プレー傾向を並べてみる①

ウィザーズ、レイカーズと続けて、同じ数字を持ってきました。趣旨は全く違いましたが、全チームを並べてみましょう。

アイソレーション+ピック&ロールハンドラー

まずは典型的なハンドラープレーの2つを足したグラフにしてみました。少ないチームで20回、多いチームで35回となり、3回~5回に1プレーがハンドラー勝負になっているわけです。

①ナゲッツ、レイカーズ、バックス、ラプターズのピック&ロールが少ない

強豪4チームが意外にもベーシックなプレーを減らしている事がわかります。バックスはジェイソン・キッド時代から少ないチームだったのですが、5年前はレイカーズがリーグ1位、ラプターズが5位と多かったのに、減少傾向にあります。ナゲッツはヨキッチ効果です。

ピック&ロールでボールを止めることをデメリットと考えているような4チームなので、ウォリアーズから始まったパッシングゲームの傾向が次第に強くなってきたイメージもあります。

シクサーズはブレッド・ブラウンがパッシングゲームの申し子みたいなオフェンスを好むので、元々少なかったのですが、ハンドラーだけど打たないシモンズによって加速しており、これを戦術的な理由と捉えて良いのか微妙です。

そして、ここに新たにサンズが加わりました。昨シーズンは6番目に多かったのが、一気に減らしてきたのはルビオの加入とシクサーズからきたモンティ・ウィリアムスが関係していそうです。

②ジャズはピック&ロールが異様に多い

ただ、そのルビオがいたジャズはピック&ロールが異様に多いチームであり、サンズの前HCココスコフがジャズ流を持ち込もうとしたことで増えていた面もあります。

ジャズといえば「流麗なボールムーブとチームプレー」という印象ですが、実際にはハンドラーによるプレーから始まっていることが多い意外な一面が出てきました。これがクイン・スナイダー流であり、ゴベアー事情な気がします。

ただしアイソレーションは少なめなのがジャズの特徴。そしてコンリーの確率が悪いってのが、悩みの種になっていたりします。ここはジャズ編を作って触れたいね。

③サンダーとクリッパーズが似ている

クリス・ポールが絡む両チームですが、ウエストブルックとポール・ジョージというスーパーエースがいなくなり、エースクラスが増えたサンダーは、ガリナリ、シュルーダー、SGA、アダムスと「交代でアタック」作戦を採用し、それはクリッパーズとよく似ています。ゲームメイクじゃなくて個人技の組み合わせ。

こうしてハンドラープレーの回数がそっくりというのは面白いものです。

④ハンドラープレーの多い/少ない

面白いのはハンドラープレーが多いチームと少ないチームを並べた時に、例外はあれども

・多いチームが勝っている
・少ないチームが勝っている

という相反する結果が生まれることです。ブレイザーズ以外の上位5チーム(ロケッツ・ジャズ・サンダー・クリッパーズ)とサンズ以外の下位5チーム(シクサーズ・ラプターズ・ナゲッツ・バックス)は、競合に分類されます。

そこで11位~20位のチーム、つまりハンドラープレーが平均的な回数になっているチームがどこかを比較してみると

11位 マブス
12位 キングス
13位 ニックス
14位 ウィザーズ
15位 ヒート
16位 ウルブズ
17位 スパーズ
18位 ウォリアーズ
19位 ペリカンズ
20位 グリズリーズ

なんということでしょう!
勝ち越しているのが、太字のマブスとヒートの2チームに絞られてしまいました。つまりはどっちかに寄っていないと勝率が上がりにくいという事になります。

⑤ウォリアーズが平均的

今回見逃せないのがウォリアーズです。このチームは主力がバタバタと離脱しているわけですが、HCはスティーブ・カーで変わっておらず、やっているバスケはむしろ色濃くパッシング主導に切り替わりました。

もちろんディアンジェロがいたので増えたことは否めませんが、「主力選手が抜けた」のにハンドラープレーが増えたことは興味深い事実です。

本当はパッシングで攻略したいけど、し切れないからピック&ロールを使う

こんな構図が浮かび上がってきます。「し切れない」には攻略というか、打ち切ってしまうシューターがいない、ってのが正解かもしれません。要するにタレント不足によって、ベーシックなプレーが増えたって事です。

⑥ロケッツは異質

敢えて触れなおすことではありませんが、ハンドラープレーを中心にしながら、ロケッツのみがアイソレーションの方が多いという異質なチームです。

極端に振れろ

ハンドラープレーが多いから優位、少ないから優位、ということは結論付けるのは難しいものの「多いか、少ないか、どちらかに振れろ」というのは正しく見えてくるグラフでした。

ただし、戦術的に振り切ろうと思っても

パッシング戦術をするためのタレント
ハンドラー戦術をするためのタレント

がいなければ、どうにもならないことも示されています。シクサーズを例外的に扱いたくなる理由は、「パッシング戦術をするためのタレント」は少なくなってきたけど、有能なタレントはちゃんといるから表現しにくいんだろうね。

