ウィザーズのトランジション

弱かったポジションに八村をいれて結果を残すも、それはオフェンス面。ウィザーズはどうしていくのか。

ウォールとビールのチームにPF八村をドラフトしたウィザーズ。八村の活躍度はオフェンス面での満足とディフェンス面を重視したドラフトをしていないチーム事情が垣間見えました。控えもバータンズだしね。

実際にウィザーズは攻撃型チームとして、プチ再建モードに突入したのが今シーズン。アイザイア・トーマスとイシュ・スミスの両PGによるトランジションに、エースのビールが絡むのだから、そこにはディフェンス思想はありません。

唯一、ボンガをスターターにしたのは驚きでしたが、ディフェンス面の可能性はあれど、今の時点ではそういう選手じゃないので、単に若手たちを並べてみただけでもあります。オフェンス中心のウィザーズは守れないことで勝利を逃していくのでした。

◎トランジション・オフェンス

そのオフェンスの特徴はトランジションゲーム。ペースアップを進めていったわけです。

〇試合のペース 103.5(5位)
〇オフェンスレーティング 111.1(13位)
〇得点 115.6(6位)

若手が多いラインナップということも加味すれば、ペースアップによってオフェンス力が13位に位置していることは十分に可能性を感じさせます。個々の成長だけで5位くらいまではジャンプアップできそう。13位までで5割に満たないのは他にブレイザーズとスパーズだけなので、プレーオフチーム並のオフェンス力になっています。

ペースが速くて、得点の多いチームのウィザーズ。ところが面白いことに速攻の点数は伸び悩んでします。

〇速攻の得点 13.2点(16位)

最も速攻が多いビールで3.4点のみ。続くのがバータンズ2.2点、八村2.1点とPFの二人になってしまう変な感じ。ウォールとウーブレイがいなくなっている穴を塞げていませんでした。

速攻が少ないチームなのに、ペースが速くて得点が多い

ポジティブなのか、ネガティブなのか、どうにもわからない結果を残しています。ある意味、ここにウォールが戻ってくれば万事OKなのかもね。

〇トランジションの回数 21.8回(4位)
〇トランジションのEFG 58.2%(25位)

しかし、その中身を見ると「トランジションの回数は多い」ことがわかります。だけど、決定力に欠けるから速攻の得点が少ないだけなのでした。若さ溢れるというか、無理にでもシュートにいってるというか。ちなみに気になる選手を挙げてみると

〇トランジションのEFG
ビール 57.2%
八村 60.1%

イシュ 51.2%
アイザイア 38.6%

八村は及第点であることがわかります。ビールがもっと決めてくれれば、って感じもありますが、それよりも問題なのはPG陣の悪さでした。特にアイザイア・トーマスはこれではいくらなんでも苦しすぎる。ロスター交代となって加入したネイピアーが68.6%も決めており、ここのネックが解消されるといろんなことが変わってきそうです。

ハイペースのウィザーズ
しかし、トランジションの確率が悪い
そこにはウォール不在の悩みが見えてくる

そんな数字が並ぶオフェンスでした。

◎トランジションディフェンス

とらんじしょんの問題はあれど、プレーオフチーム並みのオフェンス力を発揮しているウィザーズ。なので、問題はリーグ最下位のディフェンス力です。

〇失点 119.7(29位)
〇ディフェンスレーティング 115.0(30位)

ちなみに失点の最下位はホークス。若手5人衆で戦うチームだけに、ハイスコアリングゲームをするのですが、守っているのはハンターくらいなので、わかりやすく失点していきます。特に速攻でミスしてカウンター食らってしまうんだよね。

しかし、まぁこれはあるあるです。それこそかつてのウォリアーズが負けるパターンは、トランジションのシュートがことごとく外れ、カウンター決められる時でした。自分たちが走って乱すのだけど、乱れた状態からだとカウンター食らってしまうよね。

そう考えるとウィザーズの問題も分かりやすく思えます。

ペースが速い ⇒ でもシュートミス多い ⇒ カウンターで失点

リーグ最下位のディフェンスはオフェンスが改善すれば自然と順位が上がってきそうな匂いもするわけです。ところが、ここでウィザーズは奇妙な成績を残しています。

〇速攻での失点 12.5点(6位)

何故か、速攻での失点が少なくなります。あんなに守れないし、自分たちのミスでカウンター食らっていそうなのに、少なくとも速攻ではやられないんだ。

〇トランジションでの被EFG 67.1%(23位)

でも、やっぱり高確率でシュートは決められています。自分たちは58%なのに、相手には67%も決められたらデメリットばかり。なんだけど、被アテンプト数が少なくなるのでグッと抑えていることになります。

ディフェンス力がないけど、トランジションを守るのは上手い

ウィザーズのディフェンスはなかなかに奇妙です。トランジションはしっかりと抑えるんだ。ペースが速くても、ディフェンスへの切替もしっかりしているから、ハリーバックを欠かさないってことか。

んっ! ハリーバック?

