ブログドンのいないバックスを形作るPG
とても強いバックスは大差の勝利も多く、個人のプレータイムを抑えることに成功しており、アンテトクンポですらも30分程度。強さは健康を呼び込み、健康は勝利を呼び込んでいます。
またブーデンフォルツァー2年目になったことで、戦術がさらに浸透しており、ポジションレスが加速。ポジションレスっていうか
プレーメイカーを必要としない
という感じで、共通化された人とボールの動きによって、PGがいなくても特に問題なく、ディヴィチェンゾやカナートンあたりがハンドラーになっても全く問題ないって感じです。
つまりは昨シーズン困らされたブログドン不在という問題があまり表面化していません。ある種の「ワンパターンだけど完璧なオフェンス」が選手を入れ替えても成立しているイメージです。だからブレッドソーで何の問題もない感じ。
なお、そこにはヤニスが個人としてプレーの引き出しを増やしたことが大きく関係していますが、そこは触れにくいお話。
そんなわけでブログドン移籍の大いなる不安は、ここまでのところ封印されているバックス。ただし、やっぱり接戦になると少しずつ顔を出します。まぁ残り3分±5点で14勝3敗と圧倒しているので、接戦に弱いなんてこともないぜバックス。
そんなチームで実質的に唯一のゲームメイカーとなるのがジョージ・ヒル。非常に微妙なPGは安住の地を見つけたようにも思えてきます。
◉人任せのPG
ジョージ・ヒルはスパーズにドラフトされ、PGというよりもコンボガード的な存在としてプレーした後で、レナードとのトレードでペイサーズに行き、PGになりました。ただし、やっぱりコンボガードに近いイメージが強く、キャリア最高でも5年目の5.1アシストに留まります。
〇キャリア平均アシスト 3.2
PG役を任されているけど、自分でプレーメイクしてアシストを生み出してくれるタイプの選手ではありません。代わりにミスも少ないので、堅実なタイプとして、そしてエースを引き立てるタイプのPGとして重用されてきました。
〇キャリア平均ターンオーバー 0.9
とてもミスが少ないわけですが、一応、平均得点が増えるとほんの少しだけターンオーバーも増えます。要するにミスが少ないってのはプレーに関与する機会の少なさも関係しています。
これらの特徴は頻繁に休むことも併せて、ポール・ジョージがいたペイサーズ時代、ヘイワードに渡していたジャズ時代へと引き継がれていく中で
人任せのゲームメイカー
と称しています。なんせパス自体はしっかりと回しているのにアシストが少ないっていうPGなので、ほぼ何もしないでパスを出すのがジョージ・ヒルらしさ。
〇パス数とアシスト数
13-14シーズン 56.3/3.5
14-15シーズン 53.5/5.1
15-16シーズン 56.8/3.5
16-17シーズン 64.4/4.2
17-18シーズン 42.6/2.8
18-19シーズン 28.3/2.3
19-20シーズン 34.4/2.9
パス数はちゃんとしたPGだけどアシストが少ないのが特徴のジョージ・ヒルのゲームメイクは、NBAでは珍しい感じになっていて、ユーロ系に近いものがあります。シュート力があるため、スターターで出れば二桁得点は十分に期待できるのでウイングが主役のチームでは輝きやすい特徴もあります。あるいはスパーズ時代のようにコンボガードが適切なのかも。
「人任せ」というとイメージが悪いですが、要するに使い方の問題でもあります。ディフェンス力もあるのでスパーズ、ペイサーズ、ジャズは上手く使ってきた印象ですし、それぞれメインウエポンとしては考えていませんでした。
一方でハンドラーにやらせたかったキングスでは、パスを出してコーナーに移動してしまうPGはどうにも扱い難く、レブロンと組んだキャブスでは逆に早々にコーナーに行ってしまい「だったらPG要らないんじゃないか」みたいな状態でもありました。シーズン途中に加入しているのもマイナス。
まぁこれらの時代の最大の問題は「サラリーが高すぎる」ってことでして、人任せそのものは悪くないけど、なまじ良い選手なものだから20Mくらいの契約しちゃったのが悪く、「サラリー高いのに人任せ」ってのはダメだよね。
バックスと再契約しましたが、1年のサラリーは10Mくらい。これならば十分に元がとれる感じです。ただベンチで人任せPGに10Mは高いともいえるけど・・・。
◉バックスと人任せ
冒頭に書いたように現在のバックスは、シューター系のディヴィチェンゾがPGってのもあるように特定のプレーメイカーがいなくても成立するようになってきました。それは言い換えればPGであるジョージ・ヒルが自分でアクションしなくても良い状況です。もともと、しっかりとパスを回すタイプのPGだけに、パスゲームでオフェンスを作るチームってのは相性が良くなってきました。
