【ホークス’20トップニュース】
出場停止のコリンズ
プレーオフ無理
やってきたカペラ
帰ってきたティーグ
トレ・ヤングのオールスター
見えなかった課題
前回はヤング、コリンズ、ハーター、レディッシュ、ハンターのコア5それぞれに触れましたが、ニュースを見てもわかるようにほぼ同じ内容です。不要な部分はカットしていきますが、どうしても被ってしまう事をお許しください。
それにしてもコア5は合計ですさまじい数字をたたき出しています。
〇5人合計
得点 86.2
リバウンド 26.7
アシスト 17.9
FG44.4%
3P36.3%
EFG60.1%
3年目までの選手5人、合計キャリア9年でこんなスタッツを叩き出したのは史上初なんじゃないかと思ってしまいます。誰かデータマニアいませんか?
22歳(もうすぐ23歳)のコリンズ&ハンターが最年長ですが、23年前っていうと1997年です。その頃20歳のビンス・カーターはノースカロライナでプレーしていました。はー恐ろしい。
しかもEFG60%を超えているので、オフェンスに関しては完成に近づいています。ここから安定感や勝負強さなどを学ぶことにはなりますが、1年目からここまで出来れば上等です。問題はディフェンスってのはわかっていますが、それにしても勝率低い。
シーズン始まってすぐにジョン・コリンズが薬物使用で25試合の出場停止を食らいました。これが響いてホークスは負け続け、プレーオフ争いから早々に脱落してしまいました。
プレーオフをかけた戦いを経験する機会を失った
これによって今シーズンの価値は30%くらい低下しました。コリンズの罪は重かった。だけどコリンズだけの責任ではないし、それ以前の問題があったよ。
◎プレーオフ無理
「プレーオフ争い」から徹底させたのはコリンズでしたが、出場停止がなくてもホークスはプレーオフには進めなかったでしょう。それを決定的にしたのはシーズン前の出来事で
トーリアン・プリンスをトレードで放出
代わりに手に入れたのがアレン・クラブだったので戦力的にはダウンでした。(ただし、ドラフト指名権絡めてハンター獲得には繋がっている)ディフェンスでもオフェンスでも期待できるプリンスがチームに残っていれば、プレーオフも目標になっていたはず。
ハンターとレディッシュが活躍してくれたからよかったものの、ギャンブルするほどの意味があったのか疑問です。なお、20年ドラフトの指名権も貰っているのですが、それがカペラに変換されたので収支的には大黒字。
チャンドラー・パーソンズ、エバン・ターナー、アレン・クラブと今シーズンは不良債権を引き取る形にしましたが、彼らの活躍もそこそこ期待していたはず。しかし、実際には全然活躍しませんでした。これが何故なのかはよくわかりません。少なくともターナーとクラブは使いどころがあったはず。
ホークスに来て新境地を開いたアレックス・レンとインサイド役にダミアン・ジョーンズの2人のセンターもピンとこない活躍ぶりになりました。それぞれFG%は良かっただけに、戦術なのか、ユニット構成なのか、何とも言えない歯がゆさを感じさせました。
ベンチプレイヤーが全く機能しない
こんな状況だったので、コア5人以外を見ればロスター構成なのか、戦術なのか、なんなのかわからないけど失敗していました。ここが堅実だったらプレーオフ行けなかった責任をコリンズに押し付けられるのですが。
ベンチでまともだったのはビンスおじさん、ベンブリー、フェルナンドの3人くらいだったような印象です。
そうそうジャバリ・パーカーもいました。
〇ジャバリ・パーカー
26分
15点
FG50%
6.0リバウンド
6.5Mのサラリーとしては立派な活躍をしていますが、パーカーも「スタッツほどには貢献していない」印象が強かったです。それは結局のところ
勝利を目指したロスター、戦術構成になっていない
ってことだったと思います。若手コアは伸ばそう、それ以外はよくわからん。という状況がプレーオフを非現実的なものにしていました。選手個人の働きが悪かった面もあるでしょうが、それ以上に中途半端な印象が強かったです。使いどころのある選手を、自分たちの戦術の中で使い道をなくした感じ。
