さようならピストンズ’20

【ピストンズ’20トップニュース】
離脱したグリフィン
切り替えきれない世代
さようならドラモンド
ウッドとドゥンブーヤ

イーストラストはピストンズ。20勝46敗は「やっぱりな」という思いと「残念」という思いの両方がありました。41勝41敗から大きく勝率を落としたわけですが、その理由をはじめに考えます。

◎離脱したグリフィン

グリフィンが15試合、レジー・ジャクソンが14試合の出場にとどまりました。基本的にはこの2人がいなかったことで大きく失速したことになります。2人が同時に出場した試合はありませんでした。

グリフィンに関しては「またか・・・」とは思いますが、言い出したらキリがないので置いといて、グリフィンを当てにしていたというのは

ベテラン陣で勝ちに行くシーズン

と位置付けていたわけです。ここの判断が正しかったのかどうかが判断の分かれる所であり、グリフィンが離脱してしまったので負けた事への言い訳が出来てしまうのも困ったものです。

グリフィンが離脱したから勝てなかったのか
グリフィンがいても勝てなかったのか

ってことがわかりませんね。うーん、困った困った。ただ、ロスターについては触れておきましょう。

〇新加入のベテラン
ローズ 18.1点 FG49%
モリス 11.0点 FG45%

共に十分な活躍をしてくれました。特にローズは素晴らしい。アンチ現代型PGですが、高いFG%と5.6アシストは

現代バスケに適応する手法を見つけたローズ

という印象です。3Pが苦手でもドライブからのフィニッシュ力と間違えないプレーチョイスが出来ればチームは成立します。ローズは十分に成功したと言えるでしょう。

これを可能にしたのはドラモンドを含めビッグマンがインサイドへドライブしやすい環境を作れたことでした。3Pを打たないのはドラモンドしかいないチームなので。
ただローズが個人として現代に適応しようとチームのオフェンス力として活用されなければ意味がありません。

〇オフェンスレーティング 108.8(21位)
〇EFG52.9%(19位)
〇3P36.7%(9位)

ピストンズが面白いのは
・ローズはドライブで高確率で決める
・チームとして3Pの確率は高い
・EFGはイマイチ
・レーティングはもっとイマイチ

こんな理解しがたい構図です。ガードのドライブが高確率で決まり、3Pも高確率で決まるのにトータルでは確率が悪いっていうね。

だから、ほんの少しの工夫でオフェンス面は解決できる糸口がありました。それが何かっていうのは(特にドラモンドの特殊性が)難しいのですが、例えばこんな数字があります。

〇試合のペース 97.9(28位)
〇ターンオーバー率 15.5(28位)

試合のペースは遅いのに、ミスの多いチームオフェンスをしていませんでした。ハーフコートオフェンスをしっかりと準備するはずが、そこでパスミスが多く、それもビッグマンのミスが重なりました。ドラモンドが特に悪い。

一方でパスがつながれば3Pの正確性はハイレベルでした。

〇3P
ギャロウェイ 39.9%
ミハイルー 40.4%
スネル 40.2%
モリス 39.7%
ケナード 39.9%

アテンプト順に並べて上位5人が40%という驚異的なシューティングチームでした。これならEFGでトップになってもおかしくないレベルです。コンセプトが少し間違っていたのか。

インサイドで高確率なローズとドラモンド(とウッド)、強力なリバウンダーのドラモンド、そして優秀なシューター陣。でも、これらを「結び付ける能力不足」のチームでした。

ゲームメイカー不足でチームオフェンスがイマイチ

グリフィンとレジーがいなかったピストンズですが、むしろいなくても良かったのかもしれません。それよりもゲームメイクしてくれるPGが欲しかった。イシュ・スミスとカルデロンの両方を失ったのに、補強できなかったのが響いた気がします。

〇昨シーズンのアシスト/ターンオーバー率
イシュ 3.33
カルデロン 3.29
レジー 2.32

「PGにローズ」で解決したかったのかもしれませんが、シューターを抱えるチームだけにゲームメイカーは用意しておきたかった。あるいはドラモンドをアデバヨにするくらいの思い切った戦術変更が欲しかった。

戦力的に大きく勝ち越すチームではなかったと思いますが、ゲームを作る選手がいれば5割は戦えたんじゃないかな。グリフィンがいない方が良いチームになりそうだった理由も詰まった内容でしたが、勝てなかったことは大きく響いてしまったね。

遅いペースと不正確なパスに拙いゲームメイク。シーズン前にクリス・ポールを狙うべきだったのか!?