15-16シーズン 56.8/3.5
16-17シーズン 64.4/4.2
17-18シーズン 42.6/2.8
18-19シーズン 28.3/2.3
19-20シーズン 34.4/2.9
そして前述のパス数とアシスト数のスタッツをみると、バックスでの2シーズンはこれまでよりもアシストに繋がる確率が高くなっています。ただし、バックスは3P打ちまくりチームなので、ジョージ・ヒルのパスから確率良く決めているわけではありません。
〇ヒルのパスからシュート
アテンプト 10.1本
成功率 42.1%
パス3本に1本がシュートに結びつき、そのうち4割くらいが成功しているってことです。バックスで効果的なのは「パス3本に1本のシュート」ってところです。自分で切り崩してのアシストではなく、チームオフェンスの中で自然とアシストになるのがジョージ・ヒルの真骨頂。
個人としては「人任せ」と書いたけれど、それはチームオフェンスを組み立てることが最優先という意味でもあるわけで、バックスではジョージ・ヒルがPGをする価値が高くなっているように思えます。つまりは
スペシャルな主役であるヤニスに任せる
チームオフェンスがパスゲームで作られる
3Pが多くシュート力が重要
この3つの要素はまさにジョージ・ヒルに当てはまる戦術的特徴になっており、ハンドラーとしてチャンスを作り出す能力が不足気味でも、しっかりと堅実にボールを動かす能力がハマっているといえるのでした。
ハンドラー中心化が進むNBAにおいて、行き場を失いかけていたジョージ・ヒルですが、ミルウォーキーに安住の地を見つけた雰囲気になってきています。
◉苦しい時にジョージ・ヒル
しかし、これらの事はジョージ・ヒル側からみた良い部分に過ぎず、バックス的にはどうなんだっていうね。これがまた上手くハマり始めているように見えてきました。元々は昨年のプレーオフに遡ると、ブログドンのケガ、そして接戦で不安なブレッドソーに代わって登場すると素晴らしい活躍を見せました。
〇昨シーズンのプレーオフ
26.3分
11.5点
FG53.4%
3P41.7%
2.8アシスト
0.4ターンオーバー
相変わらずのアシストの少なさではありますが、極小のターンオーバーと堅実に決めまくったシュートでチームを救った印象すらあります。特にカンファレンスファイナルでラプターズに苦しめられれば苦しめられるほど、ジョージ・ヒルは活躍していきました。
今シーズンのバックスは強すぎるので、ジョージ・ヒルを必要とする場面は殆ど出てきませんが、やっぱり接戦で苦しくなるほどに必要な存在に見えてきます。理由としてはごくごく単純なのですが
苦しい時間帯でも変わらずパスゲームで組み立てる
高いシュート力で決めきってくれる
楽な展開じゃないということで、相手チームに何らかの仕掛けをされて止められている部分があるのですが、そんな時に個人技で打開しがちなチームメイトと違い、ベテランの味か「人任せ」の真骨頂か、変わらずチームオフェンスを組み立てるゲームメイカーっぷりが目立ちます。
そして同時にちょっと苦しそうなら自分で決めてしまう部分も持っています。どうしても確率が下がりそうなシーンで下がらないのもベテランの味か、ジョージ・ヒルの持ち味か。
なお、過去のプレーオフでは「人任せで行方不明」になるイメージもあったので、ブーデンフォルツァーのオフェンススタイルだからこそハマっているってのは変わりません。
ブログドンが「相手の薄くなった部分を突く」ことで変化をつけ、苦しい時間帯に救ってくれていたのとは違って、あくまでも「自分たちの強みをしっかりとこなす」ようなゲームメイクをしているジョージ・ヒルなのですが、他の選手と違いがあるとすればヤニスの使い方です。
といっても、ヤニスにパスを出すところまでは大きな違いはありません。ただ、そこから人任せなPGとしての本領が出てきて、PGなのにコーナーに移動するのが早くてスペースを作れるし、合わせのカッティングもお手の物。いわば「任せるのが日常だから、その後のプレーが上手い」ような状態になっています。つまり
スペースを構築し、リターンを貰うのが上手い
という特徴がバックスの戦術にハマっているし、スペースを潰されて困った時間帯でも、ストレッチとカッティングで的確にスペースを使うことが出来るのが、苦しい時間帯に目立っています。あとアウトサイドシュートもね。
ブレッドソーの控えになるジョージ・ヒルですが、苦しい時間帯に助けてくれるPGとしてプレーオフで真価を発揮してくれそうな匂いがしていました。そこにあるのは自分で打開する能力ではなく、ジョージ・ヒルらしい人任せなゲームメイクと「その後の動き」によって