◎やってきたカペラ
そんなわけでレン、ダミアン・ジョーンズ、ジャバリと上手くいかなかったビッグマンに、まさかのカペラの獲得に成功しました。このトレードは4チーム間なので、様々な思惑がありましたが、ホークス的には得しかないないトレードにしています。
【獲得】
クリント・カペラ
ネネ
【放出】
エバン・ターナー
2020年ドラフト1巡目指名権(ネッツ分)
これだけみたら、文句のつけようがありません。不要なターナーと1巡目下位の指名権でカペラ獲得です。コリンズと被るのが難点ですが、そこはコリンズが3P40%オーバーと成長したことで同時にコートに立たせることが可能と判断したのでしょう。
どんな形になるのか楽しみだったカペラですが、まさかの1試合も出場しないで終わりました。そこまで大きなケガだったとしたら、このトレードは大失敗です。ロケッツしてやったり、となるかは来シーズン以降までケガの具合がながびくかどうかです。アイザイア・トーマスの時のセルティクスみたいな。
このトレードの問題点は「このトレードだけ見たら」良かったことです。同時期に行ったトレードが謎でした。
【獲得】
デッドモン
20年2巡目
21年2巡目
【放出】
アレックス・レン
ジャバリ・パーカー
2巡目指名権を手に入れたのは良いのですが、カペラに加えてデッドモンの契約を抱える意味は何だったのか?しかもデッドモンはホークスで活躍したとはいえ、今シーズンのキングスではバカでワガママなこと戦術適応力の低さを示してしまいました。パーカーと何が違うんだ?
〇サラリー
カペラ 17~20M(23年まで)
デッドモン 13M(22年まで)
レン 4M(今季まで)
ジャバリ 6.5M(来季まで)
ヤング&ハーターのサラリーが上がるのは22年以降なのでキャップ的には問題ないのですが、何が悲しくてカペラとデッドモンで30M以上も支払わなければいけないのか?フェルナンドだっているんだぜ。
なんとなく「策に溺れた」感じのするホークスです。キャップスペースを使い、2巡目を集めて商売するのはショーン・マークスの得意技でしたが、マネしすぎなんじゃないか。
カペラの健康状態が悪ければ「デッドモン獲得してよかった」となりますが、それはそもそも大敗北だし。オフにカペラを売り渡すウルトラCでも実現しないといけません。あり得ない話ではないよ。ホーネッツに売ろう。
【獲得】
スカル・ラビシエリ 4M(来季まで)
えっと、それでラビシエリも獲得していたんだよね。なんで?どうして?
フェルナンド、ラビシエリ、ジョーンズが控えにいるなら、デッドモンが不要にしか見えません。教えてGMさん!
◎帰ってきたティーグ
こちらはセンチメンタルなお話にして「凄すぎたトレ・ヤング」によって発生した控えPGをホークスの元オールスターに戻ってきた貰うことにしました。
【獲得】
ティーグ
グラハム
【放出】
アレン・クラブ
ヤングとは似ても似つかないティーグのゲームメイクなので、タイプ的にはかなり苦しい控えPGですが、そこはレディッシュが控えに回ることでティーグ的なゲームメイクに合った形にアジャストできそうです。魅惑のパス回しはありませんが、個人アタックを使いやすくなります。
まだまだ未整備も甚だしいですが、そこまで悪い話ではありません。これがオフのFA市場だったらティーグは来てくれないでしょうが、トレードで古巣に戻ってきたのでサラリーダウンで再契約してくれるかもしれません。
イメージは3年契約で17M、15M、13M(部分保証)みたいに年々下がっていくと3年目から始まるヤングのスーパーマックス契約に間に合います。ただ、マジでデッドモンが邪魔なんだよね。デッドモンより低いサラリーでティーグ側が納得するのかどうか。本音を言えば同じサラリーならティーグじゃなくてヴァンブリードが欲しい。
