ウルブズが得たのは新たな可能性
シーズン途中でナゲッツからウルブズにやってきたマリック・ビーズリー。その動向はシーズン前から注目されており、見事にウルブズが引き寄せた形に。
注目されていた理由は、可能性あるプレーを見せながらもスターターになれそうにないチーム事情から、契約更新前にナゲッツが放出するとみられていたからです。昨シーズンにゲーリー・ハリスがケガをしたことで、大きなチャンスを得たビーズリーはしっかりと結果を残しました。
〇昨シーズンのビーズリー
プレータイム 23.2分
得点 11.3点
3P 40.2%
スティール 0.7
〇スターター時
プレータイム 31.6分
得点 15.9点
3P 50.0%
スティール 0.7
シーズン通しても素晴らしかったですが、18試合のスターター時は特に優れたスタッツを残しました。これが一気に注目を増した理由でもあります。
しかしながら、ヨキッチとマレーを中軸にしたナゲッツは、SGにはディフェンス面をより強調させるように求めており、ゲーリー・ハリスもまたエース格だった数年前が懐かしくなるようにボールを持つ回数を減らし、ディフェンダーになっていきました。
ビーズリーも「自分は3&Dにならないといけない」と発言するほどに、ディフェンスにも力を入れましたが、ちょっと壁が厚すぎたんだよね。
そんなビーズリーは今シーズンになってプレータイムを減らすことに。いろんな兼ね合いもありますが、放出は既定路線でしたが、ラッキーだったのは弱いチームに来れた事。タウンズがいないこともあって、まずは自分が結果を残すことに集中できる環境となりました。
〇ウルブズでのビーズリー
プレータイム 33.1分
得点 20.7点
3P 42.6%
リバウンド 5.1本
まだ14試合なので、ぜーんぜんわかりませんが、オフに成長を感じさせる選手を上げるとしたらビーズリーでしたね。
◎学生時代
父親もプロバスケットボール選手だったらしいビーズリーは、その才能を発揮していきました。
高校の最終学年が
22.2点
6.9リバウンド
2.9アシスト
1.9スティール
だったビーズリーは4つ星の有望株としてフロリダ州立大学に進みました。多くの大学から誘いがあった中で選びました。
ちなみに同学年にジャマール・マレーがいますが5つ星評価でした。ベン・シモンズ、ブランドン・イングラム、ジェイレン・ブラウンの年ですが、彼らももちろん5つ星。25人が5つ星の中で、ビーズリーは43番目にランクされていました。なお、No1はラビシエリだったようで。
https://n.rivals.com/prospect_rankings/rivals150/2015
まぁ高校時代のランクがそのまま移行するってことはあり得ないわけですが、それでも多くの選手がNBAで活躍出来ているんだからスカウトの眼力も凄いよね。
微妙な評価だったビーズリーでしたが、見事にワン&ダンでドラフト19位指名されました。大学で一気にジャンプアップを果たしたことになります。
15.6点
5.3リバウンド
1.5アシスト
FT81.3%
1年生としては素晴らしい成績を残したビーズリーでしたが、特に注目されたのはシュート力。ガードながらFG47%を決め、3P38.7%と1年生としては素晴らしい数字でした。これがビーズリーの大きな特徴になるわけです。
しかし、エース的な存在としてのプレーではNBAで即通用することがありませんでした。この苦しみを味わう若手は多いし、だからこそ若手には時間が必要だったりするよね。シュート力があったから、初めからそこにフューチャーしていれば違う結果もあったかもしれませんが、そんな簡単ではないよね。
ところで、ビーズリーはガードってこともあって、リバウンド面は特に目立つ選手ではありませんでした。しかし、ウルブズに来てから5.1リバウンドと本数を増やしています。大学時代も5.3リバウンドと稼いでいるだけに、この能力は今後注目しても良いのかもしれないのでした。
◎決まりだしたプルアップ
ナゲッツでも結果を残していたビーズリーですが、スターターであり、スコアラーとして期待されたウルブズではここまで積極的なシューティングで大いに結果を残しています。もっとも大きな違いはプルアップ3Pにありそうです。
〇プルアップ3P
ナゲッツ 0.9本 23%
ウルブズ 2.6本 49%
〇キャッチ&シュート3P
ナゲッツ 2.9本 41%
ウルブズ 5.5本 40%
キャッチ&シュートに比べてアテンプト増、そして何よりも確率が大幅に向上しています。単なるプレータイム増ではなく、ビーズリーが活躍しやすい状況になってきたことが伺えます。
ナゲッツで打っていたプルアップは、殆どがトランジションの流れでした。それに対して、ウルブズに来てからはハーフコートオフェンスの中で打ち始めています。その違いは両チームのオフェンスの違い、特にヨキッチとタウンズの違いにあります。
プレーメイカー型のヨキッチとフィニッシャー型のタウンズ。両者とも多くの機会でボールを貰いますが、ヨキッチの方が多くのパスを出してくるのは当然の流れです。この点ではビーズリーはナゲッツにいた方が良いパスを貰えたし、実際にキャッチ&シュートで結果を残してきました。
その一方で起点がヨキッチなので(マイク・マローンのクセもあって)オフェンスの開始時はほぼマレー&ヨキッチのコンビプレーからパスが出る形になり、ビーズリーはウイング側で待つことになります。
それに対してタウンズは「自分がフィニッシュに行くために」スクリーナーになってディフェンスを剥がしに来てくれることがあります。ヨキッチよりも直接的にフィニッシュに繋げるための動きです。まぁタウンズは欠場が多くなっていますが、代役に登場したナズ・リードもセンターながら3Pを良く打っています。