ムリヤリにでもチームオフェンスを正常化させる
ような特殊性って感じです。チームが「どうすればよいのか」と迷っているような時に、普通に戻すのがベンチに座るベテランPGの役割になっています。
エースとパスゲームを必要とするPGジョージ・ヒルのプレースタイルは、ヤニスというスペシャルなエースに加え、ワンパターンだけど強力なブーデンフォルツァーの戦術スタイルにハマっているように思えるのでした。
オフェンス戦術が浸透してるし、ブルックにだって安心してボールを預けられるのでバックスはハマってますね。
ヒバートがいた頃のペイサーズはかなりペースが遅くて、ポールジョージもスティーブンソンもいまいちハンドラーとして信用できなかったので、ヒルがもう少しゲームメイクできたらと感じたものです。
あの頃のヒルは、今よりも能力の高さと個人で得点するパターンが多かった気がします。
それはゲームメイク力のなさにも繋がっていました。ていうか本質的にはPGじゃなかったんですよね。
ボールを持っている状態や、パスした後にトップから動かないだけが司令塔じゃないんすよねー
オフボール状態でもチームを指揮できるもんです。
レナードとトレードされたってのは、スパーズがうまかったかなぁーとは思いますがそれは結果論。
ダレン・コリソンやジョージ・ヒルみたいなPGはサラリー難しいですよね。
ブロングトンの抜けた穴を気にしていましたが、ブロングトンはインディアナで立派にやってますし、バックスも将来のサラリー問題を考えて仕方ない感じかな。(でもね play-offがねぇー ブーデンフォルツァーですからねぇー)
そのplay-offが知りたかったのにねー 仕方ないな事だけどね。
play-offのヒルといえば、キャブス時代でのファイナルで、JRスミスを2018ファイナルMVPにしたフリースローや、そのフリースローを得たプレイでクレイの裏をついたバックカットは記憶にやきついてます。(あのフリースロー決めてたら伝説のJRスミスさんは生まれてなかった。。。)
バックスが優勝すれば、リビングストンやイグドラ兄さん並に株あがるのになぁー ヒルさん
レナードとトレードの件は、ペイサーズが「まさかレナードが15位まで残っているなんて」という判断だったらしいですね。
トレードしなければ、ペイサーズは今のクリッパーズのように・・・はならなかったかなー。
確かにヒルの年齢と経験で、バックスを支えて優勝に導けば、選手生命が長くなるでしょうね。
シーズン中は7割の力でこなしても許される存在になれるのかどうか。
どこかで聞いた事が…
と考えていたら、ナゲッツのマレーも確かパス数とアシスト数の関係がそんな感じだったような。
チームのオフェンスシステムの中の似た部分がPGの数字に出てる感じなんでしょうか。
でもヒルよりディビチェンゾの方がマレーっぽいですね。
…そもそもディビチェンゾがマレーに似てるだけ?
確かに。あっちはヨキッチがPGだから、マレーがハマっているわけだし、構成的には似てますね。
まぁ今シーズンのマレーは、わき役ではないと位置づけられて変わってきましたが。
人任せだけど任せられない状況で仕事を出来るのがヒルの良さだと思いますね。
ブレッドソーもヤニスも直線的。そういう選手は無理矢理にでも守る方法はある。
正にそういう方法に対して薄くなったところで隙を付くのがブログドンでした。
ヒルも昨シーズンのPOではそれが出来ていたと感じました。
力押しがしにくくなった時こそ本領発揮でしょうか。
大事な場面でも、ちゃんと人任せにできる、だけど単に人任せじゃなくて、その後の動きでチームオフェンスにしているのは、緊迫した場面でこそ輝くスキルです。
プレーオフ向きなんでしょうが、プレーオフで活躍した印象もない不思議な選手。
ほんとその場の適当な思いつきなんですけどロンゾってバックスに合うと思いますか?今シーズンは以前に比べるとスリーも結構安定してきましたし
バックスから見たら
・ビッグガード
・守れる
・速攻に繋げてくれる
などの理由でロンゾはマッチすると思います。
ロンゾから見たら
・ヤニスがボールを持つ時間が長い
・即興的なオフボールの動きよりもシステム化されているオフェンスが多い
・ベテランが多い
ってことで、ポテンシャル100%発揮って感じではないかもしれません。
要するにロンゾのサラリーがヒルくらいなら、大いにフィットするし、ドラフト2位クラスのサラリーになったら不要って感じですね。
やっぱ特徴としてはそれなりに合いますよね。結構見てみたいです。