いずれにしてもドラフトでシニアの良質なガードを獲得する方法もありますが、ティーグクラスがベンチに座ってくれるなら、多少、戦術に乖離があっても意味があります。ヤングに頼りすぎなゲームメイクを、真逆のティーグで調整しましょう。完璧におぜん立てしてくれるヤングと、殆どしてくれないティーグ。
ベンチメンバーが活躍しているようで不満だったのは、おそらく戦術がヤング化しすぎて、他の選手の個性を混ぜにくかったのだと思います。HCの責任なわけですが、ティーグになることで一般的な戦術に強引に戻そう。
あと個人的にはグラハムの獲得は地味に素晴らしい。ハッスルディフェンダーで3P打つだけなのでヤングに合わせてみたいです。没個性なオフェンスなのでヤングにもあうだろう予想。もっとも契約が今シーズンまでですが。
◎トレ・ヤングのオールスター
戦術がひどいわけじゃないのですが、なーんかバラっバラだったホークス。しかも、ビッグマンが欠点だったらトレードで3人も獲得する意味不明さ。GMは何やっているのか、というホークスでしたが、そんな不満要素を感じさせなかったのは「偉大過ぎたトレ・ヤング」の存在でした。
ヤングさえいれば、3Pとトランジションが発生し、周囲はオフボールでうごき、オフェンスは魅力あふれるものになるので、見ているものは納得してしまいます。HCロイド・ピアースの目指すオフェンスと方向性が同じということもあり、戦術よりもロスター問題が大きくなってきます。
しかし、「あまりにも凄すぎたトレ・ヤング」はヤングがいないと構築できない問題に発展し、勝てないことからヤング本人の不満を貯めこみました。自分がMVPクラスなのに勝率2割未満とかだったもんね。実際にはチームとしてのアシストが減り、FG%も3P%も下がっています。
〇昨シーズンからの変化
アシスト 24.0(△1.8)
FG44.9%(△0.2%)
3P33.3%(△1.9%)
この怖さはチームとして認識しなければいけません。どうやってチームとして次のステップに進むのか。何を削って、何を重視するのか、単に「ディフェンスを強化する」のではなく、ヤングのプレースタイルにまで踏み込んで調整する必要があるのでした。
しかし、前述の通りそもそも「勝利を目指した」シーズンとは思えなかったので、世界中にヤングがリーグ屈指のエリートプレイヤーだと認めさせたことは非常に大きなものがあります。しかもオールスターのスターターにまで成り上ったんだ。
NBAの次代の象徴的存在になったトレ・ヤング
マーケティングにも、今後10年のチームつくりにも、トレ・ヤングが全ての中核になる事が認められた今シーズンになったことは長い目線で価値があります。ファンも増える。
例えばドノバン・ミッチェルはジャズで同じ立場ですが、ジャズが弱ければ平均30点を取る今シーズンとなり、世界中に認められるわけですが、そういう環境にはいないよね。勝つためにスコアラーよりもPGやってるシーズンになったし。
ヤングの良いところは試合を通して活躍できることです。前半はアシストが若干多く、後半に得点を取りに行くオーソドックスだけどエースらしい活躍でした。
〇Q別のヤング
1Q 5.6点 FG39%
2Q 8.5点 FG45%
3Q 6.9点 FG45%
4Q 8.7点 FG45%
ただし、チームとしては1Qの得失点差が悪く、ヤングのレベルに周囲が追いつけていない感じがあります。ヤングとしてもゲームメイクの中で、Qごとに誰かを爆発させていきたいところです。ハーターとハンターの課題でもあります。個人としては素晴らしかったので、来シーズンは試合を通したチーム全体のゲームメイクをしましょう。
全てはヤングを中心に回すことになるホークス
全てが回るようにヤングも変えていく
今シーズンは「勝つためにどうするか」に乏しかったのが残念なのは、後者は何をすべきなのか、いまいち掴めなかったことです。勝利に拘ればもっと見えてくるものがあっただろうに。
コア5は素晴らしかった。ヤングは素晴らしすぎた。
だからこそ課題がわかりにくかった。
さて、ホークスはどうしていくのでしょうか?