ディアンジェロ・ラッセルの欠場もあったのでビーズリーは、自分がハンドラーとしてセンターと絡むことが増えました。そして、ピック&ロールからプルアップ3Pを多く打つように変化していったのでした。
ピック&ロール ハンドラーとしてウルブズ移籍後は19本のFGを決めていますが、そのうち2P8本、3P11本と3Pの方が上回っています。ていうか3Pばかり打っています。
ナゲッツとのオフェンスの違いでプルアップ3Pが増えた
これがビーズリーにとって良い流れになってきました。以前よりも躊躇うことなく打ちやすくなっているのが特徴的です。スクリナーになってくれるセンターの存在がプラスに働いているのでした。
◎積極的なオフェンス
センターとの関係性の中でプルアップ3Pを増やしたビーズリーですが、一方でセンターが3Pを積極的に打つウルブズスタイルは、当然のようにインサイドでの得点も効率的にしてくれています。
ドライブの得点 1.5点 → 3.8点
ゴール下の確率 52% → 65%
3Pとドライブの組み合わせで得点効率が上がった形のビーズリーなわけですが、ナゲッツがヨキッチ以外にもビッグマンが1人インサイドに構えるのに対して、トレードでシューター系を増やしたウルブズではドライブで決めきることが求められます。その違いの中で、より存在感を発揮しやすくなりました。
ただ、これらのことは「積極的に自分でフィニッシュに行く」というのが一番の違いかもしれません。パッシングオフェンスのナゲッツでは、良いシチューエーションの選手にパスをしていく事が求められましたし、それは「フリーを作るまでオフェンスをやり直す」ことを志向しているオフェンスでもありました。
それに比べるとウルブズはより、シンプルにシュートを打っていく事を志向しています。チャンスが作れたら積極的に!という形です。ビーズリーのショットクロック別のアテンプトを観ると、その傾向が強くなります。
〇ショットクロックと3Pアテンプト
ウルブズ(ナゲッツ)
6秒以内 1.8本(0.7本)
9秒以内 1.9本(0.4本)
17秒以内 3.5本(1.9本)
18秒以上 1.0本(0.8本)
もっとも特徴的なのは、プレータイムを増やし、重要性も増したけれども、18秒以上かかったオフェンスでのアテンプトは0.2本しか増えていない事です。ほかのクロックに比べて殆ど増えていません。
ナゲッツの何度もパスを回してディフェンスを振り回していくスタイルは時に時間をかけすぎることがあるのですが、学生時代から「アシストが少なく、得点が多い」タイプのビーズリーにはリズム的にはちょっと苦しかったのかもしれません。チームとしてパスが多いこと自体は良かったんだけど、自分自身はテンポよく打ちたい。
そしてウルブズではテンポよく打つようになった結果、自分のリズムで打ちまくっている感じです。少しでもディフェンスが離れたら、迷わず打っているようなビーズリー。
そして、このビーズリーのスタンスはウルブズにも大きな変化をもたらしています。それが速攻での得点に表れています。
〇ビーズリーの速攻
ナゲッツ 1.2
ウルブズ 4.4
〇ウルブズの速攻
ビーズリー加入前 10.2
ビーズリー加入後 15.1
ビーズリー自身がナゲッツ時代よりも速攻での得点を増やしたのは当然ですが、ウルブズも驚異的に伸びました。今では速攻がひとつの武器になりそうな勢いです。その先頭を走るのがリバウンドでも働くビーズリーなのだから、縦横無尽に走り回っています。
「3&Dにならなければいけない」と意識していたような昨シーズンのナゲッツでの活躍でしたが、その時間を経てウルブズ加入後に出てきたのは
エースとして積極的なオフェンス
がもたらしたリズムの良さでした。余計なものをそぎ落としたナゲッツ時代と、磨きまくって応用させているウルブズ移籍後って感じがします。
タウンズにディアンジェロもいるのでエースってわけではないですが、単なる3&Dではないことを存分に示しています。
◎可能性と勝利
まだ14試合とはいえ可能性を見せつけ始めたビーズリー。その積極的なオフェンスはチームに明確な武器をもたらしてくれています。
ただ、このオフェンススタイルが勝利に結びつきにくくなってきたのが今シーズンの特徴であり、ナゲッツが捨てて勝率を上げた部分です。よりディフェンシブな考え方と、自分たちのリズム以上にディフェンスを崩すことを意識したオフェンス構成が勝利のトレンドになってきています。
そんなわけでウルブズはこの路線でプレーオフに戻るには、かなりの完成度が必要となります。その完成度をもたらすにもビーズリーになるのでしょう。タウンズやディアンジェロを中核としながら、3人目のビーズリーが得点を取りまくれるかどうか。
シュート力が高く、かといってアシストタイプではないビーズリーは、この2人と上手く絡める可能性もみせており、トリオとしての機能性を発揮し、そして試合を決めるシュートをしっかりと決めてくれないといけません。
ビーズリーの可能性はウルブズを勝利に導くキーポイントになるでしょう。単に多くのシュートを打つのではなく、重要な局面でも強気に打って高確率で決める選手になれるのかどうか。ちょっと楽しみな存在なのでした。
ビーズリーっで優良選手ですよね。彼が3番手になるようなチームならプレイオフ進出は余裕なんだろうな(実際は…)。
冗談はさておき、3番手としては超有能だと思うので本人のことを考えるなら全盛期のうちに3番手として優勝を狙えるチームに移籍するのが最善なのかなと思いました。
もしくは、我が贔屓チームのスパーズにきてエース役となって上位を目指すのもありだよね!?!?