◎切り替えきれない世代

個人のスタッツを観てみると、実はそこまで悪い感じはなく、ただしチームとして「繋げる」ことに欠けたシーズンでした。であれば、もっと世代交代させて良かったと感じています。

「繋げられないベテラン」と「個性を発揮した若手」の構図は意味不明です。ローズやモリスという個人を加えたこと自体は良いとして、チーム全体は

若手に積極的に打たせる戦術構成

にすべきでした。ミハイルー、スネル、ケナードの3Pをもっと強く出せなかったのか。ブルース・ブラウンの攻撃的なディフェンス力からトランジション増を目指せなかったのか。

ケナードがケガで28試合しか出ていないことで、現実的には若手に振り切るのは難しかったのですが、チーム戦術はシューターを生かす形にしたかったところ。

「ドラモンド+シューター構成が良い」とは頻繁に書いていますが、特に今シーズンは3Pの確率が良かっただけに、これをやらないで進めていくのが勿体ない印象が強かったです。

前回に書いた通り、ディフェンス面は「3Pを打たせない現代ディフェンス」を徹底してきました。そんなに3P重視するならオフェンスではもっと3P打てばよいのにね。まぁこのディフェンスが少し古くなった今シーズンなので、それはそれで問題です。総じて

ケーシーのバスケが微妙に古くなっている

ような印象を受けます。GMが集めたロスターがどうしてもそうならざる得なかったのかもしれませんが、ローズとグリフィンを揃えた事が5年前の理想なら、ケーシーは3年前のバスケでした。

◎さようならドラモンド

そしてドラモンドがいなくなりました。このトレードにはいろいろありましたが、今更細かく書いても仕方がないので割愛。

今シーズンの勝利とは決別したことで、ピストンズは再建モードを明確にします。ただし、新GMが決まったのは6月18日とつい最近。チーム方針を考えないままに動くという、なかなかの英断を下しました。わけわからん。

とりあえず「処分できるものは処分しておけ」というシーズン中の動きでした。レジーもモリスもいなくなったよ。

なお、次のGMは元サンダーのアシスタントGMトロイ・ウィーバーなので、ハッスルマシーンばかり集めるのでしょうか。元サンズのマクドノーが候補に挙がっていた時は愕然としたけど、それよりは良かったよ。

では未来を描きなおしましょう。

◎ウッドとドゥンブーヤ

チームがあきらめムードになった1月からドラフト15位のセイク・ドゥンブーヤが頭角を現し始めます。能力モンスターのハッスルマシーンな匂いがするので新GMは好きかもしれません。

さらに続いて、この2年くらい「ブレークしそうでしなかった」クリスチャン・ウッドが遂に活躍し始めます。ちなみにウッド24歳、ドラモンド26歳です。若手にカテゴライズできるギリギリのライン。

有望株の人数が増えたことで、明確に若手へ切り替えることが決まったことになります。でも戦術は決まっていないから、特にこれと言って語ることもないよ。ウッドが大活躍したけど、ハンドラーやらせてもらえるから得点が増えた面も否めない。

ドゥンブーヤもウッドもスピードやフィジカルで広いインサイドを活用できる選手なのでシューターとの相性は悪くありません。しかし、パス能力は期待できないのでシューターを生かすことは出来ません。やっぱり両者を繋がるゲームメイカーが必要だ。

ということで、有望株が増えたけどPGが決まらないので、ぜーんぜん戦術的な方向が見えてきませんでした。あと、早期にGMが決まっていたらウッドの価値が高まる前に契約延長できた疑惑があるのですが。ルール的に無理かな?