⑦ホークス・ホーネッツ・サンズ

極端に振れろ!という前提で見ると、気になってくるのがこの3チームです。しっかりと極端に振りつつも、まだ勝てていないわけですが、それは若手中心のタレント不足が一般的な理由です。

タレント不足だけど、振り切った戦術を実現している

こんな逆説的な表現も出来るわけです。タレントが足りなくても実現できるなら、若手が成長したら超楽しみじゃん。

ホークスはピック&ロールが多くてアイソは少ないので、特に面白い構図です。トレ・ヤングとジョン・コリンズの匂いがプンプンなわけですが、その精度をさらに上げることが重要になりそうです。ピック&ロールがさらに増えるか、あるいはレディッシュがアイソレーションでの得点を増やすと、面白そうです。

ホーネッツに関しては、実は単にペースが遅いからプレーの回数が少ない、という点もあります。ただ内容的にはサンダーやクリッパーズに近しいのに、それをハンドラープレー以外で表現できているのだから、どんな方向に進んでいくのか、ボレゴの楽しみが増えた気がします。

サンズは「スターターは強い」ってのが、わかる気もしてきます。「強い」という表現が正しいかではなく、「自分たちのやりたいこと」をやるとしているわけです。ベンチの弱さは気になるわけですが、パスをもらってシュートを打つ選手を揃えたことが功を奏しています。

◎ハンドラーとロールマン

さて、本当はポストアップとかカッティングも並べる予定の記事でしたが、意外とボリュームがあったハンドラープレーだったので、ここで終わりにします。ただ、ピック&ロールに振れているのだから、ハンドラーだけじゃなくロールマンのプレー比率も観ておきたいところです。

今回は回数ではなく、ピック&ロールから
・ハンドラーが自分で行く
・ロールマンにパス
をどの程度の割合で実行しているか、チームごとの比率でみてみましょう。

御覧の通り、ほぼほぼ全チームがハンドラープレーばかりになっています。これはBリーグをたまにみると強烈な違和感を感じるのは、ロールマンプレーの方が多い印象があるからかもしれません。ファジーカス的なやーつ。

ということで、特徴的になりそうなのは、ロールマンプレーの割合が多いチームです。ここで圧倒しているのがラプターズ。そもそもピック&ロールが少ないチームなのですが、実行したときにはロールマンにパスを出しています。

次に多いのがホーネッツ。そう両チームともに「ハンドラープレーが少ないチーム」です。当たり前か。

また意外にもジャズがロールマンに殆どパスをしません。ゴベアーにフィニッシュさせるイメージがあるチームですが、そうでもないわけだ。

これらの事から読み取れるのは・・・なんでしょうね?

よくわからないので、これで終了します。大事なのは、ここで結論を出すことではなく、リーグ全体の中でどんな特徴があるのかを知って試合を見ることで、試合全体での狙いが見えてくる事です。

・・・試合を見ることで・・・。

プレー傾向を並べてみる①” への5件のフィードバック

  1. 興味深いシリーズが始まりましたねぇー 続編 楽しみにしてます。

    試合を見ること…はどーなんですかね。まだシルバーさん5月1日を過ぎてもなんとも言われてないですかね。

    Bリーグ観てて、ハンドラープレーやピック&ロールしててもNBAとの違和感はありました。そーゆー違いだったのか。勉強なります。

    ハンドラーがミスマッチになっても打ち切る技術とかが足りないとゆーか。『決めきる』が出来ればそりゃー満点ですが、まずは打たない事にはディフェンスもね。それともパスしないと怒られるのかな。

    育成と戦術の難しいバランスなんでしょーが、『自分でそのまま持ってく力』を付けない事にはねー。勝つ為にはエゴ(得点力)の強い選手はどーしたって必要だし。

    チームプレーやエキストラパスの教本のよーにされてるスパーズでさえ、アイソ能力のくそ高いダンカン・ジノビリ・パーカーが居たからですし。

    得点王がパスして味方と共存するから強いのであって。でも、それは『得点王』のパスだから脅威であって。パスしたけりゃ得点とれ。シュートしたきゃーパス決めろ的な。

    そーいえば、NBAの得点王が優勝したのっていつが最後なのでしょーか。勿論、かつての得点王がチームにいないと優勝出来ないのですが。(アシスト王もかな)

    得点(アシスト)王スキルは必要だけど、それだけでは勝てない。でも、日本は得点王スキルが低いから、チームプレーに『甘え』てるんですかね チームスポーツの難しいところなんですかね。

    NBAに話を戻しますが、得点王とアシスト王の2冠でも優勝出来ないんだからバスケって難しいしだからこそ面白い

  2. 関係ない話かもですが、ジャズのイングルスが、ゴベアを本当の壁のように使うので笑ってしまいます

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