実際、スパーズは過剰なガードを放出して、エース的なビーズリーを狙っても良かったですね。
ホワイト+キャロルで獲得できた気も・・・。
DENのヨキッチ&マレー中心のちんたら()OFじゃリズム良くテンポ良くポンポン撃ちまくるビーズリーは中々自分らしくプレイ出来なかったでしょうね。ラッセル追いかけてMIN見始めましたがサンダースHCはアップテンポが好みなのかな?
ラッセルのめちゃくちゃ撃ちやすそうなパスからのビーズリーの超かっこいいシュートフォームは最高に痺れるしファンチョと共にぜひ再契約してほしいです。KATのハンドオフとか上手く使ってもっとパターン増やせるといいですね。
ウルブズはサンダースの好みというよりは、ネッツ化したいだけに見えています。アップテンポというか、チャンスが出たら積極的に打っていくスタンスですね。スローダウンはディアンジェロ次第。
そのためには、確かにもっとパターンを増やしたいですね。本家と違うのは仕込まれているネタの少なさと、PF4人並べるような采配っぷりです。
若い頃のJRスミスにそっくりですよね。簡単に抜かれるシーンがあるのでもう少しディフェンスに集中して欲しいんですが、オフェンスのパフォーマンスを考えると体力的にちょっと難しいかなと思ってます。MINは他にもマクラフリン、ナズあたりが伸びてます。ただ新加入組含めてディフェンスで頑張ってくれるのがオコギーとJJとカルバーだけで、イマイチ勝ちきれる感じがしないというか。
若いころのJRは、もっと、遥かにワガママだったのでは!?
ウルブズにとって大切なのは、ドラフトでオコギ―のようなハードワーカーを集めていることですね。
彼らとシューター系が多い新加入組をちゃんと融合できるのかどうか。
多分、勝つためのキーはオコギ―とカルバーなんだと思っています。
MINはドラフト上位指名権獲得できるはずなのでビーズリー再契約前提でドラフト上位指名権+JJ+αでINDからターナーとマクダーモットとってKATをPFにスライドしてマクダーモットスタメンにして
PGディアンジェロ
SGビーズリー
SFマクダーモット
PFKAT
Cターナー
にしたら来期よくないですか?
ターナーってのはディフェンスと3Pということで、良いチョイスだと思いますが、更にマグダーモッドまでいれたら、ディフェンス崩壊すると思います。
プレーメイカーの視点でもJJは残しておきたいかなーって思います。
オフェンス・シューティングはビーズリーがもっと担うことにして、他の選手はハードワーカー的な選手を集めたいですね。
ベンチにはレイマンやフアンチョがいるので、シューターは揃っているんですよね。
いつも楽しく読ませていただいています。
改めてデータを見ると、ビーズリーはサブエース枠として本当に魅力的ですね。
ただ、来季もDloと並べるならポートランド2,0になりそうで守備が心配です。
たとえば、火力の足りていないオーランドに交渉してビーズリーとA・ゴードンをサイトレ、ドラフトで3DとBBIQに定評のありそうなハリバートンを指名、(そして気合いでアトキンソンを奪取)すれば、
PG:Dlo、SG:ハリバートン、SF:オコーギー、PF:ゴードン、C:KAT、6th:レイマンで攻守のバランスが良くなるのでは、と思いました。
ビーズリーはそんなにディフェンス悪くないので、他でカバーできると考えているかと。オコギー・オコギー・オコギーなチームなので。
もしくはビーズリーを6thマンに回すのも手段かな。こっちの方が使い勝手も良さそうです。
PFのところは課題ですね。KATをどんな感じでフォローするのか。ストレッチ4はオフェンスは良いけど、ディフェンスがダメだし。こっちの方が難しそうな。タッカー欲しい。
リプライありがとうございます。
確かに、タッカーすごく欲しいです。
ドラフトでオコングー指名、外かゲームメイクを教えるとか?
今年の上位指名権は例年よりトレードが難しそうなので、MINがチームに合う人材を指名できるかが今後のカギになる気がしました。