新GMはインタビューで「ローズとグリフィンを融合させたチームにする」と言っているみたいなので、結構な難しいミッションです。ただ、選手の事をフォローするサンダーらしい姿勢を早速見せているので、まずはチーム内の意識改革でしょう。

◎ドラフト

PG Killian Hayes

http://www.nbadraftroom.com/p/2020-nba-mock-draft.html

PG LaMelo Ball

http://www.tankathon.com/mock_draft

SF Obi Toppin

https://www.draftsite.com/nba/mock-draft/2020/

PG Tyrese Haliburton

3つがPG予想ですが、全部違う選手という珍しい構図です。現在5位指名なのですが、上位4チームがウォリアーズ、キャブス、ウルブズ、ホークスと全てPG不要なチームなので確率通りのロッタリーになれば、好きなPGを獲得することも可能です。

自由ならラメロ・ボール獲得に行きそう。理由は一番チームを変えてくれそうなので。ブルースとは合いそうだけど、グリフィンとは合わなそう。結構な難易度の課題です。

トレードやオフの動向については以前に書きました。キャップスペースが大きく空くのでドラフト指名とトレードを駆使した選手収集も可能です。FAでガリナリクラスを連れても来れて、そこそこ打つ手があるので新GMは力の見せ所になりそうです。

◎ローズとグリフィンと

なんだかんだで過去には戻れないので、新GMは前を向くしかありません。ドラフト次第ではあるものの、どうせグリフィンは売れないし、この2人と若手を組み合わせたチームを作ります。

ローズとグリフィンを中心に、他の選手がアテンプトを増やすオフェンス

こんな形を作らないといけないのですが、性格的に難しそうな2人です。ところが、今シーズンこんな形になっていったのがサンダーでした。「クリス・ポールを中心にした連携」じゃなくて、みんなが交代でアタックしているクリッパーズ式を取り込んだサンダーです。新GMトロイ・ウィーバーの腕の見せ所とも言えます。

クリス・ポールとグリフィンがいなくなった後に大きく変わったクリッパーズの戦い方が、時を経てサンダーのクリス・ポールとピストンズのグリフィンにも取り込まれるなら、ちょっと夢があるというか、面白いというか。

ゲームメイカーが足りないピストンズですが、1人獲得したところで、今いる選手のパス能力が上がるわけでもないし、ローズ、グリフィン、ドゥンブーヤ、ウッドと突破力はある選手が多いなら、個人アタックを組み合わせる戦い方が適している気がします。そこにシューターを効果的に混ぜようぜ。

もう1つはドラモンドがいなくなったことで、遂にグリフィンをセンターにコンバートできるかも注目です。PFがいない時代なのでマッチアップがウイングになり、スピードで勝てなくなっているグリフィンですが、センターになればドライブの威力が上がります。それでいてセンターが細くなっているのでパワーで負けることもありません。現代的にはセンターの選手だと思うグリフィン。

要するにチーム全体がスピードアップする準備も整ってきたといえます。なお、ローズもペースが遅い時代のエースだから、口で言うほど簡単ではないのですが。

そんなことを考えるとHCケーシーの立場はかなり微妙になってきます。ドラフトで指名する選手次第で方向性は変わってくるし、サンダーはHC交代させないチームってこともあり、1年間は継続して様子見するかもしれませんが、現状を変えたいならHCは交代させたい。

ラプターズを目指したはずが、ゲームメイカー不在により、2シーズン目にして予定路線から外れてきてしまったので、ケーシー自身にも難しい環境だと思っています。

ということで、生まれ変わることを促されているピストンズ。GMトロイ・ウィーバーがリーダーシップを発揮し、しっかりと変革をしてほしいオフになります。

さようならピストンズ’20” への2件のフィードバック

  1. ローズは6th固定にしてラメロが欲しいですね。グリフィン、ドゥンブーヤ、ウッドを操ってデトロイト版ロブシティに。ドラフト順位が悪くても、多少シューターを放出してトレードアップして、ラメロ欲しいです。ディフェンスはやばいけど、楽しいバスケになって観客数は増えそう。サラリーも大幅に空いているので、今オフの主役になるとみています。

    1. 目玉が少ない上にPG欲しいチームが少ないので、トレードアップも可能でしょう。本気なら絶対にとれそうな感じ。
      まずはカルチャーを何とかしたいので、変えてくれそうなラメロはおススメかも。

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