それってウィザーズに決定的に不足していた要素じゃないか!

リーグで最も速いと言われたウォールに導かれていたウィザーズはとにかくオフェンスには動くけど、ディフェンスへの切替が遅いチームでした。それがロスターを大きく変えた今シーズンになって、「相変わらず守れないけど、トランジションを止める意識は高い」ってことになります。

試合を見ているとペースが早すぎるし、すっからかんに見えるディフェンスで、スルーしまくってイージーに決められている印象なのですが、数字を追っていくと、なかなか意外なところにぶつかりました。本当なら、もっともっとトランジションで失点していたもおかしくないチームだけど、何とか堪えようとしているのかもしれません。

ただし、こういうのが続かないのもウィザーズに延々と受け継がれたカルチャーでもあるので、継続できるかは、これまた不安。ただちょっとだけ光も見えてきているのかなーという部分でした。

トランジションを制する者はリーグを制す

ってのが、ウォリアーズによって作られた新たな時代ですが、その中身はオフェンスとみせかけて、ディフェンスでした。「自分たちはトランジションで得点するけど、相手には得点させない」ことを出来るチームが強いんだ。

自分たちはもっと高確率でトランジションを決め、相手のトランジションは継続的に減らしていく

そんなことが出来るようになるのかどうか。期待しすぎないで見てみましょう。

ウィザーズのトランジション” への1件のフィードバック

  1. 現実世界で楽しみが減ると非現実的世界での楽しみを増やそうとする気持ち良く分かります。

    ともあれ、生存確認とれてホッとしたます。

    はてさて、ウォールとビールの関係ですが、ウォールがハンドラーとして戻ってきた時にビールがオフボールで動くシューター(スコアラー)に軸を置くためのスクリーナーやスペーサーが必要かと。

    スペーサーはバータンズ スクリーナーをトマブラorRUI君ですかね。ならバータンズは3番起用?RUI君を3番起用ってのもやった見て欲しいな。スリー無いけど。ミドルでコツコツ稼ぐ3番タイプでも効果的だと思いますけどね。ミドルだと確かにスペーサーとしては中途半端だけど、コツコツ決められると以外に腹立つのもミドルだったりします。ボディーブローのよーに効いてきたりしますしねー。

    怪我明けウォールがラス君のよーには動けなく(恐くなく)ても、ローズのよーに出来ればまだましと考えた方がいいのかな。ローズよりはアシストに重きを置いてるウォールなので、良いあんばいを来年以降、ウォールが見つけないとね。オールスターガードに戻れるのか

    RUI君は日本で育ったからなのか、天然なのか、NBAで見ると、小さいビックマン的な動きがオフェンスでもディフェンスでも多いのですが、これからはウイング仕事をこなして欲しいな。もちろん、小さくても機動力と判断力にすぐれたビックマンをスモールで使う事が増えたNBAですが、RUI君にはそーゆー気の利いた判断力はまだまだだし、片鱗もねぇ…

    それより、こねくり廻しガードやスラッシャーウイングにもついていけるフットワークが怪しいので、まずはそこから伸ばして欲しいな。ルーニー&カペラ見習え(見習ったからといって出来るかはまた違うけど)

    総合力は間違いなくあるRUI君だけに、まだまだプロスペクトのうちに、機動力PFだけじゃなく、1~3番のハンドラータイプにつけるフットワークを磨いて欲しい。

    日本代表では4番5番だろーから、その辺がむずがゆいけど、NBAで1~3番つけるなら、もう御の字だよ。ワタナビーにビックマン付いてもらおう。ワタナビーのがブロック出来る気がするし。その差は何なのか気になる あっ てかゾーンか日本代表は うーん…日本代表の事は考えないでおきます。NBA選手として需要がある方が個人的には断然いいので。

    薄くてもファンタジーでも何でもいいので、NBAを思い起こす(バスケットを思い出す)記事があがるのは嬉しいっす。ジョーダンのラスト・ダンスが話題ですが、ピッペンや90年代のNBA記事とかどーっすかねー

    ジョーダンやロッドマン記事は皆書くだろーけどピッペンって書きにくそうだし。クーコッチとかでも可!!!(ブルズじゃなくてもいいですし)

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