブルックとクリスポールのトレードで、さらにカペラの放出だと思いますけど、ウォリアーズを倒すための戦術をとってきたような感じがあった過去2年よりも今季の方が自分たち主体のバスケをしているように見えて楽しいです。
このままいくと4位でレイカーズとカンファレンスセミファイナルで当たりそうですが、勝機はありますかね?
レイカーズもロケッツ相手は嫌だと思いますが、ADがね。どうしても止められないでしょうから。
勝つためには、インサイドを守りに行った結果のレブロン3Pと、ハーデンのステップバック3Pのどっちが決まるかな気がします。
ここでハーデンがイニシアチブをとれなければ、レイカーズは引きこもっていれば勝てるので。
残り3分6点リードのバックスは、ゲームプラン通りタッカーのスリーを捨ててインサイド固めてましたが、これはこれで良いのでしょうか? 敗因はここよりもバックスのオフェンスですが、逃げ切る展開でのディフェンスの変化を見たかった気もします。バックスの首位らしからぬクラッチタイムでのプレーはプレイオフでも変わらない気がしてます。
スモールラインナップで良かった場面でしたが、ブルックを使ったことでインサイド重視に切り替わりました。
ただ、オフェンスはビッグマン押しが正解だったので、何とも言えないですね。結果論かな。
とはいえ、相手がロケッツだからオフェンス重視で良かっただけで、ディフェンスのオプションがあるのかは気になりますね。