ディフェンス強化は当然ですが、それ以外は本当にわかりません。
◎ドラフト
順位的には4位指名権なのですが、マジでどのポジションを指名すべきかさっぱりわかりません。足りないのディフェンダーですが、それはルーキー獲得しても意味はない。ましてや4位でディフェンダーって・・・ハンターかよ。
http://www.tankathon.com/mock_draft
SF Deni Avdija
http://www.nbadraftroom.com/p/2020-nba-mock-draft.html
SF Obi Toppin
https://www.draftsite.com/nba/mock-draft/2020/
見事に全サイトが違いました。要するに「どのポジションでもよい。一番優秀な選手」ってことです。ベンチ要員不足なので7thマンとして起用しても良いのですが、アンソニー・エドワーズ以外ならトレードでベテラン獲得も悪くないです。
勝負に行くために指名権放出し、ベテラン獲得
or
将来性でドラフト
このどちらかを選べます。ただ欲しいベテランってスターじゃなくて堅実なディフェンダーなので、FAでも十分に獲得できます。来シーズンまではキャップスペース空きまくりなので、短期間で働いてくれるベテランは狙いたい。
ミルサップとフェイバーズはまさにそんな選手なのですが、ビッグマン過多だからポジション的に違う。SG~SFはFA市場に適した選手が少なくて、ホリデー長男あたりかな。あとはここでもハークレスか。
ホークスの課題はビンス・カーターの穴を埋めることです。ドラフトで埋めるのか、FAで埋めるのか。未来を目指すのか、勝利を目指すのか。微妙なラインです。ひとまずホリデー長男だけは獲得しましょう。トレードならスネルかな。でも4位指名権でもらうほどじゃないし。マーティンツインズと交換できないかな?
◎違いが判らなかったシーズン
今シーズンのホークスはトレ・ヤングを筆頭に、若手たちが素晴らしい結果を残し、将来性を感じさせました。しかしそれはあくまでも「個人としての将来」でしかなく、「チームとしての将来」をどうしていくのか見えてきませんでした。
ロスターの大幅な入れ替え
温度差があるベンチメンバー
迷ってしまう「次の一手」
これらは勝利を目指してはじめてわかるポイントです。オフェンスで打ち勝つのを目指すのは良いけれど、単調な空気があるので「勝利に繋がるオフェンス」なのかは見えてきません。5分5分で打ち勝つのでは意味がないわけで、
オフェンス勝負なら7割勝てる
というところまで辿り着くには道のりが長い気がします。勝てるチームになるには5分5分に持ち込んだ上で、どこかで圧倒して勝てるチームにならないといけません。みんな単純な数字ではない特殊な武器をもって試合を制しています。
3Qにラッシュするカリー
適当にこなしておいて3P3連発で突き放すロケッツ
最強セカンドユニットのラプターズ
2つの勝負どころを持つペイサーズ
速攻で破壊するウエストブルック
最後は何とかするレブロン
ホークスのヤングコア5は間違いなく超魅力的だし、才能にあふれた選手が揃ったし、「成長している」ことがわかるので強いチームになれます。だけど、まだ
「どこで圧倒するのか」がわからない
のでした。本当は今シーズンのうちに、それがわかるところまで行きたかったよね。行けなかったよね。
困ってしまうのはロイド・ピアースで正しいのかどうかもわからなかったこと。チームのベースを作ったし、間違いはない。間違いはないけど、正しいかもわからない。個人が活躍してもチーム力には跳ね返らなかった。
来シーズンは開幕から一気にラッシュするくらいの気持ちがあるのかどうか。少なくともヤングにはあるよ。若手は頑張ろうしているからこそ、正しい道が何なのか知りたいホークスです。
プレーオフに進めるだけの仕込みが欲しいオフ
「若手の成長」だけではダメな来シーズン
そんな捉え方をしています。
自分も今年のホークスはプレーオフ圏内ギリギリくらいには上がってきそうって思ってましたが勝率が奮わない結果で終わっちゃいましたね…
とりあえずDFの整備とあとはなんでしょうね? ペイサーズ並みのチームカルチャーとか…?